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全司法新聞
 
大量退職・採用期の今
組織強化・拡大の前進に向けた転機を切り拓こう
全司法第81回定期大会
 
 全司法は7月21〜23日に、「仲間を増やし、担い手を増やし、みんなで活動する組織に変わろう!」をメインスローガンに第81回定期大会を開催しました。
 組織を維持し、強化・拡大への前進に向けた転機を切り拓く上で、大量退職・採用期の今がまさに「正念場」であることから、「仲間を増やす」「参加する人を増やす」「担い手を増やす」という3つのとりくみに全力をあげることを確認する大会となりました。
 

48支部の54名の代議員が集合参加

全司法の役割を広く伝え、組合員拡大につなげよう

 定期大会には、代議員・オブザーバー・執行部・来賓など全体で94名が出席し、大会議長に選出された安藤明日香代議員(愛知)、副議長に選出された河上真啓代議員(大阪)の進行で議事がすすめられました。
 開会あいさつで中矢中央執行委員長は「今に繋がる様々な問題が始まった時期」だとして2000年代の情勢と全司法の活動を振り返り、「全司法が果たす役割が正確に伝わり、職場に広がっていけば、大量退職・採用期には組織拡大・強化に向けて、これまでと違った動きが起きる可能性がある」と指摘し、そのためのとりくみを職場から実践しようと呼びかけました。
 来賓あいさつに続いて、運動方針案を提案した井上書記長は、大会議案書の冒頭に全組合員に向けたメッセージを掲載したことに触れて、「今大会は、結成以来、多くの先輩方がバトンを繋ぎ、ずっと大切にしてきた全司法という組織を次の世代につなげ、全司法をみんなで一緒に活動する組織に変えていくために、いま何をすべきかを考える重要な大会」だと述べ、組合員同士の「対話」を重視し、「仲間を増やす」「参加する人を増やす」「担い手を増やす」という3つのとりくみを積極的に行っていきたいと提案しました。
 また、2024年諸要求貫徹闘争における最高裁交渉の結果について、ただ働き残業の根絶(下級裁あて「事務連絡」の発出)、簡素化・効率化の観点からの事務処理の統一(標準化)、ストレスチェックの活用、専任事務官の処遇改善(訟廷管理係長、新たな類型の専門職の拡大)、電子速記タイプライターのメンテナンスなど要求の前進面を報告し、「全司法には前進回答を引き出す力があるということを組合員の確信につなげ、『職場のルールを作る』全司法の役割を職場に広く伝え、組合員拡大につなげていくことも重要」だと述べました。
 討論では、RoootSの先行導入の状況、宿日直の負担軽減、離婚後「共同親権」の導入等を見据えた家裁の人的態勢整備などの要求課題や、組織強化・拡大のとりくみなど、のべ72名から発言がありました。

運動と予算のあり方を検討・議論することが必要

 財政では、一般会計予算案及び特別会計予算案に対して、鞆田順一代議員(香川)から宮城支部及び千葉支部の未納組合費の一部を一般会計の予備費から支出して減額する修正案、制度改革闘争特別会計の特別費として組合員一人あたり2000円を徴収する修正案が、東山広利代議員(愛媛)から予備金の半分を新人対策交付金に回す修正案が提出され、執行部が提出した議案(原案)とともに討論が行われました。その結果、修正案はいずれも否決され、執行部提出の原案が可決されました。
 なお、第2号議案として節約執行の観点から旅費規程の見直しが行われるとともに、大杉財政部長から「2025年度以降の一般会計にかかわっては、運動と予算のあり方についての検討や議論を行う」必要性が示され、財政面からも「組織強化・拡大のとりくみに総力をあげることを固く意思統一する必要がある」ことが指摘されました。

書記次長に吉村さん、青年対策に村上さんを選出

 役員選挙では、立候補者全員が信任されました。専従役員では、新たに吉村直人さん(鹿児島)を書記次長に、村上昇平さん(釧路)を青年対策の中央執行委員として選出しました。また、猪股陽子書記次長(宮城)が副委員長となり、大杉浩二副委員長(東京高裁)、小田春香中央執行委員(福岡)及び丹羽秀徳中央執行委員(愛知)は退任。あわせて、大杉さんに顧問を委嘱することとしました。
 最後に「共同親権等の民法改正を踏まえ、家裁の人的・物的充実を求める決議」と「大会宣言」を採択し、団結ガンバローで閉会しました。

 
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「労働組合に入って変えていこう」のメッセージを伝えよう
中矢委員長あいさつ
 

「失われた30年」の始まり
あいさつする中矢委員長

 結成80周年に向けて全司法史の編纂を行っていますが、その中で2000年代の出来事について検討・議論する機会を持ちました。この時代は今に繋がる様々な問題が始まった時期にあたります。
 今、職場では人員不足の解消が切実になっていますが、2006年2月に内閣官房長官が裁判所などに対して、行政機関に準じて定員削減に協力するよう異例の申し入れを行い、最高裁が「協力していきたい」旨回答しました。これが、最高裁が今もまともに増員を要求できない「呪縛」になっていると考えられます。
 日本の社会全体を見ると、「改革」の名のもとに新自由主義にもとづく政策が次々に実行され、社会が作り変えられていった時代です。大企業最優先の政策が進められる一方で「自己責任」が強調され、社会保障や労働法制をはじめ、公的な仕組みに支えられた国民生活の安心・安全が失われていくもとで、格差と貧困の拡大などの矛盾が大きくなっていきました。日本だけが賃金が上がらず、最近になって「失われた30年」と呼ばれるようになった時代の始まりです。

「働きやすい職場」を守り続けた全司法の役割

 そんな政策を進めようとすると、普通、国民からの大反発を受けることになります。そこで使われたのが、公務員バッシングであり、労働組合バッシングでした。それが、今日の私たちが抱える困難の始まりだったということを見ておきたいと思います。
 そんな2000年代の全司法の活動はどうだったでしょうか?
 公務員制度改革と司法制度改革という新自由主義に根を持つ二つの「改革」を前にして、一言で言えば「嵐の中」で、要求や運動の工夫をし、時には悔しい妥協もしながら、国公労連に結集して公務員バッシングとたたかい、司法制度改革の情勢と全司法大運動によって「司法の特殊性」を強調することで、基本的には裁判所の職場を守り続け、「働きやすい職場」であり続けることが出来たと考えています。全司法が果たした役割はきわめて大きく、それを誇りにしたいと思います。
 しかし、克服できなかった最大の問題がありました。それが組合員の減少であったと、私は考えています。

若い人たちの「生きづらさ」に耳を傾けよう

 「改革」の結果生まれた社会が現実のものとなりましたが、裁判所に限らず若い世代のメンタルヘルスが悪化し、お金が不安で結婚できない、子供を作ろうという気にならない、そういった生き辛さを若い人たちは感じています。「仕事が忙しくてたいへん」「賃金が低くて生活が苦しい」「嫌なことがあったら転職する」…、そんな若い人たちの声に耳を傾け、「労働組合に入って変えていこう」というメッセージをきちんと伝えていきましょう。組合員みんなで行動し、全司法が果たす役割の重要性が職場に広がっていけば、大量退職・採用期には組織拡大・強化に向けて、これまでと違った動きが起きる可能性があると考えています。本大会を、そのことに全力をあげる決意を固める大会にしましょう。

 
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総括答弁(要旨)
「仲間を増やす」「参加する人を増やす」「担い手を増やす」の
3つのとりくみに全力を挙げて、
全司法をみんなで一緒に活動する組織に変えよう

全司法大運動

総括答弁する井上書記長

「裁判所の人的・物的充実」という世論を形成していく

 全司法大運動について、他団体への要請や国会議員の地元事務所訪問などのとりくみが報告された。2024年度のとりくみをすすめていく上で最も重視すべきは「裁判所の人的・物的充実を求める請願署名」の集約数を増やすことだ。他団体への要請を積極的に行って署名の集約数を伸ばしていこう。
 また、他団体への要請や国会議員に働きかけることは世論を作る活動そのものである。裁判所の人的・物的充実が必要という世論を形成していくために全国一丸となってとりくみをすすめていこう。

職場諸要求

家裁の人的体制整備が必要

 増員に関わって、離婚後「共同親権」の導入を見据えて家庭裁判所の人的態勢を整備する必要性が指摘された。家事事件担当部署は現状でも繁忙で、親権という紛争性の高い事件を扱うことになれば繁忙状況に拍車がかかることになる。とりわけ、子の意思を調査する家裁調査官は重要な役割を担うことになり、家裁調査官の増員は欠かせない。
 裁判所の人的・物的充実を求める全司法大運動のとりくみとともに、本大会で「共同親権等の民法改正を踏まえ、家裁の人的・物的充実を求める決議」を採択し、これも活用して家庭裁判所の人的・物的充実の必要性を広く訴えていこう。

メンタルヘルス不調者を出させない職場に

 職場でメンタルヘルスの不調を抱える職員が急増している実態が報告された。メンタルヘルス対策については、諸要求期の交渉で「原因を分析し、原因を取り除くことや職場復帰の手厚いサポートを行うことは重要」との認識を示させた。こうした最高裁回答も活用しながら、メンタルヘルス不調を抱える職員を出させないよう追及を強めていくことが重要だ。
 また、カスタマーハラスメントが増加している実態が報告された。カスタマーハラスメントは職員個人で対応させるのではなく、組織的な対応を求めていくことが重要だ。

RoootSの改修を求めていく

 デジタル化に関して、e事件管理システム(RoootS)の先行導入によって職場が混乱している実態や今後の課題などが指摘された。RoootSは、来年1月頃から全国展開されることから、先行導入庁での検証を踏まえ、全国導入までの間に必要な改修を求めていく。
 また、コミュニケーションツールの導入によって、情報共有、情報伝達がかえって煩雑になったことや、マイクロソフト365の運用が現場任せになっているという実態が報告された。コミュニケーションツールについて、@情報伝達、Aレファレンス、B効率化という観点で組織的な運用を検討し、最高裁として指針を示すよう求めていく。

宿日直体制の見直しは急務

 宿日直・連絡員体制の見直しを求める発言が多くあった。裁判所全体の人員が減少し、とりわけ、地家裁支部をはじめとした管内の人員配置が減少しているために宿日直・連絡員体制に関する要求は年々強くなっている。
 また、対応当局から宿日直の割当て等の見直しについて提案を受けたという報告がされた。男性職員の人数減少や病休者、育児を抱える職員の増加など、宿日直免除者が増加していることから、現状の宿日直体制を見直す時期にきている。令状センター構想の実現を待つのではなく、中・小規模庁の負担軽減にむけて、現行の体制でできるところから見直しを求めていく。

切実な異動要求の実現を

 異動に関わって、介護離職する職員が増加している実態が報告された。切実な異動要求の実現にむけて、1月に開催した第84回中央委員会における討論を踏まえ、諸要求期のとりくみとして全国の異動要求を集約し、「異動要求者名簿」を確立して三局交渉の中で最高裁に提出した。来年4月期に異動が実現するようとりくみを強めていこう。

職種・階層

上京団交渉で当事者が訴えていくことが重要

 行(二)職に関わって、処遇改善のとりくみを強化していくべきという発言があった。上京団交渉を活用しながら追及を強めていきたいと考えているので、当事者である行(二)職の参加を追求する。
 速記官に関わって、電子速記タイプライターの使用に必要な備品等の整備を求める意見があった。メンテナンスの内容等を速やかに明らかにさせていくとともに、今後も速記官が安心して働けるよう、使用にあたって必要となる備品等の整備等を求めていく。

 青年の運動に関わって、各地で開催されたレクや青年部の活動が報告された。青年が「集まる」場を作っていくことは重要なとりくみであり、全ての支部でこうした「青年の組織化」のとりくみを実践してもらいたい。
 中高年の運動に関わって、定年前再任用短時間勤務職員として勤務した経験が語られた。「配置される部署では増員効果が生じる」という発言も参考に、繁忙解消やワークライフバランスが実現できる人的態勢の整備につなげていこう。

組織強化・拡大

「新採対策ワークブック」を活用して仲間を増やそう

 「仲間を増やす」とりくみに関わって、4月期新採用職員に対する働きかけが報告された。新採用職員の加入拡大は「仲間を増やす」ために欠かせない。202 4年度は、全ての支部が「新採対策ワークブック」を活用して準備等をすすめ、「ファーストアタック」を実践しよう。
 「参加する人を増やす」のとりくみに関わって、職場大会や職場会の実施、朝ビラのとりくみが報告された。「参加する人を増やす」ために最も重視すべき活動は職場会だ。職場の声を集めて要求にしていくことは要求組織そのものであり、「要求を実現し、職場のルールを作る役割」を発揮することにもつながる。
 また、世話役など、職場の組合員に関わってもらうことは「担い手を増やす」とりくみにもつながることから、2024年度は、全ての職場で職場会を実施しよう。

 結成以来、多くの先輩方がバトンを繋ぎ、ずっと大切にしてきた全司法という組織を次の世代につなげていくために、「仲間を増やす」とりくみ、「参加する人を増やす」とりくみ、「担い手を増やす」とりくみの3つのとりくみに全力を挙げて、「全司法をみんなで一緒に活動する組織に」変えていこうと呼びかけたい。

 
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来賓あいさつ、祝電・メッセージの紹介
 
 大会には3人の来賓が出席され、激励と連帯のご挨拶をいただきました。

政府の政策に最高裁が自ら協力する理不尽がまかり通っている

仁比聡平
日本共産党参議院議員


 仁比議員は、裁判官(出身の官僚)と国会等で司法の問題について話し合う中で「日本の司法はこれで良いのだろうかと感じます」と述べました。「司法予算が国家予算のわずか0・3%という中で、政府の政策に最高裁が自ら協力する理不尽がまかり通っている」と言い、「通常国会で議論になった共同親権をはじめ、みなさんの職場に新たな役割を担ってもらおうという法案が審議されるたびに、最高裁は『成立すれば適切に対応していきたい』と言うばかりで、増員要求に背を向けている」と批判しました。
 また、最高裁が協力するとしている政府の政策について「大企業がこの10年で純利益を3倍に伸ばす一方で、格差社会が異常な状況に陥っている」と述べ、「裏金利権、大軍拡の政治に司法が協力する姿勢を変えさせることは国民的な願いであり、『国民のための裁判所』実現のために頑張り抜いている全司法の存在こそ希望だと思います」とエールを送りました。あわせて、「ガザ、ウクライナ、沖縄などで起きている、戦争の危機から目をそらさずに直視することも呼び掛けたい」と訴えました。
 全司法のとりくみを通して「若い職員のみなさんから職場実態をお聞きするのが意義深い、楽しい懇談の場になっています。これからも、みなさんの声を国会に届けるためにがんばります」と述べました。

労働組合が職場からなくなれば、多くの労働者が苦しむのは明らか

九後健治
国公労連中央執行委員長


 国公労連の九後委員長は24春闘の到達点について「26年ぶりの大幅賃上げを実現した。これは、労働者にとって最大の武器であるストライキこそが賃上げを実現するカギだということを意思統一し、粘り強くたたかった成果だ」と述べました。あわせて「国公労連でも、長年たたかってきた様々な要求が前進している」として、政府の定員削減目標を半分に縮減させたことや、非常勤職員の「3年公募要件」を撤廃させたことを挙げ、「たたかえば要求は前進するということを確信にして、組織拡大につなげていただきたい」と述べました。
 一方、「だからこそ財界・大企業は、労働組合の運動や組織を脅威に感じ、何とかそれを抑え込もうとしています」と指摘し、33年ぶりの賃上げを実現したとする連合の職場で、要求を上回る賃上げを行ったり、交渉前に使用者が賃上げを公表する動き、政府が「労使コミュニケーション」を前提に労働基準法を下回っても良いとする検討まで行っていることを紹介し、「労働組合などあってもなくても同じ、自分ががんばればそれでいいと考えて、労働組合が職場からなくなれば、多くの労働者が苦しむのは明らか、それにストップをかけられるのは労働組合しかなく、職場と地域に根を張った全員参加型の組織と、それを支える仲間が必要」と指摘して、全司法の組織強化・拡大への期待を表明しました。

丁寧に組合員の要求を聞き、当局に伝え、組合員にフィードバックしていく

亀岡希和
全法務省労働組合書記長


 全法務の亀岡書記長は、法務局の増員要求について、昨年度の通常国会で全法務の増員請願署名が採択されなかったことに触れつつ、「全司法のみなさんと一緒に、業務量に見合った要員確保に向け全国の職場から奮闘していきたい」と決意を表明しました。
 また、最近の職場状況について、相続登記の義務化に伴う相談業務の増加や、年度末に登記のオンライン申請が集中し、システムが止まってしまったことをあげ、全法務として問題の解決に向けて対応してきた経過を紹介しました。
 「健康で働き続けられる職場環境、職員の処遇改善、業務量に応じた人員などを要求し、少しずつでも実現するためには、全法務の力を大きくし、次の世代につないでいくことが必要だと考えています」と述べ、「丁寧に組合員の要求を聞き、その声を当局に伝え、その姿を組合員にフィードバックしていくことを繰り返していく中で、展望が開けるのではないかと考えています」と述べて、全司法と一緒に奮闘し合うことを呼びかけました。

メッセージ一覧

 以下のとおり大会への祝電・メッセージをいただきました(順不同、敬称略)

衆議院議員

逢坂誠二、金子恵美、鎌田さゆり、櫻井周、野間健、屋良朝博、柚木道義、米山隆一

参議院議員

良鉄美、田名部匡代、芳賀道也

労働組合

全国労働組合総連合、全税関労働組合、全厚生労働組合、全日本国立医療労働組合、全経済産業労働組合、国土交通労働組合、全情報通信労働組合、全労働省労働組合、国家公務員一般労働組合、日本国家公務員労働組合連合会共済会

その他

裁判所退職者の会全国連合会、裁判所速記官制度を守り、司法の充実・強化を求める会、原水爆禁止日本協議会、日本国民救援会中央本部、中央社会保障推進協議会、労働者教育協会、日本子どもを守る会、株式会社きかんし、中央労働金庫霞が関支店

 
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人事院の検討状況の提示はきわめて限定的
人事院勧告にむけた最高裁交渉
 

 7月18日、全司法本部は「2024年人事院勧告にむけた重点要求書」及び「労働者本位の『給与制度のアップデート』を求める要求書」に基づく要求の前進をめざし、最高裁人事局富澤総務課長との交渉を実施しました。

公務員賃金の大幅引上げ
職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい

 冒頭、公務員賃金を大幅に引き上げ、職員の生活と労働の実態にふさわしい水準に改善するよう求めました。最高裁は、「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」とした上で、「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。

給与制度のアップデート

人事院の動向を見守っていきたい

 「給与制度のアップデート」について、全司法の要求を十全に踏まえるとともに、協議を尽くし、合意を前提とするよう要求したことに対して、最高裁は、「引き続き人事院の動向を見守っていき、説明できる段階になり次第、説明することとしたい」と回答するにとどまりました。
 アップデートの具体的な内容にかかわっては、若年層はもとより中高年齢層を含めた俸給額改善、60歳超職員の給与減額措置廃止、「優秀者」に限定した給与水準や勤勉手当の成績率引上げ中止、地域手当見直しにあたっての地域間格差の是正・縮小、配偶者に係る扶養手当の廃止・縮小を引換えにしない子に係る扶養手当の増額、通勤に必要な経費の全額支給、再任用職員の諸手当の常勤職員との同一化等を主張し、最高裁として人事院に働きかけるよう求めました。最高裁は、「人事院の動向を見守っていきたい」「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答するにとどまりました。
 人事院からアップデートの詳細な検討内容が示されず、給与水準の引下げや勤務条件の不利益変更も不安視される中、早急に人事院が検討状況を説明しなければ、アップデートそのものの見送りを要求せざるを得ないことを主張し、最高裁から人事院に対して内容の説明を求めるべきであると追及しました。これに対して最高裁は、「意見として承っておく」と回答するにとどまりました。

非常勤職員の「公募3年要件」の廃止

裁判所として適切に対応できるよう努めたい

 人事院が6月28日、いわゆる「公募3年要件」を撤廃したことについて、最高裁としてどのように対応するのか明らかにするよう求めたことに対して、「これから検討していく」とし、「裁判所として適切に対応できるよう努めたい」と回答しました。この回答をふまえ、「公募3年要件」撤廃を契機に、雇用の継続を希望する非常勤職員は任期を更新することを原則的な運用とするよう求めました。
 また、ステップアップ制度の積極的活用、病休の有給化をはじめとする休暇制度の拡充等を求めましたが、いずれも従前どおりの回答にとどまりました。

暫定再任用短時間勤務

個別の事情を踏まえつつ、短時間も認めるよう運用を変更

 暫定再任用職員について、短時間勤務を選択できるよう求めたことに対して、最高裁は「雇用と年金の接続という観点から、フルタイム勤務が原則」と述べつつ、従前回答を一部変更し、「暫定再任用短時間勤務職員の採用は、職員の個別の事情を踏まえつつ、適切な公務運営の確保という要請等も考慮しながら検討していく」と回答しました。
 なお、交渉後の7月26日に「安定的な公務運営に支障がないと判断された場合は、任命権者の判断により、暫定再任用短時間勤務職員(中略)として採用されることも考えられる」と回答しました。

速報・2024年人事院勧告

・月例給…官民較差11,183円(2.76%)を用いて引上げ
 初任給を大幅引上げ、若年層を重点に全ての職員について改定
・ボーナス…0.10月分引上げ(期末、勤勉に0.05月分)
・地域手当…都道府県単位を基本に20〜4%の5級地に再編
・寒冷地手当…月額11.3%引上げ、支給地域を見直し
・通勤手当…上限を15万円に引上げ、新幹線等も限度額の範囲で全額支給
・配偶者に係る扶養手当を廃止、子に係る手当を引上げ
・再任用職員に住居手当、寒冷地手当等を支給
・民間労働法制の内容も踏まえ、育児時間等の改定(意見の申出)

 詳細は次号で!
 
 
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