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  トップページ > 全司法新聞 > 2026年7月 > 2473号
 
 
全司法新聞
 
「生き生きと働けるよう、
 引き続き職場環境の整備に努めていきたい」
2026年諸要求貫徹闘争 人事局長交渉
 

 全司法本部は6月3日、2026年諸要求貫徹闘争における最高裁板津人事局長との交渉を実施しました。
 人員、超勤縮減等、デジタル化、宿日直、備品整備については、前号に掲載したとおりです。今号ではそれ以外の課題を中心に記載します。


人事局長交渉の様子

共同親権制度

「引き続き、運用状況も踏まえ」て対応する

 共同親権制度の導入に関わっては「引き続き、運用状況も踏まえた形で、手続案内における各庁における工夫例も含め、各庁に有益な情報提供を行い、あるいは意見交換の機会を設けるなど、その安定的な運用に資する様々な支援をしてまいりたい」と述べ、そのための人員についても「改正家族法施行後の審理運用の状況や改正家族法が各家庭裁判所における事件処理に与える影響等も注視しながら、引き続き家庭裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、必要な態勢の整備を検討していくことになる」と回答しました。

メンタルヘルス対策

「職員の健康保持に努めたい」

 メンタルヘルス対策については「今後とも職員の健康保持にむけて職場としてでき得る配慮をしていくほか、ストレスチェックの集団分析結果についても必要に応じて活用しながら、できる限り職場環境の改善を図り、職員の健康保持に努めたい」と述べたうえで、「今後とも、職場できめ細やかな対応がとれるよう、管理職員等への知識付与・意識啓発に努めていきたい」と回答しました。

組織の見直し

「一般執務の指導監督が充実するよう目配りしていきたい」

 組織見直し、営繕組織の見直し、給与等支給認定事務の集約については、改めて全司法の意見を聴取し、「誠実に対応」する姿勢を示しました。
 また、組織の見直しによっても、部単位での検討や調整が一向に減らず、「中核的事務」に集中する体制にはなっておらず、事務の効率化につながっていないと指摘したのに対しては「引き続き首席・次席書記官の一般執務の指導監督が充実するよう目配りしていきたい」と回答しました。

専門性の付与と活用

事務官「研修内容の充実に努めたい」

 書記官事務の統一(標準化)については「新たな制度が導入される際や事務処理を大幅に変更する必要がある場合には、引き続き、適切な事務処理を支援するために、必要に応じて、最高裁においてマニュアルや執務の参考となる資料等を作成し、ポータルサイトも活用しながら、職員へ周知するなど適切に対応していきたい」と回答しました。
 事務官研修については「専任事務官の専門性の活用・付与等にむけて、今後とも研修内容の充実に努めたい」と述べ、研修そのものの整備を踏まえて、内容の充実に言及する回答を行いました。
 電子速記タイプライターの製造元におけるメンテナンスが終了する事態に対しては「速記事務へ支障が生じないよう、最高裁に管理を変更した機器を不具合時の交換機として使用するほか、機器の更新も含めた対応を検討する」と回答して、「更新」に言及しました。

昇格

定数改定に向けて「最大限の努力」

 人材確保に関わって「裁判所で働く全ての職員が仕事と生活の調和を図りながら、やりがいを持って生き生きと働けるよう、引き続き職場環境の整備に努めていきたい」との姿勢を示しました。
 両立支援制度や女性の健康問題について、「新たに策定された行動計画」に言及して回答しました。同計画の策定にあたっては、全司法の意見が反映されています。
 昇格については、2027年度予算での財務省との折衝にあたって「各職種の職責や役割等を念頭において、職員の勤務条件にも配慮しながら、最大限の努力をしていきたい」との姿勢を維持し、「可能な限り現在の昇格運用が維持できるよう努力したい」と回答しました。

 
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働きやすい公務労働を実現するには…
第55回国公女性交流集会
 

 6月13日〜14日、東京・晴海で第55回国公女性交流集会が開催され、全司法からは実行委員4名・オンラインとリアルで12名の計16名が参加しました。集会全体では111名の参加でした。

全司法からの現地参加者
ドイツとの「働きやすさ」の差に衝撃

 1日目は、記念講演、基調報告、ミニ学習会、夕食交流会が行われました。
 記念講演では、筑波大学名誉教授の田中洋子さんから「ドイツから学ぶ公務職場とこれから」と題して、同じ状況に置かれている国家公務員であるにもかかわらず、日本より働きやすい仕組みが当たり前になっているドイツの現状が語られ、日本で働きやすい公務労働を実現するために何が必要かを学びました。
 日本はドイツの官僚制度(採用に関しては中国の科挙やイギリスの試験制度)を導入しましたが、今のドイツには「低処遇の非正規」が存在せず、柔軟なフルタイム・時短勤務・在宅勤務を自分で決定することができ、広域異動や転勤は基本的にないということに衝撃を受けました。
 ミニ学習会では、開館50周年を迎える都立第五福竜丸展示館長の安田和也さんから、人的被ばく被害の他に、近くの海で操業していた500隻を超える漁船が捕獲した汚染マグロの被害に対して米国から損失額の半分にも満たない「見舞金」が日本政府に渡されていたことなどを初めて聞き、あらためて原水爆禁止の重要性を感じました。

SRHRとジェンダー、ハラスメントなどを学習

 2日目は、3つの分科会とフィールドワークとして第五福竜丸展示館見学会が行われました。
 第1分科会はリアル参加者のみの「しゃべり場」として、記念講演講師の田中さんとともに、職場の不満や悩みを語り合いました。
 第2分科会は「働く女性のためのSRHRとジェンダー講座」としてSRHR(S・セクシャル性、R・リプロダクテブ生殖、H・ヘルス健康、R・ライツ権利)を身近に役立つ健康知識などとともに学びながら、ジェンダーの視点で職場環境を見直す機会となりました。
 第3分科会は「ハラスメントをなくす第三者ワークショップ」として、グループワークやロールプレイングを行いながら、ハラスメントが起きる様々な要因と、それによる被害を防ぐために有効な手段となる「第三者介入」について学習しました。

 
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2026年諸要求貫徹闘争
6月2日に総務局、人事局、経理局、デジタル総合政策室と交渉
 

総務局交渉

人員で消極的な回答を繰り返す

 今後ますます本格化するデジタル化や共同親権制度をはじめとする「新規事業」に対応できるよう各職種の大幅増員を求めましたが、最高裁は「必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」としつつも、「2027(令和9)年度の増員をめぐる状況はよりいっそう厳しくなるものと考えている」と述べ、増員に消極的な姿勢を崩しませんでした。
 事件数は増加に転じており、各種システムの使いづらさやパソコンのスペック不足によって事務量が大幅に増え、職員が疲弊している実態を訴えましたが、最高裁は消極的な回答を繰り返すにとどまりました。

「できる限り早期に資料を提供したい」

 改正法の施行や新制度の運用にあたり、少なくとも法施行等の半年程度前までの資料整備を求めたことに対しては、「施行日を踏まえて各庁が十分な準備期間が確保できるよう、できる限り早期に資料を提供したい」と回答しました。
 また、フェーズ3への対応や事件記録等の特別保存に関する新たな運用について、本庁だけでなく管内支部や独立簡裁等の職員にも十分な知識付与を求めたことに対しては、「各庁においては、管内の支部や簡裁とも意見交換をする等して、首席書記官等を中心に、当該庁の実情に即した検討や検討を踏まえた対応が適切に行われている」との認識を示し、最高裁においても「必要に応じて、執務の参考となる資料を作成し、提供したい」と回答しました。

「ポータルサイトも活用しながら、職員へ周知」

 書記官事務の統一(標準化)にむけて、最高裁は「必要に応じて、最高裁においてマニュアルや執務の参考となる資料等を作成し、ポータルサイトも活用しながら、職員へ周知するなど適切に対応していきたい」と回答しました。
 一方で、暴言・名誉棄損等を防止するためにナンバーディスプレイや録音装置付き電話機の整備を求めたことに対しては「各裁判所において、個別に、庁の実情を踏まえた整備の必要性が検討されているものと承知している」との従前回答を維持しました。

「速記事務への支障が生じないよう」対応

 電子速記タイプライターの製造元におけるメンテナンスおよび修理対応が終了することを踏まえての追及に対しては「速記事務へ支障が生じないよう、最高裁に管理を変更した機器を不具合時の交換機として使用するほか、機器の更新も含めた対応を検討する」と回答しました。

経理局交渉

カスハラ対策に有効なナンバーディスプレイ・録音機付き電話機の整備を要求

 カスタマーハラスメントの防止に有効なナンバーディスプレイや録音装置付き電話機の整備を求めたことに対し、「職場の安全確保のために有効と考えられる備品等については、各裁判所において、個別に、庁の実情を踏まえた整備の必要性が検討されている」との従前回答を維持しました。
 この回答を受けて、本年4月には国土交通省本省が電話応対のコールセンターを設置した例もあげながら、重ねて追及しましたが、最高裁の姿勢は変わりませんでした。

デジタル化後のオフィスレイアウトについて考え方は示されず

 デジタル化後のオフィスレイアウトについて方向性を示すよう求めましたが、最高裁は、フレキシブルな備品整備という考え方を示したと説明し、「今後、各庁において、庁ごとのニーズ等に応じて、準備が整い次第、順次当該備品を選定して整備をすすめていくことになる」と回答しました。
 また、総研宿泊棟の劣化がすすんでいることを踏まえ、適切な維持管理に努め、総研寮内の設備管理のさらなる充実を求めました。
 青年協が要求している総研入寮に係る送料の自己負担解消を求めたことに対しては「法令上、支給が難しいことは理解してほしい。要望があったことは関係機関へ伝えたい」との回答にとどまりました。

電子レンジに続く、さらなる備品等整備を要求

 4月23日の参議院法務委員会において、経理局長が「職員の健康維持、勤務能率の維持向上の観点から、福利厚生面も含めた執務環境の維持向上を図ることは重要」と答弁したことを踏まえ、庁舎内に食堂や売店、喫茶などの福利厚生のための施設を充実させるよう求めたことに対しては、「職員や利用者のニーズを的確に把握する等して、職員の執務環境等の維持・向上に努めていきたい」と回答しました。
 また、給湯室への浄水器設置や電気ケトルの整備など、職員が快適で安全に執務できるような環境を整備することを求めたことに対しては、「職員の執務環境の維持・向上のために有効と考えられる備品等については、各庁において、庁の実情を踏まえた整備の必要性が検討されているものと承知している」と回答しました。

人事局交渉

「適切なコミュニケーションをとる必要がある」

 勤務時間管理システムについて、宿日直に対応しておらず勤務時間管理員の負担が多いことから改修を求めたところ、「内閣人事局が開発しているシステムであり、裁判所独自のシステム改修は難しい面もある」としつつ、「できる限り勤務時間管理員や人事担当者の負担が軽減できるよう、引き続き工夫していきたい」と回答しました。
 また、紙媒体で勤務時間管理を行っていたときに比べて上司・部下間のコミュニケーションが低下していると追及したことに対して、「勤務時間管理システム導入後も、管理職員が部下職員と適切なコミュニケーションをとる必要があることについてはこれまでと変わりはない」と回答しました。

窓口時間「各庁の実情に応じて適切に行われている」

 労働時間の短縮、超過勤務の縮減にむけたとりくみとして、窓口取扱時間について、例示的に@午前9時00分から午後4時30分を窓口取扱時間と設定し、勤務時間開始時刻(終了時刻)に合わせて窓口を開ける運用はやめること、A原則として昼休みは対応しない運用とし、電話による照会についても取扱時間外として自動音声などで対応することを求めたところ、「窓口取扱時間の設定は、必要な司法サービスの提供の観点を踏まえつつ、各庁の実情に応じて行われているものと考えている」「昼休みの窓口対応については、必要に応じて休憩時間をスライドする」など「各庁の実情に応じて適切に行われているものと考えている」と回答しました。

「転居費等の負担の大きい職員を優先して処理」

 転居費(赴任旅費)について、申請手続を簡素化し、遅くとも着任日の翌月末までに支給することを求めたところ、「転居費の支給時期が、個別の赴任形態や職員の資料提出状況の影響も受けることは理解してもらいたい。迅速な支給のため、各庁には特に転居費等の負担の大きい職員を優先して処理する工夫を引き続きお願いしているところである」との従前回答にとどまりました。
 刑事事件のデジタル化を待たずに、宿日直の負担軽減にむけて、幹部職員にも宿日直を割り当てるなど、割当回数を減らすための具体的な対策を求めたところ、「当直員の人数、令状等の事件処理状況、庁舎の規模等は庁ごとに様々であることから、宿日直の義務については、基本的には各庁において、こうした宿日直の実態を踏まえて、職員の負担感や健康管理に十分配慮された態勢で行われていると考えている」との従前回答にとどまりました。

デジタル総合政策室交渉

「施行期日に間に合うように最善の努力を尽くすことが裁判所の責務」と回答

 裁判所のデジタル化が順調でないとの指摘に対し、「デジタル化に係るシステム開発の遅延などがあったが、法律で定められた施行期日に間に合うように最善の努力を尽くすことが裁判所の責務と考えており、そのために必要な代替措置や開発スケジュールの見直し等の措置を講じてきた」と弁明し、むしろ事務が複雑になり、事務量が増加している実態を追及したのに対しては、「デジタル化の導入から定着までの間の事務量については、一般的にデジタル化により減少するものと増加するものとが想定される」との認識を示しました
 mintsを使い勝手の良いものへ改修するよう改修を求めたのに対し、「必要性・実現可能性・優先順位・利用者への影響等を総合的に考慮し、可能な限度で対応していくこととしたい」と回答するにとどまりました。
 ワークフローシステムの改修を求めたことに対しては、「今後、事務全体の簡素化・効率化の観点から、TreeeSへの機能搭載の可能性も含め、より適切な仕組みとなるよう検討をすすめていきたい」と回答しました。この回答を受けて、ダウンロードとアップロードを繰り返す必要があり、事務量が増加している実態を訴えました。

AIは「活用可能性等を検討」

 courtsポータルを「社内ナレッジ」(個人が持つ知識や経験を組織全体で共有・活用できる形に整理した情報資産)として活用し、事務の簡素化・効率化を図るよう求めたのに対し、今後もよりよく活用ができるよう、コンテンツを充実させていきたい」と回答しました。
 AI(人工知能)の活用については、「裁判所の業務への活用可能性等を検討している」とし、「AI活用の検討を担当している専門人材は既におり、今後も必要な人材を確保するよう努めていきたい」と回答しました。
 GSS端末のスペックについては、「デジタル庁において整備・提供されるものであるが、整備にあたっては、業務で支障なく使用できるものが提供されるものと認識している」とし、「裁判所職員総合研修所にもGSS回線を敷設する。(宿泊棟には学習室にGSS回線を敷設する)。「GSSの導入後は、研修生は自身に配布されているGSS端末を持って研修に参加することになる」と新たに回答しました。

 
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