7月18日、全司法本部は「2024年人事院勧告にむけた重点要求書」及び「労働者本位の『給与制度のアップデート』を求める要求書」に基づく要求の前進をめざし、最高裁人事局富澤総務課長との交渉を実施しました。
公務員賃金の大幅引上げ
職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい
冒頭、公務員賃金を大幅に引き上げ、職員の生活と労働の実態にふさわしい水準に改善するよう求めました。最高裁は、「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」とした上で、「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
給与制度のアップデート
人事院の動向を見守っていきたい
「給与制度のアップデート」について、全司法の要求を十全に踏まえるとともに、協議を尽くし、合意を前提とするよう要求したことに対して、最高裁は、「引き続き人事院の動向を見守っていき、説明できる段階になり次第、説明することとしたい」と回答するにとどまりました。
アップデートの具体的な内容にかかわっては、若年層はもとより中高年齢層を含めた俸給額改善、60歳超職員の給与減額措置廃止、「優秀者」に限定した給与水準や勤勉手当の成績率引上げ中止、地域手当見直しにあたっての地域間格差の是正・縮小、配偶者に係る扶養手当の廃止・縮小を引換えにしない子に係る扶養手当の増額、通勤に必要な経費の全額支給、再任用職員の諸手当の常勤職員との同一化等を主張し、最高裁として人事院に働きかけるよう求めました。最高裁は、「人事院の動向を見守っていきたい」「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答するにとどまりました。
人事院からアップデートの詳細な検討内容が示されず、給与水準の引下げや勤務条件の不利益変更も不安視される中、早急に人事院が検討状況を説明しなければ、アップデートそのものの見送りを要求せざるを得ないことを主張し、最高裁から人事院に対して内容の説明を求めるべきであると追及しました。これに対して最高裁は、「意見として承っておく」と回答するにとどまりました。
非常勤職員の「公募3年要件」の廃止
裁判所として適切に対応できるよう努めたい
人事院が6月28日、いわゆる「公募3年要件」を撤廃したことについて、最高裁としてどのように対応するのか明らかにするよう求めたことに対して、「これから検討していく」とし、「裁判所として適切に対応できるよう努めたい」と回答しました。この回答をふまえ、「公募3年要件」撤廃を契機に、雇用の継続を希望する非常勤職員は任期を更新することを原則的な運用とするよう求めました。
また、ステップアップ制度の積極的活用、病休の有給化をはじめとする休暇制度の拡充等を求めましたが、いずれも従前どおりの回答にとどまりました。
暫定再任用短時間勤務
個別の事情を踏まえつつ、短時間も認めるよう運用を変更
暫定再任用職員について、短時間勤務を選択できるよう求めたことに対して、最高裁は「雇用と年金の接続という観点から、フルタイム勤務が原則」と述べつつ、従前回答を一部変更し、「暫定再任用短時間勤務職員の採用は、職員の個別の事情を踏まえつつ、適切な公務運営の確保という要請等も考慮しながら検討していく」と回答しました。
なお、交渉後の7月26日に「安定的な公務運営に支障がないと判断された場合は、任命権者の判断により、暫定再任用短時間勤務職員(中略)として採用されることも考えられる」と回答しました。
速報・2024年人事院勧告
・月例給…官民較差11,183円(2.76%)を用いて引上げ
初任給を大幅引上げ、若年層を重点に全ての職員について改定
・ボーナス…0.10月分引上げ(期末、勤勉に0.05月分)
・地域手当…都道府県単位を基本に20〜4%の5級地に再編
・寒冷地手当…月額11.3%引上げ、支給地域を見直し
・通勤手当…上限を15万円に引上げ、新幹線等も限度額の範囲で全額支給
・配偶者に係る扶養手当を廃止、子に係る手当を引上げ
・再任用職員に住居手当、寒冷地手当等を支給
・民間労働法制の内容も踏まえ、育児時間等の改定(意見の申出)
詳細は次号で!
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