全司法本部は10月4日、「2021年人事院勧告の取扱い等に関する要求書」に基づき、最高裁中村事務総長との交渉を実施しました。
(賃金改善)
要望は関係機関に伝わるようにしたい
人事院が勧告した一時金の0・15月引下げは、新型コロナや頻発する自然災害への対応が求められる中、現場で奮闘している国家公務員の労苦に冷や水を浴びせるものであると主張し、引き下げを行わないよう関係機関への働きかけを求めました。また、通勤手当等の改善、退職手当等についても主張しました。
事務総長は、「職員の生活が少しでも改善されることを常に望んでいる」とした上で、人勧の取扱いについて、「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
(長時間労働是正)
超過勤務の把握
今後も指導を徹底すると回答
サービス残業が増えている実態を指摘し、自己申告を中心に据えた裁判所の超勤実態把握は、行政府省と比べて大きく立ち遅れており、客観的な実態把握が必要と追及しました。
事務総長は、「超過勤務を的確かつ遅滞なく把握」する、「これまで以上に各種事務の簡素化・効率化」を推進するとした上で、「下級裁に対しても、管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、超過勤務については的確かつ遅滞なく把握するよう、今後も指導を徹底する」と回答しました。
(両立支援制度)
職員の勤務実態には十分目配りする
育児短時間勤務等の職員が、取得を取り消さざるを得なかったり、取り消さないままサービス残業を行っている実態があることを指摘し、気兼ねなく両立支援制度が取得できる環境整備を求めました。
事務総長は、「両立支援のための各種制度を取得しやすい環境作りは、適切な公務運営を確保しつつ、家庭生活と両立するための環境整備として重要」「育児時間等の制度を利用している職員の勤務実態には十分目配りする」と回答しました。
(健康・安全確保)
新型コロナ対策/最高裁にセンター的役割を求める
パワハラ等の防止について、人事院規則の趣旨を改めて職場に周知・徹底し、職場からハラスメントをなくす態勢を作るよう追及しました。また、新型コロナ対策について、最高裁がセンター的役割を果たすこと、備品整備等について、各庁で全司法の意見を聞くとともに、十分な予算を確保することを求めました。
事務総長は「研修等の機会を通じた各種ハラスメントの防止に関する意識啓発、相談しやすい体制づくりやその周知等、より効果的な取組に努めていきたい」と回答しました。また、新型コロナ対策は「専門家の助言を得て(中略)感染防止対策の在り方全体についての考え方を整理」し、「各庁においては、これらを踏まえ、地域の実情や社会情勢等に即して適切な感染防止対策を実施している」と回答しました。
(非常勤職員の処遇確保)
均等待遇、更新時の公募撤廃を追及
病気休暇等の有給化や生活関連手当の支給、更新時の公募撤廃などについて、関係機関に働きかけるよう追及しました。また、ステップアップ制度の活用を求めました。
事務総長は、「職員団体の要望は人事院に伝わるようにしたい」、ステップアップ制度については、「障害者雇用促進法の下、適切な運用に努めていきたい」と回答しました。
(定年引上げ)
職員や職員団体の意見を聞く/誠実に対応していきたい
法案成立時の附帯決議(再任用職員も含む高齢期職員の処遇、労働組合との協議など)をふまえ、高齢期の職員が安心して働き続けられる仕組みを作ること、裁判所の制度設計にあたっては全司法と協議することを求めました。
事務総長は「必要に応じて職員や職員団体の意見を聞く」「適切かつ誠実に対応していきたい」と回答しました。
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