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  トップページ > 全司法新聞 > 2025年4月 > 2444号
 
 
全司法新聞
 
「働きやすい職場」を作ってきた成果
全司法の「職場のルールを作る力」
 

 「全司法が勝ち取ったものは何ですか?」との質問を受けることがあります。むしろ、裁判所の職場に関する施策で、全司法が関わらないものはありませんが、ここでは、その一部をご紹介します。

「サービス残業があってはならない」

 1990年代に「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない」との回答を勝ち取り、超過勤務をすれば、手当が必ず支給される到達点を築いたことは、その後の裁判所の勤務時間管理につながる成果となっています。昨年6月には全司法との交渉を受けて、最高裁は改めて超勤時間把握の徹底にむけた事務連絡を発出しました。

「事務の簡素化・効率化」で超勤縮減

 事務の簡素化・効率化は、超勤縮減の観点から2019年以降、全司法の要求で具体的にすすめられてきました。上訴記録の丁数打ち廃止はそれを象徴する成果ですが、それ以外にも書記官事務をはじめ、様々な効率化策を実施させています。なお、当局は人員削減と結びつく「合理化」という言葉を使っており、「人員削減ありき」の検討をさせないことが重要です。
 人員については、この間、厳しい情勢が続いていますが、90年代の司法制度改革からの流れを見ると、書記官の大幅増員などを勝ち取ってきました。現在でも毎回の交渉で増員の主張を続けています。

職種ごとの要求もきめ細かく主張して改善

 処遇改善では、事務官の「退職までに5級」など、昇格運用を改善させることで、職員の賃金を引上げてきました。事務官の研修制度も全司法の意見を踏まえて、整備させています。2018年の電子速記タイプライターの官支給は、最高裁の姿勢を大きく転換させるものでした。家裁調査官では最初の任官にあたっての個別事情の配慮、「二重の異動」の解消など育成施策に関わる課題を改善させてきています。あわせて、調査官組合員のネットワークを活かして、様々な問題を解決してきました。「公募3年要件」の撤廃など非常勤職員に関わる要求も前進させています。
 青年に関心が強い書記官試験や総研の運営については、成績の開示や研修中の休暇取得など、青年協を先頭に多くの要求を実現させています。昨年、寮の電子レンジが増設されたのは記憶に新しいところです。

休暇が取得しやすい職場環境づくり

 年休をはじめ、休暇が取得しやすい職場環境も全司法が勝ち取った成果です。とりわけ、育児休業をはじめ、育児・介護等に関する制度は全司法が国公労連に結集して勝ち取ったものですが、裁判所での運用にあたっても「両立支援制度ハンドブック」を作成させ、職場に周知することを通して権利を定着させてきました。育児休業時の代替要員の確保も全司法が交渉で勝ち取った成果です。

異動の内示時期、異動希望の実現や個別事情への配慮

 「異動は官側の都合で行うもの」というのが当局の考え方ですが、異動にあたって、できるだけ内示時期を早くさせ、10日の赴任期間を徹底させたのは全司法が勝ち取ったものです。また、本人の家庭事情に「配慮する」等の回答を引き出したことで、数多くの職員の異動要求の実現につなげてきました。

健康管理施策を積極的に提案

 健康管理懇談会の開催やストレスチェックの実施も、全司法が積極的に提案する中で、その意見を踏まえて行われるようになりました。また、ハラスメントについては「その防止が不可欠」との回答も引き出しています。これらを足がかりに、さらに健康管理施策をすすめさせることが、今後ますます重要になっています。

賃金や休暇制度の改善にも大きな力を発揮

 賃金や休暇制度については人事院の勧告等で決まる制度になっていますが、最高裁は全司法との交渉で「人事院に伝える」と回答し、実際に全司法の意見や要望を人事院等に伝えているようです。もちろん、全司法は国公労連に加盟して、直接、政府や人事院とも交渉しています。

最高裁が「意見は謙虚に聞くべき」と位置付けた

 こうした様々な要求前進に決定的な役割を果たしているのが1992年に最高裁が出し、「(全司法の)意見については、謙虚に聞くべきである」とした3・18事務総長見解です。これにより、全司法は職員を代表する立場で交渉等に臨み、裁判所の職場で起こるあらゆる問題について、意見を述べ、裁判所の施策に反映することができています。

全司法が勝ち取ってきた主な成果


1990年代(「3・18見解」からの流れ)
 「3・18事務総長見解」、参事官室提言(事務官の研修制度の整備と処遇改善「退職までに誰でも5級」、書記官の増員など)、庁舎の新営・改修時の意見聴取(「3・20見解」)、育児休業制度の新設と運用(「母性保護ハンドブック」)、週休二日制、宿日直の廃止・縮小

これ以外の時期
 裁判所独自の人事評価制度(目標管理の手法はとらない)、司法制度改革に伴う毎年3桁の書記官増、健康管理懇談会の開催、ハラスメント相談窓口の設置など

2019年以降の動き
 書記官事務の簡素化・効率化(上訴記録の丁数打ち廃止、実務講義案の電子データ化、全国統一の事務処理要領など)、事務官研修制度の充実、専任事務官の処遇改善(課専門職の増設、訟廷管理係長や新たな類型の専門職)、電子速記タイプの官支給、調査官任官時の「二重の異動」解消、非常勤職員の処遇改善(賃金、「公募3年要件」撤廃、病休の有給化など)、ストレスチェック制度の改善、

 
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増員で適正・迅速な裁判の実現を!
3・13最高裁前行動を実施
 

最高裁前での行動は全司法史上初!

 全司法本部は3月13日、最高裁庁舎前で裁判所職員の増員を求める宣伝行動を行いました。行動は国公労連が主催して傘下の労働組合の仲間も結集し、在京各支部からも組合員が駆けつけて合計約50人が参加しました。

問題は政府の定員管理政策にある

 冒頭のあいさつに立った国公労連の浅野龍一委員長は、「政府は総額人件費を抑制するため定員管理政策を頑なに維持し、その弊害で職場の人手不足は解消されず、公務・公共サービスの劣化を招いている」「行財政・司法の専門性をいかしながら、公務・公共体制の拡充、行財政・司法の民主化を市民との共同で展開していきましょう」と呼びかけました。

増員の必要性を訴える井上書記長
増加する司法ニーズにしっかり目をむけて!

 報告に立った井上隆博書記長は「最高裁に対し、裁判所職員の増員の必要性を訴えたい。裁判官以外の裁判所職員はこの10年間、定員が288人減らされている」「事件数も2023年度はほぼすべての事件が増加に転じ、2024年度も引き続き増加傾向が示されている。それにもかかわらず減員するとされ、到底納得いくものではない」「離婚後共同親権の導入を見据えた家裁の人的物的体制の拡充は待ったなしの課題」と述べました。

弁護士や全法務から連帯のあいさつ

 離婚事件を多く手掛け、ジェンダーや共同親権の問題を発信している太田啓子弁護士が連帯あいさつを行い、「裁判所の人的物的体制が到底足りていない。共同親権で家裁が機能不全に陥るレベルでパンクするのではないか」「弁護士や裁判所職員を含む関係者に対するDV加害者などからの攻撃に適切に対応できないのではないか」と訴えました。
 続いて、全法務の西山義治委員長は「増員要求すらしない今の最高裁当局の姿勢を変えさせ、人的・物的充実を最重要課題にさせていくために私たち全法務もともに奮闘していきたい」と述べました。
 その後、各界から届いた連帯のメッセージを吉村直人書記次長が紹介し、村上昇平中央執行委員のリードで最高裁にむけて、要求をアピールして行動を締めくくりました。
 全司法本部では、次年度予算に向けた諸要求期貫徹闘争で最高裁の増員要求に対する消極的な姿勢を転換するよう要求していきます。

 
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賃金改善、事務官の処遇などで足がかり
人員は従前からの認識を繰り返す
春闘期最高裁交渉
 
 全司法本部は、「2025年国公労連統一要求書」等に基づく要求の前進をめざし、3月5日にd松人事局総務課長、10日には徳岡人事局長との最高裁交渉を実施しました。

賃金改善「要望は関係機関に伝わるようにしたい」

全支部の「最高裁に伝えたい職場実態」を提出
 賃金改善の課題では、物価上昇が続いているもとで、生活改善のために全ての世代で「物価上昇を上回る賃上げ」を行うよう人事院への働きかけを求めました。
 また、大幅な賃上げを実現するため、官民給与の比較企業規模を見直し、早急に1000人以上に引き上げるよう求めました。
 こうした主張に対し、最高裁は、いずれも「要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。

非常勤「休暇取得で不利益に扱われることはない」

 非常勤職員制度に関わっては、休暇制度が改善されているもとで、再採用にあたって、休暇を取得していることを理由に不利益な扱いをしないよう求めたことに対し、最高裁は「休暇を取得したことそれ自体をもって不利益に扱われることはない」と回答しました

「長期的に見れば」事件数は減少又は横ばいと回答

 国民本位の行財政・司法確立の課題では、例年は議題としていない人員を取り上げ、徹底した増員に対する消極的な姿勢を変えるよう追及しました。
 「国家公務員の定員をめぐる情勢」について、政府が「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」を一部変更し、他の行政府省では新規事業等を理由に増員要求を行っているなど、大きな変化が生じていると指摘したことに対し、最高裁は「新たな行政ニーズへの対応等のために増員が行われている省庁があることは承知して」いるとする一方で「今後も(中略)事務の効率化等必要な内部努力を行っていく必要がある」との回答を繰り返しました。
 また、事件数について、令和5年度はほぼ全ての事件が増加に転じ、令和6年度も引き続き増加傾向を示していると指摘したことに対しては、「近年一部の事件について事件数が増加している」との認識を示しながら、「長期的に見れば」という言葉を加えて「成年後見関係事件など一部の事件を除いて各種事件は減少又は横ばいで推移している」という認識を正当化する回答を行いました。

下級裁にも勤務時間管理システムの導入を「検討」

 労働時間短縮等の課題では、勤怠管理のデジタル化を求めたことに対して、勤務時間管理システムの今後の展開について「検討しているところであり、説明できる段階になり次第説明したい」と回答しました。
 業務関連予算等の課題では、タクシーの柔軟利用を求めたことに対し、最高裁は「旅費法が改正されたことを踏まえ、タクシーを利用できる場合についての基本的な考え方や、改正旅費法の下での具体的なタクシー利用に関する事務のあり方について、あらためて『旅費業務の取扱いに係るQ&A』等で示す」と回答しました。

新たな類型の専門職ポストをさらに拡大

 専任事務官の昇格改善にむけて、新たな類型の専門職ポストの拡大を求めたことに対し、最高裁は「高裁所在地以外の地家裁事務局にも新たな類型の専門職(総務専門職・人事専門職・会計専門職・庶務専門職)を設置できる枠組みを設ける」と回答しました。「今後の方向性」で示された職員が身に付けた専門性を活かせる態勢の整備として評価できます。

 
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女性の声を届けた2日間 女性担当者会議と上京団交渉
 

 3月2・3日の2日間、地連女性担当者8名と本部女性対策部4名の計12名で担当者会議および上京団交渉を行いました。


各地から女性の声を伝えた上京団

「女性差別撤廃条約」の現状を学習

 はじめに、全労連女性部春闘討論集会での早稲田大学名誉教授浅倉むつ子さんの講演「国連女性差別撤廃委員会報告と労基法改悪の狙いについて」を視聴しました。日本は女性差別撤廃条約を批准していますが、女性が抱える問題を実際に解決する手段となる個人通報制度や調査制度を定めた選択議定書は批准していないこと、委員会の総括所見では「裁判官に対して条約と委員会の活用について研修を行う」との指摘を受けていることなどを学び、選択的夫婦別姓の法制化が実現していないことを始めとする女性差別の現状等について意見交換しました。
 次に、国公女性協副議長の根本さんから、6月14・15日に長野県で開催される国公女性交流集会など国公女性協のとりくみについて紹介がありました。

裁判官によるパワハラの実態が各地から報告

 続いて、事前調査をもとに各地の職場実態を報告したうえで、翌日の交渉に向けた討論を行いました。
 職場実態では、3地連から裁判官によるパワハラの実態が報告されました。また、育休・病休による欠員により職場が疲弊していること、4月から取得要件が拡大される子の看護休暇の日数や対象者・対象行事等のさらなる拡大、育児時間を取り消さざるを得ない繁忙状況等について活発な討論を行いました。
 2日目は、各支部の組織と活動について意見を交わしました。「集まろう女性、届けよう私たちの願い」のとりくみについて、鶴を折ること、寄せ書きをすることが目的化して負担とならないよう、あくまで交流の場を持つきっかけとして活用することなどをあらためてとりくみの意義を確認しました。
 翌日の最高裁交渉では、会議で話し合った様々な要求をぶつけました。管理職への女性の登用が困難な事情、裁判官のパワハラ、女性がん検診の充実や甲状腺検査の実施、更年期障害に対する休暇の新設、子の看護休暇に関して日数の拡大・さらなる要件の緩和など、多岐にわたる課題で最高裁当局を追求しました。
 回答は従前回答にとどまりましたが、職場実態や女性を取り巻く制度の課題、現状での問題意識を強く伝えることができました。

 
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