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職種担当も含めての第2回交渉 |
全司法本部は11月10日、秋季年末闘争における最高裁人事局福島総務課長との第2回交渉を実施しました。交渉では、「国民のための裁判所」の実現、職員制度に関する要求、昇格要求について、最高裁を追及し、要求実現をめざしました。
なお、さきの大会で決定した事務官研修制度の見直し案に基づいて主張したことに対して、今回の交渉では具体的な回答は示されませんでした。
IT化、通訳人、少年法
IT化「予算確保にむけて最大限の努力を行いたい」
IT化に関わっては、政府の「裁判手続等のIT化検討委員会の取りまとめ」が示す、適正・迅速で国民にとって利用しやすい裁判の実現、国民の司法アクセス向上、裁判手続の迅速化・充実化に資すること等を引用し、「こうした目的に沿って検討をすすめている」「裁判手続のIT化のために必要な予算の確保にむけては、最大限の努力を行いたい」と回答しました。
通訳人の人員と質の確保を求めたことに対しては、民事・行政事件における通訳人の情報を「通訳人候補者名簿データベースに一元化することを検討して」おり、新規登録および閲覧ができる職員の範囲を拡大する方向で調整していると回答しました。
改正少年法の運用にあたって、法制審や国会での議論、附帯決議が付された趣旨等をふまえたものとするよう求めたことに対しては「個々の事件処理については裁判官の判断事項」とし、法制審での検討内容、改正法案、付帯決議の内容等は「裁判官を含む職員に周知している」、少年法実務研究会が12月に予定されており、「その結果は、下級裁に還元される予定」と回答しました。
研修
オンライン研修「できるところから実施していきたい」
オンライン研修の態勢整備を求めたことに関しては「ワークライフバランスの観点等もふまえ(中略)問題意識を持って検討している」「できるところから実施していきたい」と回答しました。
コロナ禍で2年連続実施されていない中央研修については「高裁委嘱研修に組み込んで実施することは困難」との認識を示すとともに、「未研者の解消については(中略)検討している」と回答しました。また、研修生の入寮については「昨今の感染状況にかんがみ、本人の希望に応じたより柔軟な運用にも努めている」と回答しました。
職員制度
行(二)職「付加業務を踏まえた評価が行われている」
書記官事務の簡素化・効率化に関わって、秘匿情報の取扱いついては、法制審の動向もふまえつつ、「IT化を待たずに何か工夫ができないか引き続き検討してみたい」と回答したものの、具体的方策は示されませんでした。また、日銀代理店統廃合に伴い取扱銀行が遠方になる支部における歳入歳出外現金出納官吏の本庁集約を検討していることを明らかにしました。
第78回定期大会で決定した「事務官研修体系に関する全司法の見直し案」のポイントを主張し、これらをふまえた研修制度を確立するよう求めたことに対しては、「個別の回答は差し控えたい」と具体的な回答は行いませんでした。
行(二)職の処遇に関わって、付加業務をふまえた人事評価による勤勉手当・昇給への反映について、「付加業務を行っている場合には、そうした事実や当該業務における勤務ぶり、勤務実績等も踏まえた評価が行われている」との認識を示すとともに、それは行(二)の全職種にあてはまるものと回答しました(※昇格にあたっての付加業務の理屈付けは庁務員のみ)。
昇格
「評価制度の理解が深められるよう努めたい」
昇格要求にかかわっては、各職種・各級における改善を求めたことに対して、従前どおりの回答を行いました。また、勤務評定のA以上の比率が行政府省に比べて低いことをふまえ、人事評価制度や評価結果が昇格の要件となっていることをあらためて認識するよう下級裁への指導を求めたことに対しては、「研修等の機会を通じて、管理職員の人事評価制度の理解を深められるよう努めていきたい」と回答しました。行(二)職等の昇格にあたっての部下数制限の撤廃については、従前回答にとどまりました。
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