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全司法新聞
 
今崎最高裁長官と会見
 

 全司法本部四役は10月10日、今崎幸彦最高裁判所長官と会見し、職場の課題について懇談しました。最高裁からは、氏本事務総長、板津人事局長、d松人事局総務課長が同席しました。

今崎長官
 
中矢委員長

人員

最適な人的態勢を構築し、国民の期待に応え、信頼が得られるよう努力

 中矢委員長が2026年5月までに離婚後共同親権の導入を含む改正民法が施行され、同時期に民事裁判デジタル化のフェーズ3が始まり、加えて刑事裁判のデジタル化も2027年3月末までに施行される予定になっていることや、職場の実態をあげて、人的体制の整備を求めました。
 これに対して長官は、「裁判手続のデジタル化を始めとした情報通信技術の活用、その進展を踏まえた執務における種々の工夫や各種事務の簡素化・効率化、組織・機構の見直しによる事務の合理化・効率化を一層推し進め、職員一人一人が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築して、より活力のある組織を目指していくことが必要」との認識を示し、「それに相応しい最適な人的態勢を構築し、裁判所が、国民の期待に応え、信頼が得られるよう、引き続き、努力していきたい」と述べました。そのうえで、職員に対しては「裁判所が、不変の信頼を国民から得られるよう、国民から負託された裁判所の紛争解決機能を支えているという自覚を持ち、活力を持って日々の職責を果たしていくことを期待しています」と述べました。

デジタル化

各種システムの開発と導入検討を着実に進めていく

 ては、TreeeSの導入の遅れや、RootSをはじめとしたシステムの不具合など、必ずしも上手くいっていない実態を指摘して対応を求めました。
 長官は「現在、ほぼ全ての裁判手続においてシステム開発を進めているところですが、今後も大小様々な計画変更や支障に備えていく必要がある中で、早期に情報を共有し、職員が一体となって対応することにより、裁判所全体で各種システムの開発と導入検討を着実に進めていく必要があります」と述べ、「引き続き、必要に応じて職員及び職員団体の要望等も踏まえながら検討を進めていきたい」との姿勢を示しました。

健康管理

職員が、持てる能力を最大限発揮することができるよう検討

 健康管理の課題では、メンタルヘルスを悪化させる職員の増加やハラスメントの問題について主張しました。
 長官は「職員の皆さんにやりがいを持って職務に傾注し、持てる力を十分に発揮してもらうには、心身の健康の保持、増進を図るとともに、家庭生活と両立していけるような環境整備を進めることが重要」との認識を示し、「全ての職員が、持てる能力を最大限発揮することができるよう、その実効性を高めるために工夫すべき点がないか等につき検討させていきたい」と述べました。

全司法との関係

忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図る

 全司法との関係については「平成4年3月18日の事務総長見解の内容は当然のことと考えています」としたうえで、「職員の勤務条件やこれに関連する事項については、これまで築き上げてきた相互の信頼関係に基づき、率直に問題意識をぶつけ合い、忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図っていかなければならないと考えています」と述べました。

 
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青年にとって今は歴史的チャンス
国公青年フォーラム定期総会開催
 

全司法からは7名が結集!

青年にとって今は歴史的チャンス

 10月11日、東京都内で国公青年フォーラムの定期総会が開催され、全司法からは参加した単組の中で最も多い7名が参加しました。
 総会では、国公労連鎌田顧問による「国公労働運動と行政民主化」と題した講義が行われました。これまでの運動の歴史を振り返る中で、過去から学び、今の社会の中で青年が何をすべきかを考える大切さが語られました。
 講義では、かつて青年の要求が「結婚させてほしい」というほど賃金が低かった時代から、数々の困難を乗り越えて今の国公青年運動が築かれてきたことが紹介され、「人材確保が課題になっている今こそ青年に追い風が吹いている。そのチャンスをつかもう」との呼びかけが印象的でした。
 また、今年の人事院勧告で比較企業規模が50人以上から100人以上に引き上げられたことにより「原資」が生まれたが、その「配分」こそが労働条件であり、労働組合としてしっかり追求していく必要があるとの指摘もありました。

アンテナを張って、寄り添う大切さ

 分散会では「組織拡大」をテーマに討議が行われ、各単組から具体的な取り組みが共有されました。全司法から参加した東京地区担当常任の夫馬さんは、「未加入者への声かけでは、その人の置かれている状況に寄り添ったメッセージが大切」と発言しました。欠員が生じている職場であれば、他の課題よりもまずは欠員補充を求めよう、一緒に今の現状を変えようという声かけが組合の信頼につながると、自らの経験をもとに語りました。
 役員改選では、全司法から村上が2期目のフォーラム運営委員に選出されました。
 また、本総会は参加者の約7割が初参加であり、各単組で次世代育成が確実に広がっていることを実感する総会となりました。

◇参加者の感想

○ 香川支部の参加者

 普段話すことのない他の職場の組合員と話すことができ、まだまだ自分が世間知らずなことを感じるとともに大変勉強になりました。裁判所はあまり他の国公の組織とかかわることがないので、今後こういった機会があれば積極的な参加をおすすめします!

○ 千葉支部の参加者

 新採用職員や未加入者への声かけについて、皆さん共通の悩みを抱えながらも、それぞれの職場で試行錯誤して、前向きに組合活動に取り組む姿が印象的でした。

○ 長野支部の参加者

 他の省庁の青年組合員と意見交換し、各組織の実情や活動を知ることができる機会となり有意義でした。特に、新採勧誘等の組織拡大に関して各組織の工夫を色々学べたので、全司法での組織拡大にも活かせたらと思いました。

○ 愛知支部の参加者

 裁判所にとって当たり前だと思っていた事が意外と当たり前じゃないんだなと思えた1日でした。
 あとは、村上さんの「何か悩んでいる時に、仲良くなければ悩みを打ち明ける事ができないのではないか。という視点でレクを考える」という言葉が印象に残っています。
 今までは、交流を図るということに重点をおいてしまっていて、交流した後の組合の意義みたいなものを伝えることが、あまりできていなかったように思います。
 今後は、交流した後の組合の意義なども伝えることによって、組合員のみんなと日々支え合っていけるような環境づくりに努めたいです。

 
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デジタル化への対応などの職場実態を主張
書記官担当者会議+上京団交渉
 

 10月19日〜20日に地連書記官担当者会議及び上京団交渉を実施しました。担当者会議では、@デジタル化への対応、A事務の簡素化・効率化、B人員、C書記官の処遇、D超過勤務縮減、E令状事務の負担軽減、Fハラスメントの問題を中心に職場実態を共有し、交渉に臨みました。

若手の書記官も参加
デジタル化について様々な要求

 デジタル化について、2026年5月から民事訴訟手続デジタル化フェーズ3がいよいよ始まることもあって、@職員貸与端末がウインドウズ11に対応できていないために、そもそもパソコンを立ち上げるのに10〜15分程度の時間を要したり、各システムやポータルサイトを閲覧しようとするだけでも読み込みに時間がかかるなど事務に支障をきたしている、A改修mintsにおける本人申立て時の本人確認のフローや、紙媒体で持ち込まれた場合のPDF化の負担、当事者が申立てや閲覧に使える端末の設置、B新ウェブサイトの統一書式に対する更なる意見集約のフロー策定、C最高裁からの情報共有について、載せたら終わりの「公示送達」ではなく、きちんと伝達できるような情報共有のあり方、D民事以外の刑事・執行・簡裁などのデジタル化から置き去りにされている部署への情報提供、Eヘルプデスクの設置、F改修mintsからTreeeSへのデータ移行等、様々な要求が出されました。

ハラスメント対策や人的・物的整備を要求

 フェーズ3を迎える民事や改正家族法の施行を控えている家裁に限らず、職場は現時点でも繁忙であるところ、来年度予算で書記官の増員要求は「0」とされています。現場では病休者や育休者に対する欠員補充がなされておらず、応援も組めない場合は超過勤務で乗り切るなど、各職場は疲弊していることから根本的な解決には書記官の増員しかないことを主張しました。
 また、ハラスメントについても、@パワハラによる休職も報告がされていることから、復職後の配置等に対して誠実対応をすること、Aカスハラ当事者に対する組織的な対応を行うことやナンバーディスプレイ及び録音機能付き電話の設置など、カスハラ対策の強化を求めました。
 交渉では、概ね従前回答のとおりではあったものの、実情を詳細に伝えたことで、「関係部署にも伝えたい」という姿勢を示させることが出来ました。会議や交渉を出発点として、引き続き追及していきます。

 
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700人超が参加した「対話と学び合い」の3日間
全労連レバカレ2025
 

 10月11日〜13日、全労連が主催するレバカレ2025(レイバー・ユニオン・カレッジ)が東京都内で開催されました。「日本のたたかう労働組合を新たなステージへ」をテーマとして、職場や地域で日々活動している労働組合の活動経験を、組合員自らが発信して、共有するという全員参加型の新しい集会です。
 全国から700人を超える参加者が集まり、日々の活動で感じていること、考えていること、悩みなども含めて参加者同士で語り合いました。全司法からも1名が参加し、全国各地の様々な職場で働く仲間と交流し、対話と学びを深めました。

「労組のパワーは数と団結。それをつくるのは対話しかない」
全司法の参加者

 3日間とも参加者が一堂に会する全体会が行われ、参加者全員で経験・学び・感想を共有し交流する場が設けられました。
 特に2日目には「労働運動の未来は誰がつくるか」と題して、レバカレがモデルにしたアメリカのレイバーノーツを主催してきたエレン・D・フリードマンさんの報告をはじめ、全国で労働組合のとりくみによって要求を勝ち取ってきた方の経験談が語られました。フリードマンさんは「労組のパワーは数と団結。それをつくるのは対話しかない。不平を言うだけにとどめず、(苦しさの根源について)共通の理解をいかに得るかが大切だ」と語りました。

対話し、語り合う71の多様な分科会

 この集会の最大の特徴は、当事者である組合員自身が発信する新しい集会ということで、3日間で71の多様な分科会が行われたところです。
 そのどれもがグループディスカッションやワークショップが中心となっており、自己紹介から始まり、職場実態を語り合ったり、分科会を通じてどういう気付きを得たのかを共有していく形式となっており、多くの参加者と対話を通じて学びを深めることができました。

対話で「組合員が参加するとりくみ」を作りたい

 全労連は「対話と学び合い」の運動を提案しており、レバカレはそれを広げる趣旨で開催されました。
 対話をしなければ相手の考えていることは分かりません。対話を通じて私たちがつながり、多くの組合員にも参加してもらうとりくみを作っていきたいとの想いを強くすることができたレバカレでした。

 
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増員は情勢の厳しさを強調。
客観的な超勤時間把握、令状センター実現などを要求
2025年秋季年末闘争期・第1回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は10月22日、秋季年末闘争におけるd松人事局総務課長との第1回交渉を実施しました。
 交渉では、人員、労働時間短縮・超勤縮減、労働基本権、高齢者雇用・再任用制度、採用・異動、宿舎、宿日直、権利の課題で最高裁当局を追及し、要求の前進をめざしました。

増員は「より一層厳しいものとなっている」と回答

 2026年度における増員について、「裁判所を含む国家公務員を巡る情勢や、長期的に見れば、成年後見関係事件など一部の事件を除いて、各種事件がおおむね減少又は横ばいで推移するなど、全体としては落ち着いているという事件数の動向等の下で、2026年度の増員をめぐる状況は、より一層厳しいものとなっている」と回答しました。

「家裁調査官が関与すべき場面とされることが多い」

 家裁調査官については、「これまでも、家庭事件の複雑困難化といった事件動向や事件処理状況に加えて、法改正による影響等も踏まえて、必要な態勢整備を行ってきた」としたうえで、「改正家族法が2026年5月までに施行されることを踏まえ、より一層の家庭事件処理の充実強化を行うために家裁調査官10人を増員することで、改正家族法施行後における適切な運用による安定的な事件処理を確保し、引き続き家裁調査官として求められる役割を果たすことができると判断した」と回答しました。
 なお、共同親権を求める事件への家裁調査官の関与については、「一般論としていえば、例えば、改正家族法施行後、父母が共同親権か単独親権かをめぐって対立する事件において、その紛争解決にあたって、子と父母の関係性や子の意向等を確認する必要がある局面において、家裁調査官が専門性を発揮して関与すべき場面とされることが多いものと考えられる」と回答しました。

裁判官、書記官、事務官は「現有人員を有効に活用」

 一方、裁判官・書記官については、「これまでの増員分を含む現有人員を有効に活用することによって、適正かつ迅速な事件処理を行うことができるものと判断し」「増員要求を行わないこととした」と回答しました。
 また、事務官についても、「裁判所全体として、現有人員を有効に活用することによって、デジタル化の検討・準備等も含め適正かつ迅速な事件処理を行うことができるものと判断した」と回答しました。

勤務時間管理システム導入を踏まえ、指導を徹底

 勤務時間管理については、「2026年1月に、全国の裁判所で勤務時間管理システムが導入されることを踏まえ、勤務時間管理システムで把握できる勤務時間や客観的把握時間を管理職員においてそれぞれ確認し、その差が大きい場合などは必要に応じて当該職員に事情を確認するなどして、適切な超過勤務時間の管理を行うよう指導を徹底していきたい」と回答しました。

人材確保の見地から、中途採用の枠組みを導入

 採用方法の拡大について、「2026年度から、中途採用の枠組み(社会人経験者選考採用および元職員の再雇用の制度)を導入する」ことが欠員の解消につながるのかとの追及に対しては、「近年、官民を問わず人材獲得競争が厳しさを増す中、社会全体として、働き方に対する価値観が多様化し、雇用の流動性も高まっている状況等を踏まえ、多様な経験等を有する優秀な人材を確保する方法の拡充を図る見地から、中途採用の枠組みを導入することとした」と回答し、欠員解消とは趣旨が異なる旨を示唆しました。

令状の合理的な処理態勢を検討

 令状センター構想については、「2025年5月16日に成立した刑事訴訟法等の改正法の内容や国会での審議の経過等を踏まえながら、令状処理態勢の集約の可否を含め、今後の合理的な令状処理態勢の在り方について具体的に検討を進めるとともに、関係機関との協議を続けていきたいと考えている」とし、従前回答の域は出ませんでした。

 
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