|
全司法本部は6月2日〜5日、諸要求貫徹闘争におけるまとめの最高裁交渉を実施しました。
今年の諸要求貫徹闘争では、様々な法改正、デジタル化、事件増、大量退職など、変革の波が押し寄せる裁判所の職場実態を踏まえ、「変革期を乗り切る態勢整備」を正面から掲げて問題意識を交渉でぶつけました。
増員への消極姿勢は崩せなかったものの、デジタル化・備品整備・令状センター構想など、各分野で前進・足がかりとなる回答を引き出し、今後につながる姿勢を最高裁に示させました。

事務総長交渉の様子
人員
「最大限努力」としつつ、厳しさを強調
4月から共同親権制度を含む改正民法が施行されました。他にも多くの法改正や運用の見直しが続いています。5月からは民事訴訟デジタル化のフェーズ3が始まり、今後ますます裁判所のデジタル化が進んでいきます。
事件数はここ数年で、民事、刑事、家事、少年のほぼすべての事件で増加に転じています。また、大量退職期で毎年、多くのベテラン職員が退職し、新採用職員を迎えています。今年の諸要求期の交渉で、全司法は裁判所の変革期を乗り切る態勢整備を求めました。
とりわけ、増員については、職場実態とともに切実な要求が多く寄せられたことを踏まえて最重点課題として交渉に臨みました。
最高裁は2027年度の人員について、「必要な人員の確保について引き続き最大限努力していきたい」と述べ、特に家裁調査官の増員については「改正家族法施行後の審理運用の状況や改正家族法が各家庭裁判所における事件処理に与える影響等も注視しながら、家庭裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、必要な態勢の整備を検討していく」と回答しました。
その一方で、「厳しい財政状況の中で幅広く国民の理解を得ていくためには、事務の合理化、効率化等による内部努力が不可欠」だと強調し、事件数についても「一部の事件を除き各種事件は概ね減少又は横ばいで推移するなど、裁判所全体としては、落ち着いた状況が続いている」との認識を変えず、増員への消極姿勢を転換しませんでした。
引き続き、職場実態を伝えていく必要があります。
超勤縮減等
勤務時間管理システムの課題を追及
管理職へ改めて注意喚起を検討
超勤縮減等の課題では、パソコンの起動に時間がかかっている問題をはじめ、勤務時間管理システム導入後の勤務時間管理の実態を追及しました。
システム導入後、コミュニケーションが減っているとの全司法の指摘を受けて、「管理職員において、部下職員とコミュニケーションをとりながら適切な超過勤務時間の管理を行うよう、引き続き指導を徹底していきたい」と述べ、「改めて管理職員に注意喚起することを検討している」と回答しました。
また、勤務時間管理員等の負担が増えているとの主張に対し、「裁判所独自のシステム改修は難しい面もあるが、運用面での改善も含め、できる限り勤務時間管理員や人事担当者の負担が軽減できるよう、引き続き工夫していきたい」と回答しました。
カスハラ対策
人事院規則の施行受け、裁判所でも対応策を検討
カスハラが社会問題になり、民間を対象とした法整備が行われ、10月に施行を控えています。また、4月には人事院規則も制定されました。こうした状況を踏まえて、裁判所のカスハラ対策の強化を要求しました。
最高裁は「必要かつ合理的な当事者等対応の実践に向けた取組について」に基づいて策定された事務フローに基づき「適切な対応が行われるよう、下級裁を指導していく」と回答するともに、「職員を保護する方針等を内容とするカスタマー・ハラスメント対策に係る人事院規則が制定されたことを受けて、裁判所においても同対策に関する運用を含め、人事院規則の方針を踏まえて適切な対応について検討していきたい」と回答しました。
デジタル化
フェーズ3は「現場の奮闘」で開始
最高裁が事実上の謝意
当局はデジタル化によって事務を簡素化・効率化するとしていますが、現状は、かえって事務が煩雑になり、上手くいかないシステムや不十分な機器の整備状況を職員の工夫や人手で補ってなんとか形を整えている実態にあります。職場から報告されたこうした実例をあげて主張しました。
最高裁は、民事裁判のデジタル化について「フェーズ3が開始されるまでには、デジタル化に係るシステム開発の遅延や稼働中のシステムに対しても様々な意見・要望が出されるといった状況もあった」「各庁においては、改正法規の理解や新システムの導入等に伴うデジタル化後の事務処理に関する準備・検討など、フェーズ3の円滑な運用が実現するよう、様々な取組が精力的に行われてきた」との認識を示し、「そうした取組によって、フェーズ3の開始を迎えることができたものと考えている」と回答しました。これは、事実上、現場の職員に負担をかけたことへの謝意を表明したものです。
そのうえで、「引き続き、各庁の運用状況を注視するとともに、必要なフォローを行っていきたい」「システム改修においても、利用者である国民および職員の目線に立ち、実務や事務の実情を踏まえたものとなるよう適切に対応していきたい」と回答しました。
宿日直
できるだけ早い段階で集約「合理的な態勢」を検討
宿日直廃止に向けた要求については、「刑事事件のデジタル化後できるだけ早い段階で、時間外に全国各地の警察からオンラインで請求される一般令状を東京と大阪の2拠点で集約処理することを目指し、刑事訴訟規則の改正、警察等の関係機関との調整、システム開発、人的・物的態勢整備等を検討・準備している」と回答するとともに、東京・大阪の態勢については「担当する裁判官・一般職の範囲や人数規模、集約後の事件動向、事務処理状況等を踏まえた合理的な執務態勢を構築することで、裁判官・一般職に過度な負担が生じないようにしたい」と回答しました。
あわせて、東京・大阪以外の庁の宿日直について「今後各庁において一般令状をオンラインで請求・発付することが可能となることを踏まえた合理的な態勢となるよう検討していくことになる」と回答しました。
これらの回答は全司法が要求している「令状センター構想」の実現にむけて、さらに一歩前にすすめるものとなっています。
備品整備
「執務環境の維持・向上のため」具体的に検討
昨年の電子レンジに続いて、職場から要望があがっている給湯室への浄水器設置や電気ケトルなどを例にあげて、職員が快適で安全に執務できるような環境を整備することを要求しました。
これに対して、「最高裁としても、職員の執務環境の維持・向上のために有効と考えられる備品等の整備について具体的な取組を検討したい」と回答しました。これは、今後、支部交渉等で備品等を要求する際の大きな足がかりとなるものです。
要求前進を踏まえ、7月17日のプレート行動中止を提案
2027年度予算に向けた姿勢では、増員、デジタル化、昇格で「最大限努力」の姿勢を示しました。また、その他の課題でも、要求の前進や今後の足がかりとなる回答を引き出しました(人事局長交渉、三局交渉の結果については次号でお知らせします)。
全司法本部は、こうした要求前進や足がかりを勝ち取ったことを踏まえ、7月17日に予定していた全1日のプレート行動を中止し、昼休みの報告集会に切り替えることを提案しています。
|