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全司法新聞
 
「全司法大運動」国会議員要請行動
これまでの運動が今に繋がっていることを実感
 
 5月23日、2024年度の全司法大運動のとりくみの総仕上げとして国会議員要請行動にとりくみました。29回目の請願採択をめざし、全国から集めた「裁判所の人的・物的充実を求める請願署名」を国会に提出するために、99名の国会議員に対して要請を行いました。
 

本村議員と意見交換して要請

事件増や2026年度の大きな変化をアピール

 午前中は、猪股副委員長が講師となり、全司法大運動や請願採択の意義について学習を行いました。
 職員が働きやすい職場を作ることが、「国民のための裁判所」実現につながるという全司法大運動にとりくむ意義を参加者全体で確認するとともに、国会請願の根拠や採択までの流れについて説明することで、全国で集めた署名がどのように使われているのかを確認しました。
 また、午後からの要請行動に向けて、国会議員にアピールするためのポイントを確認しました。@事件数は増加に転じていること、A2026年度は離婚後共同親権の導入、民事裁判デジタル化の全面実施、刑事裁判デジタル化という裁判制度の大きな変化があること、Bこの10年で人員が288人も減員されており、現場は既にギリギリの状態となっていることなど、裁判所が抱えている現状の課題を参加者全員で共有しました。

デジタル化、共同親権導入など職場の不安を伝える

 
各地の職場実態を主張
 
川内議員(立憲)に要請
 
仁比議員(共産)に要請
 
 午後からの出発式には、法務委員を務める本村伸子衆議院議員(日本共産党)が参加され、参加者から裁判所の職場実態を伝えました。
 全庁導入から半年近くが経過したRoootSの不具合や使い勝手に関する意見として、システムが直感的に分かるものとなっていない、分厚いマニュアルを読まないと操作できない、4月は異動のための情報登録が集中するのが分かっていたのに、対策を講じていなかった(アクセス制限がかかった)、システムには使い勝手の点も含めて改修すべき点が多いがいつ改修されるのか分からない、また、mintsの弁護士の利用がすすまないのは裁判所が適切に広報をしていないのが原因ではないかなど、システム関連の職場実態を伝えました。
 また、職場では90日未満の病気休暇を取得している人が多く、その分の事務を行うマンパワーを出すだけの余裕がどの職場にもないこと、ハラスメントに対する対応が徹底されておらず、現場の管理職任せとなっていること、ハラスメントを受けている職員は異動の時期まで待つしかないとあきらめていることなど、切実な職場実態を伝えました。
 さらに、離婚後共同親権の導入を控えた家裁の実態について、家裁調査官から具体的にどういった調査をしていくのか今の段階でも現場には示されておらず、準備ができないこと、現状の単独親権でも繁忙なのに、共同親権が加わることでどうなるのかは想像を絶する、当事者に納得してもらえるような説得力のある報告書を出したいのにその時間を作ることができず、事件を終わらせることだけに集中してしまわないかといった、現場の問題意識を伝えることができました。
 これに対し、本村議員からは「みなさんからのお話を聞いて職場で支障が出ているというところも含めて、もっと実態を教えてほしい。司法サービスとして後退しているという点も含めて国会審議で主張していきたい」と述べられ、裁判所の実情をより詳しく知るために質問を返しながら意見交換に参加してくださいました。

もっと組合員に知ってもらいたい

 その後、参加者を8班に分け、地元議員を中心に、衆議院・参議院の法務委員、過去に紹介議員になったことのある議員を中心に要請行動を実施しました。
 藤岡隆雄衆議院議員(立憲)、川内博史衆議院議員(立憲)、仁比聡平参議院議員(共産)とは議員本人と懇談することができ、いずれも裁判所の実情に理解を示し、紹介議員を応諾いただきました。他の議員への要請でも好意的に迎えられ、これまで運動してきたことが今に繋がっていることを実感できる機会となりました。
 参加者からは「議員要請を行うことで署名の大切さを理解できた」「全司法大運動が職場の要求実現のためにも非常に重要であり、もっと組合員に知ってもらいたい」「もっと若手の人に参加してもらいたい」など、今後のとりくみにつながる感想が多く出されました。

 
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対話で作る「組織づくり」
第30回中央労働学校
 

視野を広げるキッカケを見つける」をゴールに

中央労働学校の様子
 5月24日、全司法大運動の国会議員要請行動に引き続いて第30回中央労働学校を開催しました。
 今、企業の人材育成でも、労働組合活動でも「対話」の重要性が指摘され、成長・前進できる組織を作るためのキーワードになっていることから、今回の労働学校は「対話でつくる『組織づくり』」をテーマにワークショップをまじえながら学習しました。
 講師は全司法最高裁支部の組合員・遠藤祐希さん。民間企業での経験を踏まえて「対話」をテーマに「視野を広げるキッカケを見つける」というゴールを設定して講義を行いました。

組織の中で誰でも自由に話せる「対話」が重要

 現代は「VUCA(Volatility・変動性、Uncertainty・不確実性、Complexity・複雑性、Ambiguity・曖昧性の頭文字をとった言葉。ブーカ)時代」だと言われます。不確実で複雑、不透明で曖昧な社会情勢のもとで、従来の考え方や戦略では対応できないことが増えていることから、課題を見つけ、迅速にそれに対応することが求められており、そのためには、組織の中で誰でも自由に話せる「対話」が重要だとされています。
 講義内で行ったワークショップでは、話を「聴く」トレーニングを行ったり、自分のキャッチフレーズや「裁判所が果たすべきミッション」を考えたりしました。
 最後の「まとめの発言」で中矢委員長は「VUCA時代に直面しているのは労働組合も同じ」だとして、「全労連や国公労連が採り入れようとしているCО(コミュニティ・オーガナイジング)も、そうした流れの中でとらえることができるのではないか」と述べ、労働組合活動における「対話」の重要性を強調しました。
 あわせて、国公労連が発行したテキスト『対話をすすめる5つのレシピ』を紹介し、その活用を呼びかけました。

 
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2025年諸要求貫徹闘争
3回の課長交渉を実施
 

 全司法本部は5月14日、20日、22日、d松人事局総務課長との交渉を実施しました。その交渉結果をお知らせします。

第1回交渉(5月14日)

人員

増員に対する消極姿勢を崩さず

 「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」の一部変更、2026年5月に導入される離婚後共同親権、2023年以降ほぼ全ての事件が増加に転じたこと等を踏まえ、2026年度裁判所予算の概算要求で大幅な増員要求を行うよう求めたことに対して、「必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答しつつも、「増員をめぐる状況はよりいっそう厳しくなる」として、増員に対する消極的な姿勢を崩しませんでした。
 家裁調査官の増員については、「改正家族法が各家庭裁判所における事件処理に与える影響等も踏まえながら、家庭裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、必要な態勢の整備を検討していくことになる」と回答するにとどまり、離婚後共闘親権の導入が家庭裁判所の人的態勢に与える影響について、最高裁の認識は示されませんでした。
 メンタルヘルス不調者が急増していることを踏まえ、機動的な応援態勢や最高裁が管理する「空き定員」の活用を求めたことに対しては、「職場の状況に応じて応援態勢を組むなど、各庁各部署で必要な対策が講じられている」との回答を繰り返し、人的手当等がされず、他の職員の業務量や負担が増加しているという職場実態とかい離した認識を示しました。また、空き定員の活用については、従前回答にとどまりました。

超勤実態の把握

勤務時間管理システム導入について「展開を検討」

 令和6年6月10日付け事務連絡(「超過勤務の管理について」)に基づく勤務時間管理の徹底を求めたことに対し、「事務連絡の趣旨について、幹部職員を通じて管理職員に周知している」とした上で「下級裁に対して今後も引き続き指導を徹底していきたい」と回答しました。
 また、勤務時間管理システムの導入を求めたことに対して、「今後の展開についても検討しているところであり、説明できる段階になり次第説明したい」と回答しました。

宿日直

「令状処理態勢のあり方について具体的に検討をすすめる」

 刑事訴訟法の改正が見込まれる中、全司法が長年要求してきた「令状センター構想」の実現が目前に迫っているとの受け止めを伝えた上で最高裁の認識を質したところ、「令状処理態勢の集約の可否を含め、今後の合理的な令状処理態勢のあり方について具体的に検討をすすめるとともに、関係機関との協議を続けていきたい」と回答しました。
 交渉後に改正刑事訴訟法が可決・成立し、今後、令状センター構想の具体化にむけて、最高裁に対する要求を強めていく必要があります。

第2回交渉(5月20日)

健康管理・安全確保等

カスハラに対する裁判所の基本姿勢等は示されず

 病休者の職場復帰にあたって、原因となったストレスから遠ざけることを重視するよう求めたことに対し、「復帰時の配置や業務内容、業務量、勤務時間等とあわせて勤務継続が可能かどうかを適切に判断していくことが重要」とした上で、「各庁においては、その実情に応じて、必要な検討がされている」との従前回答を繰り返しました。医師の立場からは、適応障害の場合は環境調整が一番の治療になると指摘されていることも踏まえ、職場復帰にあたって配置転換や異動を求めていくことが重要です。
 カスタマーハラスメントが社会問題となっていること等を踏まえ、カスハラに対する基本姿勢を示すよう求めましたが、「当事者等対応については、令和2年10月30日付け総務局第一課長・第三課長事務連絡『必要かつ合理的な当事者等対応の実践に向けた取組について』に基づいて、各庁が策定または見直し等を行った事務フロー等に基づいて各庁の実情に応じた運用を行ってもらうことにより、関係部署が適切に役割を分担して連携を図り、組織として的確な対応を行うことが可能になる」との従前回答を繰り返しました。また、カスハラ対応が担当者任せになっていることから、裁判所としての対応方針を示すよう求めたことに対しても同様の回答を繰り返しました。

デジタル化への対応

RoootSは引き続き改修が必要

 RoootSについて、「主要なバグや不具合の洗い出し、改修対応はほぼ終えることができた」「今後も不具合が見つかった場合は速やかに改修するので、安心してRoootSを利用してもらいたい」との従前回答を繰り返しました。信頼性が高く、操作性に優れたシステムとなるよう、使い勝手の部分も含めた改修を引き続き行うよう求めていくことが重要です。
 また、mintsについて、「運用開始から約3年が経過し、この間に着実に利用実績が積み重ねられてきたものであり、一定程度利用習熟がすすんでいる」という認識を示しましたが、mintsは使い勝手が悪く、非常に低い利用率となっていることから、弁護士等の電子申立て義務化にむけて必要な改修と利用率の向上を図る必要があります。

執務環境等の改善

「空調設備の故障は、執務環境のみならず、裁判環境にも影響がある」

 空調設備の維持・改善に必要な予算を大幅に増額するよう求めたことに対し、「空調設備の故障は、執務環境のみならず、裁判環境にも影響があることは承知している」とした上で、「今後も必要な予算の確保にむけて、引き続き努力を行いたい」と回答しました。
 また、中間期も含めた冷暖房の柔軟運転を求めたことに対しては、「期間の制限はしていない」と回答した上で、「各庁において適切な執務環境の維持のために適宜対応がされている」との認識を示しました。

第3回交渉(5月22日)


第3回課長交渉の様子

「国民のための裁判所」実現

2026年5月は裁判所にとって重要な時期

 2026年5月までに改正民法及び改正民事訴訟法が施行されるため、これらの法施行に適切に対応するための人的・物的充実を求めましたが、「事件動向や事件処理状況のほか、法改正等による事務処理状況への影響等も踏まえながら、裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、引き続き、必要な人的・物的態勢の整備を検討していきたい」との従前回答を繰り返しました。5月16日に刑事裁判をデジタル化するための刑事訴訟法の改正案が可決・成立したことから、2026年度は離婚後共同親権の導入と民事裁判デジタル化の完全実施への対応に加えて、刑事裁判のデジタル化への対応が求められることになります。
 また、離婚後共同親権の導入を見据えてDVや児童虐待が疑われる事案に適切に対応するための知識付与や研修等を行うよう求めたことに対しては、「子の養育をめぐる事件の審理にあたり、子の監護の安全や安心への配慮等を含めた適切な審理運営についても様々な研究会や研修を実施している」とした上で、「改正法の施行を見据えて、裁判官や関係職員に対し、今後もこのような研究会や研修を引き続き実施するほか、改正法の趣旨・内容の理解に資する協議会や研修、情報提供等を行っていく」と回答しました。DV被害者にはそもそも被害の自覚を欠いている場合があることから、DV等の有無をあぶり出すためにも専門知識の付与や研修等は欠かせません。

書記官

事務の統一(標準)化のための資料等の作成を検討

 書記官事務の統一(標準化)にむけて、「下級裁との間で、統一(標準)化が相当な事務を抽出するとともに、統一化した事務のあり様について意見交換して、統一(標準)化のための資料等を作成することを検討している」ことを明らかにしました。
 一方で、改正民事訴訟法の施行にあわせて送達費用の手数料化を実現するよう求めたことに対しては、従前回答にとどまりました。

事務官

訟廷管理係長ポストの設置により、適切に対応できるようになった

 訟廷管理係長ポストの整備について、「裁判手続のデジタル化に伴い、裁判部における情報化事務のうち情報伝達窓口やトラブル対応等に関する業務の増加が見込まれていたところ、本ポストの設置により、こうしたニーズに適切に対応できるようになっている」との認識を示しました。
 一方で、「組織見直し」を契機に書記官等有資格が占めている事務局のポスト(とりわけ総務・人事のポスト)を専任事務官に「開放する」よう求めたことに対しては、従前回答にとどまりました。
 その他職種の要求に関しては、基本的に従前回答にとどまりました。

昇格

「退職時5級の枠組みの維持に努めたい」

 概算要求にむけて、「級別定数の改定のために努力をしていきたい」との姿勢を示しつつも、「来年度予算における級別定数改定をめぐる情勢は全く予断を許さない」と回答しました。
 事務官「退職までに誰でも5級」の到達点を維持し、役降り職員との処遇のバランスも踏まえて60歳までに5級昇格を実現するよう求めたことに対しては、「これまで同様、退職時5級の枠組みの維持に努めたい」との従前回答を繰り返しました。

 
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