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全司法新聞
 
2024年・新年のごあいさつ「全司法をあなたの『推し』に」 中央執行委員長 中矢正晴
 

 全司法は、結成直後から裁判所当局の「組合つぶし」の攻撃を繰り返し受けながら、「自分たちの労働組合を守りたい」という先輩方の長年の苦労と、職場に根差した活動を地道に続けることで、組織を守りとおし、1992年には最高裁に職員代表として誠実に対応することを正式に約束させた労働組合です。
 職員の意見や要求をとりまとめ、職場のあり方や仕事のやり方に反映させることで、数多くのルールを作り、裁判所を「働きやすい」職場にしてきたのは、まぎれもなく全司法です。そうした活動は、今も毎日続いています。
 また、組合員が困ったことや解決して欲しい問題を抱えた時には、みんなで力を出し合って、その解決に力を尽くしています。労働組合は助け合いのための組織なのです。
 職場で人と人とをつなぎ、交流の機会を作り、居場所を作ることで、職場生活を豊かで実りあるものにすることにも力を注いでいます。労働組合を通じてできた仲間は、仕事を通じてできた仲間とは全く違う意味を持っています。
 全司法は「国民のための裁判所」実現を目的の一つに掲げています。裁判所の中にあって、働く者や国民の立場から、当局とは違う視点で発信できる存在は全司法しかなく、司法に関わる多くの人たちからの大きな信頼を勝ち取っている組織です。
 今、ウクライナやガザでの戦闘によって多くの人たちが日々、犠牲になり、世界中の人たちが心を痛めています。日本でも平和をめぐる問題が様々に議論されています。全司法は労働組合の一つとして、平和などの運動にも参加していますが、それはけっして無駄なことではなく、思いはあっても個人ではなかなか参加できない大きな運動に、たとえ小さな手であっても添える機会があることは、労働組合に入るメリットになると私は思っています。
 そんな全司法をあなたの「推し」に加えてください。2024年も、みなさんが「推せる」存在になれるよう、真面目に地道に活動していきたいと思います。

 
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最高裁の職場で、組合員同士のつながりを作っていこう
 

 全国の中心となって裁判所のデジタル化の検討をすすめている最高裁。パソコンのサインイン・サインアウトで勤務時間を把握したり、フリーアドレスの職場があったり、テレワークの試行が行われたり、今後の職場を考えるうえでのパイロットとしても注目されます。そこで働く組合員のみなさんに集まっていただき、職場の様子を聞いてみました。

最高裁に異動して戸惑ったことは?

 書記長2期目となる金子さんは「みなさん忙しそうですが、なんとか組合員に集まってもらう機会を作りたいと思っています」と今後の抱負を語りました。そんな金子さんは裁判部で事務官をしています。主な仕事は、上告事件について調査官が検討する資料を作成すること。「記録が電子化されれば、仕事も大きく変わるかもしれません」とのことでした。
 最高裁は全国から職員が異動してくる職場ですが、最高裁に異動してきて、下級裁との違いを感じたこと、戸惑ったことについて聞いてみました。
 「最高裁に異動したからというよりは、事務局の仕事が初めてだったので、決裁や起案など、事務局での仕事の進め方に戸惑った感じです」と細田さん。今回の参加者は、原庁で書記官として勤務していた人が多かったので、他にも同様の感想が述べられました。
 「国会対応があること」と言うのは石川さん。国会議員を対象にした想定問答を起案するそうで、国会での質問通告があって17時頃に連絡が入り、その日のうちに準備することも少なくないとのことでした。
 今、大きく動いている民事関係を担当している内海さんを含めて、3人は書記官事務を担当する総務局第三課の配置ということもあり、「職場の雰囲気は現場の書記官室にいた時とそう変わりません」とのことでした。
 他方で、他の部署の組合員からは「業務が基本的に縦割りで、職員同士のコミュニケーションも活発とは言い難いため、他の係の事務がよくわからない」「異動者へのフォローはあまりない」「周りがフォローするとか、そういう余裕や雰囲気があまりない気がします」との発言もありました。

「最高裁ならでは…」と感じたこと

 最高裁ならではの用語が多いという話が、多くの人から出されました。例えば石川さんが教えてくれた「連明(レンメイ)」という言葉。国会対応の時に「連絡先を明記して、待機せずに帰っても良い」という意味だそうです。
 経理局用度課で役務の調達を担当している書記次長の比企さんは、もともと東京管内の会計部門にいたことから「最高裁だけがやる契約もありますが、進め方そのものに大きな違いはありません」とのことでした。最高裁でやっている契約は、例えば、全国で配布するパンフレット類や統一調達の用紙などがあるそうです。
 自動車運転手の山崎委員長をはじめ、最高裁支部は行(二)職のみなさんが活動を支えています。東京地連の執行委員でもある守衛の鈴木さんによると、立哨や庁内巡視といった通常の守衛業務に加えて、万が一火事が起きた場合は駆けつけて消防にあたるとのことで、そのための資格も取ったそうです。また、最高裁の運転手の仕事として裁判官の送迎がありますが、登退庁の送迎だけでなく、国会や皇居をはじめ外出の際にも送迎があり、それに見合って運転や待機の時間が不規則に発生するそうです。

デジタル化を検討する最前線で

 今回は総務局で働く組合員に多く参加していただきました。
 焦点になっているデジタル化の関係では、デジタル推進室とフェーズ3以降の書記官事務の業務フローについて意見交換をしたり、システムの開発業者に書記官事務全般について伝えるなどしているとのことです。
 ここで、小田青年協議長が「『書記官事務の整理』って今も生きているんですか?」と質問。「オワコンではありませんよ(笑)。書記官事務の整理は、個々の事件処理の場面において、事務の法的根拠を確認し、その目的を見定めた上で、書記官がどのような事務をどのように遂行することが適正迅速な裁判に資するか、状況に応じたベスト(ベターな)事務処理となるのか、といった視点の一つだと思っています。こうした視点は、現状を振り返って課題を分析する視点にもなりますし、デジタル化後の書記官事務の在り方の検討視点にもなりますので、今後も必要だと思っています」と答える細田さんに、小田さんはしきりに感心していました。
 また、デジタル推進室の様子を聞いてみました。総務・企画グループにいる和田さんによると、自身は、繁忙度は比較的緩やかであるものの、システム開発グループはかなり忙しそうだとのことでした。デジタル推進室は自分の席が決まっていない「フリーアドレス」になっており、実際には座る場所はだいたい決まっているものの、自由に動くこともできるそうです。収納スペースが少ないとか、落ち着かないという人もいるそうですが、和田さん自身は「相談したり応援したりする時は、気軽に席を替わったりできるので、良いのではないかと思っています」とのこと。

テレワークって、実際どうなの?

 最高裁ではテレワークの試行が行われていますが、カチャット(画面転送ツール)を使うと、職場に来なくてもほぼ同じ環境で仕事ができるとのことでした。内海さんによると「テレワークにしておくと帰省しやすかったり、帰省先で仕事ができるのが便利でした」とのこと。また、育児を抱えている和田さんは「子どもの世話や看病が必要な時は、そもそもテレワークはできませんが、それ以外に、一緒に家にいられることで助かることはあります。作業は出勤した方がはかどるのですが、子どもの用事が入ったり、お迎えが早い時などは、通勤時間がない分だけ助かります」と言います。一方、「テレワークでは超過勤務はしないことにしていますが、やろうと思えばできてしまうので…」との率直な声も聞かれ、勤務時間管理はやはり課題になりそうです。

マンパワーで何とかなっている職場?

 パソコンのログイン・ログアウトの時間が記録されるようになったことについては、それ自体が勤務時間ではないこともあり、全体的にそれほど意識されてはいないようです。石川さんによると「パソコンを立ち上げた時にわかるので、自分でチェックするきっかけにはなると思います」とのことでした。
 全体的に忙しい職場実態はありますが、懇談会に参加された組合員のみなさんは「極端に遅くなることはありません」「超過勤務はきちんと申請しています」と言われていました。ただ、「係によっては相当程度超勤をしているようです」といった意見も出されており、最高裁全体としては、長時間労働の実態はかなりあるようでした。「組合員も少なく、『真面目で有能な方』が多いので、個人のマンパワーで何とかなっている職場なのかなぁと思っています」との感想も出されました。
 今回はインタビューに加えて懇親会も行い、これを機に支部のLINEグループを作って、組合員同士のつながりを作っていこうということになりました。最高裁という特別な部署にいるからこそ、全司法でのつながりを持っておくことは重要です。
 委員長の山崎さんは「最高裁の職場を良くするためにがんばります」と決意を述べました。今、最高裁の職場にいるみなさん、今後異動して来るみなさん、最高裁支部の活動に結集しましょう。

 
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朝ドラ『虎に翼』を見る前に
 

 2024年度前期(4月から)放送予定のNHK連続テレビ小説『虎に翼』は、日本初の女性弁護士で、後に裁判官となり、女性初の裁判所長も務めた三淵嘉子さんが主人公のモデルになっているとのことです。
 主人公の「猪爪寅子」を演じる伊藤沙莉さんは、昨年7月から9月まで放送されていた裁判所執行官を扱ったドラマ『シッコウ!!〜犬と私と執行官〜』にも出演していました。

日本初の女性弁護士

 三淵(武藤)嘉子さんは1914年生。明大法学部を卒業して高等試験司法科試験に合格し、1940年に弁護士を開業して日本初の女性弁護士となります。
 戦争が終わり、三淵さんが司法省に一人で赴いて、いきなり裁判官採用願いを提出したのは1947年3月のこと。5月3日に日本国憲法が施行され、8月4日には最高裁判所が発足します(初代長官は三淵さんが後に結婚されるお相手・乾太郎氏の父にあたる三淵忠彦氏)。
 全司法はこの年の1月25日に、それまで各地にあった裁判所の労働組合を束ねる全国組織として結成されており、この年は、戦後日本の司法制度と私たちの職場が始動した年にあたります。

家庭裁判所を作った一人

 1949年1月1日には、家庭裁判所が発足しますが、全国に家庭裁判所ができると同時に、最高裁事務総局にも新しく「家庭局」が発足し、三淵さんも局付として名を連ねました。
 初代局長の宇田川潤四郎氏は「五つの性格」(独立的、民主的、科学的、教育的、社会的)を家庭裁判所の方針として挙げ、「家庭裁判所の父」と呼ばれましたが、三淵さんは、その下で家庭裁判所を作ったスタッフの一人だったわけです。
 1950年には、最高裁が家裁制度の調査・研究のためにアメリカに派遣したメンバーにも加わっていますが、アメリカで女性裁判官たちが活躍している様子が印象深く残ったそうで、帰国後の活動が現在の「日本女性法律家協会」に繋がっています。

職員からも慕われた裁判官

 1962年からほぼ10年間は、東京家裁少年部で勤務されますが、裁判官として優秀であるとともに、「三淵さんに会いに来るので、裁判官室が女性職員のたまり場になっていた」など、職員からも慕われていた人柄が伝わっています。元全司法本部副委員長の後藤卓也さんは、『家庭裁判所物語』(清永聡著・日本評論社)の中で、ご自身が書記官として立会した審判でのエピソードとともに、三淵さんの説諭の言葉に何度も感銘を受けたと述べておられます。
 1970年代には、少年法改悪に反対して法制審議会で大きな役割を果たされました。穏やかに発言される様子は「菩薩さん」と呼ばれていたと言います。
 三淵さんは1972年に新潟家庭裁判所で初の女性家庭裁判所長となり、浦和家裁、横浜家裁の所長を務めて1979年に退官されました。
 日本の女性法律家の先駆けと評価されている三淵さん。その魅力が『虎に翼』では、どのように描かれるのか楽しみですね。

 
 
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