おいでやす全司法
プライバシーポリシー  
CONTENTS 全司法紹介 司法制度改革 少年法関連 全司法大運動 全司法新聞 声明・決議・資料 リンク サイトマップ
  トップページ > 全司法新聞 > 2024年12月 > 2437号
 
 
全司法新聞
 
増員の「消極姿勢」変えず
「安心してRoootSを利用してもらいたい」と回答
秋年期人事局長交渉
 

交渉に臨む全司法本部

 全司法本部は12月9日、最高裁徳岡人事局長と秋季年末闘争期のまとめとなる交渉を実施しました。増員については、民法改正に伴う家裁調査官の増員も含めて消極姿勢を変えませんでした。デジタル化については、必要な改修を行ったとして「安心してRoootSを利用してもらいたい」と回答しました。
 その他、勤務時間管理システムの展開、ストレスチェックの集団分析結果の活用、専任事務官のポスト整備などで足がかりとなる回答を引き出しました。

次年度予算での増員
「状況は、より一層厳しい」との認識を示す


 「裁判所の人的態勢の整備を図っていく必要があることについて、財政当局の理解を得るべく」「最大限の努力を行っている」と説明する一方で、「国家公務員の定員をめぐる情勢や、成年後見関係事件など一部の事件を除き減少又は横ばいで推移しているという事件数の動向等の下で、令和7年度の増員をめぐる状況は、より一層厳しいものとなっている」との認識を示しました。
 これを受けて本部は、6月に政府が閣議決定した「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」がこれまでと変更されていること、昨年度以降は事件動向も増加に転じていることをあげたうえで「新たな制度導入への対応も必要であり、デジタル化の導入時の手間も今後ますます増えていく。全てにおいて、裁判所の増員をめぐる状況は明らかにこれまでと異なる段階に入った」と述べて増員に対する姿勢を見直すよう強く求めました。

家裁調査官の増員
追加要求は「考えていない」と否定


 家裁調査官の増員については「令和7年度においては、家裁調査官5人を増員することで、改正家族法の円滑な施行にむけた検討・準備を含め、引き続きその役割を果たすことができると判断した」と回答し、本部が求めた追加要求は「考えていない」と否定しました。
 重ねて、国会の附帯決議の趣旨等を踏まえた増員を求めたことに対しても「家庭裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、引き続き、必要な人的・物的態勢の整備を検討していくことになる」との回答を繰り返しました。

超勤縮減
事務連絡を踏まえ「今後も引き続き指導を徹底」


 諸要求期の交渉を受けて発出した事務連絡(6月10日付け)について、「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握し、適切な超過勤務時間の管理を行うことについて、管理職員に対する指導を徹底するよう、下級裁に対して事務連絡を発出した」と述べたうえで、「今後も引き続き指導を徹底していきたい」と回答しました。
 また、勤務時間管理のデジタル化に関わって、今年の1月から最高裁の一部の部署で試験的に導入している勤務時間管理システムについて「来年1月から最高裁の全部署への導入を予定している。また、今後の展開についても検討している」と回答し、下級裁への導入も視野に入れた検討姿勢を示しました。
 事務の簡素化・効率化については、引き続き「これまで以上に事務の簡素化・合理化、業務プロセスの見直し等を推進して、裁判部、事務局を問わず、組織全体として超過勤務の削減にとりくむ必要があると考えており、今後も、通達等の見直しも視野に入れながら、できることから順次速やかにとりくんでいきたいと考えている」と回答しました。
家裁の充実を求める
職場決議(273本)を提出

職員の健康管理
集団分析結果活用に「何らかの工夫」を検討


 メンタルヘルスの不調を抱える職員が急激に増加していること等をあげて健康管理施策の抜本的な見直しを行うよう求めたのに対し、「様々な事情を有する職員がいることも念頭に置きながら、健康管理施策の充実にむけて検討を進めていきたい」と回答しました。
 ストレスチェックの集団分析結果について、「集団分析結果を職場環境の改善に活用できるよう何らかの工夫ができないか検討していきたい」と回答しました。
 ハラスメントについては「その種類を問わず、これを防止することが、職員が働きやすい職場環境を維持・向上するために不可欠」としたうえで「ハラスメント防止にむけたより効果的なとりくみに努めていきたい」と回答しました。
 カスタマーハラスメント対応については「必要かつ合理的な当事者等対応の実践に向けた取組について」(2020年10月30日付け事務連絡)とこれにもとづく各庁の事務フローをあげて「組織として毅然とした対応をとることにより、当事者等によるそのような行為を抑止していく効果もあるものと考えている」等の認識を示しました。これを受けて本部は、明らかに危険・困難があるわけではない日常的な事案も、当該職員にとっては負担感が重く、「当該職員を一人で矢面に立たせない」組織的対応が求められると指摘し、シミュレーション的なものも含めた研修、共有、訓練の必要性や、カスハラが社会問題化しているもとで最新の知見にもとづいてブラッシュアップしていくよう求めました。

デジタル化への対応
RoootSの「不具合が見つかった場合は速やかに改修する」


 RoootSについて、「先行導入庁の協力のおかげで、主要な操作についてのバグは洗い出すことができ、その改修作業もほぼ終えることができた。今後も、不具合が見つかった場合は速やかに改修するので、安心してRoootSを利用してもらいたい」と回答しました。
 本部が先行導入庁等から出されている意見等をあげて、バグや不具合を改修すれば終わりというものではなく「使い勝手」の部分も含めて現場の意見を反映させ、改修していくことが必要であると主張したのに対しては「グランドデザインに示した国民の利用しやすさの徹底追求と職員の利用しやすさへの十分な配慮という基本的考え方に基づき、検討を進めていきたい」と回答しました。

職員制度
訟廷管理係長・新たな類型の専門職は、整備にむけて検討


 「組織見直し」を踏まえた専任事務官のポスト整備について、訟廷管理係長については「係の新設である以上、管理係の業務だけで係を新設できる程度の業務量がある(又は今後その程度の業務量が見込まれる)ことが必要であり、高裁や規模の大きい地家裁を中心に整備を進めているところであり、説明できる段階になり次第説明したい」と回答し、新たな類型の専門職については「専任事務官の専門性の活用については、問題意識を持っているところであり、新たな類型の専門職の設置の枠組みについて、今期の設置状況を踏まえて、さらなる展開を検討していきたいと考えており、説明できる段階になり次第説明したい」と回答して、それぞれ2025年度の整備にむけた姿勢を示しました。

非常勤職員
「上限回数」が撤廃された趣旨を踏まえて運用


 非常勤職員の採用について「人事院規則において公募によらない採用の上限回数が撤廃された趣旨を踏まえた運用を行っていく」と回答しました。これを踏まえて、OJT及び人材育成の観点を踏まえた研修等の実施を求めたのに対しては「要望があることは承っておく」との回答にとどまりました。

 それ以外は従前回答どおりでした。本部からは、以上の他、人材確保も視野に入れた家裁調査官の異動政策や育成施策の見直し、人事院の意見の申出にもとづく子の看護休暇の変更内容の周知徹底、空調設備の維持改善について特に強く主張しました。

 
ページの先頭へ
 
全国の青年114人が丸亀で交流
Connect in 丸亀(国公青年交流集会)
 

笑顔溢れる記念写真

初日(7日)

うどん作りと琴平町散策で交流深める
うどん作りに全集中

 12月7日〜8日に開催された「connect in丸亀」には、全司法から25名を含む総勢114名が参加し、大成功を収めました。
 1日目は国公青年フォーラム運営委員長の吉原太一さんが「2日間で楽しい思い出を作り、職場で共有し、組織拡大につなげよう」と参加者に熱いメッセージを伝えて幕を開けました。
 まず参加者は、貸切バスで琴平町の中野うどん学校に向かい、五~六人の班に分かれてうどん作りを体験しました。初めは緊張していた様子の青年たちも、先生の軽快なトークと大音量の音楽のおかげで一気に打ち解け、笑顔が溢れる時間となりました。その後、琴平町を散策し、班対抗の「映える写真」で入賞を決めるフォトコンテストのためにたくさんの写真を撮りながら、食べ歩きを楽しむ班、金刀比羅宮を登る班、お昼から香川県の地酒を飲む班など、班ごとで街の魅力を堪能しました。
 夜の懇親会では、多くの参加者が別の班の席に足を運んで、単組・班を超えた交流がなされ、フォトコンテストの表彰式では、会場の盛り上がりが最高潮となりました。

2日目(8日)

高賃金の背景は高い組織率と労使協議会の法制化

 2日目は呉学殊(オウハクスウ)先生をお招きし、「日本と韓国の賃金動向の違い」についての講演が行われました。韓国の積極的なストライキ文化が賃金上昇に寄与していることが紹介されました。また、日本の労使関係が非対等である現状や、組織率の低下が賃金停滞の要因とされ、「労使協議会(※)の法制化」の必要性も強調されました。
 また、ストライキが認められていない日本の公務員労働組合としては、「現場の声を細かく拾い上げ、働いている職員のみならず、広い視野で社会全体が求めていることを適切に把握し、要求として交渉で主張する」という観点も重要であるとのお話がありました。

低い賃金、宿舎の老朽化、これは単組を超えた青年の要求だ!

 分散会では、講演を受け、「ストライキができない環境でも、ストライキを構えるくらいの情熱を持って交渉することの重要性」や「韓国の労使協議制度に学ぶ点が多い」との内容が共有されました。
 また、より魅力的な職場にするためにはどうしたらよいかという観点では、特に若年層の公務員の賃金の低さや柔軟ではない異動制度、老朽化した宿舎、低額過ぎる家賃手当、異動直前の内示など改善すべき課題を共有することで、単組を超えた国公労連としての要求の一歩となる話をすることもできました。
 あっという間に2日間が過ぎ、参加者からは「香川に住みたいくらい楽しかった」「こんな楽しい会に参加しないのはもったいない」「次はいつ開催されますか」といった喜びの声が多く寄せられる集会となりました。
 今後もこのような交流の場を通じて、単組を超えた仲間をつくり、各職場での活動の活性化につなげていきたいです。

 
ページの先頭へ
 
執務環境を守り、改善していくため、労働組合はますます重要
地連速記官担当者会議+上京団交渉
 

メンテナンス時の代替機の確保追加購入の要求を確認

速記官の声を吸い上げ、最高裁を追及
 11月10日、オンラインで地連速記官担当者会議を開催しました。討議で一番時間を掛けたのは、諸要求期の最高裁回答を受けて初めて実施される電子速記タイプライターのメンテナンスについて、各職場から出ている不安や最高裁に留意を求めたい事項について意見交換を行いました。メンテナンス中の全ての期間において代替機の確保が必須である点、できるだけ短期間のメンテナンスで全国のタイプを効率よくメンテナンスしてほしいなどの声が上がりました。
 使用6年目となり、各地のタイプには経年劣化症状はもとより不具合症状が出ているという報告もなされ、修理の際はタイプが原庁に戻ってくるまで数か月を要したという実態報告もありました。そもそも最高裁は全国で96台を調達しただけで電子速記タイプライターの購入・配布をストップしてしまいましたが、メンテナンスとは別建てでやはり追加購入、またタイプの計画的な更新を求めていくという点も意思統一しました。
 このほか、会議に先駆けて実施した事前調査の回答を基に、全国の問題事象や、庁によって執務上の取扱いに違いがある等の実情や問題点なども意見交換しました。

電子速記タイプの整備、執務環境や研修など具体的な要求実現を求める

 11月25日に行った最高裁交渉では、会議で確認した全国の意見を基に、電子速記タイプライターのメンテナンスに関する要求や、追加購入、更新の要求をはじめ、名前や庁名を挙げての昇格要求、執務環境の改善要求、また、研修の在り方特定健康診断の充実、帳簿管理事務の簡素化など、具体的な要求を最高裁にぶつけました。
 速記官養成停止から27年がたちました。全国の地高裁には速記官無配置庁も増え、現在は全国で速記官配置33庁のうち3分の1の11庁が1人配置です。速記官配置が3人までの少人数庁は24庁になりました。各庁に少人数で散らばっている速記官の声を吸い上げ、執務環境を守り、改善していくため、全司法の存在はますます重要になっていくことを確信した担当者会議と最高裁交渉でした。

 
ページの先頭へ
 
今につながる方針を確立し、全司法をけん引
吉田博徳元中央執行委員長逝去
 
全司法本部委員長当時
(1979年、57歳)の
吉田さん

 元中央執行委員長の吉田博徳(よしだひろのり)さんが11月30日、103歳でお亡くなりになりました。
 吉田さんは、「四号調整」と引き換えに全司法の解散が仕掛けられた攻撃を跳ね返した1954年の日光大会で中央執行委員となり、56年から63年まで書記長、64年から79年まで委員長として全司法をけん引し、今につながる職場闘争の方針を確立しました。
 「裁判書は裁判官が書くべきだ」と要求した裁判書闘争を指導したことを理由に58年に11人の組合員とともに懲戒免職処分を受けましたが、22年間にわたるたたかいを経て、希望者全員の職場復帰を勝ち取りました。
 職後は、日朝友好、反核平和運動に尽力されました。

 
ページの先頭へ