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  トップページ > 全司法新聞 > 2023年12月 > 2414号
 
 
全司法新聞
 
「事務の合理化・効率化を進める」
「職員の処遇に適切に反映」と回答
2023年秋季年末闘争期・人事局長交渉
 
秋年期まとめの人事局長交渉

 全司法本部は12月6日、最高裁徳岡人事局長と秋季年末闘争期の交渉を実施しました。
 改めて全司法との誠実対応を確認するとともに、事務の簡素化・効率化や職員の処遇改善につなげる姿勢が示されました。
 メンタルヘルス不調を訴える職員の増加を踏まえ、ストレスチェックの活用姿勢が示されましたが、病休・休職等の際の人的手当は従前回答にとどまりました。また、調査官研修生へのパソコン配布、事務官4級昇格などで前進回答が示され、2024年度予算に向けて人員、昇格、デジタル化で最大限努力の姿勢が示されました。

人員

病休・休職の対応示さず

 2024年度予算における人員確保については、国家公務員の定員をめぐる情勢や裁判所の事件数の動向等をあげて厳しさを強調する一方で、「必要な人員の確保について引き続き最大限の努力をしていきたい」との姿勢を示すとともに、「デジタル化の進捗状況を踏まえて、利用者のサポートのための態勢も含め、必要な人員の確保について努力していきたい」と回答しました。
 メンタルヘルス不調による病休・休職等が増加し、配置定員に満たない人数で仕事をせざるを得なくなり、職場の負担が大きくなっている実態を踏まえ、最高裁が管理する空き定員の活用を含め、定員を柔軟に活用して人の配置を行うよう追及したのに対しては、「長期の病休等を取得する職員がいる場合には、職場の状況に応じて応援態勢を組むなど必要な対策が講じられているものと考えている」との認識を崩しませんでした。

健康管理

ストレスチェック活用姿勢示す

 健康管理懇談会の協議テーマ等について「職員のストレスチェック制度やその活用についての理解を深めるための説明等を行うことは考えられる」「R5年度は検査項目を追加したことにより、業務量だけでなく、仕事のやりがいや職場の人間関係、コミュニケーション等についても把握することができるようになったことから、必要に応じて活用しながら、できる限り職場環境の改善を図り、職員の健康保持に努めたい」と回答して、ストレスチェックの活用をすすめる姿勢を示しました。
 パワハラ対策については、「調査や認定を行う前であったとしても必要な対応があれば、適切に行っているものと認識している」と回答するとともに、パワハラの防止に向けた意識啓発を目的に「外部講師に依頼して、R5年度中に管理職員を始めとする職員を対象とした新たなセミナー(最高裁主催・オンライン形式)を実施することを考えている」と回答しました。

超勤実態の把握

事前申告の必要性を強調

 超過勤務の実態把握については「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握し、適切な超過勤務時間の管理を行うよう、引き続き指導を徹底していきたい」と回答しました。一方で、勤務時間外に仕事をしている様子を管理職が現認した場合に、申告がなくても声掛けや確認、会話をする必要があるのではないかと追及したのに対しては「管理職員と部下職員が共有した上で、超過勤務の申告が適切に行われるよう、引き続き管理職員に対する指導を徹底していきたい」と、事前申告の必要性を強調する回答するにとどまりました。

裁判所のデジタル化

要求を関係部署と共有

 マイクロソフト365の導入にあたって職場への丁寧な情報提供等行われておらず、職場が混乱していると追及したことを受けて、業務上利用する頻度の高い主要なアプリの基本操作を説明する研修の実施や同研修の動画を隙間時間に簡易に確認できるように編集するなど「マイクロソフト365の活用については、引き続き情報発信していきたい」と回答しました。
 また、秋季年末闘争期の交渉の中で主張したデジタル化に関わる職場実態や意見・提案について、関係部署と共有し、検討しているのかと追及したのに対して「当然、関係部署には伝えている」と回答しました。
 デジタル化予算については「必要な予算の確保に向けては、最大限の努力を行いたい」との姿勢を示しました。

各職種の課題について

専任事務官の積極的登用答えず

 家裁調査官養成課程の研修用パソコンについて「R6年5月の家裁調査官養成課程前期合同研修に向けて、研修生が1人一台のパソコンを使用できるような環境を整えるよう準備を進めることとした」との前進回答がありました。
 デジタル化後の裁判事務における文字の取扱いについては「関係機関との調整状況を踏まえつつ、説明できる段階になったら、今後の指針を説明することとしたい」と回答するにとどまりました。
 「組織見直し」も踏まえ、会計部門のすべての係長ポストに専任事務官を登用するとともに総務・人事部門の係長ポストにも専任事務官を積極的に登用すること、支部・簡裁庶務課長などのポストに専任事務官を登用することを要求したのに対しては、「優れた人材は、書記官資格がなくとも、上位の官職に登用していくということは、成績主義、能力主義、適材適所の任用原則からして当然のことであり、書記官事務の経験がないということだけで事務官の昇進の途を奪うようなことは考えていない」と述べるにとどまりました。

非常勤のステップアップ

拡大の姿勢示さず

 今年度は水戸家裁で1名のみ実施するという説明があり、非常勤職員からは「今年もステップアップの対象になれず、これでもまだまだ努力が足りないのかと消沈している」「何のためにステップアップ制度を設けているのか」との厳しい声があがっていることを伝え、拡大を要求しましたが、「選考により採用することが相当と認められる場合に実施することになると考えており、希望者がいるからといって、必ずしも選考が実施されるとは限らないことは、理解してもらいたい」との姿勢を変えませんでした。
 希望については「職場の上司が障害者である職員と定期的に面談し、十分にコミュニケーションをとる等し、必要に応じて人事担当者とも共有しているものと認識している」としており、適宜、直属の管理職に伝えてもらえばよいとしています。

宿日直

令状センター 引き続き検討

 令状センターの設置については、法制審議会の状況等も踏まえながら、「令状等の事務を令状主義の原則に則って適正かつ迅速に処理するという観点から、引き続き多角的かつ慎重に検討していきたいと考えている」と回答しました。
 令状センターが設置されるまで相当な時間がかかる一方、小規模庁を中心に宿日直体制を組むことが困難になっているもとで、現状でできることについて検討をすすめていくよう主張し、令状処理の本庁集約、裁判官の登庁処理態勢の拡大などを求めましたが、「基本的には各庁において、こうした宿日直の実態を踏まえて、職員の負担感や健康管理に十分配慮された態勢で行われていると考えている」との認識を示すにとどまりました。

昇格

事務官4級改善の検討姿勢示す

 2024年度に向けた定数改定については「職員の処遇の維持・改善に向けて、引き続き最大限の努力を続けていきたい」との姿勢を示しました。
 また、事務官4級昇格について「専任事務官の専門性の活用に関し、職務給の原則を踏まえつつ、専任事務官の専門性の発揮を処遇に反映させることについて検討することとした」と回答し、検討姿勢を示しました。

 
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必要な人員の確保について引き続き努力
2023年秋季年末闘争第3回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は11月29日、秋季年末闘争における最高裁富澤人事局総務課長との第3回交渉を実施しました。

人員「事務処理状況は各種協議会や下級裁との意見交換の機会等に把握」

 24年度裁判所予算における人員については、国の財政事情から「増員をめぐる状況は、より一層厳しい」との認識を示しつつも、「必要な人員の確保について引き続き努力」するとの姿勢を示しました。
 また、24年4月期の配置定員を23年4月比で減少させないよう求めたことに対しては、「事件動向や事務処理状況等を踏まえながら、必要な検討をしていく」とし、下級裁の事務処理状況は「各種協議会や下級裁との意見交換の機会等」に把握するよう努めている、病休者の実態や欠員の状況等についても「一般論で言えば、把握している」と回答しました。

デジタル化「職員団体の意見も踏まえながら検討」

 デジタル化について「職員および職員団体の意見も踏まえながら検討」「予算の確保にむけては、最大限の努力」との基本姿勢を示すとともに、@「RoootSの導入を含めたデジタル化の検討にあたっては、事務処理の統一(標準化)という観点も当然必要」、A「『e法廷』については(中略)社会的に広く使用されているウェブ会議アプリケーションを利用する方向で検討」、B「新たなポータルサイトについては(中略)意見・要望を述べやすいように(中略)専用の投稿フォームを整備した」「意見・要望も踏まえながら、より使いやすいポータルサイトとなるように検討」していくなどと回答しました。
 この他、モデル法廷の整備機器・実証実験の内容と下級裁の整備機器ととりくみの関係、ウェブ会議の実施に伴い生じた問題や今後の課題や懸念、マイクロソフト365の導入に伴う職場での混乱とその責任などについても追及しました。

旅費法改正「全司法から意見のあった急行料金の距離規定廃止等を財務省に意見」

 現在検討がすすめられている旅費法の改正について、全司法の意見を踏まえて財務省に意見を述べるよう求めたことに対しては、「(全司法から)意見、要望等があった内国の鉄道旅行の急行料金の距離規定の廃止(中略)等の意見」を提出したことを明らかにし、それらの意見が「旅費法の改正案にも反映された」との認識を示しました。また、全司法の意見・要望等は「関係当局に伝えていきたい」との姿勢を示しました。

宿日直「裁判官が令状処理をする場所は各庁で検討・実施」

 宿日直に関わって、職員の負担軽減のため、時間外の令状事務の本庁集約や連絡員体制の廃止を求めたことに対しては、宿日直廃止庁の「これ以上の拡大は困難」との従前回答にとどまりました。
 また、裁判官の登庁処理態勢の拡大については、「宿日直業務については、裁判官が令状処理をする場所を含めて、基本的には各庁において、その実態を踏まえて検討・実施されている」と回答しました。
 以上のほか、休暇・休業・次世代育成支援対策、男女平等・母性保護などの課題について追及しました。

 
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財務省が旅費法改正を検討「実態に見合ったものに」
 

実費支給と事務の簡素化が中心

 財務省は、2024年に旅費法改正案を国会に提出することを目指し、検討作業を進めています。
 改正は、デジタル化の進展、旅行商品や販売方法の多様化、交通機関・料金体系の多様化、海外の宿泊料金の変動等を踏まえたものにするとしており、以下のような4つの「視点」が示されています。
@法定額と実勢価格との乖離の解消
 …宿泊料及び移転料は実費支給を原則とする。
A実態・運用に則した法令の整備
 …近距離出張の規定廃止、特急料金の距離制限の廃止、日当は宿泊を伴う出張のみに支給、パック旅行商品のための種目新設など
B事務手続の簡素化・効率化
 …旅行命令簿等の「様式」廃止、自宅等発による旅費の計算を可能とするなど
C国費の適正な支出の確保
 …「最も経済的な通常の経路及び方法」の原則は維持(ただし、時間コストや公務の円滑な運用の観点から利便性を考慮し、柔軟な経路選択を行えるよう、運用における基準を検討)、旅費請求に必要な添付書面の見直し

「職場実態に見合った改正」求めて国公労連が交渉

 旅費法改正の動きを受けて、国公労連は11月29日に「職場実態に見合った旅費法改正」を求めて財務省との交渉を実施しました。
 交渉参加者からは、日帰り出張の日当を維持すること、赴任旅費の3社見積りをやめて簡素化すること、時期によって差が大きい宿泊費の上限を柔軟にすること、旅費等システム(SEABIS)を改修することなどを主張しました。
 財務省の担当者は「改正の方向としては、出張や赴任をする職員の皆さんの自己負担や事務負担、会計事務部門等の負担の軽減をめざしていきたい。それによって公務員の処遇改善につながる中身にすることをめざしている」と述べたうえで、「一方で、国民に説明できる透明性の向上をはかり、『適切な旅費を支給している』と説明できるベースを維持する必要がある」と回答しました。
 全司法からは、家裁調査官の出張を例にあげて、裁判所では事件処理のために交通事情がきわめて悪い場所への出張が日常的に存在する実態を伝え、法改正にあわせてタクシー利用を柔軟に認めるよう求めました。財務省の担当者は「交通費も実費支給化していく方向だが、なぜタクシーを使う必要があるのかをしっかり命令権者に説明して、それを認めるかたちをとってもらうことになる」と回答しました。

 
 
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