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全国からオンラインで参加 |
2月10日、初の試みとなる「ベテラン役員のための『次世代の担い手』づくり経験交流集会」をオンラインで開催しました。
ベテラン役員に向けたメッセージを伝える集会として企画したものですが、それにとどまらず、全司法の組織の方向性を示す重要な集会となりました。
次の世代に手渡す責任がある
基調報告を行った中矢委員長は、「このままの組織状況では『本部に専従役員を一定数配置して最高裁との交渉・折衝に責任を持ち、都道府県単位で組合員と接する拠点を置く』という『今の組織』を維持できるかどうかの正念場です」と話し始め、同時に、賃上げへの国民的な期待や、ストライキに対する世間の支持が集まっている状況などを根拠に、労働組合の「復権のチャンス」だとの情勢認識を示しました。あわせて、「全司法が裁判所で果たしている役割の大切さとこれまでの成果は誰にも否定できない」ことを強調し、改めて職場に広く全司法への結集を呼びかける必要性を説きました。
そのうえで、この集会の対象として想定した50歳代の人たちに対して「先輩方から全司法を引き継ぎ、全司法のおかげで働き続けることができた私たちが、この『大切な仕組み』を次の世代にきちんと手渡す責任がある」と述べ、「もうひと頑張りして、若い仲間にバトンを繋ぎましょう」と同世代の一人としてメッセージを送りました。
自分の側のバリア(壁)をなくそう
具体的には「20歳代・30歳代に担い手になってもらうことが、私たちの役割」だとして若い仲間と一緒に活動することを提案し、日本で新自由主義の政策をすすめるために公務員や労働組合がバッシングされた時期があること、それによって各世代の人たちが受けた影響について分析・解明したうえで、20・30歳代の一般的な特徴や接するためのポイントを整理しました(図1,2のとおり)。
そのうえで、若い仲間と接するために、@まずはとにかく話をしてみる、A「労働組合が嫌われている」わけではない(「労働組合バッシング」時代のトラウマから脱却しよう)、B「やりたくない」のではなく「やり方がわからない」「やっていいのかどうかわからない」のが実態だとアドバイスし、「自分の側のバリア(壁)をなくそう」と呼びかけました。
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図1 |
図2 |
「お客様扱い」をやめて、一緒に活動する組織に
各地の活動報告では、若手の育成について「退職した先輩が若手に積極的に働きかけていたことが、今の活動の土台になった」(長野)、「本部や青年協の行動などに積極的に若手を送り出している」(鹿児島)、「ベテランがしっかり学習するとともに、思いきって若手に役割を任せている」(九州地連)といった報告がありました。
続いて、小田青年協議長から「バトンを受け取る側」の青年の立場から報告(別掲)があり、各参加者から活動上の悩みとともに感想やとりくみの決意が示されました。とりわけ「青年を『お客様扱い』しないこと」という小田議長の提起に関わって「青年にかかわらず、役員が運動を請け負って、組合員を『お客様扱い』してきたことが、組織の弱体化を招いたのではないか。みんなで一緒に活動する組織に変えていくことが必要だ」との指摘があり、集会のまとめで中矢委員長もその点を強調して、この結果を全国の組合員に広げていくことを確認しました。
「青年の立場」からのメッセージ
全司法青年協議長 小田春香
青年をお客様扱いしないこと
青年と接する上で念頭に置いていただきたいのは、青年を「お客様扱い」しないことです。青年を大切に思うあまり、変に甘やかしてしまうことがあると思います。組合は組合費を支払ってサービスを受けるという性質の組織ではないので、青年に対しても「お客様」ではなく自分たちと同じ「組合員」として接することが大切です。
その上で、もう少し具体的に、以下の4つのことに気を付けていただきたいと思います。
@青年は「組合嫌い」じゃない。
コロナ禍で採用された青年の多くは活動に関わったことがなく、組合に関する知識がない代わりに偏見や誤解もありません。
A成長には挑戦が必要。
青年が成長するためには、時には少し難しいことへの挑戦も必要です。
B時には嫌われる勇気も。
座学や経験をとおして学ぶことは大切ですが、面倒でもあります。時には青年のお尻を叩きながら学びを促してください。
C青年の表面的なニーズに惑わされない。
青年は経験や知識の少なさゆえ、短絡的な意見を出してしまうこともあります。「青年の意見=最先端の意見」と思い込むことなく、冷静な視点から見守っていただきたいです。
バトンタッチの方法
次世代にバトンタッチをしていくために、具体的には次のような行動をとっていただくことが有効だと思います。
@青年が組合になじむため、こまめに話しかけること。
A青年が組合活動に参加するときには、その活動の目的等を説明すること。
B会議は、理解に時間のかかる青年のペースに合わせて進行すること。
C定期的に褒めてやる気を引き出すこと。
D本部や青年協の上京団に青年を積極的に送り出すこと。
E青年を組織し、青年組織の中で先輩から後輩へ活動を引き継いでいく循環を作ること。
F青年のリーダーがひとりぼっちにならないように、複数の青年を一緒に育てること。
G役職を引き継ぐときには、やることリストを作ること。
信頼してほしい
実はすでに全国各地で芽を出し始めている青年がいます。青年たちがやる気になっている背景には、全司法に対する信頼があります。先輩方も青年を信頼して、引き継いでいただきたいです。
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