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全司法本部は12月8日、最高裁板津人事局長と秋季年末闘争期のまとめとなる交渉を実施しました。民事部門の職員端末の改善をはじめデジタル化関連での要求前進があったほか、改めて職場実態にもとづく要求を主張する機会となりました。
また、交渉に先立って「裁判所の人的・物的充実を求める職場決議」(全54支部から180本を集約)を提出し、離婚後共同親権の導入や裁判手続のデジタル化を見据えて、各職場の人的体制整備を強く求めました。
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| 全国の職場決議180本を提出 |
人員
最高裁と現場の認識のかい離が明らかに
次年度の人員について「国家公務員を巡る情勢や、長期的に見れば、成年後見関係事件など一部の事件を除いて、各種事件がおおむね減少又は横ばいで推移するなど、全体としては落ち着いているという事件数の動向等の下で、令和8年度の増員をめぐる状況は、より一層厳しいものとなっている」との認識を示し、「幅広く国民の理解を得ていくためには、事務の合理化、効率化等による内部努力が不可欠である」と回答しました。
離婚後共同親権の導入やデジタル化等を見据えた人的体制整備を求めたのに対して、家裁調査官について「10人を増員することで、改正家族法施行後における適切な運用による安定的な事件処理を確保し、引き続き家裁調査官として求められる役割を果たすことができると判断した」と述べ、裁判官及び書記官については「これまでの増員分を含む現有人員を有効に活用することによって、適正かつ迅速な事件処理を行うことができるものと判断し」たと回答しました。
これらの回答を受けて、職場から切実な増員要求が出されている一方で、最高裁が来年度予算の概算要求で54人の減員要求を行っていることを指摘し、認識のかい離を埋めるために職場実態をきめ細かく見て、必要な対策をとるよう強く主張しました。
改正民法施行に向けて
調査官関与の場面について考え方を示す
共同親権に関する事件について「家裁調査官を関与させるかどうかは、個別の事案ごとの調停委員会の判断にはなるが、一般論としていえば、『共同親権』を求める事件においては、例えば、父母が共同親権か単独親権かをめぐって対立している場合、その紛争解決にあたって、子と父母の関係性や子の意向等を確認する必要がある局面において、家裁調査官が専門性を発揮して関与すべき場面とされることが多いものと考えられる」との考え方を示しました。また、研修等については「心理学の視点から、DVに関して被害者・加害者の心理や行動メカニズム、子に与える影響等をテーマとした外部講師による講演を実施した」こと等を明らかにしました。
労働時間
勤務時間管理システム導入を踏まえ指導を徹底
「令和8年1月に、全国の裁判所で勤務時間管理システムが導入されることを踏まえ、勤務時間管理システムで把握できる勤務時間や客観的把握時間を管理職員においてそれぞれ確認し、その差が大きい場合などは必要に応じて当該職員に事情を確認するなどして、適切な超過勤務時間の管理を行うよう指導を徹底していきたい」と回答しました。
また、テレワークについて「行政府省の動向、裁判所における組織の特殊性や職務の特性等を踏まえて引き続き検討していくことになるが、必要に応じて職員や職員団体の意見を聞くなど、適切かつ誠実に対応していきたい」と回答しました。
健康管理・ハラスメント
カスハラで組織的対応を要求
パワー・ハラスメント等については「裁判官を含む職員全般の意識の啓発及び知識の向上に努めていきたい」との姿勢を示しました。
カスタマー・ハラスメントについては「組織として毅然とした対応も求められること等の認識を広げていくことが重要であることから、下級裁に対し、人事院が作成したカスタマー・ハラスメント対策に係るポスターを周知するとともに、各庁の事務フローを踏まえた対応が行われるよう改めて指示しており、今後も適切な対応が行われるよう、下級裁を指導していきたい」と回答しました。これを受けて、とりわけ、知識・経験が十分でない若手職員にとって当事者対応が大きな負担になっていることを指摘し、来庁者向けポスターの掲示をはじめ組織的対応を強く求めました。また、ナンバーディスプレイや録音機能付き電話について「庁の実情を踏まえた整備の必要性が検討されているものと承知しているが、意見や要望があれば、職制を通じて述べてもらって差し支えない」と回答したことを受けて、カスハラが社会問題になっているもとで、限られた予算の中でも、それらが整備の対象となることを下級裁に示すよう求めました。
デジタル化
民事担当部署を念頭に職員端末の対策を検討
RoootSについて「(職員団体の)要望も踏まえ、所要の改修を行った。12月4日より改修後の機能を利用いただいている」と回答しました。
また、職員端末のスペック不足が職場で問題になり、追及を強めてきましたが、これについて「特に端末に大きな負荷のかかる民事訴訟担当の部署や職員を念頭に、その実情を踏まえ、少しでも円滑な事務処理が可能となるような対策を検討している」と回答しました。スペック不足は民事だけではありませんが、前進回答と評価できます。
給与等支給認定事務の集約
改めて全司法の立場や問題点を指摘
「給与等支給認定事務の集約は、当局の権限と責任において行うべきものであるが、勤務条件やこれに関する事項についてはその意見を聴取するなど誠実に対応する姿勢に変わりはない」と回答しました。これを受けて、改めて、全司法が反対の立場をとっていることを主張するとともに、諸手当を含む賃金が労働条件の最たるものであることや、地方で勤務する最高裁職員を作ることに伴う対応関係などを指摘しました。
書記官
送達費用手数料化のフローを示す
提出書面の電子化について「基本的には各庁に整備されている複合機を利用して行うことを想定しているが、改正法適用事件にかかる郵便送達報告書その他改正法施行後に書面提出される書面の見込数等を踏まえて、一部の庁にドキュメントスキャナを導入する」と回答しました。
また、5月のフェーズ3施行で送達費用の手数料化が行われることに関わって「送達費用の手数料化により、送達は国費を用いて実施することになるため、基本的には書記官における郵便料や郵便切手の納付指示、管理等が不要となる」「郵便料が当事者負担である旧法事件は事件終局まで残存するのであるから、当事者負担である旧法事件と国費負担である新法事件の郵便を区別することになる。」「手数料の納付等に関する事務や送達事務については、最高裁においてマニュアルあるいは執務の参考となる資料等を示せるよう検討及び準備を進めている」と回答しました。
各種課職の題
行(二)・医療職
パソコン配布を検討している
事務官の処遇改善を求めたのに対し「書記官事務の経験がないということだけで事務官の昇進の途を奪うようなことは考えていない」と従前回答を維持しました。回答を受けて、処遇改善とあわせて研修制度の充実や執務資料の整備を重ねて要求しました。
行(二)職および医療職の非常勤職員にパソコンについて「配布することを検討している。詳細については、説明できる段階になれば説明したい」と回答しました。
家裁調査官、速記官、法廷警備員等については、従前回答にとどまりました。
宿直
日刑訴法改正踏まえた対応を求める
令状センター構想について「令和7年5月16日に成立した刑事訴訟法等の改正法の内容及び国会での審議の経過等を踏まえつつ、令状等の事務を令状主義の原則に則って適正かつ迅速に処理するという観点から、引き続き多角的かつ慎重に検討していくとともに、関係機関との協議についても継続して行っていく予定である」と回答しました。
回答を受けて、職員の負担が増していることを重ねて主張し、令状センターの実現とともに令状の電子請求・発付が可能になったことを踏まえて、支部の宿日直や連絡員体制の廃止を求めました。
昇格
新たな類型の専門職発令拡大を求める
次年度の級別定数改定について「職員の処遇の維持・改善に向けて、引き続き最大限の努力を続けていきたい」と回答しました。
事務官の処遇で最重点としている「新たな類型の専門職」発令の拡大については「要望として承る」と回答するにとどまったことから、1996年の参事官室提言で専門職の活用という考え方が示され、2020年の「今後の方向性」では「専門性の付与と活用」という考え方が示されたという、新たな類型の専門職の設置経過を踏まえ、現に司法行政事務を担っている事務官の仕事ぶりをきめ細かく見て、発令を拡大するよう強く求めました。
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