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  トップページ > 全司法新聞 > 2023年11月 > 2412号
 
 
全司法新聞
 
事務の簡素化・効率化、処遇改善の実現を!
2023年秋季年末闘争第2回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は11月8日、2023年秋季年末闘争における最高裁人事局富澤総務課長との第2回交渉を実施しました。交渉では、この間の上京団交渉を踏まえた各職種の要求実現を迫るとともに、事務の簡素化・効率化、専任事務官を中心とした職員の処遇改善につなげるよう強く求めました。


職種担当中執も参加して交渉実施

調査官養成課程生1人1台のパソコン配布「検討したい」と回答

 研修環境の改善に関わって、書記官養成課程生に配布したパソコンの利用制限の撤廃を求めたことに対しては、「より研修効果が上がるよう利用方法の見直しを継続的に行っていきたい」と回答しました。また、家裁調査官養成課程生へのパソコン配布を求めたことに対しては、「研修生が1人1台のパソコンを使用できるような環境を整えることができるかどうか検討したい」と新たな姿勢を示しました。
 各職種の職員制度に関わっては、デジタル化後の裁判事務における文字の取扱いについて「近日中に指針を示したい」と回答したこと、家裁調査官のウェブ調査の実施に向け、東京家裁等4庁における試行結果を「中間とりまとめ」として発出したとし、「試行結果等については、引き続き(中略)情報提供をしていきたい」と回答したことのほかは、基本的には従前回答を維持しました。

定年延長後も「昇格運用が維持できるよう努力」

 昇格に関わって、処遇改善のための級別定数の拡大と、定年延長後の昇格ペースの維持・改善を求めたことに対しては、財政当局の姿勢が極めて厳しいことを強調しながらも、「定年引上げ後の給与制度の在り方に関する政府の検討も注視しつつ、これまでと同様、裁判所の組織及び職務の特殊性等を説明して、可能な限り現在の昇格運用が維持できるよう努力したい」との姿勢を示しました。
 事務官・法廷警備員の「60歳までに5級」の要求に対しては、「これ以上の占有期間の延長を行うことは極めて困難」とし、「退職時5級の枠組みの維持に努めたい」と回答するにとどまりました。
 なお、2025年(定年が伸びるので2024年はなし)3月定年退職予定者で現在4級以下の人数について、事務官・法廷警備員は69人、書記官は17人であることを明らかにしました。
 行(二)職・医療職の昇格にあたっての部下数制限の撤廃、各職種・級の発令水準改善の要求については、従前回答にとどまりました。

 
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専任事務官の登用拡大がさらに重要に
地連事務官担当者会議
 

 10月22日〜23日、地連事務官担当者会議及び上京団交渉を実施しました。会議では、@人員及び超過勤務の実態、A国民のための裁判所実現、Bデジタル化への対応、C職員制度、D昇格を中心に討議しました。

人事・会計に加え、デジタル化で文書係も繁忙に

 人員及び超過勤務の実態については、事務局では従前から指摘されていた人事課や会計課の繁忙に加え、デジタル化への対応により文書係(総務課)の繁忙度が高くなってきていることなどが報告されました。超勤申請では、朝勤務について、管理職から事情を聞かれることの煩わしさを感じて申告せず、結果としてサービス残業になっている実態などが報告されました。

「組織見直し」で本庁会計の業務量増える?

担当者会議で真剣に議論
 最高裁は2024年4月期に、水戸、金沢、岡山及び福岡について、会計機関を統合することを明らかにしています。管内支部等の出納官吏の本庁集約と相まって、本庁の事務量が大幅に増大するのではないかなどの懸念が出されました。
 デジタル化への対応については、SEABISは非常に使いにくいとの意見が多く出されました。また、ELGAについては、事務の省力化にはなっていないと指摘されました。

事務局ポストへの専任事務官登用がより重要に

 職員制度に関する課題について、管理職選考試験の受験者が減少していることに関して、「広域異動の対象」「特定の部署(会計)にしか専任事務官の管理職の発令がない」など、管理職への魅力を感じないことから受験を躊躇しているのではないかとの報告がありました。
 昇格では、定年年齢引上げに伴い、60歳までに5級発令が困難とされているもとで処遇を後退させないことが重点課題として確認されました。そのためにも、有資格者が多く在籍する事務局係長ポストに専任事務官を登用することで3級・4級の深刻な団子状態を解消する必要があります。

会議をもとに交渉で追及

 最高裁交渉では、当局回答は全体をとおして従前の回答に終始したものの、職場の繁忙状況を訴え、研修制度を充実させ、きちんとした職務評価を行い、処置を改善するよう当局を追及しました。

 
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「改正少年法」から1年半の状況を共有
2023年度少年法対策会議
 

 全司法本部は10月29日、2023年度少年法対策会議をオンラインで開催しました。今回の会議は、2022年4月に「改正少年法」が施行されてから1年半を経て、現場の運用はどのようになっているのかを共有し、「5年後の見直し」(附則8条)に向けた運動の契機とすることが目的です。

オンラインで全国から参加
法改正によって「こぼれ落ちた」ケースも

 会議では、2022年10月から1年間とりくんできた「改正少年法・運用実態アンケート」の結果も参照しながら、議論を深めました。
 特定少年の原則検送対象事件の拡大については「当初懸念されていたよりも、少年法に沿った運用が行われている」「『犯情』を考慮することの影響を感じる」との実態がそれぞれ出されました。親の関与については、呼び出しに苦労するケースがある一方で「問題がある親との関係を断ち切って自立させることが更生に繋がるケースもあり、そういう事件ではメリットを感じる」との意見も出されました。また、6月の保護観察処分の実効性、大麻の事件での教育的措置の難しさに関する問題意識も示されました。運用状況を全体として見ると、「大多数の事件は現場の工夫もあって必要な教育的措置ができているが、法改正によって、こぼれ落ちることになったケースも確かに存在する」との認識が共有されました。

弁護士にも問題意識を持ってもらうことが必要

 パネリストとして参加した弁護士の金矢拓さんは「弁護士付添人は、犯情の軽重に引きずられやすく、少年法の理念を後退させてしまうのではないか」との懸念を示すとともに、「検送だと思い込んで、家裁で黙秘を続けてしまうと、保護処分の可能性を失わせてしまう」といった例を挙げ、弁護士にも少年法について問題意識を持ってもらうことが重要だと指摘されました。保護観察官の西原実さん(全法務)は「少年調査票から犯情重視の影響を感じるケースもある」と述べるとともに最近の保護観察になった事件の特徴を紹介し、また、大麻の使用罪が新設される動きも念頭に、教育的措置の難しさを指摘されました。
 元家裁調査官で少年の更生などに関わっている横山勝さんからは「特定少年のぐ犯がなくなったことで、手が届かなくなったケースがある。逆送で刑事処分を受けたために、資格取得が制限されている問題に直面する」などの事例を紹介しました。
 会議のまとめでは、「5年後の見直し」も視野に少年事件の実態を発信していくことの重要性が確認されました。

 
 
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