全司法は組合員から出された要求に基づいて、最高裁・高裁・地家裁当局との間で、定期的に交渉を実施しています。
裁判所当局は「相互の信頼関係の下、勤務条件やこれに関連する事項についてはその意見を聴取するなど誠実に対応してきており、今後もそのような方針に変わりはない」として、職員の労働条件に関する問題について、全司法の意見を聞くことを約束しています。
こうした枠組みを通して、全司法は「職場のルールを作る役割」を果たしています。
「働きやすい職場」を作ったのは全司法
裁判所は、公務の中でも「働きやすい職場」だと言われています。そうした職場は、全司法を抜きにしては作れませんでした。
サービス残業あってはならない
全司法との交渉で、当局は「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない」と回答しています。超過勤務時間の把握が徹底されていない等の不十分な面はありますが、この回答が基本姿勢として明確にされていることは、労働時間との関係で、働きやすい職場を作るうえで重要です。
「どの部署を何人体制にするか」といった人員配置は、仕事の進め方や働きやすさに大きく影響することから、全司法は重点課題として交渉しています。同時に、事務の簡素化・効率化をすすめることを求めており、近年では上訴記録の丁数打ち廃止をはじめ、様々な事務の簡素化・効率化が実現しています。最高裁は、事務の簡素化等を推進して「超過勤務の削減にとりくむ必要がある」との認識を示し、今後もとりくんでいくと交渉で回答しています。
休暇取得しやすい環境作りに努める
休暇については「取得しやすい環境作りに努めていきたい」との回答を引き出し、年次休暇は基本的に自由に取得できるようになっています。育児・介護などの各種両立支援制度についても必要な職員がきちんと取得できるようになっており、どういう制度があるのかが、誰でもわかるように、全司法が要求することで「ハンドブック」が作成されました。こうしたとりくみを通して、他の官庁よりも女性が働きやすい職場を作ってきたことで、女性の採用・登用も他の官庁より進んでいます。
異動にあたって家庭状況などを勘案
全国津々浦々に官署が置かれている裁判所の職員にとって、異動は重大な関心事です。また、職員の事情で異動を希望するケースもあります。異動にあたっては「職員の意向や家庭状況等」を勘案するとの交渉回答を足がかりにし、全司法は不合理な異動をなくしたり、異動要求を実現させたりするとりくみを行っています。
ハラスメント防止は不可欠
職場のハラスメント対策は、公務・民間を問わず重要な課題となっていますが、最高裁に「防止することが、職員が働きやすい職場環境を維持・向上するために不可欠」との認識を示させました。これを踏まえたとりくみを行わせるとともに、組合員から個別に相談があった場合は、全司法は全力をあげて一緒に解決する努力をしています。
以上述べてきたことは、全司法が勝ち取ってきた成果のごく一部です。むしろ、裁判所の労働条件に関して全司法が関わらずにできたものは、ひとつもありません。そして、それを可能にしてきたのは、職場の多くのみなさんが全司法に加入し、活動を支えていただいているからです。
将来の裁判所のあり方についても意見を反映
現在、デジタル化が職場の重要課題となっています。
最初に動きがあったのは、民事裁判のIT化でした。日本の裁判のIT・デジタル化が諸外国に比べて遅れているという経済界からの指摘を受けて、政府が国の戦略課題として位置付けたからです。2020年5月には民訴法が改正され、「TreeeS」のシステム開発も始まって、これから本格化するとともに、他の裁判分野についても動きが広がっています。また、これを契機として、裁判所内部の事務処理方法も含めて「裁判所のデジタル化」を進めることが課題となっています。
全司法は、政府が検討を開始した当初からこの動きに注目し、意見や情報を発信してきました。交渉では、最高裁から「国民の利用のしやすさを徹底して追求するとともに、職員の利用のしやすさにも十分配慮していきたい」との回答を引き出しました。現在、最高裁には@ウェブ会議等を定着させるための環境整備、A情報の集約と共有、B通信環境の基盤整備、Cユーザーフレンドリーなシステム開発を要求していますが、引き続き、組合員から届いた職場の意見を反映させていきたいと考えています。
今の労働条件だけでなく、将来の裁判所のあり方についても、全司法は「職場のルールを作る役割」を果たしていきます。
生活でのあなたの安心をサポートします
生命保険・火災保険・個人年金などの保険料を負担に感じている方、保険の加入を検討されている方については、「安い掛金で大きな保償」を実現している国公共済会への加入をおすすめします。また、UR賃貸住宅の敷金・家賃の割引制度や奨学金返済の負担を軽減するための制度も準備しており、生活での組合員の安心をサポートしています。
あわせて、仕事上での不当な損害賠償責任追及や権利侵害から組合員を守る目的で「公務に起因する損害賠償責任等に関する補償制度」も作っています。
全司法は「職員代表」
最高裁は1992年3月18日に当時の事務総長が全司法に対して「活動に敬意を表する」「誠実に対応する」「意見は謙虚に聴いていく」と表明しました。最高裁長官も毎年の全司法本部との会見で「相互の信頼関係に基づき、率直に問題意識をぶつけ合い、忌憚なく話し合う中で、問題解決を図っていく」と述べています。
全司法が職場で果たす3つの役割
1 要求を実現し、職場のルールを作る役割
2 相談しあい、助け合う役割
3 仲間を繋ぎ、居場所を作る役割
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