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全司法新聞
 
「事務官研修体系に関する全司法の見直し(案)」について
7月の全国大会に向けて、引き続き職場で討議を
 

 全司法本部は、4月18日の全国書記長会議に「事務官研修体系に関する全司法の見直し(案)」を提案し、各地連・支部の意見を聴取しました。これは、最高裁が事務官研修制度の在り方を検討しているのに対して、全司法の意見をぶつけるためのものです。
 本部は今後、寄せられた意見を参考に同見直し(案)を修正・補強し、7月の第78回定期大会に2021年度運動方針案の「補足議案」として提出します。引き続き機関・職場で討議をお願いします。

最高裁と意見交換する「素材」が必要

 全司法が専任事務官の職務評価を高め、処遇改善を行うよう要求してきたのに対し、2019年秋年期の交渉で最高裁は「専門性の活用や付与」について問題意識を示しました。
 これを受けて、全司法が2020年4月28日付けで事務官制度に関する意見書を提出し、専門性を活かした職員制度を要求したのに対して、2020年諸要求期の交渉で最高裁は「専任事務官の専門性の活用・付与等やそれに向けた研修の在り方を検討する」「新採用事務官の配置を含むジョブローテーションの在り方についても、問題意識を持っている」と回答しました。その後、研修の在り方を検討するため総研に専任事務官の教官を配置するなど、具体的な検討に入っています。
 今回、本部が「事務官研修体系に関する全司法の見直し(案)」を提案したのは、こうした流れの中で、今後、最高裁と意見交換をすすめていくうえで、全司法として提示する「素材」となる考え方を作る必要があるためです。

「参事官室提言」の基本的考え方を前提に

 今回の見直し(案)で、本部が重視したのが、全司法との事実上の事前協議を経て1996年に最高裁が出した「参事官室提言」です。
 時代に合わせて見直し、修正する部分はあるとしても、「裁判部は書記官、事務局は事務官が担う」という二元的官職を前提に職員制度を確立し、若手職員のジョブローテーションによる能力開発と適性発見、研修の充実によって人材を育成し、専任事務官の登用と処遇改善を実現するという方向性については、今後の職員制度を考えるうえでの前提としました。
 また、書記官任官、管理職登用、中堅以上の事務官の公判部配置については、関連する部分が大きいことは理解しつつも「今後検討すべき課題」とし、まずは事務官の研修制度について見直し(案)を持って、最高裁との意見交換を重ね、その中で、関連する問題として検討します。

各地連・支部からの意見に答えて

@見直し(案)の提案に至る経過など

 地連・支部から寄せられた意見には、見直し(案)を出すに至った経過、参事官室提言で既に考え方が示されているもの、「今後検討すべき課題」について、疑問や意見が出されていました。前記のこれまでの経過や考え方を、改めて確認してください。

Aジョブローテーションについて

 ジョブローテーションについて、当局が行っている現在の「ジョブローテーション」の問題点を前提にした意見が多く寄せられました。専門性を持った人材を育成するためには、どういう異動の在り方が望ましいのか、さらに機関・職場の意見を求めて検討したいと考えています。

B中堅職員の研修について

 見直し(案)では、管理職・ベテラン職員になるまでの概ね15年程度を幅広く「育成期間」としましたが、採用後数年はともかく、それ以降を「育成期間」とすることについて疑問とする意見が寄せられました。まさに実務を担いつつ、専門的知識と経験を身につけていく期間であることから、この期間の研修や配置の在り方について、さらに全国からの意見をもとに検討を深めたいと考えています。

 
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職場が大きく動くもとで、よりよい職場を目指して
諸要求貫徹闘争・人事局総務課長交渉始まる
 

 次年度(2022年度)の予算と裁判所の運営方針に、私たちの要求や意見を反映させるための最高裁交渉が始まり、これまでに5月12日と19日の2回にわたって、人事局福島総務課長との交渉を実施しました。
 コロナ禍の情勢、裁判手続IT化など、職場が大きく動いているもとで、よりよい職場を目指して様々な課題で主張しています。6月10日の事務総長交渉まで引き続き最高裁交渉を積み上げ、要求前進を目指します。

交渉に臨む全司法本部

第1回交渉 5/12

 第1回交渉は、超勤縮減、健康管理、高齢者雇用・再任用制度、旅費・庁費、次世代育成支援、男女平等・母性保護等を議題に実施しました。

超過勤務
「見える化」「客観的把握」を行うよう追及

 超勤縮減については、「超勤削減にむけたとりくみをこれまで以上にすすめていきたい」「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない」「始業前、昼休み、休日における勤務についてもかわるものではない」と従前どおりの基本姿勢を示しましたが、最高裁が下級裁における特例超勤を把握するよう追及したことに対して、「把握していくようにしたい」と新たな姿勢を示しました。
 超勤の把握が事前申告頼みとなっており、管理職員による把握が不十分であることを指摘するとともに、行政府省では内閣人事局や人事院と連携・協力し、勤務時間の「見える化」や「客観的把握」にむけたとりくみがすすめられており、裁判所はこれに遅れをとっていると追及したことに対しては、「意見として承っておく」との回答にとどまりました。

当事者対応事務フロー
職場の意見で「改善されていくもの」と回答

 健康管理に関して、人事院が発出した通知では、新型コロナ感染防止対策の検討にあたって「人事院規則10―4第14条に基づき職員の意見を聞いてください」とされているにもかかわらず、裁判所においてはこの措置はとられていないことを指摘し、各庁に「健康安全管理委員会」を設置しないことによるデメリットであると追及しましたが、「意見として承っておく」と回答するにとどまりました。
 健康管理懇談会が形骸化しているとの職場の意見を示し、懇談会で出された意見を健康管理施策に反映するよう求めたことに対しては、「懇談会で出された意見等を各庁の健康管理施策に反映するよう、引き続き下級裁を指導していきたい」と回答しました。
 最高裁が発出した事務連絡に基づき各庁が作成した必要かつ合理的な当事者対応の事務フローについて、実効性のあるものとするよう下級裁への指導を求めたことに対しては、「当該事務フロー等は現場で運用されていく過程で必要に応じて改善されていくものと理解しており、運用しにくい点などがあれば、現場の職員の意見を踏まえた見直しによって、より実効的な運用に改善されていくものと考えている」との認識を明らかにしました。
 新型コロナに関しては、特別休暇等の柔軟な運用と、運用拡大にむけた人事院への働きかけを求めました。

時短勤務者の業務量
管理職員が主導して調整している

 赴任旅費(移転料)について、実費が法定額を下回る場合の法定額支給やすみやかな支給を求めたことに対しては、「要望等は機会を捉えて関係当局に伝えていきたい」「迅速な事務処理に努めていきたい」と回答しました。
 4月から実施されている「女性活躍推進法に基づく裁判所特定事業主行動計画」について、異動や勤務実態の把握に関する記述が不十分であることなどを指摘し、運用の具体化にあたっては、全司法の意見等をふまえた検討を求めました。また、時短勤務者の業務量調整は管理職員の責任で行うよう追及したことに対しては、「管理職員が主導して」調整しているとの認識を示しました。
 生理休暇の取得率が低いことなどをふまえ、母性保護の諸権利についての周知・徹底と気兼ねなく利用できる職場環境の整備を求めたことに対しては、各職場に両立支援制度ハンドブックを備え付けるなどして広く周知するよう指導していることや、新任中間管理者研修において、母性保護の諸制度の内容や取得方法を説明していることなどを回答しました。

本部の視点

 超勤実態の把握が最大のテーマでした。行政府省がシステム導入も含めた「見える化」「客観的把握」に踏み出しているもとで、裁判所は「申告頼み」で遅れていると指摘しました。
 コロナ対策で職員の意見を聴く措置がとられていないことや特定事業主行動計画なども行政府省のとりくみに遅れをとっています。

第2回交渉 5/19

 第2回交渉は、「国民のための裁判所」実現、職員制度、昇格を議題に実施しました。

裁判手続IT化
円滑な導入のための環境整備を図りたい

 裁判手続のIT化にかかわっては、引き続き予算確保にむけて「最大限の努力を行いたい」とし、「国民にとって利用しやすい裁判手続となるよう、関係機関とも協力しながら適切に対応していきたい」「各庁の習熟を可能な限りバックアップしたり職員の負担にできるだけ配慮したりするなどして、円滑な導入のための環境整備を図りたい」との姿勢を示しました。

書記官事務の簡素化
実務講義案データ化、上訴記録送付事務を検討

 書記官にかかわって、職務評価の向上については、IT化後の「役割・職務の重要性にふさわしい職務評価が与えられるよう努力していきたい」と従前どおり回答するとともに、IT化に伴う権限拡大については、「各庁からの意見も踏まえ、引き続き法制審での調査審議の中で適切に対応していきたい」と回答しました。
 実務講義案のデータ化をはじめとする事務の簡素化・効率化にかかわっては、引き続き検討姿勢を示すにとどまりました。また、上訴記録の送付事務の簡素化・効率化を求めたことに対しては、「一定程度の事務負担があるとの声があることは認識している」とし、「検討をすすめていくことになる」と回答しました。

事務官研修制度
専門性活用・付与に向け研修の在り方を検討

 事務官にかかわって、専門性の付与を重視した研修体系の整備を求めたことに対しては、「専門性の活用や付与等に向けた研修の在り方を検討している」と回答しました。また、研修担当部署の充実については、総研に専任事務官の兼務教官を配置したとし、「今後の教官の態勢については、研修の在り方の検討状況等も踏まえながら検討することとなる」と説明しました。
 事務局係長ポストの兼務の解消を求めたことに対しては、各ポストには適材適所の原則に則り登用しているとし、「係長ポストの兼務についても、その観点から任用が行われている」と回答しました。引き続き、追及を強める必要があります。
 事務の簡素化・効率化にかかわっては、再任用選考における面接でのテレビ会議システムの利用、兼業申請書や贈与等報告書等に関する事務のデータ化を行ったと説明しました。

電子速記タイプ
更新必要な場合には改めて検討ありうる

 速記官にかかわって、電子速記タイプライターの追加整備については、整備済みの96台で「執務に支障が生じない」との従前回答を繰り返すとともに、更新については「必要な場合には改めて検討していくこともあり得る」との認識を示しました。中央研修については、これまで同様に実施していくとし、「共同討議の工夫例の提出状況によっては、電子速記タイプライターの操作等について協議テーマとして取り上げることも考えられる」と説明しました。

家裁調査官の異動
本人の意向をきめ細かく把握していく

 調査官の異動にかかわっては、広域異動の必要性や負担の公平化に触れつつも、「家族の事情等の諸事情も勘案して異動計画を検討している」「本人の生活環境にも十分配慮した異動が行えるよう、更に検討を重ねていきたい」と従前と同様の姿勢を示しました。また、「3年目異動についても、本人の希望や家庭事情等には一定の配慮をしていきたい」「本人の意向をきめ細かく把握していく必要がある」と回答しました。
 行(二)職にかかわっては、将来の方策や安定した業務の継続に必要な人員の補充について追及しましたが、いずれも従前回答にとどまりました。

昇格
級別定数改定に努力

 昇格については、次年度に向けた各職種・級の級別定数拡大等を求めたことに対して、「級別定数の改定のために努力をしていきたい」との姿勢を示しつつも、財務当局の厳しい姿勢を強調し、「級別定数改定をめぐる情勢は全く予断を許さない」との認識を示しました。

本部の視点

 裁判手続IT化では予算確保、円滑な導入等について努力姿勢を示しました。
 書記官事務の簡素化、事務官研修制度の見直しについては、引き続き検討する姿勢を示しており、全司法の意見や要求を反映させることが重要になっています。家裁調査官の異動についての意向把握、電子速記タイプライターの更新なども考え方を示させました。

 
 
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