全司法は「女性の健康問題から考える『働きやすい職場づくり』」のとりくみをスタートさせました。
いま、職場の労働条件をめぐる課題として社会的に注目されている「女性の健康支援」を切り口にして、男女ともに「働きやすい職場」をみんなで考え、要求と運動につなげていくために、3月から4月にかけてアンケートを実施します。職場で話題にし、とりくみを広げていただくことを呼びかけます。
「女性の健康支援は、欠かせない取り組み」
最近、働く女性の健康支援について、マスコミ等でもとりあげられることが増えてきました。
厚生労働省の事業で作られている「働く女性の健康応援サイト」には、「男性と女性と比較すると、かかりやすい病気が違う、同じ病気でもかかりやすい年代や病状、治療法などが異なる場合がある、といったこともわかってきました。特に女性は、思春期、性成熟期、更年期、老年期と生涯を通じて女性ホルモンが大きく変動し、より影響を受けやすいとされています。また、10代から始まる月経や妊娠・出産、比較的若い世代から罹患率が高まる婦人科ガンなど、女性特有の健康課題は様々です。これまで企業では、こうした女性特有の健康課題があることについて、あまり認識はされてきませんでした」としたうえで、「女性活躍推進法が施行され、企業における女性の活躍推進が求められている今、女性の健康支援をすることは、企業にとって、長期的な人材の確保や生産性の向上といったメリットをもたらすとともに、人材の定着に基づくキャリアアップや管理職登用につながることも期待されます。少子高齢化により人材不足が深まる中、増々期待される女性の活躍を推進するうえで、女性の健康支援は、欠かせない取り組みです」として、企業や労働組合が女性の健康支援のとりくみを行うことの重要性を指摘しています。
「働く女性の健康応援サイト」参照
https://joseishugyo.mhlw.go.jp/health/introduction.html
裁判所は今も「働きやすい職場」なのか
裁判所では、全司法(とりわけ各地の女性部)の運動の成果として、母性保護、育児・介護関係の休暇取得をはじめ、女性にとって働きやすい職場が作られてきました。
現在の「出産・育児・介護に関する休暇及び休業制度ハンドブック」の前身である「母性保護ハンドブック」は、全司法の要求にもとづいて1997年に作成されましたが、その作成にあたって最高裁は、全司法の各地の婦人部が作成していた資料や教宣紙を集め、これを参考にハンドブックを作成したと言われており、翌年の諸要求貫徹闘争期の事務総長交渉において、最高裁の事務総長は「新たに作成配布した『母性保護ハンドブック』の活用を通じて、母性保護の権利行使が認められている趣旨を更に徹底し、取得しやすい職場作りに十全を期するよう指導していきたい」と回答しました。
しかし、それから25年が経過し、女性職員が増加する一方、職場の繁忙状況が高まるもとで「休暇がとりにくい」といった声が全国から出される状況になっています。
また、「女性の登用拡大」「次世代育成支援」等が国の政策になっていることもあって、育児・介護などの家庭責任に関しては、制度の整備・改善が徐々にすすみ、職場での認識も広がってきていますが、かつて「母性保護」の中で論じられた女性特有の健康課題については、むしろ立ち遅れた分野になっています。
2020年に全労連女性部が行った「女性労働者の労働実態及び男女平等・健康実態調査」の全司法集計分を見ると、生理休暇を「とっていない」と回答した人が回答者全体の83・7%に上っており、「人員の不足や仕事の多忙で職場の雰囲気としてとりにくい」ことを理由にあげた人が19・0%となっています。必要な職員が生理休暇を取得できているかどうかは、この問題を考えるうえで一つの指標になるものと考えます。
また、今の時代にあわせて、休暇取得の促進にとどまらない、支援のあり方を検討することが必要です。こうした観点から、裁判所は今も「働きやすい職場」なのかどうかを改めて点検することが重要です。
「とりあげてくれてうれしかった」の声も
女性特有の健康問題について、全司法は2022年春闘方針の中で「男性を含めて職場全体で向き合い、環境整備を図る」ことを提起しました。その第1弾のとりくみとして、全司法新聞新年号の特集記事として女性の健康問題をとりあげ、専門医のインタビューを実施しました。
インタビューの中で専門医からは「職場で支え合いながら相手の大変さを受け止められる職場」が大事だとの指摘がされ、「生理休暇などをきっかけに、職場で話題にするだけでも、かなり環境が違ってくる」と述べられました。
この特集記事に対しては、「同性でもなかなかわかってもらえない問題をきちんと取り上げてくれて、うれしかった」「取り上げ方がストレート過ぎて、いかがなものかと思った」「治療の必要性なども含め、生理休暇取得促進にとどまらない、科学的な記事で有意義だと思った」など、様々な感想が寄せられています。
さきに述べた「働く女性の健康応援サイト」には、「女性が働きやすい職場は、男女ともに働きやすい職場につながります。女性の健康支援を通じて、誰もが健康で生き生きと働くことのできる職場づくりに、是非取り組んでください」と書かれています。全司法もそういう立場で運動をすすめたいと考えており、第2弾のとりくみとなる今回のアンケートは、女性だけではなく、男性も含めた全組合員を対象に実施することとしました。
アンケートは、配布された用紙(紙)で回答する方法に加え、課題の性質上、職場では回答しづらい場合があることも想定して、オンラインでの回答も可能にしています。
このアンケートや全司法新聞新年号などを話題に、職場の中で、あるいは家族との対話が広がることを期待しています。すべての組合員のみなさんのご協力をお願いします。
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