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全司法新聞
 
 
全司法本部四役 最高裁長官会見を実施(10月18日)
 
 全司法本部四役は10月18日、今崎幸彦最高裁判所長官と会見しました。最高裁からは、氏本事務総長、徳岡人事局長、棈松人事局総務課長が同席しました。

裁判所の人的体制整備について
「職員一人一人が本来の役割・職務に注力し、専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築」

中矢委員長
 
今崎長官
委員長 この半年間、NHKのドラマ「虎に翼」が放送されましたが、視聴率も良かったようで、裁判所の歴史、憲法や家庭裁判所のことについて、広く国民に知られる状況が生まれていると感じています。これを一つのきっかけとして、裁判所が果たしている役割が国民に伝わり、裁判官や裁判所職員を志す人が増え、若い方々が私たちの同僚、後輩として入ってくることで活気のある職場になることを願っています。
 そのためには、働きやすい職場を作っていくことが大切だと考えていますが、人的・物的体制整備はその要となる課題です。
 各地方の裁判所では、この間の人員削減のもとで人的体制がギリギリのものとなっています。申告されていない「サービス残業」を含めて超過勤務が恒常化している職場が増えるとともに、育児・介護などで両立支援制度を利用する職員や病気による休暇・休職に入る職員、退職者等が出るなどした場合に、定員上の配置があっても実際に職場で仕事をしている職員が少なくなり、その他の職員の負担が重くなっている実態が全国から寄せられています。毎年のように人員が減らされる職場で働いている地方の職員にとっては、士気に関わる問題になっていると感じています。
 また、先の通常国会では離婚後共同親権の導入や面会交流の拡大などを含む民法改正が行われました。離婚後共同親権の導入は賛否の意見が分かれ、DV被害者をはじめ多くの国民から反対や不安の声が湧きおこる中での成立となりましたが、そうした審議状況を反映して、賛否いずれの立場からも家庭裁判所の体制整備が求められ、採決にあたっては附帯決議がつけられました。今後、附帯決議を活かした運用を誠実に行うことで、国民からの信頼に答えていくことが裁判所には求められていると考えています。とりわけ、家庭裁判所の役割がきわめて大きくなるとともに、事件の増加や複雑困難化が予想されることから、家裁調査官の大幅増員をはじめとした家庭裁判所の人的・物的体制整備は必要不可欠だと考えます。
 ぜひ、そうした立場で裁判所の人的体制の整備について、ご努力をいただきたいと考えます。
長官 情報通信技術の急速な発展普及を始めとした近時の社会経済情勢の変化やそれに伴う国民のニーズの変化等に適切に対応し、より質の高い裁判を迅速に行うためには、裁判手続のデジタル化を始めとした情報通信技術の活用、通達等の見直しを含めた各種事務の簡素化・効率化、組織・機構の見直しによる事務の合理化・効率化を一層推し進め、職員一人一人が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築して、より活力のある組織を目指していくことが必要であると考えています。こうした取組によって一層働きがいのある職場環境を整備するとともに、引き続き職員一人一人の能力を伸長させる計画的かつ継続的な人材育成の充実を図るほか、それに相応しい最適な人的態勢を構築し、裁判所が、国民の期待に応え、信頼が得られるよう、引き続き、努力していきたいと考えています。
 職員の皆さんにも、引き続き、自身の仕事の仕方を見直し、事務の合理化・効率化に向けた創意工夫に前向きに取り組むことを期待しています。

職員の健康管理について
「ハラスメントについても、その種類を問わず、これを防止することが、職員が働きやすい職場環境を維持・向上するために不可欠」

委員長 当局から開示された90日以上の精神および行動の障害による長期病休者数も目に見えて増えていますが、適応障害等と診断され、休暇を取得する職員や、治療を受けながら勤務を続けている職員なども相当数おり、メンタルヘルスを悪化させる職員が増加している実態が全国各地から報告されています。
 諸要求期の交渉では、ストレスチェックによる集団分析結果の活用にむけた姿勢が示されましたが、あわせて、現に職場でストレス要因になったり、メンタルヘルスに影響を与えていると考えられるもの、例えば、超過勤務や休憩時間の確保、異動とそれに伴う職務分担の変更、仕事について相談できる体制、職場の人間関係などについて、メンタルヘルス対策の視点から問題がないかどうか検討する必要性を感じています。こうした課題について全司法の意見も聞きながら、健康で働き続けることができる職場づくりをめざしてとりくみをすすめていただきたいと考えています。
 そうした課題の一つとしてパワーハラスメントの問題があります。とりわけ、加害者だとされる職員が同じような問題を何度も繰り返すこと、被害者自身が声を上げられない場合に周囲で状況を見ている者の報告等で対応できる仕組み、いわゆる「困難当事者対応」などのカスタマーハラスメントに組織的に対応する仕組みについて問題意識を持っています。
 引き続き、健康管理のための施策を充実させていただきたいと考えます。
長官 職員の皆さんに持てる力を十分に発揮してもらうには、心身の健康の保持、増進を図るとともに、家庭生活と両立していけるような環境整備を進めることが重要です。また、ハラスメントについても、その種類を問わず、これを防止することが、職員が働きやすい職場環境を維持・向上するために不可欠であると考えています。このような観点から、これまでも種々の施策を講じてきていますが、これまで以上に組織活力を維持・向上させ、全ての職員が、持てる能力を最大限発揮することができるよう、その実効性を高めるために工夫すべき点がないか等につき検討させていきたいと考えています。

裁判所のデジタル化について
「職員及び職員団体の要望等も踏まえながら検討を進めていきたい」

委員長 裁判手続のデジタル化で先行してすすんできた民事裁判は、2025年度からの完全実施が予定されており、大詰めの時期にあるものと認識しています。ウェブ会議の活用についてはすでに一般化し、3月からはウェブ弁論も可能となったことから、全国の運用実態を把握し、問題がないかどうかを検討することが必要だと考えています。一方、電子申立てや事件および記録の管理のためのシステムの開発が課題となっています。とりわけ、e事件管理システム(RoootS)は、来年1月から全国展開が予定されていますが、当初予定からの遅れに加えて、現在、先行導入されている庁から使い勝手の悪さなどについて報告を受けており、不安を感じざるを得ません。安定的に稼働し「ユーザーフレンドリー」なシステムを構築することは、デジタル化の成否を左右するものだと考えますので、万全のとりくみをお願いします。
 コミュニケーションツールとして、マイクロソフト365が昨年10月に導入されました。機能を便利に使っている場面もある一方で、情報伝達の手段が多様化することで、見落としが恐いという意見も少なくありません。また、使い方が現場に任されているために、事務処理方法が庁によって違う、部署によって違うという状況も生じています。これは、事務処理方法の統一化・標準化が事務の簡素化・効率化に資すると述べてきたことにも逆行することになります。導入後1年が経過したことを踏まえ、とりわけ情報伝達のルール化や標準的な利用方法については、最高裁がイニシアチブを取って全国統一的なものとして決めることも必要だと考えます。
長官 今後裁判所のデジタル化を進めていくに当たっては、実務や事務の実情をよく踏まえた上で、国民の利用のしやすさを徹底して追求するとともに、職員の利用のしやすさにも十分配慮し、各種デジタルインフラの最適化、情報セキュリティの確保等にも鋭意取り組んでいきたいと考えています。検討に当たっては、在るべき裁判の姿を見据えつつ、従来の議論にとらわれない新鮮な視点をもって裁判所全体で幅広く意見交換等をしていくことが重要です。引き続き、必要に応じて職員及び職員団体の要望等も踏まえながら検討を進めていきたいと考えています。

全司法との誠実対応について
「率直に問題意識をぶつけ合い、忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図っていかなければならない」

委員長 1992年3月18日の最高裁事務総長見解以来、全司法と裁判所当局とは相互の信頼関係に基づいて、安定した労使関係を築くことができているものと考えており、日頃から誠意をもって対応いただいていることに対し、あらためて感謝いたします。
 全司法は職員の地位の向上と「国民のための裁判所」実現を組織の目的としており、職員の処遇問題にとどまらず、官の職制の中からは浮かび上がってこない職場実態を拾い上げ、可視化し、より良い裁判所を作るために努力しているものと自負しています。そうした視点から、全司法を裁判所の職場をともに作るパートナーとして位置付け、職場で起きる様々な課題について、今後とも建設的な議論を続けていただきたいと考えております。
 最高裁はもとより、全国の各庁で全司法の意見に耳を傾け、率直で建設的な議論を重ねていくことができるよう、これまで築き上げてきた信頼関係を尊重し、誠実に対応されるよう下級裁に伝えていただくことを含め、確認したいと思います。
長官 私も、平成4年3月18日の事務総長見解の内容は当然のことと考えています。職員の勤務条件やこれに関連する事項については、これまで築き上げてきた相互の信頼関係に基づき、率直に問題意識をぶつけ合い、忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図っていかなければならないと考えています。
 担当部局には、今後もそのような立場で努力させたいと思いますし、職員団体もその方向で努力していただきたいと思います。

 
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離婚後共同親権導入で
「事件数を予測することは困難」との姿勢崩さず
2024年秋季年末闘争 第1回人事局総務課長交渉
 

秋年期の最高裁交渉始まる

 全司法本部は10月23日、秋季年末闘争における棈松人事局総務課長との第1回交渉を実施しました。
 交渉では、人員、労働時間短縮・超勤縮減、労働基本権、高齢者雇用・再任用制度、採用・異動、宿舎、宿日直、権利の課題で最高裁当局を追及し、要求の前進をめざしました。

人員

家裁に期待される役割を適切に果たせるよう、必要な態勢の整備を検討していく

棈松人事局総務課
 2025年度裁判所予算における増員について、「裁判所の人的態勢の整備を図っていく必要があることについて、財政当局の理解を得るべく説明を行っている。このように最大限の努力を行っているところ」と回答しつつも、「裁判所を含む国家公務員の定員をめぐる情勢や、成年後見関係事件など一部の事件を除き減少又は横ばいで推移しているという事件数の動向等のもとで、2025年度の増員をめぐる状況は、よりいっそう厳しいものとなっている」と回答しました。
 改正家族法を見据えた家裁の人的体制整備を求めたことに対しては、「改正法の各規定の趣旨・内容を踏まえた適切な審理運用のあり方や改正家族法が各家庭裁判所における事件処理に与える影響等も踏まえながら、家庭裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、必要な態勢の整備を検討していくことになる」と回答するにとどまりました。こうした最高裁の回答を踏まえ、事件数の減少は底を突いて増加傾向に転じているのではないかと指摘するとともに、法改正等に基づく新たな事件類型の申立てが増加していることや、新たな手続きへの対応、裁判手続デジタル化の導入・定着にむけた検討・準備等のために職場は繁忙になっていると主張し、「増員は行わない」「減員ありき」という最高裁の姿勢を変えるよう追及を強めました。
 また、改正家族法の施行が事件数に与える影響について、最高裁の認識を明らかにするよう求めたことに対しては「改正家族法では、離婚後の父母双方を親権者とすることを可能とする規律の見直しに加え、父母双方が親権者である場合の親権行使者について、父母の意見対立を調整するための裁判手続が新設されており、家庭裁判所に申し立てられる事件数が増加する可能性があるが、新たな手続きであるため、事件数を予測することは困難である」、共同親権を求める事件への家裁調査官の関与については「家事事件において家庭裁判所調査官を関与させるかどうかは、子をめぐる紛争の有無や内容、子の状況その他の事情を踏まえ、担当裁判官や調停委員会等において適切に判断されるべきもの」とそれぞれ回答するなど、全司法の主張を真正面から受け止めませんでした。こうした最高裁の回答を踏まえ、改正家族法の施行直後から共同親権を求める申立てが増えるのではないかと指摘するとともに、子の意思把握等の重要な役割を担う家裁調査官の大幅増員は欠かせないと主張し、家庭裁判所の人的体制の充実を求めました。

勤務時間把握

幹部職員を通じて管理職員に周知した

 「組織見直し」によって幹部職員の体制を整備したことを踏まえ、勤務時間の正確な把握と超過勤務縮減にむけたとりくみを積極的にすすめるよう求めたことに対し、「適切な超過勤務時間の管理を行うことについて、管理職員に対する指導を徹底するよう、下級裁に対して事務連絡を発出したところであり、今後も引き続き指導を徹底していきたい」と回答し、6月10日付け事務連絡については「事務連絡の趣旨について、幹部職員を通じて管理職員に周知した」と回答しました。
 また、早朝、昼休み、休日における超過勤務を正確に把握するよう下級裁への指導を求めたことに対しては、「始業前、昼休み、休日における勤務についても変わるものではない」「下級裁に対して事務連絡を発出したところであり、今後も引き続き指導を徹底していきたい」と回答しました。

定年年齢引上げ

各庁の実情に応じて、個別に検討していく

 定年前再任用短時間勤務制度・暫定再任用短時間勤務制度の運用について、「職員の希望のほか、高齢期における多様な働き方のニーズに対応するといった制度趣旨等を踏まえつつ(中略)各庁の実情に応じて、個別に検討していくことになる」と回答しました。

採用・異動

非常勤職員「公募3年要件」の見直しについて検討しているところ

 優秀な人材の確保や職員の人材育成、メンタルヘルス対策、育児や介護等と仕事の両立といった観点から、裁判所における異動政策を抜本的に見直すよう求めたことに対し、「現実の運用においては、本人の経歴、異動歴、家庭の事情等の諸事情を十分勘案する(中略)当該異動の必要性等について本人に理解してもらった上で異動を実施しているものと認識している」と従前の回答を繰り返しました。
 非常勤職員制度に関わって、ステップアップ制度の拡大を求めたことに対しては、「希望者がいるからといって、必ずしも選考が実施されるとは限らない」と従前回答を繰り返しました。
 また、いわゆる「公募3年要件」が撤廃されたことを受けて、裁判所としての対応を明らかにするよう求めたことに対しては、「非常勤職員の『公募3年要件』の見直しについては(中略)検討しているところ」と回答するにとどまりました。

宿日直

直ちに宿日直体制を見直す必要があるとは認識していない

 令状センター構想が実現するまでの間に、管内支部の宿日直及び連絡員体制の廃止や時間外の令状事務の集約を行うよう求めたことに対して、「宿日直廃止庁の拡大については、適正迅速な令状処理に対する国民の信頼や令状請求を行う関係機関の姿勢から、これ以上の拡大は困難な状況である」と従前回答を繰り返しました。
 また、各庁の配置定員の減少や男性職員の人数減、宿日直免除者(病休者や育児を抱える職員)の増加などによって現状の宿日直体制を見直す時期にきていると指摘したことに対しても、「直ちに宿日直体制を見直す必要があるとは認識していない」と従前の回答を繰り返しました。


本部の視点

 改正家族法を踏まえ、家裁の人的体制整備が必要不可欠です。とりわけ、子の意思把握等の重要な役割を担う家裁調査官の大幅増員は欠かせないことから、次年度予算で追加の増員要求を行うよう追及を強めていきます。
 超過勤務時間の正確な把握のため、6月10日付け事務連絡の趣旨を職場に浸透させていく必要があります。

 
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書記官の要求を最高裁にぶつけた上京団
地連書記官担当者会議+上京団交渉
 
 10月20日~21日、地連書記官担当者会議および上京団交渉を実施しました。
 会議では、①デジタル化への対応、②事務の簡素化・効率化、③人員、④書記官の処遇、⑤超過勤務縮減、⑥令状事務の負担軽減を中心に討議を行い、交渉に臨みました。
 

書記官上京団交渉の様子

RoootSの改修を要求

 デジタル化への対応については、RoootSの先行導入庁を抱える北海道地連および中国地連から、①保管金の取扱いやバーコードによる読み取りが簡裁でも利用できるようになったことは効率化につながると評価した一方で、②送達報告書用トレイが自動で切り替えられず、印刷の手間が増えている、③調書作成の都度手直しを要する箇所が増えた、④マニュアルが膨大であるにも関わらず現場が求めるところが記載されていない、⑤問合せフォームへの入力に時間を要する上に、数日後に「仕様です」との回答にとどまることも多々あり、意欲をそがれるなど、システム操作や最高裁の対応について発言があり、RoootSの早期改修や対応改善を求めました。
 事務の簡素化・効率化については、通訳人名簿の検索性の向上、事件票や統計事務の集約と簡略化、申立書等のHPへの掲載、RoootS導入に伴う簡裁を含めた電子納付の再周知など、現場から出された簡素化・効率化策を挙げ、その実現を求めました。

書記官の増員、超勤縮減、カスハラ対策を主張

 人員については、現時点でも家裁が繁忙であるところ、共同親権が導入されると繁忙状況に拍車が掛かる、特別保存に伴う事務で記録係が繁忙となっている、休職や欠員が多く、人が足りていない部署すら応援の給源になっている実態などを主張し、書記官の増員を求めました。
 超勤縮減に関しては、6月に事務連絡が発出されたものの、それ以降も把握や申告の促しがなされていない実態等(とりわけ朝超勤)を指摘し、その改善を求めました。
 カスハラ対策として、ナンバーディスプレイや録音機能付き電話、防犯カメラの設置等の物的な整備を要求しました。
 交渉では、概ね従前回答にとどまったものの、「関係部署にも伝えたい」との姿勢を示させることができました。
 この会議や交渉を出発点として、引き続き追及を行っていきます。

 
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連載「運動の成果」を共有しよう②
育児支援が拡充、休暇取得がさらに柔軟に
 

 今年の人事院勧告では、国家公務員の育児休業等に関して「意見の申出」が行われ、本年5月に改正された民間の育児・介護休業法等の内容を踏まえ、両立支援制度にも改善措置が講じられることになりました。
 措置内容は、①育児時間について、現行の「1日につき2時間の範囲内で勤務しないこと」に加えて、「1日につき2時間以上(1日単位で取得することも可)で1年につき10日相当の範囲内で勤務しないこと」という選択肢を設けて、いずれかを選んで取得できるようにする、②子の看護休暇の対象となる子の範囲を、現行の「小学校就学前の子」から「小学校3年生までの子」に拡大するとともに、入学式等の子の行事参加や感染症に伴う学級閉鎖等にも利用できるよう取得事由を拡大するというものです。

非常勤職員にも朗報、取得要件が緩和

 これらの改善措置は、非常勤職員にも適用されます。
 非常勤職員については、育児時間および超過勤務免除の対象年齢が、現行の3歳未満から小学校就学前までに引き上げられました。また、子の看護休暇、出生サポート休暇、配偶者出産休暇、育児参加のための休暇、短期介護休暇について課せられていた「6月以上の任期又は継続勤務」の取得要件も削除されました。この要件の削除により、任期の短い非常勤職員も採用当初からの取得が可能となります。

看護休暇のさらなる拡大をめざす

 今回の改善措置は、既に成立していた民間の育児・介護休業法に追随するものではありますが、子の看護休暇については対象年齢が3歳分引き上げられ、取得事由の拡大も、職場から要求していた内容を一部実現するものです。これは、全司法本部女性対策委員会をはじめ各支部の女性部が支部と一緒になって、両立支援制度拡充の声を上げ続けてきた成果と言えます。
 しかし、子の看護休暇については、日数・対象年齢ともにまだ不十分な制度ですし、障がいがある場合などの制度の利用期間延長や「ひとり親家庭」の休暇日数の拡大を求める声もあります。国公女性協では、今後も改善を求めていきます。

 
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全司法大運動30年目のとりくみがスタート
 
デジタル化や共同親権をアピール

憲法の請願権にもとづく運動

 全司法大運動は、「国民の期待に応え、国民がより利用しやすい裁判所(国民のための裁判所)の実現」にむけて、裁判所予算の拡充を目指し、予算を審議する国会に対する働きかけを行う運動(国会請願署名)です。1995年度に始まり、今年度で30年目のとりくみとなります。 
 国民が国政に対して直接要望を国会に述べることができる請願は、憲法第16条で国民の権利として保障されています。国会で請願採択されると、請願事項を誠実に処理する義務が関係官庁に課せられることになり、政府・財務省への概算要求や政府予算案編成で大きな影響を与えることができます。これが、全司法大運動が果たす大きな役割と効果と言えます。

デジタル化と離婚後共同親権導入を踏まえ、
特に重要に


 国民のための裁判所を実現するために裁判所の人的・物的充実を掲げてとりくみをすすめている全司法大運動ですが、2022年度からは「デジタル化のための予算拡充」が目的の一つに追加されました。デジタル化は機器の整備等にとどまらず、各種システムの開発のための費用、サポート体制を充実させること、さらにデジタル化を定着させるための人員の確保など、必要な予算をしっかりと確保させる必要があるからです。
 さらに、離婚後共同親権や面会交流の拡大など今後2年以内に施行される改正民法が導入されれば事件数が増加することは容易に想像ができます。複雑・困難化していく事件に対応していくためには、家庭裁判所調査官の増員をはじめ、裁判官や書記官も含めた家庭裁判所の充実も求めていく必要があります。
 こうした国民のための裁判所を実現するためには予算の拡充が何よりも重要であり、全司法大運動に全力をあげてとりくみ、署名の集約数を大きく積み上げることが必要です。

今年度は11月末までに職場署名をとりきる

 そのために、今年度は11月29日(金)を第1次集約期限として設定し、この期限までに職場の組合員から署名を確実に回収することにしました。これは集約数がゼロの支部や、組合員数にも満たない支部をなくし、全国の集約数の底上げをはかるためのものです。
 私たちの職場環境をよくするためのとりくみですから、まずは職場の組合員から署名をとりきることを目標に、期限を意識してとりくみをすすめていきましょう。

 
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共同親権、改正少年法…、家裁の役割をみんなで考えよう!
「家裁を考える集会2024」を開催
 

増員についての最高裁の消極姿勢を問う集会に

 全司法は11月23日、東京都内で「家裁を考える集会2024~『家庭に光を少年に愛を』は今…離婚後共同親権、改正少年法から考える~」を開催します。
 先の通常国会で離婚後共同親権の導入や面会交流の拡大を含む民法(親族法)の改正が行われ、今後2年以内に施行されます。離婚後共同親権をめぐっては賛否が大きく分かれ、DV被害者等からの強い懸念が出されるもとで、国会審議でも裁判所の人的・物的充実が課題となり、これを求める附帯決議がつけられました。一方、家裁は現在でも繁忙で、職場から強い増員要求が出されており、こうした法改正を踏まえれば、抜本的な人的・物的体制整備が必要不可欠です。
 ところが、最高裁は8月末に提出した2025年度予算の概算要求で、裁判官・書記官は増員ゼロ、下級裁の事務官は減員、国会で焦点になった家裁調査官の増員はわずか5名しか要求していません。この集会は、増員についての最高裁の消極姿勢を変えさせるためのものです。

『虎に翼』を機に家裁の役割や課題・全司法の要求をアピール

 2022年4月から改正少年法が施行され、2年が経過しました。全司法は少年法の理念を守り生かす立場から、法改正にむけた議論の段階から「18歳への適用年齢引き下げ反対」の立場で運動を進めてきましたが、改正法で18・19歳が「特定少年」と位置付けられたもとで、現在の少年事件の運用がどうなっているのかを検討・検証することが課題となっています。
 折しも、4月から9月まで放送されたNHKのドラマ『虎に翼』が話題となった機会でもあり、これを機に外部からも参加できる集会とそれに向けた会議を開催することで、広く家裁の役割や課題、全司法の要求をアピールする機会として成功させたいと考えています。
お茶の水女子大学
名誉教授の
戒能民江さん

法制審委員や「三淵嘉子の教え子」も登壇

 家族法・法女性学の専門家で、今回の民法改正に向けた法制審議会委員だったお茶の水女子大学名誉教授の戒能民江さんを講師として基調講演を受けた後、パネルディスカッションには、元家裁調査官で研修所時代に『虎に翼』のモデル・三淵嘉子さんの教えを受けた藤原正範さんらが登壇します。
 また、午前中には【第1部】として、少年法対策会議と共同親権をめぐる諸問題を検討する2つの会議を分科会として開催します。
 現在、集会参加者を地連を通じて集約中ですが、ユーチューブ配信を行うとともに、組合員はズーム参加も可能ですので、ぜひ、多くの方に参加・視聴をいただきたいと思います。

「家裁を考える集会」の名称について

 「家裁を考える集会」は、家裁の理念を守り育てる国民的合意を作るとりくみとして、1983年に全司法が事務局を担って多くの団体・市民の協力のもとに実行委員会形式で開催した集会。のべ600人が参加して大きく成功し、その後、京都、大阪、仙台など各地で開催されていった集会です。今回の集会は、その伝統ある名前を引き継いで開催することになりました。

 
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いまこそ必要だ!「青年の力」 国公青年フォーラム定期総会
 
 10月12日、東京都内で国公青年フォーラムの定期総会が開催され、全司法から4名が参加しました。総会では、全体討論のほかに、国公労連笠松書記長から、「労働組合が勝ち取ってきたもの」と題して講義が行われ、これを受けて分散会を行いました。

人事院勧告とデジタル化の課題

 冒頭、吉原国公青年フォーラム運営委員長は、「今年の人事院勧告により青年層は大幅な賃上げが実現したが、中高年層には不十分。賃上げは組合の成果としてアピールしつつ、今後も全世代の賃上げを求めていくことが大切だ」と述べました。全体討議では、各単組の参加者から「デジタル化を名目にした人員削減が行われている」という指摘や「全国規模の集まりを来年は募集人数を倍にして行う」という青年の活動が報告されました。
 全司法からは前島一仁さん(青年協常任委員)が「暮らしむきアンケートで全国の青年の要求を集め、当局との交渉で主張した」「裁判手続のデジタル化が事務の簡素化・効率化に直結していない」と報告しました。

労働組合の歴史と運動の伝承

 討議後は、国公労連笠松書記長が「労働組合が勝ち取ってきたもの」と題した講義を行いました。笠松書記長はこれまで組合が勝ち取ってきた結果や、その成果を勝ち取るためのとりくみを紹介したうえで「青年が組合の成果を理解し、次世代に伝えていくことが重要だ」と強調し、組合員の減少に対しては「青年の力」が不可欠であるので、青年自身が楽しんで活動して組合を盛り上げてほしいと呼びかけました。
 講演後は、今後労働組合が勝ち取りたいものをテーマに分散会が行われ、週休3日制やテレワーク、副業の実現など青年らしい意見が交わされました。また、新しい要求だけでなく、かつて勝ち取ったが今は失われてしまった権利を取り戻すことの重要性についても指摘がありました。
 役員改選では、全司法からフォーラム運営委員を3年間務めた丹羽秀徳さんと同じく2年間務めた小田春香さんが退任しました。お二人の貢献によって国公青年フォーラムが全司法にとってより親しみやすい存在となりました。今期は村上が受け継いでいきます。

 
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