秋季年末闘争のとりくみがスタートしました。裁判所のデジタル化が急ピッチで進められるもとで、職場には人員、メンタルヘルス、超過勤務など、様々な問題が山積しています。「地連・支部が主役」となる秋季年末闘争では、「集まる」とりくみを通じて職場の問題を拾い上げ、交渉で当局にぶつけて要求の実現をめざします。
秋季年末闘争方針のポイントについて、小田青年協議長が井上書記長に聞きました。
最高裁回答とかい離した実態は「違う」と指摘・改善を!
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「結びつきの場を作ろう」 井上書記長 |
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小田 秋季年末闘争ではどのようなとりくみが求められますか?
井上 秋季年末闘争期は、来年4月期の人員配置をはじめ、異動要求の実現や昇任・昇格発令など、組合員の切実な要求を実現させる時期です。最高裁は12月の次年度裁判所予算案の確定にむけて、下級裁との間で配置定員等の検討(見直し)を行うことから、各地連・支部は、12月初旬までに対応当局との交渉を配置し、重点要求の実現を求めて追及を強める必要があります。
また、最高裁回答とかい離している実態がある場合は、「職場実態は最高裁回答と違う」と指摘し、改善を求めていく必要があります。
小田 職場の組合員はどのように関わっていけば良いですか?
井上 秋季年末闘争では、対応当局との交渉にむけて地連・支部が寄せ書きや署名など独自の行動を実施します。
また、10月30日(月)の週を中心に、11月末までにすべての職場で職場会を開催するとしていますので、地連・支部が提起する独自行動のとりくみや職場会への参加を通じて秋季年末闘争のとりくみに結集をお願いします。
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「青年の組織化を」 小田青年協議長 |
切実な職場実態を当局に伝えることが重要
小田 職場では毎年のように人が減らされています。概算要求では「増減なし」となっているので、今の人数が維持されるのでしょうか?
井上 職場からは、育児・介護などの両立支援制度を利用する職員や病気による休暇・休職、退職者等が出るなどした場合に、「定員上の配置があっても実際に職場で仕事をしている職員が少ない」「応援態勢を組むこともできず、職員個々の負担が重くなり、繁忙になっている」といった実態や、両立支援制度を利用する職員が肩身の狭い思いをする一方で、「周囲の職員が負担感の重さを訴え、管理職の調整もうまくいかない」という問題が報告されており、こうした職場実態のもとでメンタルヘルスを悪化させる職員も増加しています。
地連・支部において、こうした切実な職場実態を対応当局に伝え、これ以上の人員削減を行わないよう追及を強める必要があります。
小田 職場が繁忙でも人は増えないのでしょうか?
井上 最高裁は「各庁各部署の個別具体的な状況に応じて人員配置の見直しを検討する」と回答している一方で、「社会状況をも見極めながら多種多様な要因を総合的に考慮し、必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答しています。こうした回答を踏まえ、繁忙解消への人的手当や欠員の解消をはかるために増員を求めていくことが必要です。
適正な人員配置に超勤実態の把握は必要不可欠
井上 ところで、小田さんは職場で超過勤務をすべて申告していましたか?
小田 短時間の超過勤務や突発的な超過勤務、始業前の超過勤務などは申告しなかったことがあります。
井上 超過勤務は職員の労働時間を可視化するものであるとともに、当局が繁忙な職場かどうかをはかる指標にもなっているものです。そうしたことからも、短時間であっても超過勤務はすべて申告することが必要です。
職場からは「始業前の超過勤務は認められない」といった報告が寄せられていますが、諸要求貫徹闘争期の交渉でこうした考え方は誤りであると確認していますので、超過勤務は、終業後だけでなく、始業前や昼休みであってもすべて申告してください。
適正な人員配置を検討するために超勤時間の正確な把握は必要不可欠ですから、勤務時間管理は人員配置を検討する上で重要な要素であるとの視点に立って、「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない」との最高裁回答を「絵に描いた餅」にしないよう、私たち自身の姿勢や考え方も変えていく必要があります。
システム開発が本格化。M365の導入も
小田 デジタル化も引き続き重要な課題になりますか?
井上 裁判所のデジタル化も引き続き重要な課題になります。裁判手続のデジタル化を実現するためのシステム開発に関わっては、e事件管理システム(RoootS)が来年1月までに先行導入され、その後全庁への導入が予定されています。次年度以降は、e提出・e記録管理システムの開発もすすめられます。
さらに、10月以降は、M365が行(二)職等を除く全職員に配布され、新たなポータルサイトが構築されます。コミュニケーションツールとして導入されるM365の導入によって、日々の仕事にどのような変化が生じるのかを注視する必要があります。
こうした状況を踏まえ、全司法としては、今後も機会あるごとに積極的に意見等を出していきたいと思います。
まずは「集まる」場を作ろう!
小田 第80回定期大会で「『集まる』とりくみの再構築」が重要だと言われましたが、具体的にはどのようなとりくみが求められますか?
井上 組合員同士が「対話」し、結びつきやつながりを作れる場を作ってもらいたいと思います。職場の組合員同士が自発的に集まって「対話」してもらうことが理想ですが、最初はそうはいかないですから、まずはすべての職場で職場会を開催して「集まり、対話する活動」を行ってもらいたいと思います。
また、職場会が開催できない職場には執行部がオルグに入るなどして「集まる」場を意識的に作ることも必要です。地連・支部は、対応当局との交渉にむけて、職場の問題等を把握する必要があることから、秋季年末闘争においては組合員の声を聴くためのオルグを積極的に実施し、「集まる」とりくみを作っていきましょう。
小田 青年は「集まる」とりくみにどのように関わっていけば良いですか。
井上 まずは職場で開催される職場会やオルグに積極的に参加してください。その上で、全司法は、昨年度から「青年の組織化」のとりくみを重視していますので、こうしたとりくみにも積極的に参加をお願いします。「青年の組織化」とは、青年部のようなチームを作り、常日頃から青年層の組合員が集まる場を設けて、青年協のとりくみを実施したり、青年のレクを企画したり、新採用職員のガイダンスや歓迎会の企画等の検討などを行う態勢を作ることをめざしているものです。
青年協は8月の友好祭典に100名を超える参加者を集めたと聞いていますので、「青年の組織化」のとりくみとして参加者の感想を聞く場を設けるなど、参加者の経験を各地のとりくみに活かしてもらいたいと思っています。
小田 8月の友好祭典は大成功でした。今は全国の青年がやる気に満ちているので、熱気が冷める前に「青年の組織化」を一歩すすめたいと思っています。
井上 まずは「集まる」場を作るだけでも良いので、すべての支部で青年が「集まる」場を作りましょう。
2023年秋季年末闘争の主な行動
「職場における対話活動」
10月30日(月)の週を中心に11月末まで
みんなで「集まる」を取り戻そう!
全労連・国民春闘共闘「中央行動」(全国上京団)
11月10日(金)
対応当局との交渉を実施
12月初旬まで
全司法本部の最高裁交渉
人事局総務課長 10月18日(水)、11月8日(水)、11月29日(水)
人事局長交渉 12月6日(水)
全司法青年協
第2回常任委員会と最高裁交渉 11月12日(日)〜13日(月)
職種の上京団交渉
書記官 10月16日(月)
事務官 10月23日(月)
速記官 10月30日(月)
家裁調査官 11月6日(月)
※10月上旬から11月上旬にかけて、地連別で「第1回全国書記長会議」を開催
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