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全司法新聞
 
ITをはじめ重要な制度改変がかかった諸要求貫徹闘争
「職場のルールを作る役割」を果たそう!
2021年度第2回全国書記長会議
 

 4月17日〜18日、2021年度第2回全国書記長会議が開催されました。会議は、@5〜6月の最高裁交渉に向けて、職場で起きている様々な問題を出し合い、要求実現に向けた意思統一を行うこと、A4月期のとりくみを踏まえて、7月の全国大会に向けて組織強化・拡大をすすめる意思統一を行うことを目的としたものです。
 3月21日にまん延防止等重点措置が全国的に解除されたことから、今回の会議は、リアルでの参加も呼びかけながらオンライン併用で開催し、合計82名が参加しました。

オンライン併用で開催

2007年と同様に
重要な制度課題がかかった
諸要求貫徹闘争

簑田書記長

 今年の諸要求貫徹闘争について報告した簑田書記長は「今年の諸要求期の焦点はズバリ、『今後の方向性』の具体化の道筋を示させることだ」と述べました。
 3月8日にはIT化のための民訴法改正法案が国会に提出されるなど、裁判手続のIT化がすすめられているもとで、最高裁が2020年に示した「今後の方向性(今後の裁判所における組織態勢と職員の職務の在り方の方向性等について)」で述べている「専門性の付与と活用」などについて、これまで具体化の道筋が示されていない状況を報告しました。
 また、当局の責任による超過勤務の実態把握や、事務の簡素化・効率化による職場の繁忙解消がすすまないにも関わらず、当局は人員や庁費等の予算削減を先行させていると厳しく批判しました。
 加えて、来年度から適用が始まる定年年齢の引き上げや、10月からは人事評価制度の見直しが行われるなど、労働条件に重大な影響がある制度が変わることを指摘し、「2007年の裁判員制度導入直前の諸要求貫徹闘争で、最高裁が十分な回答を行わず、プレート行動を実施した時の状況とよく似ている」と指摘して、今年の諸要求貫徹闘争の特段の重要性と、プレート行動配置の意義について説明しました。

繁忙状況が続き、人員要求は切実に

 続いて各地連から以下のような項目で、地連ごとの重点要求について報告がありました。

北海道…人員、超勤縮減・サービス残業、パワハラ
東北…人員、異動、病休者の増加と職場での対応
東京…人員、超勤縮減、IT化、行(二)職の処遇
中部…人員、IT化
近畿…人員、事務の簡素化・効率化、IT化
中国…人員、超勤縮減・サービス残業
四国…人員、パワハラ
九州…人員、異動、庁舎設備

 その後、各支部から重点要求と、そのもとになる職場実態の報告がありました。全体として、事務の簡素化・効率化は一定すすめられてはいるものの、人を減らせるだけの効果は出ていない。病休者等の増加もあり、とりわけギリギリの人員配置で仕事を回している地方の職場で繁忙な状況が続いており、増員要求が切実になっていることが浮き彫りになりました。
 会議のまとめの中で、簑田書記長は「引き続き、職場実態を本部に寄せてもらい、『空中戦』にならない最高裁交渉を実施し、全司法が『職場のルールを作る役割』を果たしていこう」と述べました。

7月の大会までに、組合員4000人を目指そう!

 組織強化・拡大の課題では、井上組織部長が4月期の全国のとりくみ状況を報告し、7月の定期大会までに組合員4000人を目指すことを提起しました。これをもとに各地連・支部が4月期のとりくみの経験を出し合い、共有しました。
 神戸支部からは、2年前に「変わらなければ、組織が終わる」との支部委員長の言葉に奮起して、新採用職員への働きかけの方法を見直し、毎年成果をあげているとの報告がありました。また、東京地連がすべての支部と個別にオンラインで対話して「早期加入」の方針で意思統一したことで、多くの支部で新採用職員の加入が実現している状況も報告されました。
 全体として、全司法の「とりくみの方向性」である@とにかく『早期加入』をめざす、A『加入しよう』とはっきり伝える、Bチームを作ってとりくむ、C加入後のフォローをしっかり行う、との方針にもとづき、「自信を持って加入を呼びかける」「早期加入と加入者への全力でのフォロー」を事前に意思統一して目的意識的にとりくんだ支部で具体的な成果に結びついていることが確認されました。
 また、「組織拡大のとりくみは、ここからが本当のスタート」との意思統一を行い、とりわけ、引き続く新採用職員への働きかけと、加入した人に「入って良かった」と思ってもらえるフォローのとりくみに全力をあげることを意思統一しました。
 また、組合加入のメリットである国公共済会の加入拡大を組織強化・拡大のとりくみと一体でやっていこうと呼びかけました。

IT化のための民訴法改正法案に対する全司法の「声明」を確認

「声明」を提案した
奥悠佑さん(広島支部)
 民事裁判IT化のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案が、3月8日、第208通常国会に提出されました。これを受けて、今回の会議の中で「民事訴訟のIT化に関する改正法案の国会提出を踏まえて(声明)」を参加者一同で確認しました。声明は、次の3点について意見を表明するものです。

1.利用しやすく信頼されるシステムが構築されること
2.IT・デジタル化を担う職員の人的態勢を確保すること
3.被害者等の「秘匿情報」の取扱いについて

▼民事訴訟のIT化に関する改正法案の国会提出を踏まえて(声明)
http://www.zenshiho.net/seimei/img/20220418.pdf

最高裁交渉で実現・解決を求めたい要求課題
(参加者アンケートから)

・なかなか進まない簡素化・合理化。育休者・病休者の増加による恒常的な人手不足。
・IT化関連の整備は多額の予算がいると思いますので、本部での追及もよろしくお願いします。今後も、ナビアスについても事務の簡素化効率化に資する抜本的な改修を早期に行うことを強く求めてください。
・専任事務官4級昇格のための専門職発令年齢の引き下げ。
・行(二)職員を減らしておきながら、庁費の抑制を求めるのは筋が通らない。必要な予算は最高裁がとってくるべき。
・各部屋の電話機器のディスプレイ化
・異動の実現特に出身地等への県外異動
・管内の令状事務の連絡員態勢が負担になっている。早期に宿直の全面廃止を要求する。

 
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国家公務員の退職手当「水準改定は今回は必要ない」と政府
 

退職金1万5千円(0・06%)公務が上回る

 人事院は4月21日、2020年度中に退職した国家公務員と民間企業従業員の退職給付に関する調査結果を公表し、人事院の見解を内閣総理大臣および財務大臣に提出しました。これは、昨年7月に人事院が国家公務員の退職給付制度を所管している政府(内閣人事局・財務省)からの要請をうけて、昨年10月から12月にかけて民間企業の実態を調査したものです。
 調査結果では、国家公務員の退職給付額について、民間企業の退職一時金と企業年金を合わせた退職給付額との比較を行った結果、「15千円(0・06%)公務が上回る」結果となりました。また92・3%の企業が退職給付制度を有しており、そのうち47・9%の企業が企業年金制度を有していることが明らかとなりました。人事院は、調査結果を踏まえて「退職給付の取扱いについて検討を行うことが適切」との見解を表明しました。

引下げ阻止は大きな成果安定的な制度となるよう要求

 人事院のこの公表を踏まえ、4月26日、国公労連は政府・内閣人事局と交渉を実施しました。
 内閣人事局は、4月22日に二之湯担当大臣が「退職手当の水準改定は、今回は必要ない」と発言したことを引用し、これが「最終的な考え方を示したものと認識している」と回答しました。
 退職手当については、前々回が402万円、前回は78万円の引下げが行われ、経済情勢の悪化のもとで、さらなる引下げが懸念されたところですが、これを許さなかったことは、国公労連に結集してたたかってきた大きな成果です。
 国家公務員の退職手当は、勤続報償や生活補償の性質とともに「賃金の後払い的な性格」として、重要な労働条件であるにもかかわらず、政府の閣議決定によって、5年に1度の官民比較に基づいて見直しが行われています。調査期間に経済不況等が発生すれば、大きな水準低下は免れず、安定性に欠ける制度と言わざるを得ません。国公労連は人事院に対し、この問題を指摘し、退職金制度のあり方を労働組合と協議・合意するよう政府に提言すべきと求めています。
 職員が退職後の生活も含めて将来設計ができる安定的な制度となるよう退職手当の改善にむけて国公労連への結集を強める必要があります。

 
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裁判官の勤務時間管理、
定員合理化計画・調査官補の任官などの議論
裁判所職員定員法国会審議
 

与野党から裁判官の勤務時間管理を求める声

 4月14日、参議院法務委員会で裁判所職員定員法が審議されました。
 法案は、判事補員数を40人減少するとともに、「裁判所の事務を合理化し、及び効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所職員の員数を減少する必要がある」として、事務官等を26人減少させることを内容とするものです。
 裁判官の育休法と同時に審理されたこともあり、真山勇一(立民)、安江伸夫(公明)、川合孝典(国民)の各議員が、ワークライフバランスとの関係も含め、裁判官の勤務時間管理について質問しました。「部総括裁判官を中心に繁忙状況等を把握している」との最高裁の答弁に対して、各議員から勤務時間の管理を求める意見が出され、川合議員は「どれだけ仕事に携わっている時間があるのかということが判断できなければ、本当に適正な定員数というのが把握できない」と述べました。
 高良鉄美議員(沖縄の風)は、全司法大運動の請願署名が毎年採択されていることを「最高裁は重く受け止めるべきだ」と述べました。

定員合理化計画を押し付けるやり方を改めるべき

定員法の質問をする山添議員
 山添拓議員(共産)は、最高裁が概算要求では「増員」すべきとしていた事務官の定員数が、その後の財務省との「意見調整」を経て「減員」すべきと変わった点を指摘し、意見交換の内容を問い質しました。財務省は「政府全体の定員合理化の動向や最近の事件動向を見て議論した」、最高裁は「それを受けて自主的に判断した」とそれぞれ答弁したこから、山添議員は「三権分立の立場から、司法府に定員合理化計画を押し付けるようなやり方を改めるべきだ」と述べました。
 また、2年連続で家裁調査官補が4名ずつ調査官に任官していない実態をあげて「その背景や要因についてどのように分析しているのか」と質問したのに対して、最高裁は「このような傾向が今後も続くのか、一時的な現象にとどまるのかは慎重に見極める必要がある」とし、「採用された家裁調査官補に対しては、調査官としてその職責を果たしていけるよう、今後とも、適切な指導、育成に努めてまいりたい」と答弁しました。
 法案は同日、賛成多数(共産、沖縄が反対)で可決・成立しました。

 
 
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