全司法では3月〜4月にかけて、今、社会的に注目されている「女性の健康支援」を切り口にして、男女ともに「働きやすい職場」をみんなで考え、要求と運動につなげていくためのアンケートを実施しました。集約期限までに584名から回答がありましたので、その集計結果をお伝えします。
この結果を参考に、「誰もが働きやすい職場づくり」に向けて対話を広げていきましょう。
生理で勤務が辛いと感じたことのある人が8割
「生理で勤務(出勤)するのが辛いと感じたことがありますか?」との問いに回答した女性の17%が「頻繁にある」、62%が「時々ある」と回答しており、約8割の女性が頻度の差こそあれ、生理によって勤務することの辛さを経験しています。
人それぞれ、千差万別とは言われるものの、実際には「ない」と答えた人の方がむしろ少数だということが明らかになりました(問1)。
また、同様にPMS(月経前症候群)についても、13%が「頻繁にある」、45%が「時々ある」と回答しており、こちらも過半数となっています(問5)。
一方で、男性に対して「PMSについて知っていますか?」と質問したところ、「知らない」と回答した人が50%と半数にのぼっています(問6)。
女性の働き方や職場における女性の健康支援について検討する際には、こうした実態があることをまず認識しておく必要があります。
問1 女性にお尋ねします。生理で勤務(出勤)するのが辛いと感じる日はありますか?(過去の時期にあった場合も含む) |
問5 女性にお尋ねします。PMS(月経前症候群)により、勤務(出勤)するのが辛いと感じる日はありますか?(過去の時期にあった場合も含む) |
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問6 男性にお尋ねします。PMS(月経前症候群)について知っていますか? |
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生理休暇を取得しなかった理由は「仕事や職場の雰囲気」
生理休暇については、「毎潮時とっている」が5%、「ときどきとっている」が28%、全体の65%は「とっていない」と回答しました(問2)。
その理由については、「人員の不足や仕事の多忙などで職場の雰囲気としてとりにくい」と答えた人が最も多く、「はずかしい、生理であることを知られたくない」「苦痛でないので必要ない」を上回りました。「その他」と回答した人の中にも「仕事との兼ね合い」「仕事が忙しいときは取得しにくい」との回答が相当数あり、本人の選択ではなく職場の雰囲気や人的体制を理由とするものが多かったことは改善すべき課題です。「年休で対応している」との回答も目立ちました(問3)。
また、そうした取得状況について、男性は「わからない」との答えが最も多くなっています(問4)。
生理やPMSなど女性特有の健康問題に関して職場で必要な措置については、「生理休暇を取りやすい環境整備」が最も多く、「体調が悪い時に休息できる場所」「職員全体に対する知識付与や情報提供」がそれに続きました(問7)。
「私は、他の方が休暇を取られていたりして生理休暇等を取ることができず、仕事上でミスをするなど辛い経験をしました。その経験があって、婦人科に行って薬等で生理を少なくしていたりしました。私のように苦しむ人を少しでも減らしていただきたいと思うし、もう少し生理休暇をとりやすい環境を作っていただきたいと心から願っています。このアンケートも今年が初めてだと思いますが、続けてほしいです」との意見をいただきました。
問2 女性にお尋ねします。生理休暇をとっていますか?(過去にとった場合も含む) |
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問3 問2でABを選んだ方にお尋ねします。生理休暇が取れない(取らない)理由は何ですか?(複数回答可) |
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問7 男女ともにお尋ねします。生理やPMSなど女性特有の健康問題に関して職場で必要な措置はどういうものだと考えますか?(複数回答可) |
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更年期をはじめとする体調不良も知ってもらいたい
女性の更年期障害について、「具体的な症状も含めて知っている」と答えた人は46%、「内容は詳しく知らないが、更年期があることは知っている」と答えた人が48%でした。更年期があることは大半の人が知っている一方、具体的な症状を知っている人は、その半数ぐらいという結果になりました(問8)。
男性にも加齢等を原因とするホルモンバランスの崩れによる、いわゆる「更年期」と呼ばれる症状があることは、世間一般にはあまり知られていませんが、今回のアンケートでは8割を超える人が「知っている」と回答しました(問9)。
「更年期の影響で勤務(出勤)するのが辛いと感じたことがありますか?」との問いには、15人が「頻繁にある」、63人が「時々ある」と回答しました。回答者全体の1割強に当たる人数ですが、「その他」と答えた人の中にも、体調不良はあるものの、それが更年期の影響かどうかわからないとした人が複数いました。なお、この設問は、回答用紙に不備があったために男性の多くが回答していませんが、自由記載を含め、男性の体調不良についても対応を求める意見が出されています。また、服用中の薬の副作用による辛さを指摘する意見もありました(問10)。
職場で必要な措置については、「体調が悪い時に休息できる場所」「職員全体に対する知識付与や情報提供」が多く、「更年期障害休暇の新設」をあげた人は281人でした(問11)。
問10 男女ともにお尋ねします。更年期の影響で勤務(出勤)するのが辛いと感じる日はありますか?(過去の時期にあった場合も含む) |
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人員不足、職場の忙しさで休暇が取得しにくくなった職場も
ここ数年(概ね5年以内)の職場について、休暇などの取得のしやすさについて、どう感じているか質問したところ(問12)、45%が「取得しやすくなった」と答える一方、「取得しにくくなった」が8%、「どちらとも言えない」が31%ありました(問12)。
取得しにくくなった原因について「職場が忙しくなった」と答えた人が最も多くなっています。その他の記載では、部署や直属の管理職によるとの回答、「育児休業などが取りやすくなった半面、その他の休暇はとりにくくなった」と意見があった点は気になります。
自由記載を含む回答からは、ワークライフバランスの実現が言われ、育児等に関する休暇・休業制度などが充実する一方で、人員削減によってギリギリの体制で業務を処理せざるを得ない職場では、休暇を取得した職員の仕事をカバーする職員の負担感も重くなり、休暇等が取得しにくい状況が生まれている様子が窺えます。(問13)。
問12 男女ともにお尋ねします。ここ数年(概ね5年以内)の職場について、休暇(全般)や育児短時間勤務など措置の取得のしやすさについて、どう感じていますか? |
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職場でのコミュニケーションも重要
アンケートの最後に「誰もが働きやすい職場」を作っていくために必要だと思うことについて、自由記載を設けました(問14)。
「人員不足の解消、報告事務の簡素化が必要だと思います。自分は育児に関する休暇や育児時間を取得する人のフォローにまわることが多いのですが、管理職がそれを把握・評価してくれているのか疑問です。快くフォローするためにもフォローする者への声かけが大事だと思います」との意見など、増員をはじめ人的体制整備を挙げる意見がもっとも多く、あわせて、管理職の理解(管理職研修)、職員への情報提供や職場でのコミュニケーションの重要性が指摘されています。
「生理休暇にかぎらず、PMSや更年期障害など、定期的に迎える心身の不調に対する休暇制度を新設してほしい。病気休暇がほとんどの人が活用できていないので、柔軟に使用することができるようにしてほしい」など、休暇制度の充実や運用に関する意見も出されました。
休暇や女性の健康問題以外では、事務の簡素化・効率化の推進、広域異動の見直し、宿日直の廃止、人事評価制度の改善、パワハラへの適切な対応などをあげる意見がありました。
また、最近の職場の状況を踏まえて「コロナの影響もあり、雑談等出来ない状況でコミュニケーションがほぼ取れていません。辛さを口にする事で解決することも多くあると思うのですが中々難しいですね」との意見もありました。
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