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全司法新聞
 
「集まる」春闘で物価上昇を上回る賃上げを!
2024年春闘のポイント
 
 労働組合等が一致する要求にもとづいて運動を展開する「国民春闘」がはじまりました。賃上げが国民的大義になるもとで、労働組合に対する期待が高まっており、物価上昇を上回る賃上げを勝ち取ることが求められます。
 全司法は、@職場における対話活動(職場会)、A学習、B青年の組織化の3つのとりくみを柱に、「集まる」とりくみを実践することで国民春闘に結集します。

賃金が下がり続ける国から上がる国へ転換させる

最大の課題は賃上げ

 2024年春闘における最大の課題は賃上げです。前年度比で3%近い物価上昇が続くもとで国民の生活はさらに厳しくなり、経済も悪化しています。
 先日公表された厚生労働省の2023年版「労働経済白書」には、日本の賃金がこの四半世紀の間低迷した原因として、内部留保の増大という分配の在り様の変化と労働組合の交渉力の低下などが挙げられていました。また、非正規労働者の急激な増加と中堅・ベテラン層の賃金低下が全体の賃金を引き下げた要因とも分析されています。
 この30年間、政府・財界が新自由主義の政策を推し進めるために意図的な公務員バッシングとともに、労働組合バッシングを行ってきたことで労働組合は厳しい情勢に置かれてきましたが、賃上げが国民的大義になるもとで、労働組合そのものに対する期待が高まっています。賃上げは労働組合の運動によって実現するものであり、2024年春闘では、労働組合の力で日本を「賃金が下がり続ける国から、上がる国に転換する」ことが求められています。

「集まる」とりくみの実践

 2024年春闘では、職場会、職場大会及び「青年の組織化」の3つのとりくみを軸に、「集まり、対話する活動」を積極的に行うことで組合員同士の結びつきやつながりを強めることをめざします。あわせて、国民的課題や公務労働者をめぐる情勢等について学習し、要求と運動に確信を持って「地域に足を踏み出す」ことをめざします。
 また、「青年の組織化」のとりくみを強化し、青年運動の活性化を組織強化・拡大にむけた重点課題に位置付けます。具体的には、青年が集まり、対話する場を作り、青年の意見や要望等を聴取するとともに、4月期新採用職員の加入拡大のとりくみや支部等の活動に青年の意見を取り入れることをめざします。

デジタル化とメンタルヘルス対策が喫緊の課題

 職場諸要求課題では、デジタル化にむけた職場の体制整備とメンタルヘルス対策が喫緊の課題となります。
 デジタル化に関わっては、民事事件では3月からウェブ口頭弁論がはじまり、家事事件でもウェブを活用した裁判手続が本格的にはじまります。また、刑事事件では、法制審議会での審議を踏まえた改正法案が2024年通常国会に提出される見込みであり、裁判手続のデジタル化にむけた検討・導入を進めていくための職場の体制整備が必要です。
 一方で、職場では人員が増えないどころか減らされる状況が続いており、繁忙な職場が増えています。もともと繁忙であった事務局も含めて多くの部署で人的態勢が十分なものとはなっておらず、そのような状況のもとでメンタルヘルスの不調を抱える職員が増加傾向にあります。最高裁は、本部に対して90日以上の長期病休者の数を明らかにしていますが、職場には90日に満たない病休者が相当数いると思われます。十分な人員が配置されていないために応援態勢を組むこともできず、周りの職員でフォローせざるを得ない状況となるなど、職場の負担が大きくなっています。こうした状況がメンタルヘルスを悪化させる要因になっている可能性があることから、きめ細やかな職場実態の把握と十分な人的態勢の整備を求めていく必要があります。

組合員を増やし、組織と運動を次世代に継承しよう

 退職・採用・異動が集中する4月期は、組織の維持・発展にとって最も重要な時期であることから、全司法は2月から5月を年に一度の組合員拡大強化月間としています。異動対策や4月期新採用職員の早期全員加入にむけたとりくみなどに全力を注ぎ、全ての機関で組合員拡大に集中的にとりくむことが求められます。
 また、今年度は、組織と運動を次世代に継承していくことを重要な課題と位置づけ、次世代の運動の担い手の育成とこれまで全司法を支えてきたベテラン組合員の力を引き出し、次世代にバトンを渡すためとりくみを行います。具体的には、2月10日(土)に「ベテラン役員のための『次世代の担い手』づくり経験交流集会」(オンライン)を開催しますので、全国から多くの組合員の参加を呼びかけます。

 
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法制審で審議中 「共同親権」について
 

 現在、「離婚及びこれに関連する制度」が法制審議会家族法部会で審議されています。12月19日の第35回会議では「家族法制の見直しに関する要綱案」(案)が示され、審議が大詰めを迎えていますが、この中で共同親権の導入が検討されています。

「双方を親権者と定める」ことができる

 現行法では父母が離婚するときは、協議離婚の場合も、裁判上の離婚の場合も「その一方を親権者と定める」(民法第819条)となっているところ、これを「双方又は一方を親権者と定める」と改定するものです。父母の両方が親権者となることを認めるものですが、この共同親権については賛否両論があり、様々な議論が行われてきました。
 要綱案(案)では、親権の性質について「その子の利益のために行使しなければならない」といった形で明確化することが示されています。
 ところが、現在の家裁の現場では、親権が問題となる場面で、必ずしも子の利益のために行使されない可能性が予想される実態がうかがえます。
 共同親権について言えば、文字どおり「子の利益のために」父母が協力し合って親権を行使する状況が作られるのであれば問題ありませんが、離婚に際して葛藤が高まった父母の場合には、そもそも協力態勢を築くことが難しく、相手方や子どもを支配したり、あえて行動を妨害し、攻撃するための手段として用いられる懸念が強くあります。共同親権を導入するのであれば、そうならないための仕組みづくりが何よりも重要だと考えます。

「紛争長期化」「新たな火種」の懸念も

 また、離婚の際には多かれ少なかれ紛争や葛藤があるものと考えられますが、共同親権を定めることが、事案の解決につながらず、むしろ、紛争を長期化させたり、新たな火種になることが懸念されます。共同親権が認められれば、父母の双方が親権者となることから、子どもにまつわる様々なことを話し合って決めることになりますが、例えば、ワクチンの接種、小中学校の受験、転校(転居)、アルバイトなど、これまでは監護親が判断していた様々な事項について、協議ができないことを理由に調停などの裁判所の手続きで決めるよう求められる可能性があります。双方の価値観の違いが裁判所に持ち込まれ、その間、実態としては紛争がずっと続いていくことになりかねません。
 とりわけ、DVなどが背景にある場合が大きな問題となります。共同親権を認めることが新たな被害につながることを懸念する被害者側の主張もありますが、加えて「共同して親権を行うことが困難であると認められる」かどうかの判断を裁判所が行うことは、現実の事件を処理する場面では相当に微妙なケースがあり、かなり難しい判断を迫られます。実際には、家庭内のことで証拠が乏しく、判断しかねることも少なくないと思われます。

人的・物的体制整備、慎重な運用の検討が不可欠

 法改正にあたっては、以上のような点も考慮して、慎重に審議される必要があり、仮に要綱案(案)のとおり法改正が行われたとしても、実際の運用にあたっては相当に慎重な検討が行われる必要があるものと考えます。同時に、裁判の場面だけでなく、親権をめぐる国民的な議論が積み上げられ、成熟していくための社会的な環境整備も求められます。
 また、こうした制度が導入されるのであれば、施行当初からの事件増が考えられるとともに、いわば「事件が事件を生む」ような事態も懸念されることから、家庭裁判所の抜本的な人的・物的体制の整備が必要不可欠です。また、離婚をめぐる事件が今よりさらに複雑・困難になることが想定され、とりわけ、当事者対応は困難を極めることが予想されることから、現場の職員が困ることがないような運用の在り方を検討する必要があると考えます。

 
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急増する裁判所職員の病休者 前年の1.3倍
 

 最高裁は1月9日、全司法本部に対して、2023年9月1日現在における一般職員の90日以上の長期病休取得者の総数を明らかにしました。「裁判所全体で198人であり、そのうち、精神および行動の障害による長期病休者数は166人である」としています。
 前年同時期が166人(うち、精神および行動障害133人)、2023年4月1日現在が155人(うち、精神および行動障害130人)であったことと比較すると、いずれも約1・3倍に増加しています。
 90日未満の病休取得者については「把握していない」と回答していますが、職場では90日未満の病休や、体調不良を抱えながら勤務している職員も多数います。
 最高裁は「早期発見・早期対応等が可能となるようメンタルヘルスに関する知識付与、意識啓発に努め、職員の健康保持にむけて職場としてでき得る配慮をしていきたい」としていますが、原因を分析し、対策を立てることが必要だと考えます。
 あわせて、労働組合の活動でも、職場で「集まる」とりくみを展開するなど、日常的に声を掛け合う職場を取り戻していきましょう。

 
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生活実感「苦しい」が10.4ポイント増
国公労連要求組織アンケート
 

職場状況「仕事が忙しくなっている」との回答が最多

 今年度も「国公労連2024年要求組織アンケート」にとりくみました。
 生活実感では、「かなり苦しい」「やや苦しい」との回答は49・1%と、昨年比で2・1ポイント、一昨年比では10・4ポイントも増加しています。一昨年春以降の物価高騰が引き続き生活を圧迫している実態が反映したものと思われます。
 最近の職場状況で気になるもの(2つ選択)については、「仕事が忙しくなっている」48・0%、「メンタル疾患などの長期病休者が増えている」36・0%、「職場の仲間とのコミュニケーションが不足している」19・7%の順で多くなっています。
 労働組合が力を入れるべき活動(3つ選択)について多い回答は、「賃金・退職手当等の改善」56・8%、「職員の増員」47・3%、「仕事と家庭の両立支援対策」27・4%の順となっています。

心身の健康不安を「感じる」との回答は6割超

 最近の働きぶりについて、心身の健康の不安を「強く感じる」「やや感じる」との回答割合は、20歳代以下を除くすべての世代で5年前よりも増加しており、全体で6割を超えました。とりわけ、40歳代および50歳代で「感じる」との回答は7割にも達しました。メンタル不調をはじめとした病休者・休職者が増加している職場実態を反映したものとなっています。

非常勤職員休暇制度拡充、雇用の安定、賃金改善の強い要求を反映

 また、非常勤職員を対象に、国公労連「非正規で働く仲間の要求アンケート」にもとりくみました。
 職場で不満に感じること(3つ選択)については、「賃金が安い」23・8%、「雇用契約を更新されないのではないか」23・8%との回答が多くなっています。また、政府・人事院に対する要求(2つ選択)では、「無給となっている休暇の有給化をはじめとした休暇の充実」が33・3%と最も多く、「『3年公募要件』見直しなど、雇用の安定をはかる制度整備」、「時給1500円未満の労働者をなくすこと」がともに28・6%で続いています。

職場・地域での春闘のとりくみに結集を

 2つのアンケートの結果もふまえ、賃上げをはじめ、生活と労働条件の改善をめざし、職場・地域での春闘のとりくみに結集することが重要です。

 
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「令和6年能登半島地震」対策支援募金のお願い
 

全労連のとりくみにご協力ください。

名 義:全国労働組合総連合
入金先:郵便振込 00170ー3ー426272
    ゆうちょ銀行 〇一九店(当)0426272

※通信欄に必ず、「能登地震支援募金」と明記してください。

 
 
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