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全司法新聞
 
デジタル化を軸に書記官の要求を確立
地連書記官担当者会議
 

 10月15日から16日にかけて、地連書記官担当者会議と引き続く上京団交渉を行いました。全ての地連から担当者が集まり、集合開催ならではのざっくばらんな雰囲気の中で活発な意見交換が行われました。

デジタル化のために、「問題」の検証・検討をすすめることが重要
書記官上京団交渉の様子

 最初に裁判手続のデジタル化について、最近あった問題点を出し合いました。
 mintsが導入されている庁から利用実績は全体の数パーセントしかない実態が報告され、「双方(代理人)が同意しないと使えない上、カラー印刷ができる複合機がないため、結局クリーンコピーを提出させており、誰にも利用するメリットがない」「提出できるファイル形式が限られており、今後の電子提出義務化に向け、総括と分析が必要」との意見が出されました。
 また、Teamsの移行によって多くの弁護士がアクセスできなくなった事態について、「弁護士会への周知が不十分、あるいは丁寧さを欠いていたのではないか」「問い合わせを受けた現場でも、どうしたらいいかわからなかった。最高裁が対応マニュアルを整備したり、トラブル事例を共有したり、サポート部門を設置することが必要だと思った」等の意見が出され、外部も巻き込んでデジタル化が今後もすすめられることを踏まえ、作業手順、周知方法、トラブル対応などを事前に詰めておく必要があることが明らかになりました。
 また、ウェブ会議の利用が広がっている一方で、接続状態が悪くなることが多く、職員貸与端末のスペックの低さや代理人側の接続環境の影響も考えられることがら、「今後、口頭弁論等も対象になるなら、不具合が起きた場合の対処を法規面、緊急手段(Zoomや電話会議の活用)などを含めて考えておく必要がある」との意見が出されました。
 あわせて、デジタル化に関わる環境整備(パソコンや周辺機器の充実、タブレット端末や庁内Wi-Fi導入、ウェブ会議対応の準備手続室など)の要求を確認しました。

デジタル化のためにも「全国統一事務処理要領」作成を!

 事務の簡素化・効率化では、デジタル化の趣旨を活かすためにも、全国統一の事務処理要領の作成や書式の統一化・標準化が必要不可欠であり、書記官の重点要求に位置づけることが確認されました。
 あわせて、具体的な運用についての情報提供やレアケースの処理について全国的な相談体制を最高裁がイニシアチブをとって作って欲しいとの意見が多く出されました。
 最高裁が諸要求期で回答した「文字の取扱い」については、すみやかに具体化を求めるとともに「外字を使わないことは当然として、JIS規格に合わせるなど、異体字の扱いなども含めて抜本的な整理をしてほしい」との要求が強く出されました。
 また、「システムで提出可能な形式として画像が含まれていないが、日常生活ではスマホで撮影した写真やスクリーンショットを使うのは一般的になっている。『国民の利用のしやすさ』を考えると、画像データを認め、庁舎内でのメモがわりの撮影も容認すべき」「戸籍や登記をはじめ、PDF化に書記官が追われる事態を懸念している。バックオフィス連携など、紙で提出される場面を減らすべき」「訴え提起手数料の整理と統一、送達費用等の手数料化を早急にすすめて欲しい」との意見も出されました。

ナンバーディスプレイ・録音機能付き電話が必要

 総研について「デジタル化後の書記官事務について実務研究を行う機関として役割を果たすべきではないか」「本来なら最先端機器を揃えて、各庁でできないような研究・研修を行うべきなのに、むしろ整備が遅れている」との意見が出されました。
 あわせて、総研生の実務修習において貸与される端末について「使用にあたっての制約が多すぎて不合理」との意見も出されました。
 ナンバーディスプレイ・録音機能付き電話を整備することが強い要求となっているもとで、現にナンバーディスプレイになっている東京簡裁・墨田庁舎では有効に使われている実態が報告され、重点要求として実現を求めていくことが確認されました。
 また、最高裁が検討している「組織見直し」では、書記官が中核的事務に集中できるよう、首席等による「一般執務の指導監督」に留まらず、集約して処理できる事務を訟廷や裁判部企画官が担うことも検討すべきだとの意見が出されました。

これからの「裁判所」のために書記官の組合員を増やすことが重要!

 上京団交渉での回答は従前回答に留まったものの、当局側が真摯に耳を傾けている様子がうかがわれ、非常に充実したものとなりました。
 また、会議の中では裁判所の中心業務を担っている書記官の組合員を増やすことの重要性が改めて確認され、助け合って仕事を進め、組織強化・拡大のツールにする観点から、書記官運動の中で「執務参考資料の紹介」のとりくみを行うことも確認されました。

会議と交渉を終えて

 上訴記録の丁数打ち廃止など、地連書記官担当者会議が起点となって実現した要求は数多くあります。現在、書記官の最も大きな課題は「デジタル化」であり、裁判所が目指す「3つのe」を国民や職員にとって利用しやすいものとするには、この一年が勝負と言えます。裁判実務の最前線に立つ私たちが感じていることを当局に率直に伝え、あるべき「デジタル化」を実現させるとりくみが必要です。

 
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2023年人勧の取り扱いで事務総長交渉を実施
 

給与制度のアップデート「検討状況を注視し、情報収集に努めていきたい」

 全司法本部は10月2日、「2023年人事院勧告の取扱いに関する要求書」に基づき、最高裁堀田事務総長との交渉を実施しました。

《賃金改善》
職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい


 給与勧告は、物価上昇等をふまえるならば、不十分なものであるとしつつ、初任給改善とともに月例給の引上げは全職員に及ぶものとなっていることから、早期に実施するよう関係機関に働きかけることを求めました。また、給与制度のアップデートの検討にあたって、全司法との誠実対応を求めました。
 最高裁は、「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」「(関係機関における給与制度のアップデートの)検討状況を注視し、情報収集に努めていきたい」と回答しました。

《長時間労働是正》
事務の簡素化・効率化の取組を加速


 超過勤務の上限規制の導入後、むしろ超勤時間の「暗数化」が全国的に広がっていることを指摘し、超過勤務の実態把握を徹底するよう求めました。また、公務員人事管理に関する報告が、必要な人員の確保にも言及していることをふまえ、最高裁も同様の姿勢に立って、超勤縮減のための人員配置を行うよう追及しました。
 最高裁は、「事務の簡素化・効率化の取組をいっそう加速させ」る、「事務量に応じた適正な配置となるよう引き続き努力」する、「管理職員が(中略)適切な超過勤務時間の管理を行うよう今後も指導を徹底していきたい」と回答しました。

《非常勤職員》
ステップアップ制度の適切な運用に努めていきたい


 非常勤職員の改善措置がなかったことは極めて不満であるとし、休暇・手当の拡充、ステップアップ制度の運用の拡大などを求めました。
 最高裁は、「制度面については(中略)職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」「ステップアップ制度については、障害者雇用促進法の下、適切な運用に努めていきたい」と回答しました。

《定年引上げ等》
できる限り必要な級別定数を確保できるよう努力


 定年年齢の段階的引上げが始まる中で、定員と級別定数を確保するよう求めました。また、再任用職員の改善がなかったため、関係機関に強く働きかけるよう求めました。
 最高裁は、「今後も相応の新規採用を行うことができる」「定年の段階的な引上げの期間中に級別定数の確保が必要になる場合には、できる限り必要な定数を確保できるよう努力していきたい」「(再任用職員の処遇改善の)職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
◎政府は10月20日の閣議で、公務員賃金を人事院勧告どおり改定することを決定しました。

 
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ただ働き残業根絶、ストレスチェックの活用などを追及
2023年秋季年末闘争第1回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は10月18日、2023年秋季年末闘争における最高裁人事局富澤総務課長との第1回交渉を実施しました。

早朝等の超過勤務

的確かつ遅滞なく超過勤務の把握に努めている

 ただ働き残業の根絶にむけて「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握し、適切な超過勤務時間の管理を行う」、勤務時間把握については「始業前、昼休み、休日における勤務についても変わるものではない」と改めて回答しました。
 早朝等の超過勤務について「改めて指導した」結果、早朝の超過勤務の申告がどうなったのか質すと「それぞれの管理職員等において的確かつ遅滞なく超過勤務の把握に努めている」との認識を示しました。
 テレワークについて、拡大する際は全司法と協議を行い、納得を得た上で行うよう求めたことに対しては、「職員や職員団体の意見を聞くなど、適切かつ誠実に対応していきたい」と回答し、テレワーク導入による業務への影響については「最高裁におけるテレワークの試行状況を踏まえながら、検討していくことになる」と回答しました。

ストレスチェック

職場の人間関係等を詳しく分析できるようになる

 ストレスチェックについて、今年度の受検者数は全国で2万314人(受検率・81%)となり、昨年度より16ポイント増加していることを明らかにしました。職場環境改善に係る調査項目を追加したことに対しては、「集団分析結果において職場の人間関係等を詳しく分析することができるようになる」とし、「幹部職員と当該集団の管理職員による原因分析や職場環境改善にむけた意見交換を行う等して活用していく」と回答しました。
 「健康管理懇談会」の中でストレスチェックの集団分析結果を踏まえた議論を行うよう求めたことに対しては、「要望として承る」との回答にとどまりました。

人事評価制度

職員の能力及び実績をきめ細かく的確に把握・評価

 定期評価の評語区分が5段階から6段階に変更されたことで「職員の能力及び実績をきめ細かく的確に把握・評価することが可能となった」「幹部職員の適切な関与に努め、人事評価が人材育成に資するものとなるよう、下級裁を指導していきたい」と回答しました。
 「目標・課題」の位置付けを全ての職員に周知するよう求めたことに対しては、「新ポータルを活用するなどにより、職員にむけた情報発信を充実させていきたい」と回答しました。

定年前再任用短時間勤務

選考はできる限り年内に実施

 定年前再任用短時間勤務を希望する職員の選考について「選考は、各任命権者が実施するため、具体的な時期を示すことは困難」としつつも、「できる限り年内に実施することができるよう検討をすすめている」ことを明らかにしました。
 なお、意向調査の結果を明らかにするよう求めたことに対しては、「希望者数を回答することは相当ではない」との考えを示した上で、「実数について回答できないかについては検討したい」と回答しました。

異動

個別的確に把握するよう努めている

 異動にあたって、育児等を抱える職員についてさらなる配慮を求めたことに対しては、「結婚、育児、介護といった家庭事情等についても、身上報告書や管理職員による面談、日常の指導等を通じて、個別的確に把握するよう努めており、これらを十分に勘案した上で異動計画を策定している」との認識を示しました。

共済組合の組織統合

組合員サービス低下につながる問題等は起きていない

 共済組合の組織統合について「統合後も組合員にとって必要なサービスを維持できると判断したため、東京・横浜以外の東京高裁管内の支部についても統合をすすめることにしたと聞いている」、共済組合本部の人的態勢については、「本年4月の最高裁・東京・横浜の各支部統合後においても、組合員サービスの低下につながるような問題や事務処理上の問題は特に起きていないと聞いている」と回答しました。

本部の視点

 ただ働き残業の根絶にむけて、事後も含めた管理職の声掛けを徹底させる必要があります。
 また、職員側も事前申告できなかった分も含めて全て申告することが求められます。
 ストレスチェックの集団分析結果をメンタルヘルス対策や「健康管理懇談会」の議論に活用するよう求めていく必要があります。
 切実な異動希望について、育児等の事情に加え、他高裁の採用候補者名簿から採用された事情も個別事情として配慮を求めていく必要があります。

 
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青年集会で組織強化 今年は宿舎改善を目指す!
国公青年フォーラム定期大会
 
全司法の発言多数
(小田・加治・青木・原)

 10月21日、国公青年フォーラム定期総会が東京都内で開催され、全司法から7名の青年が参加しました。総会では全体討議のほか、「今の若者が考える普通」をテーマに分散会を実施しました。

今をみんなで乗り越えよう

 冒頭、吉原運営委員長は、「昨年の総会で運営委員長に選ばれ1年経った。昨年の総会では一人も知り合いがいなかったが、今日は顔なじみがたくさんいる。この1年、国公青年フォーラムや各単組の青年機関が活発に活動してきた証だと思う。青年への期待は大きく、時に大変だと感じることもあるかもしれないが、みんなで乗り越えていこう」と呼びかけました。

各単組で青年集会開催

 全体討議では、全司法の加治亮達さん(青年協九州地区担当常任委員)が、「全国青年友好祭典を開催し、『集まる』ことの大切さを実感した。今後は各地でも青年がつながりを感じられる機会を作っていきたい」と発言しました。
 国土交通労組、全通信、全労働の参加者からも、それぞれ青年集会を開催し、レクや学習をしたことが紹介されました。

人を集めるコツは一人ひとり声をかけること

 全労働参加者からの「青年のイベントで参加者を集めることに苦労している。コツを教えてほしい」という問いかけに対し、全司法から参加した谷津さん(長野)、原さん(鹿児島)が「メールで一斉に参加を募るだけでなく、個別に声をかけることが大切」「一緒に行く人がいると参加しやすい」等の意見を出しました。

「今の若者が考える普通」の宿舎について議論

 分散会では、財務省交渉で示された「今の若者が考える普通」の宿舎を目指していくとの回答を踏まえ、宿舎も含めて「今の若者が考える普通」をテーマに話し合いました。
 各班からは、家選びの際に見るポイントとして、周辺環境(スーパー、駅までの距離、治安)、バス・トイレ別、内覧できることなどが挙げられたほか、Wi-Fiを工事不要で設置できること、宅配ボックスがあること、洋室であること(畳は誰が寝たか分からないから気持ちが悪い)といった時代の変化を感じさせる意見も出されました。

羽田空港見学ツアー

 総会翌日の22日には、総会で仲良くなったメンバーを中心に、仲間の職場を見学するツアー第1弾(非公式・今後の開催は未定)を羽田空港で実施しました。ツアーでは、羽田空港で働く国土交通労組の新倉大輔さんをガイドに、戦後アメリカ軍の支配により空港の近隣住民が1日で退去を命じられたときの経緯や、羽田空港移設に伴って昔から住民に親しまれた神社の鳥居を移転したことなどを学びました。
 また、2010年にJALのパイロットと客室乗務員が大量解雇された問題で、労働組合が近隣住民に対して協力・応援を求めたことがありましたが、そのとき組合役員が口にした「これまでの活動で海老取川(空港と住宅街を隔てる川)を渡ってこなかったことを反省している」と語ったことでも知られる海老取川を見学しました。

地域と協力することが大切

 私たちも組合員以外の方に目を向けるのがおろそかになることもあります。しかし、裁判所という施設・機関によって影響を受けるのは組合員だけでなく地域住民や利用者も同じなので、お互い協力しながら活動を進めていく必要性があることを感じました。
 見学ツアー後には、羽田イノベーションシティの屋上でビールを飲みながら足湯につかったり、羽田空港第3ターミナル(国際線)で海外観光客さながら日本文化を味わったり、楽しい時間を過ごしました。

 
 
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