おいでやす全司法
プライバシーポリシー  
CONTENTS 全司法紹介 司法制度改革 少年法関連 全司法大運動 全司法新聞 声明・決議・資料 リンク サイトマップ
  トップページ > 全司法新聞 > 2022年10月 > 2386号
 
 
全司法新聞
 
職場の「実態」「思い」を当局にぶつける交渉を!
2022年秋季年末闘争方針のポイント
 
かつての青年協コンビで本部を担う

 秋から年末にかけての秋季年末闘争がスタートします。裁判所のデジタル化が大きな課題ですが、職場に目を向けると、人員、健康、超過勤務など様々な問題があります。「地連・支部が主役」と言われる秋季年末闘争では、職場で起きている問題を可視化して、「実態」や「思い」を交渉で当局にぶつけることが重要です。
 そうした、秋季年末闘争方針のポイントについて、井上書記長、猪股書記次長に語ってもらいました。

地連・支部交渉で「職場実態は最高裁回答と違う」と追及を!

井上書記長
猪股書記次長
井上 猪股さんとは、私が青年協議長の時に青年協で一緒に活動しました。改めてよろしくお願いします。
猪股 よろしくお願いします。
井上 猪股さんは8月まで職場にいたわけですが、職場の要求課題では、どんなことが課題になっていましたか?
猪股 私は東北地連の書記長だったので、地方の人員削減が課題でした。特に北東北3県(青森、岩手、秋田)の人員が削減されています。仙台は「それに比べると…」と言われるのですが、職場で超過勤務は多かったし、メンタル不全になる人もいて大変でした。
井上 人員については、これから年末にかけて「各庁の定員をどのように配置するか」といった具体的な検討が最高裁と下級裁の間ですすめられますから、各庁当局に職場実態を認識させることが重要です。本部は引き続き、最高裁に対して、地方の職場からの「人員シフト反対」のとりくみを強めたいと思います。
 やはり、メンタル不全の人は増えていますか?
猪股 実感として、メンタルで休む人は増えています。特に4月期、異動したばかりの人がメンタル不調になる印象が強かったです。私がいた職場もそうでしたが、職場でそういう人が出ると、連鎖的に同じ職場でメンタル不調を訴える人が出てきます。
井上 職場の忙しさなどの影響もあるでしょうね。メンタルヘルス対策、パワハラ対策なども含めて、健康管理のための施策を当局に具体的に検討させる必要がありますね。
 超過勤務はどうでしたか?
猪股 上限規制が導入されてから、実際には超過勤務をしていても、上限に達しないように調整して申告している人が多かったです。特に、朝とか昼休みにサービス残業をしている人が多くて、全庁的に「朝は7時以降に出勤するように」という連絡がされたことがあるぐらいです。
井上 本部は5〜6月の交渉で最高裁を追及し、「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握し、適切な超過勤務時間の管理を行うよう今後も指導を徹底していきたい」と回答させました。そうなっていない職場実態があれば、交渉で「職場実態は最高裁回答と違う」と追及し、各庁当局に認識させる必要があります。
 「秋季年末闘争は地連・支部が主役」と言われますが、定員や超勤をはじめ、事務の簡素化・効率化、異動、昇格など様々な要求について、職場で起きている問題をとりあげて、全ての地連・支部が独自要求を確立し、12月初旬までに交渉を実施して、要求実現を迫ることが重要です。職場で起きている問題を可視化して「実態」や「思い」を交渉で当局にぶつける、それが秋季年末闘争の最大のポイントです。

「裁判所のデジタル化」
中味はこれからが勝負

井上 裁判所のデジタル化が重要な課題になっています。職場ではデジタル化でどんなことが課題になっていましたか?
猪股 最高裁がデジタル化に向けた資料を示したところでしたが、本部に来る前は会計課だったので、ELGAやEASYが導入されたら、どう対応するのかという話をしていました。民事部ではウェブ会議をやるのに部屋が足りなくて、その調整が大変だということが問題になっていました。
井上 5〜6月期の交渉で、最高裁は「裁判所のデジタル化をすすめていくにあたっては、実務や事務の実情をよく踏まえた上で、国民の利用しやすさを徹底して追求するとともに、職員の利用しやすさにも十分配慮する」「裁判所のデジタル化の検討をすすめるにあたっては、実際にシステムを使用する職員の意見や要望等を的確に把握し、裁判所全体で幅広く意見交換等をしていくことが必要であり、職員および職員団体の意見も踏まえながら検討をすすめていきたい」と回答しました。
 これを受けて、実際に職員への情報提供も増え、職員の意見を聴くとりくみもすすめられています。
 デジタル化の中味がどうなるかは、これからが勝負です。全司法は各地連・支部からの報告を踏まえて「『裁判所のデジタル化』に関する意見(第1次)」を9月27日に最高裁に提出しましたが、これを出発点に、今後も機会があるごとに、積極的に意見・要求を反映させていきたいと考えています。

自由に楽しく活動できる青年組織を全国各地で作ろう!

井上 全司法にとって、組織の強化・拡大が重要な課題です。猪股さんには組織部長をお願いしていますが、どんな点に問題意識を持っていますか?
猪股 東北では新採用職員の加入拡大が課題でした。とりかかるのが遅くて、準備ができる前に4月を迎えてしまう感じで…。
井上 10月期も職員の新規採用がありますから、その加入拡大のとりくみは重要です。あわせて、これまで加入した新採用職員へのフォローも重要ですよね。本部は、新執行部が立ち上がった秋の時期に、年間の目標やスケジュールを立てることを提起しています。新採用以外の加入拡大や脱退防止も重要ですし、4月の採用・異動期直前になって慌てないように最初にみんなで考えておきたいということです。
猪股 異動期の忙しさがもちろんあるのですが、足を踏み出せていない感じは確かにありました。特にベテランの役員が中心になっている支部等では、新採用の若い人たちに声をかけにくいという率直な気持ちもあるように感じています。
井上 秋季年末闘争では、青年部をみんなで盛り上げるとともに、「青年部が廃止または休止となっている支部については、青年の組織化(チームやプロジェクトの立ち上げなど)をすすめ、新採用職員の加入拡大をはじめとした組織拡大のとりくみや青年独自の活動を行う態勢を作ります」との方針を新たに提起しました。
 全国的に見れば、全司法の活動に目を向けてくれている若手組合員も少なくありません。「ゆるやかな組織」で良いので、そういう人たちに自由に楽しく活動してもらう仕組みを青年協とも協力して、全国各地で作っていきたいと考えています。それが、組織を強化・拡大し、全司法を次世代に繋ぐためには必要不可欠だと考えています。

 
ページの先頭へ
 
Opinion!裁判所のデジタル化 第1回
 

 裁判所のデジタル化について、当局は様々な形で情報発信や職員の意見を聞くとりくみを行っています。デジタル化は、今後の裁判所の組織や事務処理のあり方を考えるうえで重要な課題であることから、全司法としても積極的に意見を述べていくことにしています。
 そこで、「全司法新聞」でも様々な観点から意見等を掲載する連載を始めます。第1回は3人にお願いして意見を書いていただきました。引き続き、組合員のみなさんからの投稿をお待ちしています。

インフラ整備を早急にすすめるべき
長岡文生(元本部書記長)

 グランドデザインやコンセプトスライド、RoootSやmintsのシステム概要を見ると、これまで長きに渡り全司法が要求してきたことが随所に反映され、将来の裁判所の形や新しい事務のあり方が垣間見え、期待が膨らみます。
 とは言え、現場を見てみると、会議や裁判官の研鑽でもウェブ会議は増えているものの、管内支部における司法行政目的での接続端末上限数は「ゼロ」、事件で使用していなければ「1」接続して良いという状況。ウェブ会議の使い勝手の良さを踏まえれば、今後も利活用されるでしょうし、家事調停をはじめ、事件でのウェブ会議も増えてくるはず。回線容量の脆弱さが解消されなければ、地方の職場ではむしろ混乱を来します。せっかく良い理念を打ち出したのなら、それに見合ったインフラ整備は早急にすすめるべきであり、そのためにも、しっかりとした予算を獲得することが特に重要だと感じています。
 意見募集窓口にはたくさんの意見が寄せられていると聞きます。これらの意見を受け止め反映できる「仕組み」が整備され、最高裁が「要求は承る」の世界から脱却することを切に願っています。

かっこよく言うとパラダイムシフト
藤井敦司(中央執行委員・書記官担当)

 裁判所のデジタル化(=裁判所DX)とはどういう意味でしょうか?
 最高裁は、「既存の業務を前提にIT(情報技術)を活用して効率化を図るだけではなく、デジタルの特性を活かして業務そのものを見直し、より良い司法サービスを提供することをめざす」ものだとしています。また、活用されるべき「デジタルの特性」とは、「記録媒体に制約されることなく、情報(データ)そのものを蓄積し、更にはその活用」ができることだとしています。
 これから裁判所の常識が大きく変わります。かっこよく言うとパラダイムシフトです。
 例えば、事件部において、当事者から提出された紙をデータ化することもDXだとしましょう(もちろん“それだけ”ではありません。)。
 その紙は原本ですか?ゴミですか?当事者に返していいものですか?
 「訴訟手続に関する高度な知識を有し」「裁判官と訴訟運営方針を共有して的確に理解することができる」から、書記官がスキャンしなきゃいけませんか? それとも、「専門性の付与・活用」のために、事務官がしなきゃいけませんか?
 検討すべきことは山のようにあります。
 日々の疑問をみんなで共有し、議論し、私たち一人ひとりの意見・要求を積み上げて、一緒に未来の司法制度を作りましょう!

メリットに対するコストの検討が不十分
山本一樹(近畿地連書記長)

 デジタル化の目的やメリットについては、これまで様々な場面で触れられてきたように思います。最高裁デジタル推進室が示したグランドデザインでは、デジタル化の目的は、裁判所の社会的使命である「より良い司法サービスの提供」であるとしています。また、デジタル化によって、職員の専門性や対応力の向上、事務の効率化と集約化、充実度や能率性の向上が図られるとしています。
 ここで気になるのは、デジタル化を実現するための「コスト」について十分に検討されているのかという点です。
 一般的に、デジタル化は業務の効率化や生産性の向上という「メリット」が期待できる一方で、そのとりくみには費用や時間などの「コスト」がかかります。8月31日に最高裁が示した2023年度の概算要求では、下級裁を中心とした人員の合理化(削減)等が示されました。
 現場が支払う「コスト」を十分に考慮して、デジタル化のとりくみを進める必要があるということを指摘しておきたいと思います。

 
ページの先頭へ
 
10月期昇格交渉を実施
 
本部新体制はじめての交渉

 全司法本部は9月16日、「2022年10月期における昇格改善要求書」に基づき、最高裁富澤人事局総務課長と交渉を実施しました。交渉に先立ち、各地連・支部から集約した昇格該当者名簿を提出しました。
 最高裁は昇格運用について、「人事評価の結果はもとより、個々の職員の職務の複雑、困難及び責任の度や平素の勤務ぶり、勤務実績等をこれまで以上につぶさに見た上で、よりきめ細やかに行っていく」「個々の職員に応じた適切な指導等を通じて能力の伸長を図り(中略)職員の経験及び能力の適正な活用やモチベーションの維持に配慮した上で、適正な運用に努めるよう、改めて下級裁を指導していきたい」と従前回答を維持しました。

行(二)職「処遇を維持できるよう努力」もあらたな方策示されず

 行(二)職については、職員数の減少に伴う処遇悪化の実態をふまえ、従前の工夫(運転手=広域班編制、守衛=業務委託、庁務員=業務委託・付加業務)だけでは処遇を維持できないと厳しく追及したことに対して、最高裁は、「今後とも知恵を絞ってできる限り後任不補充となる前の運用から後退しない処遇を維持できるように努力したい」としつつも、処遇維持のための新たな方策は示されませんでした。

今年度の定年退職予定者
「事務官29名、書記官11名が4級以下」5級発令へ引き続き努力求める

 事務官について、最高裁は、「『退職までに全員5級』の枠組みの維持に努めていきたい」との回答を維持しました。また、法廷警備員については、2003年度の制度見直しおよび年齢構成の問題をふまえ、4・5級昇格の改善を求めました。最高裁は「係長・専門職への任命を前提とした昇格」を実施しているとし、この「運用が維持できるよう努力したい」と従前回答を維持しました。
 最高裁は、今年度の定年退職予定者のうち、事務官29名、書記官11名が10月以降も4級以下の見通しであることを明らかにしました。これに対して、引き続き5級発令にむけて努力するよう厳しく追及しました。
 この他、各職種・級の昇格改善を求めたことに対しては、最高裁は従前どおりの回答を行いました。
 また、10月から評語区分(5段階→6段階)が見直される人事評価の結果の任用・給与への活用について、すみやかに説明するよう求めました。

 
 
ページの先頭へ