全司法本部は10月3日、「2022年人事院勧告の取扱い等に関する要求書」に基づき、最高裁堀田事務総長との交渉を実施しました。
賃金改善等の課題について、全司法の問題意識を伝え、裁判所内での検討や人事院をはじめとした関係機関への働きかけを求めました。
賃金改善
「要望は関係機関に伝わるようにしたい」
3年ぶりのプラス勧告になったことを一定評価した上で、勧告が出された以上、改善部分のすみやかな実施を求めました。
また、「職員の給与に関する報告」で社会と公務の変化に応じた給与制度の整備(アップデート)を図っていくことが表明されたことを受けて、国公労連との協議・合意を人事院に求めるとともに、裁判所に関する制度については、全司法と誠実に対応することを求めました。
事務総長は「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」とした上で、「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
給与制度の見直しについては「引き続き情報収集に努めていきたい」と回答しました。
長時間労働是正
「適切な超過勤務時間の管理を行うよう指導を徹底」
サービス残業が増え、超過勤務時間の「暗数化」が全国的に広がっていることを指摘し、客観的把握に基づく勤務時間管理を求めました。
また、「公務員人事管理に関する報告」において、業務量に応じた定員・人員確保の必要性が指摘されていることを踏まえ、人事院と同様の姿勢に立って超勤縮減のために各庁の人員配置を積極的に行うことを求めました。
事務総長は「超過勤務を的確かつ遅滞なく把握した上で、(中略)これまで以上に各種事務の簡素化・効率化、業務プロセスの見直し等を推進して、裁判部、事務局を問わず、組織全体として超過勤務の削減に取り組む」と回答し、「下級裁に対しても、管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、超過勤務については、(中略)的確かつ遅滞なく把握し、適切な超過勤務時間の管理を行うよう、今後も指導を徹底するとともに、各種事務の簡素化・効率化等の取組を後押ししていきたい」と回答しました。
人員配置に関しては「必要な人員の確保についても引き続き努力していきたい」と回答しました。
両立支援制度
「取得しやすい環境作りは重要」
不妊治療のための出生サポート休暇は、特に職員の理解と協力が必要になることから、両立支援制度を利用しやすい職場環境整備を求めました。
事務総長は「両立支援のための各種制度を取得しやすい環境作りは、適切な公務運営を確保しつつ、家庭生活と両立するための環境整備として重要」「各種制度を利用している職員の勤務実態には十分目配りする」「引き続き下級裁を指導していきたい」と回答しました。
健康・安全確保
「ハラスメント防止は不可欠」
ハラスメント相談窓口をはじめとした当局の対応について「相談者に寄り添った対応になっていない」と指摘し、ハラスメントの防止とともに、起こった場合の対応の充実を求めました。
事務総長は「ハラスメントについては、その種類を問わず、これを防止することが、職員が働きやすい職場環境を維持・向上するために不可欠」とした上で、「研修等の機会を通じた各種ハラスメントの防止に関する意識啓発、相談しやすい体制づくりやその周知等、より効果的な取組に努めていきたい」と回答しました。
非常勤職員の処遇確保
「障害者雇用促進法の下、適切な運用に努める」
休暇・手当制度の改善、更新時公募の撤廃や無期雇用化などの雇用の安定にむけて、関係機関への働きかけを求めました。
また、ステップアップ制度による採用の拡大を求めました。
事務総長は「職員団体の要望は人事院に伝わるようにしたい」「障害者雇用に係るステップアップ制度については、今後とも、障害者雇用促進法の下、適切な運用に努めていきたい」と回答しました。
定年引上げ
「適切かつ誠実に対応していきたい」
「定年の引上げ等に関する全司法の意見について」(8月24日付け渉外第2号)に誠実に対応し、高齢期の職員がやりがいを持って働き続けられる制度とするよう求めました。
事務総長は「必要に応じて職員や職員団体の意見を聞くなど、これまでと同様に適切かつ誠実に対応していきたい」と回答しました。
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