昨年7月の大会から半年が過ぎ、折り返し地点となる中央委員会では、多くの中央委員等から発言があり、全司法の春闘方針が全体のものとして確認された。大会で決定したとりくみの進捗状況を出し合い、不十分な点を補強する積極的な意見が出されるなど、この春、各支部がさらにとりくみをすすめることの意思統一が図られたことは、同委員会の任務を果たした場となった。
討論経過を振り返り、全司法が掲げた
とりくみの3本柱を中心に総括
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総括答弁する簑田書記長 |
職場会、教宣紙活動を通じて
社会情勢の学習を
第1の「賃上げで暮らしを立て直す」を柱とした課題では、コロナ危機が叫ばれるなか、莫大な利益を生み出している大企業にこそ、内部留保の還元とともに、そこで働く従業員の賃上げをきちんと行わせる必要があり、大企業の社会的責任を果たすよう、地域での行動に結集しながら声を上げることの必要性が確認された。
また、地域間格差の解消や地域別最低賃金を下回る高卒初任給の改善にむけた解決の道を開くとして、最低賃金一律1500円の運動と公務職場における地域手当改善のとりくみを結合させ、地域に足を踏み出すことの大切さが語られた。
そのほか、公務で働く労働者が春闘に結集することの重要性、とりわけ青年層への理解を深めるとりくみの必要性について補強する意見も出された。
いずれも、賃上げの流れをつくる春闘をめざし、「労働者が声を上げなければ賃上げは実現しない」を組合員一人ひとりの確信にし、地域でのとりくみへの結集を強める決意が示されたものである。そして、そのためには、私たちの要求の正当性や、春闘の意義などをはじめとした「学習」を深めることの大切さがあらためて強調されたものと受け止めている。
各支部では、春闘の意義をはじめ国民生活に関わる社会情勢など、職場会での「対話」や教宣紙活動を通じた職場学習の機会づくりを行ってもらいたい。本部もオンライン配信などを積極的に活用しながら、各支部の後押しをしていく。
全司法がこれからの裁判所をつくる役割を発揮しよう
第2の柱として掲げた「秋の到達点を職場で活かす」の課題では、1点目として、この間の最高裁回答の到達点を活かして、各支部での要求実現にむけたとりくみが報告された。
超過勤務縮減の課題では、上限時間のみにこだわる事前申告の強調がサービス残業を助長しているとして、現場管理職の認識をあらためさせる回答を引き出した成果の報告がされた。また、昇格課題での署名のとりくみや具体的な該当者をあげて現地当局との交渉で追及を強めたことで実現につながった成果や、宿日直の課題で裁判官の泊まり込み態勢の要求実現、当直時の電話交換業務解消にむけた他支部での解決事例の情報交換など、秋の到達点を職場で活かした発言が中心となった。
2点目として、これまで勝ち取った全司法の成果が確認されるとともに、新たなとりくみの提起がなされた。
NAVIUSの一連の障害経験を踏まえ、最高裁に振り返りと十分な検証を求めると同時に、システム構築の好機として最高裁の設計思想を変えていくことの提起とともに、NAVIUSの弊害を全国的な問題として捉え、NAVIUSを育てていく方向で全司法が関与していく必要があるとの指摘もあった。
そのほか、刑事裁判手続のIT化での法務省の勉強会の動きに合わせ、令状センター構想実現に向けて動き出すべきとの指摘や、IT化後の書記官事務の検討、書記官の配置や任用に関する問題意識など、裁判手続のIT化が加速するもとでのとりくみの重要性や、10年目を迎える「調査官の育成施策」に対する運動の再構築、「名簿借り採用者」の異動は他の異動とは別に配慮させていく必要性などをはじめ、新たな課題の提起がなされた。
これらの提起を踏まえ、全司法の要求や意見が、これからの裁判所の職場をつくっていく役割を引き続き発揮していきたい。
本部と支部間のオルグで一緒に組織を考える場づくりを
第3の柱である「見える化で組合員を増やす」の課題では、各支部の工夫あるとりくみが報告され、女性や青年のとりくみを例に、コロナ禍でも「対話」を重視したとりくみが魅力ある組織につながることが語られた。
あわせて、青年同士のつながりが希薄となるもとで、対面による交流の大切さとともに「青年のニーズ」をどうつかむかという意見も出された。双方向での意見交換ができる場が必要である。
また、全国大会で確認された「支部活動の充実・強化」の観点から、教宣紙(機関紙)を中心に据えた活動を実践するためには発行体制が何よりも重要なことが強調された。こうしたとりくみを継続させるとともに、さらに多くの機関に広げることが重要である。
組織強化・拡大は役員だけのとりくみでは成功しない。職場の組合員と一緒にとりくむことが何よりも大事であることをあらためて確認するとともに、本部と支部間のオンラインを活用した組織オルグ(機関オルグ)を積極的に行って本部と支部が一緒に組織強化・拡大を考える機会をつくっていきたい。
2022年春闘では、全司法が掲げるとりくみの3本柱を中心に据え、全司法の仲間みんなで「全司法の見える化」をはかり、職場・地域を大いに盛り上げていこう。
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