おいでやす全司法
プライバシーポリシー  
CONTENTS 全司法紹介 司法制度改革 少年法関連 全司法大運動 全司法新聞 声明・決議・資料 リンク サイトマップ
  トップページ > 全司法新聞 > 2021年7月 > 2358号
 
 
全司法新聞
 
「職場のルールを作る」全司法の役割が明らかに
2021年諸要求貫徹闘争
 
事務総長交渉に臨む中央執行委員

 全司法本部は6月7日〜10日、諸要求貫徹闘争期における最高裁とのまとめの交渉を実施しました。職員端末のネット接続をはじめ多くの要求を着実に前進させ、今後の裁判所の在り方について議論するなど、「職場のルールを作る」役割を改めて実感する交渉となりました。

職員端末、オンライン研修などIT化要求が前進

 事務総長交渉で「裁判手続のIT化やオンライン環境の整備等のために必要な予算の確保に向けては、最大限の努力をしていきたい」と回答があるなど、IT化に関する様々な動きがある交渉でした。
 その中でも大きな動きは、職員端末からのインターネット接続です。本年度末までに順次整備し、J・NET回線の通信速度を上げることで「ウェブ会議等も職員端末で行うことが可能となる」としています。2016年4月の接続分離以来の要求が実現するとともに、ウェブ会議用パソコン整備の要求にも応えるものです。
 また、要求が強くなっていたオンライン研修の活用についても「できるところから実施していきたい」との回答を引き出しました。
 職場から強い改修要求が出ているNAVIUSについては、問題点を強く指摘し、速やかな改修を求めました。
 刑事裁判IT化との関係では、全司法が長年要求している「令状センター構想」についても言及がありました。
 その他も含め、全般を通して、IT化について引き続き全司法の意見を聞く姿勢を示していることが重要です。

『実務講義案』データ化など
簡素化・効率化策が着実に

 IT化とも関連しますが、簡素化・効率化を着実にすすめていることが明らかになりました。書記官事務については、昨年の上訴記録の丁数打ち廃止に続いて、『実務講義案』の電子データ化、事務処理におけるメールの活用、更正決定手続における送達費用の国費負担について、実現に向けた回答を勝ち取りました。
 事務局事務も含めて「簡素化・効率化」が、要求前進のキーワードになっています。引き続き最高裁に検討を求めるとともに、「より一層下級裁を指導する」との回答を活用して地連・支部の交渉等でも下級裁を追及し、各庁段階での「簡素化・効率化」を実現させることが重要です。
 超勤縮減の課題では、前提となる超勤実態の把握に力点を置いて追及を強めました。「申告頼み」を改め、「客観的把握」「見える化」を求めたのに対して、最高裁は「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識」する必要性を強調したうえで「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない」との回答を確認しました。これを受けて職場で具体的な変化が見られるかどうか、注視していく必要があります。

事務官研修制度の検討がいよいよ動き出す

 昨年の諸要求期に示した「今後の方向性」とも関わって、人材育成も重要な課題となっています。とりわけ、事務官については「専任事務官の専門性の活用・付与等やそれにむけた研修のあり方を検討している」とし、その一環として「今般、裁判部配置の事務官を対象とした研修の実施を検討することとした」と回答しました。これは第一歩であり、今後の最高裁の検討に合わせて、全司法の考え方をぶつける必要性がいよいよ高まっています。7月の定期大会で、事務官の研修制度について補足議案を提案しますが、ぜひ、職場で積極的に討議をお願いします。
 また、人事評価制度についても、幹部職員が関与して管理職によるバラつきを少なくするとともに、人材育成という視点から「褒めるという手法も重要ではないかと考えている」との回答を引き出しました。これを受けて、評価や面談がどう変わっていくか注視する必要があります。
 ハラスメントの苦情相談窓口の充実に関しては、「相談者の心身の状態等を把握し」「健康管理面でも必要な対応を行う」と回答しました。相談者に対する相談後の心身の状態等の健康管理にも配慮する姿勢を示したものであり、今後、職場での具体的な運用を注視していく必要があります。

増員・昇格など2022年度予算で「最大限努力」

 諸要求貫徹闘争はそもそも、次年度予算の概算要求にむけた交渉ですが、2022年度予算にむけては、増員、昇格ともに「最大限努力」の姿勢を引き出しました。一方で、最高裁は国の財政事情の厳しさにも言及していることから、引き続き追及を強める必要があります。また、職場の人員配置にあたっては、減員ありきで、事件数だけで判断するのではなく、事務処理状況を見るよう追及し、「事件動向や事務処理状況等をきめ細かく見つつ検討をすすめていきたい」と回答させました。
 昨年に引き続き、今年の諸要求貫徹闘争でも多くの要求前進を勝ち取ることができました。中には、数年がかりで主張し続けて実現にこぎ着けた要求や、全司法の提案が施策として生かされることになったものもあります。全司法がこうした「職場のルールを作る役割」を存分に発揮していることを職場に広く伝え、組織強化・拡大につなげていくことが重要です。

 
ページの先頭へ
 
超勤削減、事務の簡素化・効率化に向け
「できるところから順次速やかにとりくんでいきたい」
最高裁人事局長交渉
 

人員
「事務処理態勢等についても、十分検討」と回答

全支部からの要請書、速記官署名を提出
 基本的な姿勢として「裁判手続のIT化をはじめとした情報通信技術の活用、通達等の見直しも含めた各種事務の簡素化・効率化、組織・機構の見直しにより、事務の合理化、効率化を図り、職員が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築していくのに合わせて、それに相応しい最適な人的態勢のあり方を検討する」と回答しました。この回答を受けて、「人員削減ありき」で検討をすすめることのないよう追及したことに対しては「事件動向や事務処理状況等をきめ細かく見つつ検討をすすめていきたい」と回答しました。
 また、地方から中央・大規模庁へのシフトを行わないよう追及したことに対しては「人員配置の見直しに際しては、個々の庁について、各種事件数の動向や事件処理状況等の種々の要素を考慮し、事務量等を見極めて行ってきており、人員配置の見直し後の事務処理態勢等についても、十分検討した上で実行してきている」と回答しました。
 次年度の増員にむけては「必要な人員の確保について引き続き最大限の努力をしていきたい」との姿勢を示しました。

超勤縮減・超勤実態把握
「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識」と強調

 超勤実態の把握について「各庁においては、超過勤務の事前申告等を通じて、勤務実態の正確な把握と超過勤務の必要性・緊急性の適切な判断に努めており、特に超勤削減にむけた積極的なとりくみをすすめるべき幹部職員は、部下の管理職員の働き方を含めて、その指導を行っている」「超過勤務の状況については、それぞれの管理職員等において的確かつ遅滞なく超過勤務の把握に努めている」との認識を示した上で、「管理職員が勤務時間管理の重要性を認識した上で、超過勤務については、的確かつ遅滞なく把握するよう今後も指導を徹底していきたい」と回答しました。
 事務の簡素化・効率化については、「裁判部、事務局を問わず、組織全体として超過勤務の削減にとりくむ必要があると考えており、今後も、通達等の見直しも視野に入れながら、できることから順次速やかにとりくんでいきたい」「下級裁においても、職場の実態に合ったとりくみがなされるよう、引き続き最高裁として必要な支援を行っていきたい」と回答しました。

IT化に関する要求
「ネットワーク環境を本年度末までに順次整備」

 裁判手続ITについて「民事訴訟手続のIT化にむけてますます本格的にとりくんでいくとともに、それ以外の分野のIT化の検討にも適切に対応していく必要がある」と回答しました。
 また、次年度の予算確保にむけては「裁判手続のIT化のために必要な予算の確保にむけては、最大限の努力を行いたい」との姿勢を示しました。
 職員端末のインターネット接続について「ウェブ分離ソリューションに基づき、(中略)今般、各自の職員端末から外部のインターネット網に接続できるネットワーク環境を、本年度末までに順次整備する」と回答しました。また、「本年12月から、J・NET回線の通信速度についても増速させる」ことにより、「専用端末で行っている民事訴訟手続のIT化のウェブ会議等も職員端末で行うことが可能となる」と回答しました。

職員制度
オンライン研修、書記官事務効率化、裁判部事務官研修で前進回答

 オンライン形式での研修実施を求めたことに対して「ワークライフバランスの観点等も踏まえ、オンライン研修の活用について問題意識を持って検討していきたいと考えており、できるところから実施していきたい」と回答しました。
 書記官事務の簡素化・効率化については、実務講義案について「今般、実務講義案の内容をデータ化し、DVDに収録した上で、各庁に配布することとした」と回答しました。
 事件処理におけるメール活用を推進するよう求めたことに対しては「事務の合理化・効率化を図るため期日調整等においてメールを活用したいとの声があることは承知しており、適切に活用が図られるよう何か工夫できないか検討してみたい」と回答しました。
 また、事務のさらなる効率化として「判決書等において、裁判所職員の責めに帰すべき事由により当事者の表示や主文等に誤りがあり、更正決定をしなければ判決書正本等を用いるその後の強制執行等を行うことができないような事情がある場合には、例外的に更正決定正本の送達費用等について国費の支出を可能とすることを検討している」と回答しました。
 専門性の活用や付与等にむけて事務官の「研修のあり方をを検討している」としたうえで「今般、裁判部配置の事務官を対象とした研修の実施を検討することとした」と回答しました。

その他
育成スキルの向上「褒めるという手法も重要」

 ハラスメント対策で苦情相談窓口の充実を求めたことに対し「苦情相談にあたっては、適宜、相談者の心身の状態等を把握し、その状態等に十分配慮して相談手続をすすめており、また、その状態等によっては、健康管理を担当する人事担当者と連携して健康管理面でも必要な対応を行うなど、相談者の立場に立った配慮が行われているところである」と回答しました。
 人材育成について、職員の長所をとらえて「褒めて育てる」ことを重視すべきという追及に対して「管理職員が日々の執務を通じて行うOJTの手法については、その内容等に応じて、管理職員に委ねられている」としつつも、「一般論としては、その内容等に応じて、褒めるという手法も重要ではないかと考えている」と回答しました。
 再任用制度について、「再任用を希望する職員の意向も十分踏まえ、本人のやりがいにも配慮しながら、きめ細かく検討をしていきたい」と回答しました。
 宿日直については、令状センター構想の早期実現を求めたことに対して「法務省に設置された『刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会』における検討については、IT化による事務の合理化、効率化といった観点にも留意しながら、適切に対応していきたい」と回答しました。
 次年度の昇格にむけては「各職種の職責や役割等を念頭において、職員の勤務条件にも配慮しながら、最大限の努力をしていきたい」との姿勢を示しました。

 
ページの先頭へ
 
事務総長交渉回答要旨
 

人的態勢の整備について

 人的態勢の構築にむけて考慮している事項として「事件の複雑困難化」等、これまで回答してきたものに加えて「裁判手続のIT化等の検討・準備状況」を考慮する要因として加えました。また、昨年は国の財政事情を逼迫させる要素としか述べなかった新型コロナウイルス感染症の感染拡大について、「事件数の動向に与える影響については引き続き注視する必要がある」との認識を示しました。
 そのうえで、次年度の増員要求にあたって「令和4年度の増員をめぐる状況は、これまでにない極めて厳しいものになる」との認識を示しつつ、「必要な人員の確保に向けて最大限の努力をしていきたい」と回答しました。

超勤縮減、事務の簡素化・効率化について

 超勤実態の把握を強く求めたのに対して「管理職員において、勤務時間管理の重要性を認識した上で」と前置きしたうえで、「超過勤務を的確かつ遅滞なく把握するとともに、職場実態に合った各種事務の簡素化・効率化に向けた具体的な取組を実施し、日々の合理的、効率的な事務処理に向けた意識改革を更に徹底していくよう、最高裁として、より一層下級裁を指導するとともに、その取組を後押ししていきたい」と回答しました。

裁判手続のIT化について

 4月に「デジタル推進室」を設置したことに触れ、民事訴訟手続のIT化については「今後ますます本格的に取り組んでいく必要」があるとの認識を示すとともに、刑事、家事、民事保全、執行、倒産手続等の民事訴訟手続以外の分野についても「IT化の検討等に適切に対応していく必要がある」との認識を示しました。
 また、システム開発にあたっては「安定的に稼働するシステムとなるよう設計・構築するとともに、障害時においては迅速な対応ができるよう十分に配慮していきたいと考えている」と回答し、予算確保について「裁判手続のIT化やオンライン環境の整備等のために必要な予算の確保に向けては、最大限の努力をしていきたい」との姿勢を示しました。

職員の育成、研修及び任用政策等について

 国民のニーズ、質の高い裁判を迅速に行うために「職員一人一人が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築して、より活力のある組織を目指す必要がある」との認識を示し、IT化後の書記官事務について言及するとともに、事務官について「専門性の活用・付与等やそれに向けた研修の在り方について検討しているところである」と回答しました。
 また、人事評価制度について「人材育成に資するものであることを踏まえ、これまで以上に幹部職員が適切に関与することにより充実した運用が行われるよう努めていきたい」と回答しました。

権利について

 引き続き「誠実対応」の姿勢を示すとともに、「下級裁当局に対しても、職員団体に対して同様の認識で臨むよう、その指導を一層徹底」していくことを確認しました。

 
ページの先頭へ
 
最高裁3局(総務・人事・経理局)、1課(情報政策課)と交渉
 

総務局交渉

電子速記タイプ操作研修
「中央研修で可能」

 増員要求について「次年度の増員をめぐる状況はよりいっそう厳しくなる」との認識を示し、「裁判手続のIT化をはじめとした情報通信技術の活用、通達等の見直しも含めた各種事務の簡素化・効率化、組織・機構の見直しにより、職員が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築していくのに合わせて、それに相応しい最適な人的態勢のあり方を検討する」と回答しました。
 全司法は、全国の家事調停係の繁忙状況、NAVIUS導入による事務処理の非効率による人員配置の見直しや調査官の填補体制などの職場実態を伝えました。また、裁判手続IT化によるシステム導入の初期段階においては、軌道に乗せるための人的手当が必要不可欠であることや調査官・書記官の増員、大規模庁への人員シフトを行わないよう強く求めました。
 「国民のための裁判所」の実現については、少年の押送態勢について「必ずしも裁判所職員である運転手を確保する必要があるとは考えていない」と従前回答を繰り返しました。全司法は、タクシー会社から契約を断られている職場実態などを主張し、最高裁として少年押送に関する運用見直しを検討する時期にきているとの問題意識を伝えました。
 裁判手続のIT化にむけたシステム開発について、NAVIUSの使い勝手の悪さを教訓として活かし、全司法の意見である帳票作成の負担軽減をシステム化の重要な機能と位置づけるよう求めたことに対し、「記録そのものを電子化して、ITで仕事をしていくというのとは、発想が異なる」とし、「要望として承る」との回答にとどまりました。また、NAVIUSの使い勝手の悪さに関しては、「一定の機能が落ちるにしても、実際の記録にあたりながら事務をすすめていくことを前提にNAVIUSは開発されたものであり、紙の記録を前提として、書記官事務をどう支援するかという観点でつくられたもの」と説明しました。
 職員制度に関する要求では、職員の要望の高まりに応えるオンライン研修などの体制整備を求めたことに対し、「引き続き検討していきたい」と回答しました。
 速記官の課題では、電子速記タイプライターの操作研修要望に対して「中央研修のカリキュラムにある共同討議の中で、協議テーマとして取り上げることは可能である」と足がかりとなる回答がありました。

経理局交渉

会計事務の簡素化・効率化、庁舎改修について職場実態にもとづき主張

 労働時間短縮等では、郵券の引継ぎ・交換事務の煩雑さ、複合機の配置見直しにより他の部屋の複合機を使用する不便さ、全職員対象となっている住宅事情調査の廃止・見直し、機械的な三社見積もりの実態など、各支部から出された要求を示しながら、会計部署における事務の簡素化・効率化を求めました。これに対して、「通達等の見直しも視野に入れながら、できることから順次速やかにとりくんでいきたい」との姿勢を示すとともに、「三社見積もりが必ず必要であるという指導はしていない。まだ職場に浸透していないようであれば、改めて指導したい」「他の要望は承る」と回答しました。また、この間のとりくみとして、「リモートの方法による監査手法を導入した」「監査庁に提出する書類についても一部簡素化した」ことを説明しました。
 庁舎・機械設備の充実については、庁舎新営、増改築をはじめ、狭隘解消、エレベーター設置、空調・冷暖房改善、事件関係室の防音対策等の改修・修繕など、各支部から報告された要求を具体的に示して、その実現を求めました。経理局は、「老朽・狭あい庁舎の新営・増築・修繕については、職員の勤務条件に関わる問題として、常に関心を持って努力しているところであり、今後も必要性・緊急性の度合いや当事者の利便を考慮しながら必要な予算を確保していきたい」と回答しました。庁舎新営にあたって、「部屋の配置について職員等(等は全司法)の意見は十分聴取すべき」との事務総長回答(1990年3月20日)があるにもかかわらず、意見聴取期間が短い、情報開示されないなどの実態を示して改善を求めたことに対しては、「目配りしていきたい」と回答しました。また、コロナ禍の経験やIT化をふまえた庁舎のあり方の検討について主張したことに対し、「検討し始めなければと思っている。意見を聞く仕組みは作っていきたい」と回答しました。
 この他、宿舎の確保、各支部から出された包括協議路線への14路線の追加、出張手続の簡素化、タクシーの利用基準緩和、清掃費予算等の庁費の予算確保、新型コロナ感染防止のため備品・消耗品等の予算確保などを求めました。

人事局交渉

PCR検査など必要ある場合の措置を要求

 人事局交渉は、超勤縮減、健康管理、事務官・家裁調査官などの職員制度、次世代育成支援対策等、母性保護といった課題について要求しました。
 超勤縮減については、「組織全体として超勤削減にむけたとりくみをこれまで以上にすすめていきたい」との姿勢を示し、「超過勤務の事前申告等を通じて、勤務実態の正確な把握と超過勤務の必要性・緊急性の適切な判断に努めており、(中略)幹部職員は、部下の管理職員の働き方を含めて、その指導を行っている」「超過勤務の状況については、管理職員等による現認が基本となるが、(中略)的確かつ遅滞なく超過勤務の把握に努めている」との認識を示しました。この回答を受けて、職場からは超過勤務が暗数化しているとの報告があり、最高裁の認識とは乖離していることを指摘し、自己申告に頼らない客観的な方法で勤務時間管理を行うことを求めました。
 健康管理に関わって、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)から濃厚接触の疑いがあると通知があり、保健所の指示でPCR検査を受けたにも関わらず、検査に係る時間は年休の取得を指示された例を挙げ、人事院通知に基づいて臨時の健康診断として「勤務」として扱うべき事案ではないかと具体的に追及しました。
 また、健康管理懇談会については、各庁で開催されているが、内容が不十分であり、結果も施策に活用されていないと指摘して、さらなる充実を求めました。
 職員制度に関わっては、事務官研修制度見直しについての検討状況等の確認を行いましたが、「専任事務官の専門性の活用や付与等にむけた研修のあり方を検討しているところ」との回答にとどまりました。
 家裁調査官の異動についても「管理職員による面談等を通じて、本人の意向をきめ細かく把握していく必要がある」と従前の回答にとどまりました。
 次世代育成支援対策等では、短時間勤務者への配慮(業務軽減、事務分担の見直しなど)やフォローする職員への適切な評価が十分に行われていない実態を伝えて改善を求めるとともに、先月成立した育児・介護休業法の改正等により男性の育休取得率が上がることに伴なう対応を求めました。
 母性保護に関わっては、毎年実施している出産状況調査の結果にも触れながら、生理休暇の取得率が低い実態があることから、取得率の向上と生理への正しい知識を広めることを求めました。
 全体的に従前回答にとどまりましたが、職場実態を示しながら追及を行い、問題意識を伝えました。

情報政策課交渉

NAVIUS、簡素化・効率化に資するシステムになっていないと追及

 情報化戦略計画の具体化について「具体的にIТ化をすすめるにあたっては、実際にシステムを使用する職員の意見や要望等を的確に把握することが重要」「システムの利用者の意見を踏まえつつ、裁判所のシステム最適化計画の考え方に沿った合理的かつ有益なものとなるよう努めていきたい」との基本姿勢を改めて示しました。また、IT情報システムの開発・改善、現行システムの改善にあたって全司法の意見反映を求めたことに対しては、「裁判手続のIT化の検討をすすめるにあたっては、(中略)職員および職員団体の意見も踏まえながら検討をすすめていきたい」と回答しました。
 導入済みのNAVIUSについては、各支部から報告された職場実態をもとに、使い勝手が悪く、事務の簡素化・効率化に資するシステムとはなっていないことを追及するとともに、東京簡裁ではNAVIUS導入を原因とした事務量増加に対応するため増員が図られたことに加え、同簡裁内にとどまらず、東京地裁や島嶼部簡裁を含めた大規模な応援体制を組まざるを得ない実態となっていることを示し、早急なシステム改修求めました。これに対し、「事務の合理化・効率化や過誤防止といった点にも考慮し、真に必要かつ相当なものは何かという観点からシステム化すべき業務の範囲を整理している」と職場実態を見ない従前回答を繰り返しつつも、「導入庁から提出された意見を、あらためて分析し、改修の必要性については、(中略)可能な範囲で検討していく」と回答しました。この回答を足がかりに、早急に改善するよう全国からの追及を強める必要があります。
 オンライン活用のための機器の整備を求めたことに対しては、「ニーズの高まりをふまえつつ将来的な業務のあり方や予算状況等の諸事情を総合的に考慮した上で、オンライン環境の整備に努めたい」と回答する一方、民事裁判手続用のウェブ会議用パソコンについては、配布済みの台数で「支障は生じない」「現時点では追加整備は予定していない」と回答しました。
 この他、ウェブ会議用パソコンの保管方法の見直し、個人貸与端末からのインターネット接続、J・NETポータルの充実などを求めました。

 
ページの先頭へ
 
全司法第78回定期大会に向けて
組織強化・拡大にむけて、みんなで考え、みんなで決め、
着実に実践していく大会に
 

 第78回定期大会を大会史上初となるオンラインで開催します。そのため、7月24〜25日(土・日)と8月9日(月・祝)の2期日に分けての開催となります。今大会では、新型コロナウイルス感染症の経験を教訓に、この間の私たち自身の職場、組合活動の変化を振り返り、総括したうえで、組織強化・拡大、要求前進をめざし全国の仲間みんなで一丸となってとりくむ意思統一をはかるためにも、定期大会にむけた職場からの積極的な討議を呼びかけます。

組織強化・拡大を最重点課題として

 コロナ禍のもと、社会・政治の大きな変化が起こり得る情勢であると同時に、本格化する裁判手続IT化や大量退職など私たちを取り巻く環境も大きな変化を迎えています。いまこそ、「暮らし」「職場環境」「日常活動」の3つの立て直しの運動にあらためてとりくむことを呼びかけます。
 そして、この3つの立て直しのためには、全司法の組織の強化・拡大が何より不可欠となります。
 本大会では、組織強化・拡大を最重点課題として位置づけ、組織方針を議案書の冒頭に記載しました。
 大量退職・採用期がいよいよ「本番」を迎えています。大量退職期に向けた「準備」を提起した第71回定期大会で確立した組織方針(新たな組織方針)や拡大プロジェクトで掲げた目標を改めて確認し、その実践が求められます。
 大会では、同方針等に照らして立ち遅れている部分などを洗い出し、全司法の組織強化・拡大にむけて、みんなで考え、みんなで決め、それを着実に実践していく決意を固め合いたいと考えています。

3つの役割での支部活動強化の視点に立って

 方針討議にあたっては、本部の組織方針に込めた思いを受け止め、全司法が職場で果たす3つの役割(@要求を実現し、職場のルールを作る役割、A相談しあい、助け合う役割、B仲間を繋ぎ、居場所を作る役割)にもとづく支部活動の強化の視点に立って、目の前の課題をどう克服していくか知恵を出し合いましょう。
 また、支部活動交付金としての財政支援、オンライン・ミーティング、オンライン・オルグの積極的な活用、地連・支部のネットワーク環境の整備、「公務に起因する損害賠償責任等に関する補償制度の新設等について」(第2号議案)による組合員を対象とした補償制度の新設など、組織の強化・拡大の観点から運動方針と財政方針を一体で提案しており、これまで以上に組織課題を全面に押し出した提案としています。

この間の活動を報告し、共有する機会に

 定期大会は、この間の全司法の活動を総括し、今後の運動のすすめ方を運動方針として確立する機会です。
 私たちをとりまく情勢や裁判所の環境の変化によって生じるさまざまな要求課題が山積しています。6月に閉会した通常国会では、デジタル改革関連法、少年法改正、定年延長法など私たちの職場に大きく影響する動きがありました。
 また、コロナ禍のもとでの裁判運営と裁判所の業務、そして急ピッチで進められる裁判手続のIT化の動きなど、裁判所をとりまく環境が目まぐるしく動いています。
 諸要求期の最高裁交渉における前進面を確認し、職場のルールを作る役割を全司法が全国すべての職場で果たせているかといった視点で議論を深めてもらいたいと思います。

事務官研修制度について「補足議案」を提起

 最高裁は「専門性の活用と付与」に問題意識を持って事務官制度の検討を始めています。これを踏まえて、処遇につながる職員制度の大きな転換をはかる目的で、専任事務官の研修体系について、最高裁の検討に全司法の見直し(案)をぶつけ、それを基に最高裁当局と議論をすすめていく必要があります。
 これを第1号補足議案「事務官研修体系に関する全司法の見直し(案)」として提起しています。この全司法の見直し(案)は、全国書記長会議で示した後、支部・地連の意見を踏まえて修正したものになります。職場での討議を更に深め、みなさんの意見を代議員に託してください。
 大会で決定された考えをもとに、最高裁との議論・交渉をすすめていきます。

 
ページの先頭へ
 
夏の国公青年セミナー2021
 

職員の苦労・責務に見合った賃上げ、制度改革を

塩川議員に職場実現と要求を伝える
 6月20日〜21日「夏の国公青年セミナー2021」が開催されました。このセミナーは青年層の「要求実現に向けた行動を学び・行い」「交流の場をつくる」ことを目的にしており、公務職場で働く各単組の青年がオンラインで集まり、1日目は講義と分科会が行われました。
 講義では、西口国公労連書記から、「わたしたちの労働条件の決まり方と今の情勢」をテーマに、人事院勧告の仕組みや最賃引き上げの重要性など、青年層の要求が強い賃金課題に関する講義を受けました。
 分科会では、2日目以降に予定している国会議員懇談(要請)や各交渉(人事院・財務省・内閣人事局)のグループに分かれて、それぞれの職場実態や青年の切実な要求について意見交換を行い、医療現場からは「コロナワクチンの副作用で発熱した際も解熱剤を使用しながら働いている」といった実態や、国土交通の現場からは「過去の採用抑制・人員削減の影響により、係長を担う30代以上の層がごっそり抜けて20代が係長になっている。在級年数が足りないため、3級に上がれず、低い給料のまま重い責任を負っている」など、職員の苦労・責務に見合った賃金引き上げ、制度改定を求める青年の事態が明らかになりました。

国会議員に青年の実態等を直訴

 国会議員懇談(要請)では内閣委員会所属の国会議員への要請を行ったほか日本共産党の塩川鉄也衆議院議員と懇談を行いました。要請・懇談では、青年から、それぞれの職場実態を伝え、賃金引き上げ、超勤縮減、定員合理化計画の中止と行政・司法の体制・機能拡充などを訴えました。
 人事院交渉では、「初任給をはじめとする青年層職員の労働条件改善を求める要求書」を提出し、賃金・諸手当、労働条件、ハラスメント対策等にかかわって青年層の実態を伝え、改善を求めました。全司法からは、通勤手当や宿日直手当額の改善など、自身の経験や職場の青年から聞き取った実態をもとに改善の必要性を訴えました。
 財務省交渉では、財務省に対し、「公務員宿舎等に関する重点要求書」を提出し、いわゆる5類型の廃止、運用改善や住宅事情調査の見直しなどを求めました。
 6月28日の内閣人事局交渉では、「国の機関の体制拡充等に関する要求書」を提出し、青年の職場実態等を踏まえ、行政・司法の体制・機能拡充を求めました。

 
ページの先頭へ
 
全司法大運動・25回目の請願採択!
 

 全司法大運動としてとりくみ、第204通常国会に提出した「裁判所の人的・物的充実に関する請願」が6月16日、衆・参両院で採択されました。今年で通算25回目の採択となります。紹介議員は昨年の59名を上回り、64名となりました。

 
 
ページの先頭へ