全司法本部は5月26日、諸要求貫徹闘争における第3回最高裁人事局福島総務課長との交渉を実施し、人員、賃金、IT化、人事評価制度、採用・異動、庁舎、宿舎、宿日直、社保・共済などの課題で最高裁を追及しました。
人員
「確保に引き続き努力していきたい」
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第3回人事局総務課長交渉の様子 |
人員について、次年度予算の概算要求において各職種の大幅増員を行うよう求めたことに対して、「裁判手続のIT化をはじめとした情報通信技術の活用、通達等の見直しも含めた各種事務の簡素化・効率化、組織・機構の見直しにより、事務の合理化、効率化を図り、職員が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築していくのに合わせて、それに相応しい最適な人的態勢のあり方を検討する」との「今後の方向性」で示した基本姿勢をあらためて示すとともに、「必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」と回答しました。また、人員シフトを行わないことを求め、恒常的な超勤のある部署からの減員など、「事務処理状況等をきめ細かく把握する」との従前からの回答に反するような実態が各地にあることを示し、必要な人員配置を求めたことに対しては、「内部努力は必要不可欠」「人員配置の見直し後の事務処理態勢等についても、十分検討した上で実行してきている」と従前回答を繰り返しました。
IT化
「オンライン環境の整備に努めたい」
IT化に関わっては、各支部から寄せられたNAVIUSの問題や実態をもとに、事務の簡素化・効率化に資するシステムとなるよう早急な改修を求めるとともに、この総括を十分に行った上で、今後のIT化を検討するよう要求しました。また、オンラインの活用が広がる中、ウェブ会議ができる事件関係室やパソコン等の整備を求めたことに対しては、「一層のニーズがあることは承知している」とし、「オンライン環境の整備に努めたい」と回答しました。予算確保については最大限努力の姿勢を示しました。
人事評価
「人材育成・執務意欲の向上に資するよう」
人事評価制度に関わって、引き続き管理職員によるバラツキが大きく、人材育成の観点が欠落しているなどの各支部から報告された実態を示し、改善を求めたことに対しては、「人材育成や執務意欲の向上に資するものとなるよう努めていきたい」「管理職員の人事評価制度の理解を深め,指導・育成に関するスキルの向上、評価能力、面談技法の向上を図りたい」と従前どおりの回答にとどまりました。
採用・異動については、きめ細かな本人の意向の把握と早期内示、ステップアップ制度による採用の拡大などを求めました。また、採用名簿不足のため他高裁の名簿により希望地と異なる高裁管内で採用された職員の異動希望の実現について、最高裁から下級裁を指導するよう求めました。
刑事手続IT化
「職員に周知していきたい」
宿日直については、令状センター構想の早期検討、裁判官が泊まり込みや登庁して事件処理することによる負担軽減策の実施などを求めましたが、従前回答にとどまりました。また、法務省の刑事手続IT化検討会の経過について逐次明らかにするよう求めたことに対しては、「J・NETポータル(ケイフォ)に関連記事を掲載するなどして周知した」「今後も引き続き職員に周知していきたい」と回答しました。
共済支部統合
別人格論に終始
社保・共済に関わって、組合員サービスの低下につながる共済組合支部の本部への統合は行わないよう求めたことに対しては、別人格論から「当局が職員団体との間で対応を行うべきではない」と従前回答を行いました。これに対して、児童手当や財形貯蓄などの裁判所の業務も最高裁に統合する案が示されていることをふまえ、今後、全司法と対応するよう求めました。
本部の視点
各支部からの報告を見て、残業が恒常化している部署から人員削減を行うなど、人員削減ありきで「事務処理状況」を見ていないのではないかと主張しました。NAVIUSの問題点、人事評価、令状センターなどについて主張しましたが、回答自体には動きがありませんでした。
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