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  トップページ > 全司法新聞 > 2023年7月 > 2404号
 
 
全司法新聞
 
事務官の処遇改善、デジタル化に関する施策、
メンタルヘルス対策など、全司法の主張を踏まえた要求前進
2023年諸要求貫徹闘争
 

 全司法本部は6月5日〜8日、諸要求貫徹闘争におけるまとめの交渉を実施しました。最重点要求のうち、事務官全般の処遇改善、デジタル化に関する各種施策、裁判事務における文字の取り扱い、ストレスチェックを活用した職場環境改善、始業前等の超勤実態把握など、様々な課題で要求前進や足がかりとなる回答がありました。これらを踏まえ、本部は7月14日に予定していた「プレート行動」の中止を提案しました。
 また、人事局長交渉に先立って、全54支部からの要請書、「定年年齢の段階的引上げのもとで昇格の到達点維持を求める署名」2123筆(第1次集約分)、速記官の養成再開署名3041筆を提出しました。


事務総長交渉に臨む中央執行委員

昇格運用の維持と事務官の処遇改善を回答

昇格運用全体は維持する姿勢

 「これまで同様、退職時5級の枠組みの維持に努めたい」との姿勢を示すとともに、「裁判所の組織および職務の特殊性等を説明して、可能な限り現在の昇格運用が維持できるよう努力したい」と回答して、その他の職種や級について、定年年齢引上げに伴う昇格運用の後ろ倒しは行わない考えを示しました。

専任事務官の処遇改善にむけた姿勢を示す

 また、この問題を事務官全体の処遇と関連づけて追及したことを受けて、事務総長交渉で「専任事務官の専門性の活用にも資するように配慮していきたい」と回答し、これまですすめてきた事務局(課)専門職のポスト拡充に触れるとともに、支部・簡裁庶務課長への登用、訟廷組織の見直しによる専任事務官ポストの設置、共済組合統合に伴う処遇の低下を避ける努力などの前進回答を行い、全司法が強く要求した4級昇格を念頭に「何か工夫できないか検討してみたい」と回答しました。
 これらは、「昇格の到達点維持を求める署名」に全職員対象でとりくみ、プレート行動を背景に交渉に臨んだ成果です。

組織・機構の見直しを頭出し、デジタル化は環境整備に向けた姿勢

2024年度以降、組織・機構の見直しを行う

 「今後の方向性等」に関わって、2024年度以降、裁判所全体の組織・機構の見直しを行うことを明らかにしました。「これまでの相似形組織(注・庁規模に関わらず、基本的にどの本庁にも同じポストが設置されている組織)を見直し、各庁にとって最適で、職員が本来とりくむべき中核的事務に注力できる組織態勢を構築する」としており、かなり大きな見直しになることが予想されます。今後の動きを注視する必要があります。

デジタル化に向けた姿勢を示す

 裁判所のデジタル化については、「国民の利用のしやすさ(分かりやすく使いやすいシステム等)を徹底して追求するとともに、職員の利用のしやすさ(直感的な操作性、ユーザーインターフェイスの共通化、応答性等)にも十分配慮していきたい」としたうえで、必要な予算の確保に向けて最大限の努力を行う姿勢、職員の意見を聴取する姿勢を示しました。

デジタル化の環境整備等を回答

 また、ウェブ会議のための環境整備、無線LANの検証、ポータルサイトを使った情報共有、J・NET回線の強化などが示され、「民事訴訟手続のデジタル化(フェーズ3)を見据えた法廷および業務のあり様の検討方法の一つとして、実証実験用の法廷を整備することを検討している」ことを明らかにしました。
 なお、テレワーク等についても検討姿勢を示しています。

「裁判事務における文字の取り扱い」を検討

 システム化による事務の標準化・合理化を踏まえ「デジタル化後の裁判事務における文字の取り扱い」について検討していると回答しました。「外字等をなくせ」との要求に応えるものであり、簡素化・効率化に向けた大きな前進です。この他、最高裁によるマニュアルや執務資料等の整備、書式等の統一について検討姿勢を示したこととあわせて、全司法が要求している全国統一化・標準化による書記官事務の簡素化・効率化に向けて、足がかりを築く交渉となりました。

メンタルヘルス・パワハラ対策に、ストレスチェックを活用

ストレスチェックによる集団分析結果を活用

 メンタルヘルス対策が重要な課題になっているとの全司法の主張に応え、今年度からストレスチェックの調査項目に「仕事のやりがいや職場の人間関係、コミュニケーション等」について把握できる項目を追加し、現在の57項目を80項目に増やして実施すると回答しました。あわせて、「各庁において、集団分析結果をさらに活用できるよう検討していきたい」「各庁において、ハラスメントを含めた職場環境改善に活用できるような工夫を考えてみたい」としており、ストレスチェックをツールとして健康管理施策等を前進させる回答をしています。
 また、異動期にメンタル不調を生じる職員が多いことを踏まえ、職務導入研修の重要性を主張したのに対して「今後も効果的かつ充実した研修が実施されるよう、努力していきたい」との回答を引き出しました。
 これらの回答を足がかりにメンタル不調の発生予防も含めたとりくみが強化されるよう、各庁で具体化させていくことが重要です。

超勤実態把握などで、最高裁の認識と職場実態のかい離を埋める努力を求める

人的態勢整備は「最大限努力」

 2024年度予算との関係では人的態勢整備や、昇格のための予算となる級別定数について「最大限の努力」姿勢を示しました。
 増員については情勢の厳しさを強調し、政府の「定員合理化計画」への協力や内部努力の姿勢は崩しませんでしたが、「利用者サポートを含めたデジタル化の態勢整備」や「ワークライフバランス推進のための人的配置」については努力姿勢を示しました。回答を受けて本部は、各地連・支部が交渉等で主張している職場実態もきちんと把握したうえで、事務処理状況等をきめ細かく見て人員配置を行うよう重ねて主張しました。

「適切な勤務時間の管理を行うよう今後も指導を徹底」

 超勤縮減については「超過勤務命令の上限規制の導入後、超過勤務の削減はますます重要な課題となっている」との認識を改めて示し、「組織全体として事務の合理化・効率化を推進して、超勤削減にむけたとりくみをこれまで以上にすすめていく必要があると考えている」と回答しました。
 最高裁の認識や回答と職場実態のかい離の大きさが問題となっている超過勤務時間の把握については「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、部下職員の事務処理状況等をきめ細かく見て」「適切な勤務時間の管理を行うよう今後も指導を徹底していきたい」と改めて回答しました。

超過勤務「始業前も変わらない」ことを徹底

 これを踏まえ、実際にはそれ以上の超過勤務をしながら月30時間以内に調整して申告する実態が全国的に広がっている実態を主張するとともに、とりわけ「勤務時間把握については、始業前、昼休み、休日における勤務についても変わるものではない」との回答を下級裁に徹底するよう強く求めました。
 同じく、最高裁の認識と職場実態がかい離している課題として、育児短時間勤務や育児時間などの制度を利用している職員の業務量の調整について「十分目配りしていくよう下級裁を引き続き指導していきたい」と回答しました。

 
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「始業前」含め適切な勤務時間の管理を徹底、
ストレスチェックの活用で足がかり
最高裁人事局長交渉
 

 全司法本部は6月6日、諸要求貫徹闘争における最高裁人事局長交渉を実施しました。交渉では、3回にわたる人事局総務課長との交渉結果等をふまえ、要求前進にむけて最高裁への追及を強めました。

「定年年齢の段階的引上げのもとで
昇格の到達点維持を求める署名」を提出
【人員】
人的態勢の整備に最大限の努力


 人員ついては、国の財政状況が逼迫している中、「増員を取り巻く情勢が非常に厳しい」という認識を示しつつも、「裁判所の人的態勢の整備を図っていく必要があることについて、財政当局の理解を得るべく説明を行っている」とし、「最大限の努力を行っている」と回答しました。
 また、デジタル化にむけた人的態勢の整備を求めたことに対しては、「今後も、デジタル化の進捗状況を踏まえて、利用者のサポートのための態勢も含め、必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答するとともに、「デジタル化の検討をさらにすすめていくために、庁の実情や必要に応じて増員するなどして必要な人的態勢の整備を行っている」と回答しました。

【今後の方向性等】
国民の信頼を得て、職員の働き甲斐につなげていく


 「今後の裁判所における組織態勢と職員の職務のあり方の方向性等(今後の方向性等)」に関わっては、「事務の合理化・効率化を推進し、社会情勢の変化や国民のニーズに適切に対応したより質の高い迅速な裁判を実現して、今後とも裁判所とそこに働く職員に対する国民の信頼を得て、職員の働き甲斐につなげていく必要がある」と回答しました。また、「組織・機構の見直しを行う方向で検討している」ことを明らかにしました。

【サービス残業根絶】
適切な超勤時間の管理を行うよう指導を徹底


 サービス残業の根絶、とりわけ早朝・昼休み・休日の勤務時間の正確な把握を求めたことに対して、「勤務時間把握については、始業前、昼休み、休日における勤務についても変わるものではない」とした上で、「サービス残業等については、あってはならなし、そのようなことがないよう、管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握し、適切な超過勤務時間の管理を行うよう今後も指導を徹底していきたい」と回答しました。

【メンタルヘルス対策】
仕事のやりがいや職場の人間関係、コミュニケーション等による影響も


 メンタルヘルスの不調を抱える職員が増加していることをふまえ、原因分析と対策を求めたことに対して、「メンタルヘルス不調には、業務量だけでなく、仕事のやりがいや職場の人間関係、コミュニケーション等による影響も考えられる」との認識を示し、ストレスチェックの調査項目に「これらについて把握することができる職場環境改善に係る調査項目を追加」すると回答するとともに、ストレスチェックに係る「集団分析結果をさらに活用できるよう検討していきたい」と回答しました。

【新たなポータルサイト】
スモールスタートし、職員と共に作っていく


 裁判所のデジタル化に関わっては、「職員向けのポータルサイトを新たに構築する予定で準備をすすめている」とし、「執務に関連する様々な情報や各種の執務資料・マニュアル等を整理して掲載し、職員が執務に必要な情報を簡易迅速に取得したり、有益な情報を裁判所全体で共有」できるようにすること、「利用開始時点では、(中略)シンプルなものでスモールスタートした上で、利用開始後に実際の業務で利用していく中で出た意見・要望を踏まえて、職員にとってより使いやすいポータルサイトとなるように職員と共に作っていく」ことを検討していると回答しました。

【定年年齢引上げ】
できる限り必要な級別定数が確保できるよう努力


 定年年齢引上げに関わっては、役職定年制が他の職員の処遇を圧迫することのないよう役降りした管理職の受け皿となるポストと級別定数を確保するよう求めたことに対して、「定年の段階的な引上げの期間中に級別定数の確保が必要になる場合には、できる限り必要な定数が確保できるよう努力をしていきたい」との姿勢を示しました。
 また、制度が複雑であることから、説明会を実施するよう求めたことに対しては、「今後も丁寧な説明を行っていきたい」とした上で、「トータルキャリア研修においても定年引上げに係る制度の概要を説明するなどして、職員の理解が深まるようにしたい」と回答しました。

 
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事務総長交渉回答要旨
 

人的態勢の整備と超過勤務の実態把握について

 次年度の増員要求にあたって「令和6年度の増員をめぐる状況は、これまでにない極めて厳しいものになる」との認識を示しつつも、「事務処理を円滑に行うために必要な人員の確保に向けて最大限の努力をしていきたい」と回答しました。
 また、適正な人員配置の検討には超勤時間の正確な把握が必要不可欠との指摘に対して「超過勤務命令の上限規制の導入後においても、管理職員が、勤務時間管理の重要性を認識した上で、部下職員の事務処理状況等をきめ細かく見て、超過勤務を的確かつ遅滞なく把握し、適切な超過勤務時間の管理を行うよう今後も指導を徹底していきたい」と回答しました。

裁判所のデジタル化について

 「裁判所のデジタル化を進めていくに当たっては、実務や事務の実情をよく踏まえた上で、国民の利用しやすさを徹底して追求するとともに、職員の利用のしやすさにも十分配慮」していく姿勢を示し、「事務の簡素化・効率化や、裁判手続及び司法行政のデジタル化の基盤として、ウェブ会議等の定着に向けた必要な環境整備、各種デジタルインフラの最適化、情報セキュリティの確保等にも鋭意取り組んでいきたい」と回答しました。
 また、令状センター構想を含む刑事手続のIT化について「令状処理態勢の集約の可否も含め、今後の合理的な令状処理態勢の在り方について、引き続き、関係機関とも協議しながら、検討を進めているところである」と回答しました。

職員の健康管理について

 メンタルヘルスを悪化させる職員が増加しているとの指摘に対し「職員が職場においてその持てる力を十分に発揮できるよう、心身の健康の保持、増進を図る」ことについて「できる限り配慮」しているとの姿勢を示し、ストレスチェック制度について「受検率向上に資するような工夫を行い、今年度からは、職場環境改善に関する調査項目を追加した」と回答しました。
 また、ハラスメントは「その種類を問わず、これを防止することが、職員が働きやすい職場環境を維持・向上するために不可欠」との認識を示し、「今後とも、幹部・管理職員を始めとする全ての職員に対する研修等の機会を通じた各種ハラスメントの防止に関する意識啓発、相談しやすい体制づくりやその周知等、より効果的な取組に努めていきたい」と回答しました。

昇格について

 「給与問題が職員の勤務条件の中でも最も重要な問題であることは十分認識している」との姿勢を示した上で、事務官の処遇改善を求めたことに対して「これまで同様、裁判所の組織及び職務の特殊性等を踏まえ、可能な限り現在の昇格運用が維持できるよう努力するとともに、専任事務官の専門性の活用にも資するよう配慮していきたい」と回答しました。

権利について

 引き続き「誠実対応」の姿勢を示すとともに、「下級裁当局に対しても、職員団体に対して同様の認識で臨むよう、その指導を一層徹底」していくことを確認しました。

 
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総務局、人事局、経理局、情報政策課(デジタル推進室)と交渉
 

総務局交渉
必要な人員の確保について引き続き努力していきたい

ワークライフバランス推進定員の増員を強く要求

 次年度予算の概算要求にあたって、デジタル化も含めた人的態勢の充実及び各職種の増員を求めたことに対し、「裁判所全体および各庁の事件数や事件処理状況等をきめ細かく把握した上(中略)必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答しつつも、「2024(令和6)年度の増員をめぐる状況はよりいっそう厳しくなる」として、増員を取り巻く状況の厳しさを強調しました。
 これに対し、減員され続けて内部努力も限界の地方職場の実態を訴え、これ以上の中央・大規模庁への人員シフトを行わないよう求めました。
 あわせて、男性職員の育休取得が増える中、男性は短期間の取得が多いために代替措置がとられず多くの職場に穴があいている現状を訴えて、ワークライフバランス推進定員の増員を求めました。

裁判所へのアクセスポイント拡充を求める

 裁判所のデジタル化を踏まえた人的態勢の整備については、「利用者のサポートのための態勢も含め、必要な人員の確保について努力していきたい」と回答するとともに、物的態勢として利用者の利便性を向上するための裁判所へのアクセスポイント拡充を求めたことに対しては、「国民にとって利用しやすい裁判手続となるよう、関係機関とも協力しながら適切に対応していきたい」と回答しました。
 また、ヘルプデスクの設置を求めたことに対しては、「ヘルプデスクの設置も選択肢の一つとして検討していきたい」と回答しました。

外字の取扱い「大きな問題であると認識」

 書記官の課題では、文字の取扱いについて、「システム化による事務の標準化・合理化をすすめる上で大きな問題であると認識している。関係機関との調整等を含めた検討状況について説明ができる段階になれば説明したい」、簡裁民事における予納郵券の保管金化を求めたことについては、「電子納付の推進にむけてできることからとりくんでいきたい」と回答しました。
 速記官の課題では、電子速記タイプライターについて、初年度の整備から5年が経過し、タイプの経年劣化に伴う症状などが現れている実態を訴え、機器の更新と継続整備を強く求めましたが、従前回答にとどまりました。

人事局交渉
超過勤務「事前申告をしっかりしていただきたいし、管理職員も指導していきたい」

超勤縮減、事務の簡素化・効率化を要求

 超過勤務の上限規制導入の趣旨を踏まえ、勤務時間管理を徹底し、ただ働き残業を根絶するよう求めたことに対し、「持ち帰り残業やサービス残業があってはならない」「職員においては事前申告をしっかりしていただきたいし、管理職員においても職員の超過勤務時間を適切に把握するよう、今後も指導していきたい」と回答しました。
 また、事務の簡素化・効率化にむけた検討については、「職場の実態を踏まえながら、これまで以上に事務の簡素化・合理化、業務プロセスの見直し等を推進して、裁判部、事務局を問わず、組織全体として超過勤務の削減にとりくむ必要がある」「今後も、通達等の見直しも視野に入れながら、できることから順次速やかにとりくんでいきたい」と回答したものの、人事局における具体的な検討内容は示されませんでした。

ハラスメント、相談しやすい体制づくりを行う

 パワハラ根絶に向けた具体的な方策を講じるよう求めたことに対して、「働きやすい職場環境の維持・向上にむけ、今後も引き続きハラスメントの防止等のため、各種研修を実施するなどして、管理職員をはじめとする職員全般の意識啓発および知識の向上に努めていくとともに、相談しやすい体制づくりを行っていきたい」と回答しました。

同一職種による育休代替要員確保を求める

 育休代替要員を同一職種で確保するよう求めたことに対して、「これまでも代替要員の確保や育休正規補充に努めてきた」とした上で、「資格官職である書記官や家裁調査官が育児休業を取得した場合には、代替要員の給源を資格を有する元職員に求めざるを得ないことから、適任者がいない場合には、事務官で臨時的任用等せざるを得ない場合がある」と回答しました。
 また、出生サポート休暇について、プライバシーへの配慮がされなかった事例も示し、取得しやすい環境整備を求めたことに対しては、「休暇等の管理をはじめ職員のプライバシーが保護されるよう、各庁の実情に応じて配慮する必要があることは、下級裁にも伝えている」「今後も必要な職員が出生サポート休暇を取得しやすい環境となるよう、下級裁を指導していきたい」と回答しました。

経理局交渉
デジタル化等を踏まえ、庁舎のあり方を検討

さらなる事務の簡素化・効率化を要求

 会計事務の簡素化・効率化にむけて「今後も、通達等の見直しも視野に入れながら、できることから順次速やかにとりくんでいきたい」と回答しました。この回答を受けて、住宅事情調査の対象者の範囲縮小、少額修繕契約の即決処理の活用、健康診断業務の契約負担など、さらなる簡素化・効率化を求めました。ELGAやSEABIS利用者の負担軽減等を求めたことに対しては、従前の回答にとどまりました。

光熱水料など庁費を確保するよう努力

 庁舎の新営・増改築等に必要な予算確保にむけて「今後も必要性・緊急性の度合いや当事者の利便を考慮しながら必要な予算を確保していきたい。なお、デジタル化を含む近時の社会経済情勢の変化や国民のニーズの変化等にも適切に対応し、より質の高い裁判を迅速に行えるよう、合理的・効率的な事務処理態勢と合わせて、今後の庁舎のあり方についても検討すべき」との姿勢を示しました。
 光熱水料や清掃費、物品等の購入のために必要な庁費の増額を求めたことに対して「これまでも必要な予算を確保してきたところであり、今後も引き続き確保するよう努力していきたい」と回答しました。

共済組合の統合進める方針崩さず

 組合員サービスの低下につながる組織の統合を行わないよう求めましたが、「共済組合本部からは、統合後も組合員にとって必要なサービスを維持できると判断したため、東京・横浜以外の東京高裁管内の支部についても統合をすすめることにしたと回答し、統合後の係長ポストの削減をしないよう求めたことに対しては「共済組合組織の統合後も引き続き、資格の有無にとらわれない適材適所の原則による任用や職員の処遇の維持に努めていきたい」との回答にとどまりました。
 この他、日銀代理店の統廃合に伴う出納官吏の本庁集約については、集約先である本庁担当者の事務処理態勢に配慮して進めること、空調・冷暖房の適切かつ柔軟な運用、記録庫への冷暖房の整備、必要な宿舎の確保、職場実態報告等に基づく庁舎の新営要求、特急包括協議路線の追加を求めました。

情報政策課(デジタル推進室)交渉
「グランドデザイン」に基づいて施策の検討をすすめていく

デジタル化予算確保にむけて「最大限努力」

 裁判所のデジタル化にむけて「実務や事務の実情をよく踏まえた上で、国民の利用しやすさを徹底して追求するとともに、職員の利用しやすさにも十分配慮するといったグランドデザインに示した基本的な考え方に基づいて、デジタル化の全体的な計画や個別の施策の検討をすすめていく」との姿勢を示し、裁判所のデジタル化にむけた予算の確保については、「裁判所のデジタル化のために必要な予算の確保にむけては、最大限の努力を行いたい」と回答しました。

システム開発は職員等の意見踏まえて検討

 NAVIUSの運用等については、「RoootSの開発を行うことを踏まえ、NAVIUSの第3次開発については中止することとしたところであり、RoootSの導入により、簡裁民事におけるNAVIUSの運用は終了する」との従前回答にとどまり、今後の展開については示されませんでした。
 一方で、裁判手続のデジタル化を実現するためのシステムは「ユーザーフレンドリーなシステム開発」を行うよう求めたことに対しては、「実際にシステムを使用する職員の意見や要望等を的確に把握し、裁判所全体で幅広く意見交換等をしていくことが必要であり、職員および職員団体の意見も踏まえながら検討をすすめていきたい」と回答しました。

デジタル化にむけた人員確保に努力姿勢

 また、裁判所のデジタル化にむけた人的態勢の整備について「デジタル推進室に『総務・企画グループ』と『システム開発グループ』を設けるとともに、最高裁と下級裁との十分な連携を行うために各高裁にデジタル化の企画チームを、東京高裁にシステム開発支援チームをそれぞれ設けた」「これまで高度デジタル専門人材6名を採用してデジタル推進室に配置してきた」とこれまでのとりくみを説明した上で、「今後も、デジタル化の進捗状況を踏まえて、利用者のサポートのための態勢も含め、必要な人員の確保について努力していきたい」と回答しました。

 
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全司法第80回定期大会のポイント
「集まり、対話する活動」の再構築を!
 

 全司法は、7月23日から25日と8月9日に、第80回定期大会を開催し、向こう1年間の運動方針と財政方針等を決定します。今大会は、3年超にわたる新型コロナウイルス感染症が私たちの暮らし、社会や職場、組合活動に与えた影響について総括し、これからの運動を考える重要な大会となります。
 最重点課題である組織の強化・拡大とさらなる要求前進をめざす観点から、大会議案について積極的な討議を呼びかけます。

定期大会を「アフターコロナ」の活動を考える機会に


議案書を手にする井上書記長
 2020年春頃から世界的に流行した新型コロナウイルス感染症は、5月5日にWHOが「緊急事態宣言」終了を発表し、日本では、5月8日から感染症法上の扱いが「5類」となったことで新型コロナ対策は節目を迎えました。
 新型コロナが完全に終息したわけではありませんが、この間の「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」へと局面が変わりました。コロナ禍のもとで浮き彫りとなった社会の弱点や問題点を解決し、教訓を生かして私たちの暮らしの改善につなげていく必要があります。
 また、同様の視点で、全司法の運動や職場における組合活動(日常活動)についても、コロナ禍のもとでの活動を総括し、「アフターコロナ」の活動を考えていく必要があります。

「『対話』がとりくみの第一歩」を合言葉に、日常活動を充実させよう

 コロナ禍のもとで縮小を余儀なくされていた各地でのとりくみ、職場における組合活動(日常活動)をコロナ禍以前に戻していくことが求められます。コロナ禍で最も制約を受けたのは「集まる」とりくみです。感染防止の観点から、組合員同士で集まることをためらってきた職場もあると思いますが、職場会や職場大会などで組合員同士が集まり、対面で「対話」することは労働組合の基本となるとりくみであるとともに、コロナ禍以前の活動を取り戻す第一歩だと考えています。
 また、「新たな組織方針」では、「職場における対話活動」(職場会)を最も重視すべきとりくみと位置付けていることから、組合員同士が集まり、「対話」するとりくみの再構築は欠かせません。
 「集まる」とりくみを実践していくために、全司法が職場で果たす3つの役割(@要求を実現し、職場のルールを作る役割、A相談しあい、助け合う役割、B仲間を繋ぎ、居場所を作る役割)を改めて確認したいと思います。全司法が職場で果たす3つの役割を意識したとりくみを全ての機関で活動の中心に据えて1年間運動していきましょう。
 そうした運動を通じて、全司法の役割と存在意義を職場に示し、全司法の活動をアピールすることで一人でも多く組合員を増やしていきましょう。

最高裁回答を活用してさらなる要求前進をめざす

 全司法の役割と存在意義という観点では、要求を前進させ、働きやすい職場環境を作ることは欠かせないとりくみです。
 全司法本部は、2023年諸要求貫徹闘争において、人員、超勤縮減、健康管理、デジタル化、職員制度、休暇・休業・次世代育成支援対策、定年年齢引上げに伴う昇格運用を重点課題として最高裁当局との交渉に臨み、職場実態を踏まえた主張を行うことで、これらの課題でそれぞれ前進回答を引き出すことができました。
 各地連・支部は、まずは最高裁回答と職場の実態が乖離していないかチェックを行い、最高裁回答と異なる場合には対応当局に改善を求めていく必要があります。そうしたとりくみを行うためにも、職場の組合員と「対話」することが重要です。

活動の担い手を増やし、次の時代につなげよう!

 第80回定期大会は、「活動の担い手を増やし、全司法が果たす役割を次の時代につなげよう!」を大会スローガンに掲げました。今大会は、「アフターコロナ」の活動を考えるとともに、全司法の新時代を築き、組織を次の世代に繋げていくために重要な大会となります。大会にむけて、機関・職場での積極的な討議をお願いするとともに、要求を前進させ、活動の担い手を増やし、組織を強く大きくしていくために何が必要か、組合員同士での積極的な「対話」をお願いします。

 
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全司法大運動・27回目の請願採択!
 

 6月21日、「裁判所の人的・物的充実に関する請願」が衆・参両院で採択されました。通算27回目の請願採択となります。
 国会法第79条により「各議院に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない」と定められていますが、与野党を問わず多くの政党・会派から紹介議員を得て全会一致で採択に至りました。紹介議員は左記のとおりです。

2022年度全司法大運動紹介議員一覧

【衆議院(33名)】
熊田 裕通(自民)
大口 善徳(公明)
櫻井 周(立憲)
中島 克仁(立憲)
馬場 雄基(立憲)
柚木 道義(立憲)
米山 隆一(立憲)
稲富 修二(立憲)
金子 恵美(立憲)
鎌田 さゆり(立憲)
寺田 学(立憲)
野間 健(立憲)
逢坂 誠二(立憲)
菊田 真紀子(立憲)
重徳 和彦(立憲)
枝野 幸男(立憲)
小川 淳也(立憲)
田嶋 要(立憲)
森田 俊和(立憲)
阿部 知子(立憲)
神谷 裕(立憲)
階  猛(立憲)
藤岡 隆雄(立憲)
本村 伸子(共産)
赤嶺 政賢(共産)
笠井 亮(共産)
穀田 恵二(共産)
志位 和夫(共産)
塩川 鉄也(共産)
田村 貴昭(共産)
高橋 千鶴子(共産)
宮本 岳志(共産)
宮本 徹(共産)

【参議院(25名)】
加田 裕之(自民)
古庄 玄知 (自民)
安江 伸夫(公明)
石川 博崇(公明)
佐々木 さやか(公明)
田名部 匡代(立憲)
福島 みずほ(立憲)
徳永 エリ(立憲)
杉尾 秀哉(立憲)
嘉田 由紀子(民主)
芳賀 道也(民主)
井上 哲士(共産)
伊藤 岳(共産)
岩渕 友(共産)
紙 智子(共産)
吉良 よし子(共産)
倉林 明子(共産)
小池 晃(共産)
田村 智子(共産)
仁比 聡平(共産)
山下 芳生(共産)
山添 拓(共産)
高良 鉄美(沖縄)
伊波 洋一(沖縄)
寺田 静(無所属)

※沖縄・・・沖縄の風

(順不同・敬称略)

 
 
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