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全司法新聞
 
庁費が足りなくて困っています!

「物件費の最適化」ってどういうこと?

 最高裁は、「物件費の最適化」と銘打って、庁舎維持管理等経費の支出増加を抑制するための方策をすすめています。具体的には、今年度の予算執行から、庁舎維持管理等経費を含む庁費について、高裁ごとに配分額の上限となる枠を定め、各高裁がその枠内で予算管理を行う方式(枠配分方式)を試行的に導入し、下級裁に対して庁費予算の大幅な削減を求めています。
 枠配分方式では、各高裁が自庁を含む管内地家裁ごとの予算枠を定め、各庁はこの枠の範囲内での予算執行が求められます。そのため、基本インフラ的出費である光熱水料を確保するため、消耗品費等にしわ寄せがいくこととなり、年度当初である4月段階から部課室が要望する消耗品の品目・数量が多すぎるとして会計(用度)課から再検討を求められるといった事態が生じるなど、職場が大きく混乱しました。

消耗品の調達に影響。担当職員が板挟みになる状況も

 枠配分方式となったことによって職場でどのようなことが起こっているのか報告を寄せてもらいました。
◇庁費予算が厳しくなっていることにより、主に消耗品の調達に影響が出ています。部課室所有の消耗品に余剰がないか一斉捜索が行われ、余剰があれば回収し、請求部署へ配布するといったことも行われました。また、物品の請求をした際に理由を詳しく聴取される、定期調達物品以外の必要な物品の請求が認められなかったなど、物品の購入がかなり厳しくなっています。このような状態は、請求する側とされる側双方の事務の増大につながるため、早急に改善を求めます。
◇電気・ガス料金の高騰が著しい状況で、空調運転やトイレの水などの光熱水料を確保するために、抑制しやすい消耗品費にしわ寄せが行きました。会計(用度)課の担当者には、発注を小分けにしたり、数量を最低限に抑えたり、個別の物品要望も例年以上に精査することが求められました。そもそも、積算することが難しい光熱水料を枠の対象経費に含めたことが問題であり、可能な限り節約執行に努めてきましたが、年度当初から極端に抑制する方向での予算執行を強いられました。
◇予算執行のあり方が変更されることは職場には説明されていません。そのために、裁判官も含めた事情を知らない職員と会計(用度)課の担当者との間で板挟みとなり、不快な思いをされた職員も少なからずいます。「枠配分方式」とするのであれば、最高裁は職員に対してきちんと説明すべきです。

職員の理解と納得を得る努力を尽くせ

 また、7月に開催した第79回定期大会でも「廊下の電気をこまめに消すよう指示がある」「昼休みは真っ暗にして電気代を節減している」「空調運転を制限されている」「窓の清掃回数が減った」「除草作業の回数が減った」といった実態も報告されています。
 一方、庁費の節減をはじめとした「物件費の最適化」のとりくみは高裁ごとにバラつきもあるようです。
 こうした職場からの報告を受けて、全司法本部は最高裁当局に対して「予算執行の考え方を変えるのであれば、全司法に対してはもちろん、全ての職員に説明すべき」と繰り返し主張してきましたが、最高裁当局からは、考え方を変更した経緯や職場に与える影響などについての説明は一切ありません。
 経費節減を全面的に否定するわけではありませんが、必要な経費はきちんと確保しなければなりません。また、この問題について、十分に説明し、必要性について職員の理解と納得を得る努力を尽くすべきだと考えます。
 全司法本部は、秋季年末闘争における最高裁当局との交渉において、「枠配分方式」とした理由について説明を求めるとともに、全国から寄せられた意見等をもとに最高裁当局に対する追及を強めます。

 
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10月15日全司法本部四役・最高裁長官会見 発言要旨
 

 全司法本部四役は、10月14日に戸倉三郎最高裁判所長官と会見しました。最高裁からは、堀田事務総長、徳岡人事局長、富澤人事局総務課長が同席しました。

委員長 本日の会見にあたって、全司法労働組合として持っております問題意識のいくつかの項目について意見を述べさせていただき、長官の考えをお聞かせ願いたいと思います。
長官 委員長の御意見は承りました。
 当局と職員団体という立場の相違はありますが、今後ともこれまで同様、相互の信頼関係に基づき、いろいろな問題について、率直に意見交換をしながら、より良い方向で解決していってもらいたいと思います。

裁判所のデジタル化について

従来の議論にとらわれない新鮮な視点をもって、裁判所全体で幅広く意見交換等をしていくことが重要

委員長 デジタル化は裁判所の最大の課題になっていると認識しており、国民に対する司法サービスのあり方に大きな影響を与えることはもとより、職員の労働条件も含め、今後の裁判所の組織や事務処理のあり方を考えるうえで、大前提になってくるものだと考えています。この課題で、職員が忌憚なく率直に意見を出し合い、裁判所全体で検討する中で、よりよい仕組みを作っていくことがきわめて重要だと考えており、全司法の意見も聞きながら、検討を進めていただきたいと思います。
 この機会に、現時点で重要だと考えていることをいくつかお伝えします。
 第1に、ウェブ会議等を定着させることです。民事裁判IT化のフェーズ1でウェブ会議による手続きが進められ、その他の事件でも活用が広がってきていますが、今後、法改正によって対象となる手続きが大幅に拡大することになります。また、司法行政の分野でも会議や研修などでウェブ会議が利用されることが増えてきました。この約2年半の新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、社会全体としてもオンラインによる集会・会議が急激に広がっており、まさにこの時期に環境整備を進め、軌道に乗せていくことが重要です。
 第2に、情報の共有です。膨大な情報の中から、必要なものにすみやかにアクセスでき、それを自在に活用することで、適正・迅速な事務処理ができる仕組みを作ることであり、これこそがデジタル化の肝だと考えています。そのためには、情報を収集・整理し、アップデートして全職員に提供し続ける体制と、アクセス方法を簡単明瞭にすることが必要不可欠であり、今般、最高裁が導入されるコミュニケーションツールは、そのためにこそ活用されるべきです。
 第3に、通信容量の確保やセキュリティ対策など、通信環境の基盤整備です。オンライン申立てや記録の電子化を想定すると、膨大なサーバーの容量と通信環境の抜本的な強化が必要になります。これは、最高裁しか検討・実行できないことであり、それに必要な予算確保を含め、最重要の課題として強く求めます。
 第4に、ユーザーフレンドリーなシステムの開発です。最高裁が2022年諸要求期の交渉において「国民の利用のしやすさを徹底して追求するとともに、職員の利用のしやすさにも十分配慮していきたい」と回答したことは評価しており、それを実現させることが重要だと考えています。そのために、全司法をはじめ、職員の声をよく聴いて、使いやすいシステムを作ってもらいたいと考えています。あわせて、全ての職員が担当する職務に応じたデジタル化に関する知識・技能を身に着けることができるよう、研修の充実を求めます。
 デジタル化を進めることによって従来の事務の簡素化・効率化が進み、超過勤務の縮減等につながることを期待しますが、デジタル化が進むことで新たに必要となる事務が発生することも予想され、直ちに人的態勢の縮小につながるものではないと考えます。とりわけ、デジタル化に伴うサポート態勢は、利用者・国民に対するものも、職員に対するものも充実・強化することが必要不可欠であり、そのための人員はむしろ増やす必要があると考えます。
 また、デジタル化が軌道に乗るまでには一定の年数を要するものと考えられ、導入・定着させるための人的態勢も必要です。以上のことから、デジタル化を理由とした人員削減には反対であり、実際の事務処理に応じた必要な人的態勢の整備を求めるものです。
 全司法は今後とも、裁判所のデジタル化に関して積極的に意見を述べていきたいと考えていますが、今述べた点もあわせて検討されるよう求めます。
長官 情報通信技術の飛躍的な発展や今般の感染症の影響を背景として、社会全体でデジタル化に向けた動きが加速しています。このような社会情勢の下、各種裁判手続についても検討が加速しており、ITの利活用を通じて、より質の高い裁判を実現することが求められています。生活様式の変化や利用者のニーズに即し、これからのデジタル社会における裁判所の在り方を見通しつつ、司法行政事務も含めた裁判所全体のデジタル化について検討を進めていくことが必要です。
 そのため、先般示した裁判所のデジタル化の全体像(グランドデザイン)のとおり、実務や事務の実情をよく踏まえた上で、国民の利用のしやすさを徹底して追求するとともに、職員の利用のしやすさにも十分配慮し、各種デジタルインフラの最適化、情報セキュリティの確保等にも鋭意取り組んでいきたいと考えています。検討に当たっては、在るべき裁判の姿を見据えつつ、従来の議論にとらわれない新鮮な視点をもって裁判所全体で幅広く意見交換等をしていくことが重要です。引き続き、必要に応じて職員及び職員団体の要望等も踏まえながら検討を進めていきたいと考えています。
 裁判所の人的態勢については、今後、書記官や事務官を始めとする職員一人一人が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築して、より活力のある組織を目指していくことが必要であると考えており、それに相応しい最適な人的態勢を構築し、裁判所が、国民の期待に応え、信頼が得られるよう、引き続き、努力していきたいと考えています。

勤務時間の客観的把握、超勤縮減、事務の簡素化・効率化、人員配置について

組織全体として超過勤務の削減や働き方の見直しに取り組んでいきたい

委員長 2019年4月に改正人事院規則が施行され、超過勤務の上限規制が導入されて3年半が経過します。職員の健康を守り、働き方を見直して長時間労働をなくすことが目的であったはずの制度が、実際には上限時間ばかりが意識され、申告に基づく把握が足かせとなって、超勤実態を見えなくし、全国でサービス残業が一般化してしまいました。
 これは、1990年代初めに超過勤務をめぐって最高裁と全司法が真剣に議論し、「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない」との回答に結実した重要な到達点を後退させるものになっています。また、一昨年に示された「今後の裁判所における組織態勢と職員の職務の在り方の方向性等について」では「最適な人的態勢の在り方を検討する」とされていますが、超勤実態が把握されていなければ、これを議論・検証することは困難になります。超勤時間の正確な把握は、今、最も重要な課題だと考えています。行政府省では、客観的な記録を基礎にした超過勤務時間の把握が検討されています。裁判所もこれに遅れることなく、デジタル化に合わせた記録化も視野に入れて、まずは、職員の申告任せではなく、管理職員が客観的に超勤時間を把握し、これを記録化するという方針を明確にすることを求めます。
 あわせて、超勤縮減のために事務の簡素化・効率化を進めることが重要だと考えており、この間の最高裁の努力については前向きに受け止めています。引き続き、デジタル化も見据えて抜本的に検討するとともに、下級裁に対する指導も強めていただきたいと思います。
 また、人事院は今年の勧告と同時に出した「公務員人事管理に関する報告」で「業務の合理化を行ってもなお長時間の超過勤務により対応せざるを得ない場合には、各府省において、業務量に応じた柔軟な人員配置や必要な人員の確保に努める必要がある」との認識を示しました。人事院的な機能を持つ最高裁としても、そうした立場で各庁における人員配置を行うよう求めます。
長官 公務における超過勤務の上限等に関する措置が導入される等、長時間勤務の問題は社会的にも大きく取り上げられているところです。最高裁としても、超過勤務を的確かつ遅滞なく把握し、適切な超過勤務時間の管理を行うよう、今後も下級裁に対し指導を徹底するとともに、職場の実態等を踏まえながら、これまで以上に各種事務の簡素化・効率化、業務プロセスの見直し等を進め、裁判部、事務局を問わず、組織全体として超過勤務の削減や働き方の見直しに取り組んでいきたいと考えています。

職員の健康管理について

心身の健康の保持、増進を図るとともに、
家庭生活と両立していけるような環境整備を進めることが重要


委員長 人事院の「公務員人事管理に関する報告」では「公務においても、今後、定年の引上げに伴い高齢層職員が増加するほか、女性職員の割合が増加していることなどから、これらの職員も念頭に置いた職員の健康管理がより重要となる」と記載しています。
 近年、全国の職場でメンタルヘルスの不調を訴え、休暇・休職する職員が増えています。長時間労働をなくすことや、ハラスメント防止対策を充実させることと合わせて、職場におけるストレスの実態を把握し、その原因を分析して、職場環境の改善につなげることが必要だと考えます。全司法は、職員の意見を聞くための措置やストレスチェックの活用を主張していますが、最高裁として、健康管理のための新たな仕組みを検討いただきたいと考えます。
 女性の健康支援について、全司法は「女性の健康問題から考える『働きやすい職場づくり』アンケート」にとりくみ、その結果は当局にも示しているところですが、休暇が取得しやすい環境整備や、職員全体に対する知識付与・情報提供を求める意見が多く出されました。裁判所の女性職員が職場で大きな役割を果たしていることを踏まえ、女性の健康支援のとりくみを強化するよう求めます。
長官 職員の皆さんに持てる力を十分に発揮してもらうには、心身の健康の保持、増進を図るとともに、家庭生活と両立していけるような環境整備を進めることが重要です。このような観点から、これまでも種々の施策を講じてきていますが、これまで以上に組織活力を維持・向上させ、全ての職員が、持てる能力を最大限発揮することができるよう、その実効性を高めるために工夫すべき点がないか等につき検討させていきたいと考えています。

全司法との誠実対応について

率直に問題意識をぶつけ合い、忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図っていく

委員長 1992年3月18日の最高裁事務総長見解以来、全司法と裁判所当局とは相互の信頼関係に基づいて、安定した労使関係を築くことができているものと考えており、日頃から誠意をもって対応いただいていることに対し、改めて感謝いたします。
 全司法は職員の地位の向上と「国民のための裁判所」実現を組織の目的としており、職員の処遇問題にとどまらず、官の職制の中からは浮かび上がってこない職場実態を拾い上げ、可視化し、より良い裁判所を作るために努力しているものと自負しています。そうした視点から、全司法を裁判所の職場をともに作るパートナーとして位置付け、職場で起きる様々な課題について、今後とも建設的な議論を続けていただきたいと考えております。
 その意味でも、最高裁はもとより、全国の各庁で全司法の意見に耳を傾け、率直で建設的な議論を重ねていくことができるよう、これまで築き上げてきた信頼関係を尊重し、誠実に対応されるよう下級裁に伝えていただくことを含め、確認したいと思います。
長官 私も、平成4年3月18日の事務総長見解の内容は当然のことと考えています。職員の勤務条件やこれに関連する事項については、これまで築き上げてきた相互の信頼関係に基づき、率直に問題意識をぶつけ合い、忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図っていかなければならないと考えています。
 担当部局には、今後もそのような立場で努力させたいと思いますし、職員団体もその方向で努力していただきたいと思います。

 
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全国書記長会議6年ぶりの地連別開催
〜コロナ禍を乗り越え、活動を立て直すきっかけに〜
 

 2022年度第1回全国書記長会議は、久しぶりに地連別に開催しています。10月は中国(15日)、中部(15〜16日)、近畿(22日)、九州(22日)の4地連で開催され、他の地連も11月に開催を予定しています。

 毎年、秋と春の年2回開催している全国書記長会議について、この秋は各地の実情にあわせた内容で開催し、管内各支部と地連執行部がしっかり意思統一し、団結を強めることができるよう、6年ぶりに地連別開催としました。
 会議には、本部役員が出席し、この秋のとりくみのポイントとして、
1.要求実現にこだわる秋季年末闘争にしよう!
2.機関・職場で裁判所のデジタル化にむけた議論をすすめよう!
3.青年の組織化をはかり、青年運動を活性化させよう!
4.組合員を増やし、組織を強く・大きくしよう!
の4点を中心に報告・提案等を行いました。また、秋季年末闘争における地連のとりくみや学習会、班別討論などを実施しました。
 オンラインを活用する地連、久しぶりに全支部集合参加で実施した地連など、実情に応じた会議が開催されています。
 新執行部が発足し、これから1年のとりくみをスタートするのにふさわしい機会になるとともに、コロナ禍を乗り越え、活動を立て直すきっかけを作る会議となりました。

【近畿地連】タイムラグなく熱を感じる議論ができた

完全集合で、みんなの顔を見ながら
 近畿地連は、本部と地連からそれぞれ秋季年末闘争方針について報告したほか、組織強化・拡大、支部交付金の活用について議題としました。
 なにより久々の完全集合で、みんなの顔を見ながらタイムラグなく熱を感じる議論ができ、休憩時間中の情報交換もあって、大変有意義な時間になりました。
 地連としても、コロナ禍でなかなか実施できていなかった「青年レク」につき、早期に計画・実施する旨を各支部に確認できた事は、大きな収穫でした。
 この会議が、秋季年末闘争をすすめるうえで大きな弾みとなった事を確信し、各支部が秋のとりくみを充実させられるよう、今後とも近畿地連管内で力を合わせて頑張ります。

【中国地連】自分のやるべきことが見えてきた

島根支部の取り組みを聞く
 中国地連管内では、今期は多くの支部で書記長が交替しました。山陽三支部の書記長がいずれも若手ということもあり、「地連別」のメリットを生かして、初めて書記長をする人に合わせたカリキュラムを組み、「折衝」「交渉」とは、秋闘期のスケジュールの確認など、これから書記長業務をするにあたり、知っておくべき基本的知識の付与に重きを置いた講義を行いました。
 また、広島支部の福本委員長に国公共済会について講義をしてもらったり、毎年新採用職員100%加入を達成している島根支部の石井書記長から、島根支部のとりくみ事例を紹介してもらうなど、みんなで学習する機会としました。
 あわせて、本部の中矢委員長を進行役に、脱退を防止するためにどんな対策が考えられるかグループ討議も行いました。脱退を防止するための対策として、「機関紙の発行」「職場会の開催」など、「組合員との対話」や「活動の見える化」を重視した案が多く挙げられました。
 参加者からは、「初めての役員で不安だったが、会議に出席してなんとなく組合のことがわかった」「書記長として自分のやるべきことが見えてきた」「長く役員をしていて、楽することばかり考えていたが、初心に帰ることができた」等の感想がありました。

 
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人員、職員制度、昇格などで活発な討議
地連事務官担当者会議・上京団交渉
 

 10月16日(日)から17日(月)にかけて、地連事務官担当者会議を実施し、その後に最高裁交渉に臨みました。
 初日、本部あいさつに続き、人員、職員制度及び昇格改善要求を中心に基調報告を行い、その後、課題ごとに討議を行いました。参加者は、若い人からベテランまでで、オブ参加もあり、たいへん活発な討議となりました。

事務官上京団交渉の様子

人手が足りず
サービス残業の実態も

 人員については、政府の定員合理化計画に協力するもとで、下級裁では年々人が減らされ、全国的に事務局、事件部を問わず繁忙状況が続いています。そのため、超過勤務をせざるを得ず、早朝、昼休み及び夕方の超勤が横行しています。早朝については、管理職から色々理由を聞かれるのが嫌で、超勤申請をしていないという実態があり、夕方についても、超勤の上限規制を意識して申請時間を少なくし、結果としてサービス残業になっている実態があります。また、SEABISや人・給システムが未だに非常に使いづらいという声が多く、今後は、ELGAやEASY等の新たなシステムも導入が進められていることから繁忙状況に拍車がかかる可能性があります。
 昇格課題では、58歳で未だ3級の人が多数存在し、「退職までに誰でも5級」の到達点には程遠い現実があります。

今後は地連、支部、分会
交渉で追及することが重要

 翌日の最高裁交渉では、当局の回答は全体をとおして従前の回答に終始したものの、職場の繁忙状況を訴えました。増員要求の追及や、新型コロナウイルス感染拡大防止のための備品購入をはじめとした予算確保、オンライン会議をするための設備の整備や「退職までに誰でも5級昇格」の枠組みはできているものの、現実には4級以下で退職を強いられている者がいる実態をふまえ、研修制度を充実させ、きちんとした職務評価を求めました。「退職までに誰でも5級」昇格ができるよう当局を追及できたことは大きな成果だったと思います。今後、それぞれの地連、支部及び分会で交渉を行って、当局を追及していくことが重要となります。

 
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Opinion!裁判所のデジタル化 第3回
 

デジタル化の鍵は、回答を実践するような最高裁に生まれ変わるかどうか
齊藤裕記(東京地連委員長)


 東京地裁で働く者として、NAVIUSの失敗は大きなダメージとして残っている。計画時に全司法や職場から出た意見をことごとく退け、「お金がかからない」と「全ての裁判業務に対応する」の両立を目指した夢のようなシステムは、大規模障害により長期間、簡裁民事に大きな負担をかける結果となった。
 今後のデジタル化の流れも「そんなことが、最高裁が作るシステムで出来るのか」という色眼鏡で職場は見ている。
 最高裁は「実務や事務の実情をよく踏まえた上で」「職員の利用のしやすさにも十分配慮していきたい」と回答している。これまで、実務や事務の実情を踏まえる機会も、職員の利用しやすさに配慮するチャンスもあったのだから、結局、デジタル化が進むかどうかは、その回答を実践するような最高裁に生まれ変わるかどうかだと思う。

全司法が執行・保全・倒産・家事等の「中間試案に意見書を提出!

 8月5日に法制審議会民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会が取りまとめた「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案」について、全司法は8〜10月にかけて地連・支部の意見を集約しました。これをふまえて、9月27日に最高裁に、10月24日に法制審にそれぞれ意見を提出しました。
 意見書は、@「インターネットを用いてする申立て」について、A「事件記録の電子化」について、Bウェブ会議や電話会議のための環境整備、C各種手続の書記官権限化について、D送達費用の手数料化と手数料の電子納付について、を中心に意見を記載しています。

 
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超勤縮減、メンタル不全の予防、人事評価や定年延長等で追及
秋年期第1回人事局総務課長交渉
 
課長交渉の様子

 全司法本部は10月19日、秋季年末闘争における最高裁富澤人事局総務課長との第1回交渉を実施しました。
 交渉では、労働時間短縮・超勤縮減、健康管理・安全確保、民主的公務員制度、高齢者雇用・再任用制度、採用・異動、宿舎、権利、社保・共済の課題で最高裁を追及し、要求の前進をめざしました。

勤務時間把握
始業前、昼休み、休日も変わるものではない

 超勤については、「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない」とし、「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で(中略)適切な超過勤務時間の把握を行うよう今後も指導を徹底していきたい」と回答しました。
 また、早朝・昼休み・休日の勤務実態がある場合は超勤として認めるよう追及したことに対しては、「勤務時間把握については(中略)始業前、昼休み、休日における勤務についても変わるものではない」とあらためて回答しました。

メンタル不調の増加
職場としてでき得る配慮をしていきたい、下級裁にも問題意識は伝えたい

 健康管理については、今年4月1日現在の90日以上の長期病休者が150人(昨年同期131人)、うち精神・行動障害によるものが126人(同90人)に増えたことをふまえ、最高裁の認識を明らかにし、原因分析と対策を行うよう求めました。これに対して、「原因はさまざまであり、一概に認識を述べることは難しい」としつつも、「今後とも職員の健康保持に向けて職場としてでき得る配慮をしていきたい」「下級裁にも問題意識は伝えたい」と回答しました。

定年年齢引き上げ
固まり次第、詳細について説明する

 人事評価制度における評語区分の6段階への見直し後の運用について追及したことに対しては、「裁判所における人事評価制度の基本的な考え方に変わりはない」「職員の能力及び実績をきめ細かく的確に把握・評価することが可能になる」とし、「裁判所の組織の特殊性や職員の職務の特性を踏まえたものとして適切に運用されるよう努めていきたい」と回答しました。
 定年年齢引き上げについて、全司法の意見をふまえて運用の具体化をはかるよう求めたことに対しては、7月に制度概要と「裁判所における運用の骨子(案)」を示したとした上で、「現在、運用の詳細について検討を進めている」「固まり次第、詳細について説明する」と回答し、全司法との誠実対応の姿勢を示しました。

新採用職員の採用
各高裁において採用者の確保に鋭意とりくむよう指導

 4月期および10月期に新採用職員を採用することができずに欠員が生じている庁が相当数あることをふまえ、欠員が生じないよう十分な採用を確保するよう追及したことに対しては、「今後とも適正な規模の採用候補者名簿の作成に努めるとともに、引き続き各高裁において採用者の確保に鋭意取り組むよう指導していきたい」と回答しました。

共済統合後に残る業務
担当部署は関係部局と調整を進めていると聞いている

 来年4月に共済本部に統合される東京および横浜支部について、統合後も被統合庁に残る業務の担当部署・人員配置については、「関係部局と調整を進めていると聞いている」とし、明らかにしませんでした。また、次年度予算の概算要求において、統合に伴い、下級裁から最高裁へ事務官25人の振替を要求していることに関わって、25人全員を共済本部に配置するかについては「4月の具体的な態勢については、今後、検討していくことになる」と回答しました。

 
 
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