全司法本部は11月6日、秋季年末闘争におけるd松人事局総務課長との第2回交渉を実施しました。
職種担当の非常任中央執行委員も交渉に出席し、「国民のための裁判所」の実現、職員制度、昇格の課題について最高裁当局を追求し、要求の前進をめざしました。
共同親権を求める申立て
事件数を予測することは困難
共同親権等の民法改正を踏まえ、家庭裁判所の人的・物的充実を求めたことに対し、「事件動向や事件処理状況のほか、法改正等による事務処理状況への影響等も踏まえながら、家庭裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、引き続き、必要な人的・物的態勢の整備を検討していくことになる」と回答しました。
一方で、改正家族法の施行直後から共同親権を求める申立てが急増するとの指摘に対しては、「離婚に際し、父母の双方を親権者とする選択肢が増えることとなるため、新たな選択肢をめぐって合意をすることができず、その結果、協議上の離婚をすることができない事案が発生する可能性があるが、その一方で、新たな選択肢がいわば合意の受け皿となり協議上の離婚が可能となる場合もあり得るなど、離婚調停の申立てに至る事件数を予測することは困難」「改正法施行後に単独親権から共同親権に変更するよう求める親権者変更の申立てがされることも考えられるが(中略)その事件数を予測することも困難」と回答しました。
また、児童室や面接室などの事件関係室を増やすよう求めたことに対しては、「子の調査がいっそう適切に実施されるよう、必要な備品の整備を順次すすめていきたい」と回答しました。
組織見直しに関わっては、来年4月期に検討している事項を明らかにするよう求めましたが、「検討中であり、昨年同様、12月の予算案確定後に説明する」と回答するにとどまりました。
書記官事務の標準化
システム利用方法に関する運用要領を作成
書記官事務の標準化にむけて「RоооtSの全国導入にあたっては、システム操作に係る事務処理につき、利用方法に関する運用要領の作成を行うなどして事務処理の統一(標準化)を図った」と回答しました。
法務省や地方自治体等との間でバックオフィス連携を実現するよう求めたことに対しては、「戸籍については、今回(本部注:2024年9月)の民訴規則の改正のタイミングでは同様の規定を置くことは見送られた」「今後のことについては現時点でお伝えできることはない」と回答しました。
送達費用の手数料化については、「実施にむけては十分に検討をすすめていきたい」と従前の回答にとどまりました。
フェーズ3後の法廷立会
法廷内に立ち会って速記することに変わりはない
「組織見直し」を契機に専任事務官の処遇を維持・改善するよう求めたことに対して、管理係長について「高裁や規模の大きい地家裁を中心に整備をすすめている」、新たな類型の専門職について「今期の設置状況を踏まえて、さらなる展開を検討していきたい」と従前の回答にとどまりました。
法廷警備員にかかわって、兼務業務を適切に評価して処遇に反映させるよう求めたことに対し、「職員の処遇に適切に反映できるよう努めていきたい」と回答しました。
速記官にかかわって、民事訴訟手続のデジタル化後(フェーズ3開始後)の法廷立会について「これまでと同様に速記官は法廷内に立ち会って速記することに変わりはない」と回答しました。
家裁調査官の異動
本人の生活環境にも十分配慮
広域かつ機械的な異動政策をやめ、働き続けることが可能な異動政策とするよう求めたことに対し、「国民に対する司法サービスの均質化、各家裁調査官の間の負担の公平等の見地から、ある程度広域異動をしてもらう必要性が高い」「本人の生活環境にも十分配慮した異動が行えるよう、さらに検討を重ねていきたい」と従前回答を繰り返しました。
また、家裁調査官補の退職が続いていることを踏まえ、養成課程生の負担軽減を図り、知識付与を目的としたカリキュラムを充実させるよう求めたことに対しても、「これまでも、一人一人の資質・能力等を踏まえつつ、家裁調査官としてその職責を果たしていけるよう指導してきたところであり、今後とも適切な指導・育成に努めていきたい」と従前回答を繰り返しました。
昇格
級別定数の改定のために努力をしていきたい
各職種の処遇改善を求めたことに対し、「級別定数改定をめぐる情勢はこれまでと比較にならないほど極めて厳しい」との認識を示しつつも、「級別定数の改定のために努力をしていきたい」と回答しました。
職種ごとの昇格改善については、全て従前の回答にとどまりました。
本部の視点
家裁の人的・物的充実にむけた積極的な姿勢は示されませんでした。改正家族法施行までの間に必要な人的・物的体制を整備させていく必要があります。
職種の上京団交渉で述べた実態や主張を踏まえて、改めて職種の重点要求を主張しました。各職種の要求前進にむけて、地連・支部でも追及を強めていく必要があります。
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