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全司法新聞
 
全司法結成75周年
コロナを乗り越え 次の時代に繋げる一歩を踏み出す大会に
全司法第79回定期大会
 

 全司法は、7月24〜26日及び8月10日に第79回定期大会を開催しました。新型コロナウイルスの感染拡大が繰り返され、収束が見通せない中、本定期大会は集合参加を原則としつつもオンラインによる参加も認めることとし、滋賀県長浜市をメイン会場にオンライン併用形式での開催となりました。
 「結成75周年。全司法が果たす役割を、次の時代に繋げよう!」をメインスローガンに、大会では組織強化・拡大、職場諸要求の実現、昇格、職種課題、全司法大運動のとりくみなどについて活発な討論が行われました。また、若い参加者の元気な発言や交流が見られ、スローガンにふさわしく、次の時代に繋げる一歩を踏み出す大会になりました。

全司法は憲法とともに歩んできた労働組合

2年ぶりの集合参加は71名(全体で101名)
 定期大会には、代議員・オブザーバー・執行部・来賓など、全体で101名が出席し、議長団に選出された濱本直紀代議員(大阪)及び甲斐統代議員(福岡)の進行により議事がすすめられました。
 冒頭、中央執行委員会を代表してあいさつに立った中矢中央執行委員長は、全司法が結成された経過に触れながら、全司法は憲法とともに歩んできた労働組合だと述べ、憲法に基づいて日々の仕事をしている裁判所職員として、労働組合の活動の中でも憲法を守り活かす立場で運動に参加していこうと呼びかけました。
 続いて、来賓として出席いただいた浅見宣義長浜市長、本村伸子衆議院議員(日本共産党)、国公労連・九後健治中央執行委員長、全法務・中坊廉男書記長から激励と連帯のあいさつをいただきました。
 その後、執行部から2022年度運動方針案(第1号議案)、2021年度決算報告及び同会計監査報告、2022年度一般会計予算案(第2号議案)及び同特別会計予算案(第3号議案)の提案・報告を行いました。

「裁判所のデジタル化」に要求・意見を反映させよう

 運動方針の提案に立った簑田書記長は、昨年に引き続き、運動方針上も組織強化・拡大を全司法の最重要課題として打ち出したと述べ、全国で頑張った状況を出し合い、全国の組合員みんなでやり抜く決意を固め合いたいと呼びかけました。
 その上で、全司法が職場で果たす3つの役割(@要求を実現し、職場のルールを作る役割、A相談しあい、助け合う役割、B仲間を繋ぎ、居場所を作る役割)を活動の基本に、「全司法の見える化」で全司法の存在を職場にアピールすることが必要だとし、全司法が職場で果たす役割を組合員一人ひとりの確信につなげ、「新採用の加入は当たり前」という状況を作り出そうと呼びかけました。
 職場諸要求の課題では、2022年諸要求貫徹闘争における交渉の中で、最高裁に「裁判所のデジタル化」の枠組みを示させたことに触れ、全司法の意見・要求を反映させていくことが何よりも重要だと述べました。
 また、裁判所のデジタル化がすすめられる中で、全司法大運動にはデジタル予算の拡充という新たな役割が付加されたことから、次年度以降のとりくみはさらに重要性が増すと述べました。

財政方針、修正案を含め討議し本部原案が可決

 一般会計予算案及び特別会計予算案に対して、東山広利代議員(愛媛)から、一般会計・交付金の支部交付金の項目に支部還元金の費目を新設する等の修正案が提出され、執行部から提出された議案(原案)とともに討論が行われました。
 オンライン併用で開催したことに伴い、討議時間の短縮を余儀なくされましたが、のべ87名から発言があり、活発な討論が行われました。
 討論を経て、修正案提案者及び財政部長からの答弁と簑田書記長が総括答弁を行い、採決の結果、修正案はいずれも否決され、原案がすべて可決されました。

書記長に井上さん、
書記次長に猪股さん、
青年担当に小田さんを選出

 役員選挙では、立候補者全員が信任されました。
 専従役員では、簑田明憲書記長、岡野健太中央執行委員が退任し、書記次長として猪股陽子さん(宮城)、中央執行委員として小田春香さん(福岡)を選出しました。また、井上隆博書記次長が書記長に就任しました。
 職種・階層担当では、女性対策部長に落合八重子さん(岡山)、書記官対策に藤井敦司さん(愛知)、調査官対策に野田隆さん(東京家裁)が新たに選出されました。
 あわせて、丹羽秀徳中央執行委員については、引き続き国公労連中央執行委員に推薦するとの人事案件が承認されました。
 最後に、「憲法を守り、活かし、その意味を伝える取り組みをすすめる決議」と「大会宣言」を採択し、中矢中央執行委員長の団結ガンバローで閉会しました。
 なお、大会での新型コロナ感染の報告は一件もなく、無事終了しました。

 
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全司法の役割に自信と誇りを持って積極的な活動を
中矢委員長あいさつ

憲法と一緒に生まれ、
憲法を拠り所に活動

あいさつする中矢委員長
 今大会のメインスローガンは「結成75周年。全司法が果たす役割を、次の時代に繋げよう!」としました。全司法は1947年に、まさに憲法と一緒に生まれ、三権分立が定められた憲法のもとで再スタートをきったこの国の裁判所や司法制度と一緒に歴史を刻んできた労働組合です。
 全司法が運動をすすめるにあたって、情勢を切り開き、運動の拠り所にしてきたのも憲法です。公務員は憲法99条で憲法尊重擁護義務があり、仕事をするうえで憲法を守ることが求められていますが、同時に労働者・国民の一人として基本的人権が保障されています。憲法28条が労働基本権を定めていることは、職場で当局との労使関係を作っていくうえでも、最大の拠り所になっています。
 さきの参議院選挙の結果、改憲に積極的だとされる政党が衆参両院の3分の2以上を占めましたが、憲法は国の基本法であり、憲法で対応できない立法事実が現に発生し、国民の圧倒的多数がその必要性を認めた時にはじめて改正が検討されるべきものであって、世論を二分する状況で変えることはできません。憲法にもとづいて日々の仕事をしている私たちは、労働組合の活動の中でも、こうした基本を押さえ、憲法を守り活かす立場で運動に参加していく必要があると思います。

自信と誇りを持って、
積極的な活動に踏み出そう

 私たちは「職場のルールを作る役割」と言っていますが、全司法は毎年、いや、毎日のように多くの要求を前進させ、裁判所の施策に職場の意見を反映させています。
 本部だけではありません、各地連・支部でも、日々、職場の問題にとりくみ、組合員の悩みや希望に向き合い、人と人とのつながりを作る努力をしています。結成から75年の歴史を見ても、今現在の活動を見ても、全司法はみなさんが自信や誇りを持ってもらえるに足りる、それだけの価値のある労働組合だと、私は心から伝えたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症が問題になってから3年目に入りました。これまで、コロナ禍の下での活動をいろいろ模索してきましたが、残念ながら、全体としては活動が停滞・後退していると考えざるを得ません。
 感染症の終息は、まだまだ見通せず、場合によっては、年単位で長期化することも予想せざるを得ません。一方で、これまでの知識や経験が一定程度社会全体に蓄積されてきたことをふまえ、感染防止に努めつつ、社会・経済活動を再開し、元に戻していく試みが各分野で始まっています。
 私たちの活動においても、その時々の状況に応じてやれることを積極的にやり、オンライン会議などの積極的活用もすすめながら、集合できる時には集合し、会える時には実際に会って意見交換し、団結を強めることが重要になっていると考えています。本大会を一つの契機として、そうした活動の立て直しを図っていきたいと考えています。

 
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総括答弁(要旨)
「集まること、会って話すこと」を大切に支部活動の充実強化を

今こそ「賃金上げろ」の声をあげる時

総括答弁する簑田書記長
 国公労連の署名を使って6月の一時金の減額調整に対する組合員の怒りや気持ちを書いて形にすることで、活動の「見える化」を図った支部のとりくみが紹介された。一時金の減額調整は強行されたが、組合員の怒りを形にすることで、今後のとりくみにつなげられる。賃金は「上がらない」「仕方がない」と諦めるのではなく、今こそ、労働組合が「賃金上げろ」の声を社会にアピールしていくことが重要であり、そのことをあらためて全体で共有しておきたい。
 加えて、一時金の減額調整をふまえ、労働基本権の全面回復にむけた運動の構築も重要である。国公労連が中長期的なたたかいの道すじを示すとしており、学習を兼ねた意識調査(連絡86号)のとりくみへの結集もあらためて要請しておく。
 定年延長に関して、分かりやすい資料を作成してもらいたい旨の要望が出された。大会後に「定年延長等に関する意見書」を出す際など、本部としては、オンラインを活用した学習の機会をつくりたいと考えている。各支部はこうした学習の機会に積極的に参加してもらいたい。

デジタル化予算に向けた
「全司法大運動」の新たな意義

 全司法大運動について、次年度のとりくみにも活かせる教訓や経験が語られた。
 「全司法大運動」の新たな役割として、裁判所のデジタル化に対応するための予算の拡充を求めることが加わり、次年度以降のとりくみはさらに重要性を増すことになる。大運動の請願はこれまで26回の採択を勝ち取っており、このことは、政党・会派を超えた国会議員の理解と共感につながっていることの現れである。この貴重な到達点を改めて職場に広め、全司法大運動の意義を確信に、まずは組合員数の署名を確実にとりきる覚悟と、昨年より今年、今年より来年と、署名の上積みを含めたとりくみ強化をはかる努力をすべての支部にお願いしたい。
 今年の諸要求期の最高裁交渉では、全司法の意見を受け止めたかたちで「裁判所のデジタル化」の枠組みを最高裁が示した。「令状センター構想」の実現にむけては、発言で指摘されたとおり、「宿日直提言」を決定(第62回大会)した際の「令状事務処理は、国家の国民に対する人権制限を直接的に監視する極めて重要な司法作用である」との認識を出発点に、全司法内での議論を活性化させていくと同時に、全司法の運動が展望を切り開いてきたことをあらためて確認しておきたい。

「職場のルールをつくる」
全司法の役割発揮が求められている

 ハラスメント対応で、最終的な結論に至るまで9か月を要するなど、通達が改正されても当局の対応に何ら変化がない実態が報告された。
 人員課題では、病気休暇取得者や離職する職員が増加傾向にある実態が全国から報告された。特に、地方職場では、人員が減らされ続けて限界にあるなかで、さらに欠員が生じた際の厳しさが報告されるなど、当局が実態を把握しているとは言い難い状況に対する怒りの声が多く出された。
 勤務実態の把握は適正な人的態勢の在り方を検討する際の客観的な指標となることを現場当局に認識させることが重要である。この秋の交渉で、現地当局とのやりとりを強化してもらいたい。
 非常勤職員の課題では、公募撤廃およびステップアップ制度の拡充とともに、再度の公募採用時の手続や給与面の問題点が指摘され、働きがいが持てる職場づくりの大切さが強調された。
 多くの発言で、全司法が「職場のルールをつくる役割」を発揮することが求められている。全司法のおかげで職場環境が良くなったと組合員が感じることができるよう、地連・支部が主役となる秋のとりくみが非常に重要になる。自分たちの職場実態をあらためて見つめ直し、諸要求期の最高裁回答を職場に活かす立場で交渉での追及を強めてもらいたい。

各職種ごとの課題も引き続き追及

 事務官について、「今後の方向性」で専門性の活用と付与がうたわれ、@総研教官への専任事務官配置のほか、今年の4月からA各庁の実情に応じたジョブローテーションを許容し、B裁判部事務官専門研修が新設された。そして、この諸要求期にはCデジタル庁の情報システム研修の受講拡大、D主任・調査員を対象とした研修の検討、E50代職員のための研修などの動きが生まれている。
 書記官について、最高裁が「法的知識と実務慣行に通じ、裁判官の審理運営方針等を理解・共有できる書記官こそが担うべき事務」としていることを踏まえ、この間の民事執行法の改正や改正民訴法による新たな書記官権限を踏まえ、処遇の底上げにむけて追及を強める必要がある。
 家裁調査官について、専門性と事務技能の向上を図ることを基本に、代替要員等の不足を直視した定員配置、異動における庁規模基準の見直し、個人のライフサイクルを踏まえた柔軟な異動の実現等を求めていく。
 行(二)職種では、退職後補充、処遇の維持・改善に向けて、地連・支部とも連携してしっかりととりくんでいきたい。最高裁交渉では、運転手について他省庁で採用されている実態をあげて追及しているところであり、引き続き追及を強めていきたい。

「集まること」「会って話す」ことを大切に。
支部活動の充実強化を

 組織強化・拡大については、昨年の大会に引き続き、全司法の最重要課題と位置付けて議論した。
 新採加入のとりくみでは、効果的に組合の意義・役割を説明し、加入を呼びかけるための綿密な準備と工夫したとりくみが結果に結びついている。とりわけ、「加入してもらいたい」という私たちの思いを確実に伝えるために、短時間であっても、顔と顔を突き合わせた「対話」の機会を作ることが何よりも重要である。
 また、女性の集まりや、青年部の執行委員会の再開など「集まる活動」を重視したとりくみが報告された。青年・女性だけではなく、あらためて「集まる活動」をすべての機関に意識してもらいたい。
 この間、オンラインの活用をすすめているが、優れた点がある一方で、コロナ禍による制約の中でやむを得ずオンラインで対応した面もあり、今後、棲み分けを整理していきたい。検討にあたっては、予算の効率的執行の観点はもちろん、集まることの重要性や、実際に会うことで人間的なつながりや団結が作られ、お互いの信頼が維持され、深まるという面もきちんと考えて検討していきたい。
 また、あらためて支部活動の重要性が明らかになった。組合員と接して日常的に活動し、加入の呼びかけを行うことは、支部にしかできない。十分な活動ができているかを点検・確認し、支部活動の充実強化をはかってもらいたい。本部は財政面も含めて、全力でそれを支援したい。

 
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来賓あいさつ/いただいた祝電・メッセージ
 

 大会には、元裁判官で司法改革や日本裁判官ネットワークの活動などを通じて全司法とも接点があった長浜市の浅見宣義市長をはじめ、4人の来賓が出席し、激励と連帯のご挨拶をいただきました。

「みなさんの活動は裁判所全体にとっても、貴重なもの」

浅見宣義長浜市長

 浅見さんは、昨年10月に大阪高裁の裁判官を退職し、故郷である長浜市長選挙に出馬して当選を果たし、3月から市長職に就いています。日本で唯一の裁判官出身の市長です。「私は裁判官の仕事や裁判所の職場がとても大好きで、愛し続けてきました。こうして、みなさんとお会いして、懐かしい感じがします」と切り出した浅見さんは、以下のようなお話しをされました。
 裁判所は日本の社会にとって大事な仕事をしており、その中でのみなさんの活動は裁判所全体にとっても、貴重なものだと感じています。私も裁判所にいる時に、多くの問題でみなさんと一緒に議論してきました。全司法が司法全体のために様々な提案をされていることには、裁判官時代から注目しており、今後も、そうした活動を続けていかれることを願ってやまないところです。
 全司法にとって組織の強化・拡大が重要な課題になっているとお聞きし、長浜市が抱える課題と共通するものがあると思いました。私は人口が減少し、このままでは衰退してしまうとの問題意識を選挙で訴え、市長になって、長浜を魅力ある町にするための改革を進めています。そのために、いろんな立場から意見を出し合って、長浜を元気な町にしていきたいと考えています。みなさんも、組合の元気を取り戻すよう頑張っていただきたいと思います。
 長浜は歴史も、自然もあって、見どころがたくさんある町なので、これを機に繰り返し訪れていただければありがたいと思います。

「やっていて楽しい、全員参加型の運動をすすめていこう」

九後健治国公労連委員長
 国公労連の九後健治委員長は、8月の国公労連大会で提案する次年度の運動方針案を紹介し、「憲法を守り、個人の尊厳をはじめとした憲法の理念が尊重される社会を作る」ことや国公労連のスローガンである「2つの責任、1つの任務」を活かした運動を展開し、組織強化・拡大をすすめることを呼びかけました。
 また、6月の一時金減額調整に触れて「民間では違法だとされている、こういうことができるのも公務員の労働基本権が奪われているから」と指摘して、労働基本権の回復に向けたとりくみを提起しました。あわせて、組合の活動全般について「やっていて楽しい労働組合運動を実践していくことが重要。組合員の資源を活かした全員参加型の運動をすすめていこう」と呼びかけました。

「現場の声を届けて、人的・物的充実に全力をあげたい」

本村伸子衆議院議員
 日本共産党衆議院議員で法務委員の本村伸子さんは、全司法大運動の請願が全会一致で採択されたことを報告し、「素晴らしい活動だと実感している。人権を守る砦の裁判所の予算が、国家予算のたった0・3%だというのがおかしい。現場の声を届けて、人的・物的充実に全力をあげたい」と述べるとともに、裁判所の超勤実態把握や家裁調査官の仕事と家庭の両立について国会質問した経過とあわせて、コロナ対策、国民生活、憲法と平和など、党がとりくんでいる課題について報告しました。

「国民の利用しやすさとともに、職員の利用しやすさの追求を」

中坊廉男全法務書記長
 全法務の中坊廉男書記長は、引き続き「兄弟組合」として、全国各地で交流・連帯していくことを呼びかけるとともに、全法務のとりくみを紹介しました。また、法務局での登記のIT化の経過について「結果として、当局の管理強化の面が大きく、職員が大幅に削減された」と紹介し、全司法が交渉で勝ち取った回答を活用して「国民の利用のしやすさとともに、職員の利用のしやすさが追求されたシステムとなるよう頑張ってください」とエールを送りました。

いただいた祝電・メッセージ

 以下のみなさんから大会に祝電・メッセージをいただきました(順不同、敬称略。全司法内部からのものを除く)。

衆議院議員
 稲富修二、逢坂誠二、小川淳也、神谷裕、菊田真紀子、櫻井周、重徳和彦、野間健、柚木道義、吉田宣弘、米山隆一
参議院議員
 良鉄美、田名部匡代、山添拓
※全司法大運動の紹介議員全員に、お礼状とともに大会のご案内を送付しています。

労働組合
 全労働省労働組合、国土交通労働組合、全国税労働組合、全税関労働組合、国家公務員一般労働組合、全情報通信労働組合

その他
 裁判所退職者の会全国連合会、日本国民救援会中央本部、日本民主法律家協会、原水爆禁止日本協議会、裁判所速記官制度を守り司法の充実・強化を求める会、労働者教育協会、日本国家公務員労働組合連合会共済会、株式会社きかんし、中央労働金庫霞が関支店

 
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人事院勧告にむけた最高裁交渉
一時金引下げ・物価高騰の中、生計費を重視した賃金引上げを
 

 7月20日、全司法本部は「2022年人事院勧告にむけた重点要求書」に基づく要求の前進をめざし、最高裁福島人事局総務課長との交渉を実施しました。

公務員賃金の引上げ
要望は関係機関に伝わるようにしたい

 昨年の人事院勧告に基づく一時金削減や過年度での減額調整の実施、その後の物価高騰等を受けて、生計費をふまえた賃金の大幅引上げを求めました。
 最高裁は、「職員及び職員団体が(中略)賃上げにむけた強い要望を持っていることは認識しており、職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」との基本姿勢を示しました。この他、初任給の官民格差の是正、地域間格差の是正、住居手当・通勤手当をはじめとする諸手当の改善、行(二)職員の賃金水準の改善と昇格にあたっての部下数制限の撤廃を求めました。
 非常勤職員にかかわっては、賃金改善、諸手当支給、任期更新にあたっての公募要件の撤廃、ステップアップ制度の運用改善、病気休暇の有給化をはじめとする休暇制度の改善、公募による再採用時の給与改善等を求めました。

定年引上げの制度設計
職員団体の意見を聞くなど、適切かつ誠実に対応

 定年引上げにかかわって、裁判所における制度設計にあたっては、「職員や職員団体の意見を聞くなど、適切かつ誠実に対応していきたい」との姿勢を従前から示しています。
 この日の交渉では、7月13日に示された「裁判所における運用の骨子(案)」をふまえ、役職定年制の具体的な運用、役職定年制の実施に伴う事務官の役降り後の受け皿となる専門職ポスト等の増設、定年引上げ後の昇格における占有期間の延長(例:事務官5級は、退職6か月前ではなく、60歳になる年度の10月までに発令)、定年前再任用短時間勤務制度の運用などについて追及したところ、「骨子(案)」の説明直後の交渉であったこともあり、いずれも「検討をすすめていきたい」との回答にとどまり、新たな回答・説明は示されませんでした。

評語区分の見直し
これまでと同様、適正な運用に努めていきたい

 10月から運用がはじまる人事評価制度における評語区分の見直し(5段階↓6段階)にかかわっては、行政府省とはことなる裁判所独自の評語内容としたことをふまえた運用と下級裁の指導を求めるとともに、検討中とされている任用や給与への活用の詳細についての丁寧な説明と、最終処遇の枠組を後退させない運用を求めました。最高裁は、「これまでと同様、適正な運用に努めていきたい」と回答しました。

2022年給与勧告(8月8日)のポイント

〈月例給〉
@行(一)職俸給表
 総合職試験及び一般職試験(大卒程度)に係る初任給を3,000円、一般職試験(高卒者)に係る初任給を4,000円引上げ。これを踏まえ、20歳台半ばに重点を置き、初任の係長級の若手職員にも一定の改善が及ぶよう、30歳台半ばまでの職員が在職する号俸について改定

Aその他の俸給表
 行政職俸給表(一)との均衡を基本に改定

〈ボーナス〉
 4.30月分→4.40月分。民間の支給状況等を踏まえ、勤務実績に応じた給与を推進するため、引上げ分を勤勉手当に配分。その一部を用いて上位の成績区分に係る原資を確保

(一般の職員の場合の支給月数)
 
 
 
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