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全司法新聞
 
全司法本部四役 最高裁長官会見を実施(10月13日)
 

 10月13日、全司法本部四役は、戸倉三郎最高裁判所長官と会見しました。最高裁からは、堀田事務総長、徳岡人事局長、富澤人事局総務課長が同席しました。

「今後の方向性」について
事務の合理化・効率化を一層推し進め、
一人一人が本来の役割・職務に注力できる事務処理態勢を構築する


委員長 本日の会見にあたって、全司法労働組合として持っております問題意識のいくつかの項目について意見を述べさせていただき、長官の考えをお聞かせ願いたいと思います。
長官 委員長の御意見は承りました。
 当局と職員団体という立場の相違はありますが、今後ともこれまで同様、相互の信頼関係に基づき、いろいろな問題について、率直に意見交換をしながら、より良い方向で解決していってもらいたいと思います。
委員長 2020年諸要求期の交渉を経て、最高裁は「今後の裁判所における組織態勢と職員の職務の在り方の方向性等」(以下「今後の方向性」という。)について考え方を示しました。以後、これに基づくとりくみがすすめられているものと認識しています。
長官 情報通信技術の急速な発展普及を始めとした近時の社会経済情勢の変化やそれに伴う国民のニーズの変化等に適切に対応し、より質の高い裁判を迅速に行うためには、裁判手続のデジタル化を始めとした情報通信技術の活用、通達等の見直しを含めた各種事務の簡素化・効率化、組織・機構の見直しによる事務の合理化・効率化を一層推し進め、職員一人一人が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築して、より活力のある組織を目指していくことが必要であると考えています。こうした取組によって一層働きがいのある職場環境を整備するとともに、引き続き職員一人一人の能力を伸長させる計画的かつ継続的な人材育成の充実を図るほか、それに相応しい最適な人的態勢を構築し、裁判所が、国民の期待に応え、信頼が得られるよう、引き続き、努力していきたいと考えています。
 職員の皆さんにも、自身の仕事の仕方を見直し、事務の合理化・効率化に向けた創意工夫に前向きに取り組むことを期待しています。

裁判所のデジタル化について
引き続き、職員及び職員団体の要望等も踏まえながら検討を進めていきたい


委員長 デジタル化は、国民に対する司法サービスのあり方に大きな影響を与えることはもとより、今後の裁判所の組織や事務処理のあり方を考えるうえで大前提になってくるものだと考えています。昨年の会見において、4点について私たちの意見をお伝えしたところですが、直近の状況について述べたいと思います。
 ウェブ会議は、民事事件の弁論準備期日等で一般的に利用されるようになっており、その他の裁判分野や司法行政でも利用がすすんでいます。すでに実行段階にあると考えられることから、機器の整備や通信環境など、現場で生じている課題を一つずつ解決していくことが重要だと考えています。
 情報の共有に関わっては、マイクロソフト365が導入されたことを契機として全国的な視点から事務の簡素化・効率化がすすむよう、その活用について最高裁のイニシアチブが必要になっているものと考えます。
 民事裁判のデジタル化に関わるシステムの開発が大詰めを迎えていますが、「ユーザーフレンドリーなシステム」となるよう、「デジタル化の全体像(グランドデザイン)」で示された「柔軟性・拡張性を備え、安定的に稼働するシステム」「『スモールスタート』と『トライアンドエラー』」といった考え方が活かされることが重要だと考えています。
 また、デジタル化を成功させるためには、予算の確保が必要不可欠であることから、最大限の努力をしていただきたいと考えています。
長官 裁判所のデジタル化の全体像(グランドデザイン)のとおり、実務や事務の実情をよく踏まえた上で、国民の利用のしやすさを徹底して追求するとともに、職員の利用のしやすさにも十分配慮し、各種デジタルインフラの最適化、情報セキュリティの確保等にも鋭意取り組んでいきたいと考えています。検討に当たっては、在るべき裁判の姿を見据えつつ、従来の議論にとらわれない新鮮な視点をもって裁判所全体で幅広く意見交換等をしていくことが重要です。引き続き、必要に応じて職員及び職員団体の要望等も踏まえながら検討を進めていきたいと考えています。

職員の健康管理について
実効性を高めるために工夫すべき点がないか等につき検討させていきたい


委員長 メンタルヘルスを悪化させる職員が目に見えて増加している実態が全国各地から報告されています。90日以上の精神および行動の障害による長期病休者数が増加していることに加えて、それより短い休暇を取得した職員、治療を受けながら通常どおり勤務を続けている職員など「数字に出てこない」メンタル不調も深刻になっています。
 全司法は、職員の意見を聞くための措置の充実やストレスチェックの活用を主張しているところ、今年度はストレスチェックについて一歩前進があったものと受け止めていますが、引き続き、健康管理のための施策を充実させていただきたいと考えます。
長官 職員の皆さんに持てる力を十分に発揮してもらうには、心身の健康の保持、増進を図るとともに、家庭生活と両立していけるような環境整備を進めることが重要です。このような観点から、これまでも種々の施策を講じてきていますが、これまで以上に組織活力を維持・向上させ、全ての職員が、持てる能力を最大限発揮することができるよう、その実効性を高めるために工夫すべき点がないか等につき検討させていきたいと考えています。

全司法との誠実対応について
築き上げてきた相互の信頼関係に基づき、忌憚なく話し合う中で問題を解決


委員長 1992年3月18日の最高裁事務総長見解以来、全司法と裁判所当局とは相互の信頼関係に基づいて、安定した労使関係を築くことができているものと考えており、日頃から誠意をもって対応いただいていることに対し、あらためて感謝いたします。
 全司法は職員の地位の向上と「国民のための裁判所」実現を組織の目的としており、職員の処遇問題にとどまらず、官の職制の中からは浮かび上がってこない職場実態を拾い上げ、可視化し、より良い裁判所を作るために努力しているものと自負しています。そうした視点から、全司法を裁判所の職場をともに作るパートナーとして位置付け、今回とりあげた課題をはじめ、職場で起きる様々な課題について、今後とも建設的な議論を続けていただきたいと考えております。
 最高裁はもとより、全国の各庁で全司法の意見に耳を傾け、率直で建設的な議論を重ねていくことができるよう、これまで築き上げてきた信頼関係を尊重し、誠実に対応されるよう下級裁に伝えていただくことを含め、確認したいと思います。
長官 私も、平成4年3月18日の事務総長見解の内容は当然のことと考えています。職員の勤務条件やこれに関連する事項については、これまで築き上げてきた相互の信頼関係に基づき、率直に問題意識をぶつけ合い、忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図っていかなければならないと考えています。
 担当部局には、今後もそのような立場で努力させたいと思いますし、職員団体もその方向で努力していただきたいと思います。

 
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「戦争ではなく、平和を」の声を 九条の会大集会
 

 10月5日、東京都内で開催された「九条の会大集会―大軍拡反対!憲法改悪を止めよう」に参加しました。
 九条の会は、憲法改悪の危機がかつてなく高まったことを受け、2004年6月10日に作家の井上ひさしさんら9人の呼びかけにより発足した組織で「日本と世界の平和な未来のために、日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ、『改憲』のくわだてを阻む」ことを目的としています。

講演する中野晃一上智大教授
憲法の精神で「間違っている」と表明しよう

 5日の集会では、呼びかけ人で作家の澤地久枝さんが「日本が戦争する国へと変わってしまう政治状況に危機感を持つ人たちが増えています」と述べ、安保3文書を閣議決定し、敵基地攻撃能力の保有や43兆円の軍事費支出を決めた岸田政権に対して「憲法は『戦争をしない、戦争と言う手段を一切捨てる』と決めています。この精神を守ろうという私たちは、岸田政権に対して『あなたのやっていることは間違っている』と表明していく必要があると思います」と述べました。
 記念講演では、前法政大学総長の田中優子さんが、今の政権が戦前の考え方を引き継いでいることを指摘し、「戦前、女性は参政権を持っていませんでした。戦争に反対する女性は、それを表明することがほとんどできなかった。でも、いまはできるんです」と語り、「勉強して、それぞれの立場で言葉にしていきましょう。周りの人に言うだけで、家族のなかでその話をするだけで違うんです。皆さんと一緒に戦争を阻止しようと思います」と呼びかけました。

「抑止力」ではなく「安心供与」の外交を

 また、上智大学教授の中野晃一さんは岸田政権の安保政策が、アメリカのバイデン政権が中国に対抗して国際社会でのイニシアチブを得る目的で同盟・有志国の力を総動員する「統合抑止」戦略にもとづくものだと解明し、「『抑止力』を前提にした軍拡は相手のさらなる軍拡を招きます。戦争を防ぐためには、相手国が『戦争してでも守りたいと考えている利益』を脅かさないことを表明して戦争の動機をなくす『安心供与』が不可欠であり、憲法9条はまさに『安心供与』の役割を担ってきました」と憲法が平和に貢献していた役割を説明し、外交こそが戦争を回避し、平和を守るために必要だと述べました。
 集会は、岸田政権の軍拡・改憲による「戦争する国」か憲法の人権と民主主義が生かされる「平和な国」かの岐路に立つ情勢を踏まえ、改憲策動や軍拡を阻止するため「戦争ではなく、平和を」の声をあげ、世論を喚起していこうとのアピールを採択して終了しました。

 
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全国書記長会議を地連別に開催 トップは近畿地連
 

 秋のとりくみの意思統一を目的に、10月から11月にかけて、地連別で全国書記長会議を開催しています。
 10月7日には、全国のトップを切って近畿地連が書記長会議を開催しました。

特に人事が繁忙
超勤実態把握は不十分

 最初に本部の中矢委員長、地連の山本一樹書記長が、それぞれ秋季年末闘争をめぐる情勢と課題について報告しました。
 これを受けて、各支部からの報告をもとに、職場実態の共有を図りました。
 職場の繁忙状況に関わっては、「財産開示等の関係で債権執行の係が繁忙になっている」(大阪)、「業者事件の大量申立ての影響で簡裁が忙しい」(大津)、「元首相に関する事件の警備等が必要な日には、全庁的な影響を受ける」(奈良)といった各庁特有の事情に加えて、複数の庁で人事部門の繁忙実態が報告されました。これに関わって「システム化で出納業務は効率化された面があるが、人事はむしろ繁忙になっている」との指摘もありました。
 また、超過勤務の正確な実態が把握されておらず、上限にあわせて申告する実態があることに加えて、「申告頼みになっているために、交渉直後は管理職の声かけがされるが、それでも申告しない人はしないので、結局、管理職も声をかけなくなっていく」といった実情も報告されました。

メールアドレス追加で職場は混乱

 10月からM365が導入されたことについては、「職場でどう利用していいかわからない。利用方法を具体的に示して欲しい」という意見が出されるとともに、「チャットは、残す必要のない伝達には有効に使えるのではないか」といった意見も出されました。
 また、現時点での問題として、メールの移行に関わって職場で混乱が起きている状況が多くの支部から報告され、「新メールと旧メールが混在して、どちらを使えば良いかわからなくなっている」「新メールはウェブ版を使っているが、従来と大きく仕様が異なり、使い勝手が悪く感じる」「ウェブ版を使っているせいか、レスポンスが一気に落ちた感じがする。今後、全ての職員がクラウド上で作業をするようになっても大丈夫なのか」「『トライ&エラー』を現場に押し付けているのではないか」といった意見が出されました。「メールの移行について当局がもっと事前に準備すべきことがあったのではないか」との意見が多く出されたのが特徴でした。

広がるメンタル不調も対策は不十分

 職場でメンタルヘルス不調になる職員が増えているとの発言があり、その影響で職場の人的態勢が厳しくなっている実態が報告されました。また、健康管理懇談会に出席した感想として「参加者から一通り発言させただけで、進行役が一方的に話をして終わった。あれでは、健康管理施策に反映させるものは何も生まれない」との意見が出されました。加えて、裁判官のパワハラが原因だと思われるメンタル不調に関わって、その裁判官の担当になった書記官がこれまでに何人も被害を受けている情報が共有され「裁判官の職員に対するパワハラに毅然とした対応をとるよう当局に要求していく」ことが確認されました。

青年から自主的に「次はレクをやろう」の声も

 組織強化・拡大では、各支部から10月期の新採用の状況とガイダンス等のとりくみが報告され、一人でも多くの仲間を全司法に迎え入れていく決意が共有されました。また、青年の組織化に関わって和歌山支部から「昨年秋の本部の提起を受けて、青年と話し合う機会を持ち、4月期の新採用歓迎のとりくみを一緒にすすめた後も7月まで月1回集まる場を作ることができた。その中から自主的に『次はレクをやろう』という声も出てくるようになった」との報告がありました。
 その後、「3年後の裁判所の職場を考える」をテーマに中矢委員長の講義があり、デジタル化、裁判所の組織の見直し、給与制度のアップデートなどについて学ぶとともに、とりくみの意思統一を行いました。

 
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岩手支部の全司法大運動をのぞいてみた
 

 全国の皆さん、こんにちは、全司法岩手支部です。今回、全司法大運動について、私たちが考えるとりくみの意義と活動の現状を紹介し、この運動への結集を呼びかけます。
 岩手支部では、毎年、独自の実施要領を作成し、分会長会議等で、次の三点について、とりくみの意義を意思統一したうえで、計画を実践しています。

街頭宣伝行動で市民にアピール
組合員自身が主体となる運動

 第一に、この運動が、組合員自身が主体となる代表的な運動であるということです。組合員は最も近い協力者となる家族・友人に署名を依頼することになりますが、職場の繁忙等を自分の言葉で語ることにより、対話が生まれ、なぜ自分が組合活動をしているのかを自覚し、要求を実現するためには国民の支持が必要であることを理解することに繋がります。岩手支部では、概ね、年末年始等の休暇時に向けてとりくみを依頼していますが、集約は概ね組合員数程度にとどまっており、この数字の拡大が今後の課題です。

諸団体との協力関係を構築する

 第二に、署名行動を通じ、諸団体との様々な協力関係が構築されることです。弁護士会、司法書士会等の司法関係者には、裁判所の抱える事情の理解を通じて、それぞれから裁判所当局に対する、事務改善を求める圧力や世論喚起の役割が期待できます。岩手支部においては、司法書士からの署名集約が非常に多いのが特徴的です。また、国公共闘や地域共闘との関係では、相互に署名協力を依頼することにより、それぞれの末端の職場での課題について情報交換することになり、結束が強固になるとともに、それぞれの集約が前進する相互利益が期待できます。岩手支部では、国公単組はもちろん、自治体労組、民間の大型病院等との長年の協力関係のもと、集約数の大きな部分を占める成果となっています。

市民、当局、未加入者へアピール

 第三に、毎年とりくんでいる裁判所前での街頭宣伝につき、これが市民への運動の趣旨の拡散と、当局への示威行為、未加入者へのアピールに繋がっています。
 以上、私たちのとりくみが少しでも皆さんの運動の参考になれば幸いです。これからも共にがんばりましょう!

 
 
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