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全司法新聞
 
みんなの力で要求を実現させよう
2024年秋季年末闘争方針のポイント
 

 地連・支部の重点要求の実現をめざす秋季年末闘争がスタートしました。デジタル化への対応や家庭裁判所の人的体制整備が待ったなしの状況になっています。
 秋の課題や地連・支部におけるとりくみのポイントについて井上書記長に聞きました。

秋は組合員の切実な要求を実現させる重要な時期

井上隆博書記長
秋は「地連・支部が主役」と言われるのはなぜですか?
 秋年期は、来年4月期の人員配置をはじめ、異動要求の実現や昇任・昇格発令など、組合員の切実な要求を実現させる重要な時期です。
 最高裁は8月30日、次年度予算案の概算要求を財務省に提出しました。予算案として確定するまでに若干の変動はありますが、裁判所全体の枠がほぼ決まったことになります。今後、12月の予算案確定にむけて、下級裁との間で配置定員等の検討(見直し)が行われることから、12月初旬までに対応当局との交渉を実施し、地連・支部の重点要求の実現を求めていく必要があります。そうしたことから、秋は「地連・支部が主役」と言われています。
 また、最高裁回答を活用する観点から、最高裁回答とかい離している実態がある場合は「職場実態は最高裁回答と違う」と指摘し、改善を求めていくことも重要です。

家裁の体制整備、デジタル化への対応等が重点課題

秋の重点課題は何ですか?
 共同親権等の民法改正を踏まえ、家庭裁判所の人的・物的充実を求めていくことが最大の課題です。家裁はもともと繁忙で、職場からは切実な増員要求が出されています。こうした状況のもとで共同親権をはじめとした民法改正に基づく事務が加わることを考えれば、書記官・家裁調査官の増員をはじめ、家裁の人的体制の整備は待ったなしの状況です。とりわけ、子の意思把握等の重要な役割を担う家裁調査官の増員は欠かせないことから、次年度予算案で家裁調査官の追加要求を含む大幅増員を求めます。11月23日には「家裁を考える集会2024」を開催しますので、多くの組合員の視聴を呼びかけます。
 デジタル化への対応も引き続き重要な課題です。民事裁判手続のデジタル化は、2025年度中にも改正民訴法の全面施行(フェーズ3)が予定されており、その後、家事事件や刑事手続のデジタル化も順次行われることから、改正法の全面施行にむけて物的環境整備も含めた対応が喫緊の課題となっています。「国民のための裁判所」の実現と裁判所のデジタル化にむけた予算獲得をめざす全司法大運動(裁判所の人的物的充実を求める請願署名)のとりくみの重要性がさらに増していることから、職場の内外で積極的なとりくみをお願いします。

病休やメンタル不調の増加で職場の人が足りない

 また、職場では、長年に渡る人員削減、育児や介護等の両立支援制度を利用する職員の増加、病気による休暇や休職、急な退職等によって定員上の配置があっても実際に勤務している職員が少なく、余裕がないために繁忙になっています。とりわけ中・小規模庁では、ギリギリの人的体制となっているもとで、病休者や退職者等が出るなどした場合に応援等の対応ができなかったり、応援等職員を出した職場の繁忙度が上がるなど、苦慮している実態があります。
 メンタルヘルスの不調を抱える職員の増加も深刻です。短期の休暇取得や不調を抱えながら出勤している職員を含めると相当数にのぼることから、職員の健康管理に対する考え方を改めさせ、健康管理施策の抜本的な見直を求めていくことも必要です。
 地連・支部において、こうした切実な職場実態を対応当局に伝え、必要な人員を確保するよう追及を強めていく必要があります。

超過勤務について、管理職からの声掛けはありますか?

最高裁回答の活用とはどういうことですか?
 例えば、諸要求期の交渉において、最高裁は、「超過勤務の管理について(事務連絡)」を発出したことを明らかにしました。この事務連絡には、各職場で「管理職員から部下職員に対し、事前の申告等についての声掛けを行う」「部下職員や部下職員の属する係の事務内容や進捗状況を含め適切に管理する」「事後に成果を確認するなどの方法により、その状況を的確かつ遅滞なく把握する必要がある」「始業前や昼休み、休日における勤務であっても変わるものではない」といった記載がありますが、職場で記載どおり声掛け等が行われているでしょうか。
 超過勤務時間は、各庁の配置人員を検討するための指標となっているものですから、超過勤務が適切に把握されていない職場がある場合は速やかに是正させる必要があります。まずは、事務連絡の記載内容に沿った運用が全ての職場で行われるよう追及を強めていきましょう。

「新たな組織方針」を共有し、議論し、広げていこう

組織強化・拡大に関してはどのようにとりくめばよいですか?
 7月に開催した第81回定期大会で確立した「新たな組織方針」(「仲間を増やす」「参加する人を増やす」「担い手を増やす」とりくみに全力をあげて、全司法をみんなで一緒に活動する組織に変えよう)に基づくとりくみをすすめることが求められます。
 「仲間を増やす」とりくみとして、新採用職員の加入拡大と役降り職員や非常勤職員などの未加入者の加入にむけた働きかけを提起していますし、「参加する人を増やす」「担い手を増やす」とりくみとして、職場会のとりくみを重視するとしています。
 全司法をみんなで一緒に活動する組織に変えていくために身近な組合活動への参加を呼びかけます。

 
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RoootS(e事件管理システム)は大丈夫か?
 

「使い勝手が悪い」と先行導入庁からの声

 民事裁判のIT・デジタル化の要となるe事件管理システム(RoootS)が7月16日から最高裁、広島高地家簡裁、札幌高地家簡裁で先行導入されていますが、定期大会等を通して、札幌と広島の組合員から問題点を指摘する様々な意見が出されています。
 特に意見が集中しているのは、MINTASでワンアクションでできていた作業について、一つ余計な手数が増えていることや、帳票の出力に関する不満です。NAVIUSはシステムダウンが契機となって、職員の信頼を決定的に失いましたが、それ以前から使い勝手の悪さ、とりわけ帳票出力に関する不満が出されていました。帳票の作成は書記官事務で大きな位置を占める作業であり、「出力した結果を示す」ことは、紙で作成する場合だけでなく電子データとして扱う場合であっても軽視できません。インターフェースはMINTASで中身はNAVIUSでは困ります。

1月6日から全庁導入を目指すとしているが…

 また、先行導入庁で出された意見がどのように活かされるのかという点でも不安を感じます。
 最高裁は来年1月6日から全庁導入することを目指すとしており、「全庁導入にむけては、RoootSの安定稼働を最優先にすべきであり、まずはバグの修正を優先したい」とし、「全庁での安定稼働が確保された後、どの程度の改修が可能になるのかということについては、改修項目とその効果やシステムに与える影響、他のシステム開発の状況などを総合的に、かつ慎重に見極めて、改修の可否を検討していきたい」と述べるにとどまっています。現場からは「先行導入庁の現場の職員が使いづらいと感じて、変えた方がよいと指摘した点は、可能な限り仕様変更しなければ、先行導入の意味がない」との意見が出されています。
 デジタル化に関わっては、設計思想などの基本的な考え方をきちんと説明し、双方向での意見交換をする中で見直すべきところは見直し、必要であれば代替手段を検討するなど、現場と一緒に作っていく姿勢が必要です。スケジュールありきで全国導入を進め、不十分なシステムを使い続けることになれば、事務が煩雑になり、簡素化・効率化どころか、職員に負担がかかるだけのデジタル化になることも懸念されます。
 2025年度の民事裁判デジタル化の完全実施に向けて、今が最も重要な時期ですから、最高裁も真剣に向き合う必要があると考えます。


先行導入庁から寄せられた意見(抜粋)

*NAVIUSでは帳票をダウンロードして開かないといけなかったが、RoootSも同様。それをやっていると、ダウンロードファイルがどんどん増えていく。
*アレンジした帳票、カスタマイズをする際に、事件情報から情報を引っ張ってきてカスタマイズする必要があるが、引っ張ってこれないものがある。手入力したり、一手間、二手間掛けて帳票を出している。
*マニュアルの構築も不完全だし、不具合解消のフィードバックが遅かったり、先行導入庁への共有のやり方もいまいちなので、本格稼働の際も今回の先行導入時のような見切り発車となるとトラブルの規模が半端なさそうで想像すると怖いです。
*不具合をフォームに各自入力するようになっているが、入力するのは非常に手間であるうえに、労力をかけて問い合わせをしても「そういう仕様」と回答されるとモチベーションが落ちる。「使いづらいから直して欲しい」という趣旨で問い合わせをしている件がほとんどだと思うので、直そうとする姿勢を見せてほしい。
*フォームに入力するだけでは、最高裁に現場の危機感が伝わっていないと感じるので、一度ウェブ会議をしてはどうか。
 
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新連載「運動の成果」を共有しよう@
「悲願」の通勤手当改善、勝ち取ったよ!
 

ほぼ完璧に近い形で実現

 国公九州ブロックの悲願であった特急料金全額支給について、今年の人事院勧告で、ほぼ完璧に近い形で実現することができました。15万円が上限額とされましたが、博多を基準に見ると東は徳山、南は新八代まで、距離にして200キロ弱が対象となり、現実的な通勤の範囲は概ねカバーできています。また、短縮効果30分の支給要件緩和も求めてきましたが、これも撤廃させることができました。
 こうした要求実現を勝ち取れたのは、要求と運動が全国に広がり、人事院本院を動かしたからであり、まさに労働組合のたたかいの貴重な成果です。

「当たり前」の運動を着実に行ったことが実現に結びついた

 
 国公九州ブロックはこの間、特急料金全額支給を最重点要求の一つに位置づけ、人事院九州事務局への追及強化を軸にとりくんできました。
 昨年度は通勤手当全額支給を求める要求署名を行ったことに加えて、2年連続で通勤手当にかかる自己負担の実態アンケートを行い、その分析結果と組合員の生の声を提出して、要求の切実さを訴えてきました。こうした調査結果に裏付けられた主張が大きな力になったと分析しています。
 加えて、6月には給与制度のアップデートの課題単独で、通常の交渉の枠組みとは別枠で九州事務局長交渉も配置しました。
 また、県労連とも共同し、人事院包囲行動を官民一体でとりくみました。これらの運動を展開する中で、人事院九州事務局長は「職員団体や各庁当局からも強い要望が出されている」と回答し、本院への上申と人事院総裁にも直接要求を伝えていることを明らかにしました。立憲民主党の古賀之士議員が私たちの要請を受けて、国会で人事院を追及したことも、大きな後押しとなりました。
 要求を実現するために必要かつ「当たり前」の運動を着実に行ったことが、要求実現に結びついたと考えています。こうした運動の成果を確信とし、引き続き地域から運動を強めていきたいと考えています。

 
 
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