全司法本部は6月14日、諸要求貫徹闘争における最高裁人事局長交渉を実施しました。交渉では、3回にわたる人事局総務課長交渉などの交渉結果をふまえ、最高裁への追及を強めた結果、国民のための裁判所、裁判所のデジタル化、事務官研修、宿日直など、多くの要求が前進しました。
《人員》
人員の確保に最大限の努力、内部努力は不可欠
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全54支部から届いた請書を手交 |
人員については、「司法需要に的確に対処し、適正迅速な裁判を実現するために必要な人員の確保について引き続き最大限の努力をしていきたい」と回答しました。また、「デジタル化の進捗状況を踏まえて、利用者のサポートのための態勢も含め、必要な人員の確保について努力していきたい」と回答しました。
他方、大規模庁へのシフトを行わないよう追及したことに対しては、「人員配置の見直し等の内部努力は必要不可欠」とし、「各種事件数の動向や事件処理状況等の種々の要素を考慮し、事務量等を見極めて行ってきており、人員配置の見直し後の事務処理態勢等についても、十分検討した上で実行してきている」と回答しました。
《国民のための裁判所》
裁判所内に利用者用パソコンやスキャナを設置
「裁判所のデジタル化のために必要な予算の確保に向けては、最大限の努力を行いたい」と回答しました。また、「令和5年度中に、原則として全職員に導入することを前提として、(中略)Microsoft365の導入を検討する」とし、導入により「職員間の迅速なコミュニケーションや情報共有、事務の省力化等が可能となり、各種事務の合理化、効率化が図られる」と回答しました。
人的態勢や物的設備の確保に関わっては、「利用者のサポートのための態勢も含め、必要な人員の確保について努力していきたい」「多くの利用者が任意に電子的な方法による申立てを行ってもらえるよう簡易かつ分かりやすいシステムを構築」する、「利用者本人が自ら書面を電子化することができるように裁判所内にパソコンやスキャナ等のIT機器を設置」するなどと回答しました。
《労働時間短縮》
官側による早朝・昼休み・休日の超勤実態把握は当然
サービス残業の根絶にむけ、とりわけ早朝・昼休み・休日の勤務実態を把握するよう追及したことに対しては、「官側が早朝、昼休み、休日を含め超過勤務の実態を把握する必要があることは当然」とし、「今後も(中略)下級裁に対して指導を徹底していきたい」と回答しました。
また、事務の簡素化・効率化に引き続きとりくむ姿勢を示すとともに、過誤報告に係る事務の省力化を求めたことに対して、「報告を必要とする事案を絞り込」んだり、「事案に応じて(中略)報告事項の簡素化を図」るなど、「関係者の事務負担軽減に配慮」してきたとし、「今後も、関係者の過度の負担とならないよう指導していきたい」と回答しました。
《裁判手続のデジタル化》
RoootSは2023年度導入目指して開発
「TreeeSのうち、RoootS以外の民事訴訟手続のデジタル化に係るシステム開発については、令和4年度に法改正の内容を踏まえた要件定義を行った後、令和5年4月から開発を行う」「mintsについては(中略)令和5年3月を目処に、A3サイズでの書面データの提出及び書面への出力を可能とするなど当事者のニーズに応える改修や、職員の負担軽減に資する改修を行うことを検討している」ことなどを明らかにしました。
また、「e事件管理システム(RoootS)について、高地裁民事だけではなく、MINTASを利用している家裁家事・人訴、NAVIUSを利用している簡裁民事、最高裁事件管理システムを利用している最高裁民事も対象とすることとし、これらのいずれについても令和5年度に新システムを導入することを目指して開発する」ことを明らかにするとともに、実装する機能を示し、「職員の事務負担も軽減させることができる」と回答しました。
《定年年齢の引上げ》
裁判所の運用骨子(案)の説明は7月をめどに、該当者への説明は11月頃
検討にあたって「必要に応じて職員や職員団体の意見を聞くなど、適切かつ誠実に対応していきたい」との姿勢を示すとともに、「令和4年7月頃を目途に、役職定年制や定年前再任用短時間勤務制など、60歳以降に適用されることとなる諸制度の概要とこれらについて検討中の裁判所における運用の骨子(案)を整理して、職員等に示したい」「学齢59歳の職員に対して行う任用等の制度に係る情報提供及び60歳以降の勤務の意思確認については、本年度は、遅くとも令和4年11月頃までに始めることを検討している」ことを明らかにしました。
《職員制度/事務官》
一定の経験を積んだ主任・調査員の研修を検討
全司法が事務官研修体系の見直し案を提出していることにもふれつつ、「専門性の活用・付与等やそれに向けた研修の在り方を検討している」とし、「事務官として一定の経験を積んだ主任・調査員を広く対象とした研修の実施を検討する」と回答しました。
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