1月22日〜23日、第83回中央委員会を開催しました。新型コロナウイルス感染症の流行状況を踏まえ、集合出席を原則としつつ、オンライン出席との併用での開催となりました。会議では、「集まる」をテーマに@職場における対話活動(職場会)、A学習、B青年の組織化の3つをとりくみの柱に位置付けて2023年春闘に結集し、全司法の組織を強く、大きくするために全力をあげることなどを意思統一しました。
中央委員会には、各支部から選出された中央委員のほか、地連・支部からのオブザーバー、本部役員および来賓の合計89名が参加し、議長に広島支部の福本律雄中央委員、副議長に青森支部の石田英仁中央委員を選出し、議事がすすめられました。

「集まる」春闘!を確認
「青年のチーム」作りをすすめよう
開会あいさつを行った中矢中央執行委員長は、中央委員会の目的を述べるとともに、昨年7月の第79回大会のスローガン(結成75周年。全司法が果たす役割を、次の時代に繋げよう!)にふれつつ、「全司法の組織を維持し、守っていくためには、『青年の組織化』が必要不可欠」であるとし、秋季年末闘争で提起した「青年のチーム」作りを引き続きすすめること、そのために、@青年協のとりくみを青年に繋げること、A支部の活動を青年と一緒にやること、B職場で青年とつながることを実践しようと呼びかけました。
来賓として出席された国公労連の中本邦彦中央執行副委員長は、安倍元首相の「国葬」や統一協会と政治家との関係への対応、敵基地攻撃能力保持を可能とする「安保3文書」改定の閣議決定などの問題にふれるとともに、四半世紀も実質賃金が上がらず、物価高騰が続く現状において、公務員も物価高騰を上回る賃上げを勝ち取るために声をあげようと訴えられました。また、国民のための行財政・司法の実現をめざし、全司法大運動と公務・公共サービスの拡充を求めるとりくみに全力をあげること、国公労連一丸となって組合員拡大に奮闘することが呼びかけられました。
賃上げは最大の要求
確信を持って 賃上げを求めよう
議案の提案に立った井上書記長は、「賃上げは春闘の最大の要求」とし、「国公労連2023年要求組織アンケート」で示された組合員の生活実感や要求にふれつつ、確信を持って賃上げを求めようと呼びかけました。また、3年に及ぶコロナ禍のもとで新自由主義的政策を転換し、公共を取り戻す必要性について述べ、「暮らしの立て直し」をめざして運動をすすめることが重要であると訴えました。加えて、昨年12月に岸田内閣が「安保3文書」の改定を閣議決定したことの問題点を指摘し、「戦争する国づくり」を許さないとりくみに結集する必要があると述べました。
また、要求課題ごとに秋季年末闘争における到達点を踏まえて今後の課題を整理するとともに、2月から5月までの「組合員拡大強化月間」において、すべての機関・組合員が、4月期新採用職員の早期全員加入をはじめとする組合員拡大に集中的かつ全力でとりくもうと呼びかけました。
その後、大杉財政部長から2022年度会計中間決算報告、佐藤会計監査委員から中間監査報告を行い、ともに承認されました。
春闘、人員、メンタルヘルス、デジタル化、組織強化・拡大など
多岐にわたって討論
討論では、春闘情勢、地域での行動への結集、人員、事務の簡素化・効率化、デジタル化、メンタルヘルス不調の増加、定年延長、昇格、行(二)職の新規採用、高裁をまたぐ異動、非常勤職員の雇用安定と処遇改善の課題、全司法大運動のとりくみ等について発言がありました。また、組織強化・拡大については、青年のとりくみ、新採用職員の加入拡大のとりくみや課題などについて発言がありました。
のべ32名が発言し、これを受けて井上書記長が総括答弁を行った後、採決が行われ、圧倒的多数の賛成で春闘方針が可決されました。
最後に、「憲法を活かし、日本の平和と安全を守ることを求める決議」および「2023年春闘アピール」を採択し、職場や組合員の要求と「国民のための裁判所」を実現するため、一人ひとりが、それぞれの持ち場で全力を尽くす決意を固め合いました。
憲法を活かし、日本の平和と安全を守ることを求める決議
岸田政権は12月16日、「国家安全保障戦略」などの「安保3文書」の改定を閣議決定しました。その最大の特徴は反撃能力=敵基地攻撃能力の保有です。
そもそも、憲法9条2項は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定めています。これまで政府は、自衛隊について「専守防衛」のための必要最小限度の実力だから、憲法で禁じられた「戦力」には該当しないと説明し、敵基地攻撃能力の保有も否定してきました。今回の閣議決定は、そうした憲法や国の防衛政策の根幹に関わる問題を、国会の審議もなしに一方的に変更するものです。「安保3文書」には「専守防衛に徹し」と記載されていますが、相手国の領土に攻め込む反撃能力=敵基地攻撃能力を持ち、世界第3位の軍事力を持って「抑止力」=「武力による威嚇」を背景にすることは、実態として「専守防衛」とは言えません。
また、日本を守るという点でも、大きな問題があります。2015年に成立した安保法制によって、自衛隊の任務に集団的自衛権の行使が付け加えられたことから、「反撃能力」を持てば、たとえ日本が攻められなくても、同盟国であるアメリカのためにそれを使うことが可能になります。これは、日本を守るどころか、アメリカの戦争に日本を巻き込むリスクを高めることになります。
加えて、そのための予算をどうするのかという点が大きな問題となります。岸田首相は今後5年間で防衛予算を43兆円とすることを指示し、その財源として徹底した歳出削減を打ち出し、さらなる増税も検討しています。実際、今年の通常国会に提出される2023年度予算は、防衛費が10兆円を超える大軍拡予算です。防衛予算を確保するために社会保障費の抑制など国民生活にしわ寄せがいき、コロナ対策で確保した予算を防衛費に回し、さらには、建設国債の一部を軍事費に充てるなど、この先、国の借金を拡大し、近い将来の大増税にレールを引くものになっています。
防衛力増強が必要だという人でも、岸田政権が言うような大軍拡や増税に反対する人も多く、多くの世論調査で反対が多数となっています。裁判所予算は年間3200億円あまりですが、「国の財政事情が厳しい」ことが増員をはじめとした私たちの要求前進を阻んでいることを考えると、軍事費にこれほど多額の支出をすることは、職場諸要求実現のためにも看過することはできません。
憲法前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と記載されています。これは、第一世界大戦後のパリ不戦条約から始まった国際的な枠組みの中に位置づけられ、日米ではなく世界に目を向ければ、国連やASEAN(東南アジア諸国連合)のとりくみ、核兵器禁止条約の発効など、話し合いによる平和の努力が着実に積み重ねられています。平和に対する不安が高まっている今だからこそ、「戦力対戦力」ではなく、憲法に基づく外交努力こそが必要です。
私たちは国家公務員の労働組合、憲法の守り手である裁判所職員の労働組合として、憲法を活かすことによって日本の平和と安全を守る道を進むことを求めます。
以上、決議します。
2023年1月23日
全司法労働組合第83回中央委員会
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