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全司法新聞
 
全司法大運動 25回目の採択めざし、国会議員要請行動
 
全司法大運動で藤野議員、山添議員に要請

 全司法は5月28日、全司法大運動での25回目の国会請願採択をめざし、中央での国会議員事務所への要請行動にとりくみました。全国で集約した「裁判所の人的・物的充実を求める請願署名」を国会に提出するにあたって、紹介議員を得るための重要なとりくみです。

超勤実態や少年法などで意見交換、人的・物的充実求める

 全司法大運動の議員要請行動は、例年、上京団を配置してとりくんでいますが、東京都に新型コロナによる緊急事態宣言が出されていることを踏まえて、今年も昨年に引き続き、本部役員が中心になってとりくみました。衆・参両院の法務委員や過去に紹介議員を受けていただいた議員などを中心に92名の国会議員に対し請願採択に向けた要請を行いました。この日提出した署名は合計2万5939筆でした。
 各議員事務所への要請行動に先立ち、衆議院で法務委員を務める藤野保史議員、参議院で法務委員を務める山添拓議員(いずれも日本共産党)との懇談を実施しました。
 懇談の場で全司法本部からは、新型コロナのもとでの職場実態、裁判手続のIT化、地方から中央・大規模庁への人員シフト、超過勤務の実態、少年法改正などについて、意見・要望を伝えました。
 山添議員は超勤実態の把握について「超過勤務の課題では、河野大臣も霞ヶ関のサービス残業があることを認めている中で、最高裁の意識も変わらないといけない」としたうえで、「裁判所の人的体制整備は重要です」と述べられました。
 また、藤野議員からは「みなさんの運動が政府を動かしています」としたうえで、「入管法は廃案になりましたが、少年法は成立してしまいました。国会では要保護性が重要という議論もされ、今後の運用が問われる局面になります。『少年の健全育成』という理念の徹底を求めて、現場の皆さんと連携していきたい」と述べられました。両議員に対しては、その場で8539筆の署名を託しました。

実績積み上げ、「認知されている署名」を実感

 重要法案の審議が立て込む状況や国会議員会館でも新型コロナ対策がとられているもとで、短時間での要請となりましたが、全司法大運動の請願署名が毎年、実績を積み上げることで認知されているのを実感することが多く、前向きな反応を感じることができました。
 また、直前まで少年法が参議院で審議されていたこともあり、少年法「改正」反対のとりくみをきっかけに政策秘書と意見交換を行うことができた事務所もありました。
 この日の行動に先立って、法務委員をはじめとした地元国会議員事務所(地元事務所)への訪問・要請行動等は、4支部(秋田・岡山・福岡・鹿児島支部)でとりくまれ、計9人の法務委員等に対して、中央での議員要請行動にむけた要請等が行われました。地方での地元事務所へのとりくみのおかげで、中央で要請を行ったその場で紹介議員の承諾を得ることができるなど、地方でのとりくみが中央のとりくみへとつながり、コロナ禍で上京団が配置できない状況下でも成果をあげたと言えます。
 この経験を職場で共有し、これからの運動につなげていきましょう。

 
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少年法「改正」法案成立 実態・役割伝えることが今後とも重要
 
少年法「改正」法案反対の院内集会(4月30日)

少年法に「大きな穴」をあける法案成立に抗議

 5月21日、少年法「改正」法案が参議院で可決され、成立しました。
 全司法は、この法案について、18・19歳を「特定少年」と位置付けて少年法の中に残す形にはなったものの、原則検察官送致(原則逆送)対象事件の範囲を拡大し、犯情の軽重を処分の中心に据える、ぐ犯の適用を除外する、公訴提起後は推知報道が解禁されることなど様々な面で、少年法の理念を後退させて「大きな穴」をあけるものだとして、反対してきました。少年法に対しては様々な誤解があるもとで、18・19歳の実態や少年法の役割・機能を正確に見ることなく、立法事実のない法案が成立したことに強く抗議します。
 一方、自民党などが当初、改憲のための国民投票法、公職選挙法、民法に合わせて少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げることを狙ったのに対して、5年半に及ぶ議論とたたかいの結果、引き続き、18・19歳を少年法の適用対象とし、家庭裁判所への全件送致を維持させたことは、大きな成果です。
 とりわけ、法制審でも国会審議でも「少年法は有効に機能している」ことが繰り返し確認されたことは大きな意義を持つものです。

8項目の参院・附帯決議、運用に活かすことが重要

 また、衆参両院で附帯決議がつけられ、特に参議院では8項目の附帯決議がつけられました。そのいずれもが、全司法をはじめ多くの団体が反対理由とし、あるいは懸念を表明した内容と一致しています。これが広く知られ、今後の運用につながることが極めて重要です。
 特に参議院の附帯決議第2項では原則逆送対象事件の拡大について「きめ細かな調査及び適正な事実認定に基づき、犯情の軽重及び要保護性を十分に考慮する運用」が裁判所に求められています。国会審議でも手嶋家庭局長が「ここ(国会)でのご議論、いろいろなご指摘も踏まえて、引き続き適正な運用がされるよう最高裁としてもしっかり支援してまいりたい」と答弁しています。
 これに基づく実務の運用を求めるとりくみが重要です。

少年法の理念がより活かされる運動を目指して

 この間、様々な団体と一緒にとりくみをすすめる中で、国民に問題意識が広がっていかないことが課題となりました。被害者保護の在り方も含めた検討や、少年法の問題を「子どもや若者が生きづらい社会」の一つの「現れ」と位置づけてとりくむことなどが重要との指摘もありました。
 少年法の理念がより活かされるよう今後とも、現場から少年法の実態や家裁の役割を伝えることが重要です。

少年法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
令和三年五月二十日 参議院法務委員会

政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 十八歳及び十九歳の者は、類型的に成長発達途上にあって可塑性を有する存在であることから、引き続き少年法の適用対象と位置付けることとした趣旨を踏まえ、少年の健全な育成を期するとする法の目的及び理念に合致した運用が行われるよう本法の趣旨の周知に努めること。
二 現行の原則逆送対象事件については、家庭裁判所が、犯情及び要保護性に関する様々な事情について十分な調査を行った上、これにより判明した事実を考慮して、検察官に送致するかどうかの決定を行っていることを踏まえ、新たに原則逆送の対象となる罪の事件には様々な犯情のものがあることに鑑み、家庭裁判所が同決定をするに当たっては、きめ細かな調査及び適正な事実認定に基づき、犯情の軽重及び要保護性を十分に考慮する運用が行われるよう本法の趣旨の周知に努めること。
四 罪を犯した者、とりわけ十八歳及び十九歳などの若年者の社会復帰の促進を図るため、前科による資格制限の在り方について、対象業務の性質や実情等を踏まえつつ、府省庁横断のしかるべき場を設けるなどして、政府全体として速やかに検討を進め、その結果に基づいて、法改正を含め必要な措置を講ずること。
五 特定少年のとき犯した罪についての事件広報に当たっては、事案の内容や報道の公共性の程度には様々なものがあることや、インターネットでの掲載により当該情報が半永久的に閲覧可能となることをも踏まえ、いわゆる推知報道の禁止が一部解除されたことが、特定少年の健全育成及び更生の妨げとならないよう十分配慮されなければならないことの周知に努めること。また、インターネットを悪用した人権侵害対策への取組を推進すること。

(三、六、七、八項省略)

 
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人員・IT化など重要な議題で職場実態を踏まえて追及
諸要求期第3回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は5月26日、諸要求貫徹闘争における第3回最高裁人事局福島総務課長との交渉を実施し、人員、賃金、IT化、人事評価制度、採用・異動、庁舎、宿舎、宿日直、社保・共済などの課題で最高裁を追及しました。

人員
「確保に引き続き努力していきたい」

第3回人事局総務課長交渉の様子

 人員について、次年度予算の概算要求において各職種の大幅増員を行うよう求めたことに対して、「裁判手続のIT化をはじめとした情報通信技術の活用、通達等の見直しも含めた各種事務の簡素化・効率化、組織・機構の見直しにより、事務の合理化、効率化を図り、職員が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築していくのに合わせて、それに相応しい最適な人的態勢のあり方を検討する」との「今後の方向性」で示した基本姿勢をあらためて示すとともに、「必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答しました。また、人員シフトを行わないことを求め、恒常的な超勤のある部署からの減員など、「事務処理状況等をきめ細かく把握する」との従前からの回答に反するような実態が各地にあることを示し、必要な人員配置を求めたことに対しては、「内部努力は必要不可欠」「人員配置の見直し後の事務処理態勢等についても、十分検討した上で実行してきている」と従前回答を繰り返しました。

IT化
「オンライン環境の整備に努めたい」

 IT化に関わっては、各支部から寄せられたNAVIUSの問題や実態をもとに、事務の簡素化・効率化に資するシステムとなるよう早急な改修を求めるとともに、この総括を十分に行った上で、今後のIT化を検討するよう要求しました。また、オンラインの活用が広がる中、ウェブ会議ができる事件関係室やパソコン等の整備を求めたことに対しては、「一層のニーズがあることは承知している」とし、「オンライン環境の整備に努めたい」と回答しました。予算確保については最大限努力の姿勢を示しました。

人事評価
「人材育成・執務意欲の向上に資するよう」

 人事評価制度に関わって、引き続き管理職員によるバラツキが大きく、人材育成の観点が欠落しているなどの各支部から報告された実態を示し、改善を求めたことに対しては、「人材育成や執務意欲の向上に資するものとなるよう努めていきたい」「管理職員の人事評価制度の理解を深め,指導・育成に関するスキルの向上、評価能力、面談技法の向上を図りたい」と従前どおりの回答にとどまりました。
 採用・異動については、きめ細かな本人の意向の把握と早期内示、ステップアップ制度による採用の拡大などを求めました。また、採用名簿不足のため他高裁の名簿により希望地と異なる高裁管内で採用された職員の異動希望の実現について、最高裁から下級裁を指導するよう求めました。

刑事手続IT化
「職員に周知していきたい」

 宿日直については、令状センター構想の早期検討、裁判官が泊まり込みや登庁して事件処理することによる負担軽減策の実施などを求めましたが、従前回答にとどまりました。また、法務省の刑事手続IT化検討会の経過について逐次明らかにするよう求めたことに対しては、「J・NETポータル(ケイフォ)に関連記事を掲載するなどして周知した」「今後も引き続き職員に周知していきたい」と回答しました。

共済支部統合
別人格論に終始

 社保・共済に関わって、組合員サービスの低下につながる共済組合支部の本部への統合は行わないよう求めたことに対しては、別人格論から「当局が職員団体との間で対応を行うべきではない」と従前回答を行いました。これに対して、児童手当や財形貯蓄などの裁判所の業務も最高裁に統合する案が示されていることをふまえ、今後、全司法と対応するよう求めました。

本部の視点

 各支部からの報告を見て、残業が恒常化している部署から人員削減を行うなど、人員削減ありきで「事務処理状況」を見ていないのではないかと主張しました。NAVIUSの問題点、人事評価、令状センターなどについて主張しましたが、回答自体には動きがありませんでした。

 
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地連行(二)担当者会議・上京団交渉を実施
 

 5月22日、地連行(二)担当者会議(オンライン形式)を開催し、各地連の行(二)対策担当者と本部常任中央執行委員、オブザーバーの計12名が参加しました。

従前の労働条件・昇格が維持できてない

行(二)上京団交渉

 会議では、職場実態の共有と交渉にむけた要求の確認などを行いました。
 賃金では、行(二)職が超過勤務を前提とした賃金となっているにも関わらず、シフト制の導入によって超過勤務手当が減ることで実質的な賃下げとなっていることや本来業務に加えて付加業務を行って仕事量は増えているにも関わらず、満足いく賃金となっていないという実態を踏まえて追及を強めることを確認しました。
 勤務実態に関わっては、退職後不補充による減員のため、庁によっては業務量が増え、繁忙度が増している実態が報告されました。最高裁が「@雇用の維持は当然のこととして、A引き続き人員の減少に伴う給与上の処遇の低下を避ける努力を続けるとともに、B人員の減少に伴って業務量が過重とならないように十分に配慮していきたい」という、いわゆる3点セットの回答により処遇の維持・改善に努めるとしているもとで、職場では、部下数制限によって従前の労働条件・昇格が維持できてないとの指摘があり、改善を求めて追及を強めることを確認しました。

行(二)の勤務ぶりも適切な評価を

 人事評価制度に関しては、行(二)職の仕事ぶりを日頃から見ていない評価者がどのように評価しているのか疑問といった声や付加業務が評価に反映されていないといった意見が寄せられ、適切な評価とともに、付加業務を評価して処遇改善につなげるなど、人事評価制度の改善を求めて追及することを確認しました。
 その他労働条件に関わっては、複数人に1台しかパソコンが配布されていないといった実態や行(二)職に対する回覧等がおろそかになっていたり、手書きによる報告の手間や負担など、希望する行(二)職へのパソコン配布を求めることを確認しました。

本部と東京地連で上京団交渉に対応

 東京都に緊急事態宣言が出されているもとで実施された24日の上京団交渉には、東京地連の行(二)対策担当者(最高裁勤務)と本部常任中央執行員で臨みました。東京地連の行(二)対策担当者からは東京地連管内の職場実態及び要求を伝えるとともに、「もっと真剣に行(二)職の処遇改善について検討してほしい」という切実な気持ちを伝えました。また、常任中央執行委員が東京地連を除く各地連から託された職場実態を最高裁に伝え、改善等を求めました。
 最高裁の回答は従前どおりのものにとどまりましたが、あらためて行(二)職の課題や職場実態を最高裁に伝える機会となりました。

 
 
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