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要求前進を勝ち取り、一人でも多くの仲間を全司法に迎え入れよう
全国書記長会議をオンラインで開催
 

 4月18日、2020年度第2回全国書記長会議が開催されました。会議は、@5〜6月の諸要求貫徹闘争における最高裁交渉に全国の職場実態を反映させ、全国統一プレート行動を配置して、全国一丸となって要求の前進をめざすとりくみの意思統一をはかり、A4月前半までの組織強化・拡大のとりくみを振り返り、7月の全国大会、9月の支部大会にむけた組織強化・拡大のとりくみの意思統一をはかることを目的に開催されました。

大量退職・採用期の本番を迎え、組織強化・拡大に全力を!

全国から82名がオンラインで参加
 今回の全国書記長会議は、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中での開催となったことから、オンライン方式で開催され、全国から82名が参加しました。
 会議の冒頭にあいさつを行った中矢委員長は、全司法の組織方針にかかわって、2014年7月の全国大会において、地域によっては5年後、全国的に7〜8年後に大量退職・採用がはじまることをふまえ、@大量退職・採用期の職員政策は裁判所にとっても重要課題となり、ここに全司法の意見を反映させること、A大量退職・採用期の活動の担い手を育成すること、B職場における全司法の信頼を勝ち取る中で大量退職・採用期を迎えること、C大量退職・採用期までに「新採用者は全司法に加入して当然」という状況を作り出すことなどの方針をを確立し、全国でとりくみをすすめてきたことをふまえ、この間の活動を振り返り、その到達点について述べました。そして、大量退職・採用期の本番を迎える今、「これらの方針をあらためて確認し、立ち遅れている点はすみやかに立て直し、決してあきらめずに、組織強化・拡大のとりくみをすすめよう」と呼びかけました。
 また、蓑田書記長も報告の冒頭で組織課題について触れ、この7年間の新採用者数及び新採用者の加入者数の推移を示しつつ、4月までのとりくみを総括するとともに、今後の具体的なとりくみを提起し、「全司法が果たしている役割を組合員一人ひとりの確信につなげ、全国大会までに一人でも多くの仲間を増やすことが重要」と強調しました。

全国各地の職場から要求を集結させる運動を展開しよう

 蓑田書記長は、諸要求貫徹闘争のとりくみを報告する中で、「全国各地の職場からの要求を中央に集中させよう」と呼びかけ、5月10日の週の全国統一昼休み職場大会、7月14日に配置する全国統一プレート行動などのとりくみを提起しました。
 具体的な要求課題にかかわって、人員については、今年も「地方から東京およびその周辺をはじめとした大規模庁へのシフト」が顕著であるとして最高裁のシフト政策を批判し、「地方職場の実態や特性、繁忙職場の実情をふまえた必要な人員の確保を強く求めていく」「政府の定員合理化計画への最高裁の協力姿勢を問い質していく」と述べました。
 超過勤務縮減の課題については、超過勤務の把握方法として「最高裁が『事前申告』の必要性を強調することにより、管理職員による現認等による把握が行われず、超過勤務時間が『暗数化』している」とし、「管理職員の責任による把握の徹底と事務の簡素化・効率化の具体化に向けた追及をを強める」と述べました。事務の簡素化・効率化にかかわっては、最高裁が、当事者対応に関する基本的な流れと留意点を示し、各庁において事務フローを作成することになっているところ、その作成状況や運用について確認・注視していく必要性についても述べました。

「事務官研修体系に関する全司法の見直し(案)」を提案

 最高裁が「職員団体(全司法)から事務官制度に関する意見が提出された」と前置きした上で「専任事務官の専門性の活用・付与等やそれに向けた研修の在り方を検討する必要がある」と回答していることから、この検討に全司法の意見を反映させていくため、「事務官研修体系に関する全司法の見直し(案)」が提案されました。見直し案は、事務官の専門性の活用・付与の観点から、研修・異動・配置についての考え方を示したもので、機関・職場討議を提起しました。
 また、民事裁判手続のIT化にかかわって、「『民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案』に対する全司法の意見書」を示しました。この意見書は、全国書記長会議後、中央執行委員会で確定し、4月28日、法制審議会に提出しました。
 分散会の後、会議のまとめを行った蓑田書記長は、「全司法が果たしている役割に確信を持ち、この諸要求貫徹闘争においても要求前進と組織強化・拡大を一体のものとして全力でとりくみ、要求前進を勝ち取るとともに、7月の全国大会までに一人でも多くの仲間を全司法に迎え入れよう」と呼びかけました。

全国書記長会議・分散会で出された職場実態

 書記長報告後、6グループに分かれて分散会が行われました。分散会では、労働時間短縮・超勤縮減、健康管理、ITなどの課題について、各地の職場実態等の報告を求め、問題点等について共有を図りました。

労働時間を把握しようとしない姿勢が明らかに

 労働時間短縮・超勤縮減に関わっては、「繁忙な係は少なめに申告している」「月の後半で上限に近づいてくると申告しづらい」「実態として月45時間を超えている職員がいる」といった報告があり、正確な超勤時間が把握されていない実態が明らかになりました。
 また、「管理職から『30時間を超えたら超過勤務を認めない』と言われた」という報告や「早朝に超過勤務を行っていることを指摘しても、当局は『事前申告がないから超過勤務ではない』と回答した」など、事前申告頼みで実働時間を把握しようとしない当局の姿勢が明らかになりました。

当事者対応事務フロー、作成されるも課題多く

 健康管理に関わっては、「『コロナ禍におけるストレスについて』といったテーマで健康管理懇談会が開催された」との報告があり、2020年秋季年末闘争期の最高裁回答を踏まえた運営がなされた一方で、依然として「健康管理懇談会が活かされていない」との報告もありました。
 また、最高裁が「当事者等対応の基本的な流れと留意点」を示して、各庁で事務フロー作成等の検討を指示していることについて、「3月に作成され、配布されたのみで説明すらない」「課室が狭隘のために示された事務フローでは対応できない」「電話でも対面と同様の対応を行うとされている」といった報告がなされ、策定にあたっての十分な検討が行われておらず、実情を踏まえた内容となっていないことが指摘されました。

NAVIUSの使い勝手やウェブ会議用PC不足も

 IT化では「NAVIUSで宛名を作成するだけで相当な時間がかかる」「NAVIUS導入による事務量増加のために増員された」「簡素化・効率化を阻む最大の原因はNAVIUS」と多くの参加者から報告されるなど、NAVIUSには使い勝手の悪さを超えた問題が多くあることが報告されました。
 また、ウェブ会議用パソコンの不足やウェブ会議に対応した事件関係室の不足、「他人数で接続した際に不安定になる」といった課題や「ウェブ会議にかかる報告を簡略化してもらいたい」といった意見も出されました。
 分散会の中で報告された職場実態や意見は、諸要求期の交渉の追及点として活用し、要求前進をめざしていきます。

2021年 諸要求貫徹闘争方針(骨子)

1.意義と目的

 裁判所当局(最高裁)は、8月末に提出する2022年度予算の概算要求にむけて、全国長官所長会同(6月17日〜18日)を開催して裁判所全体の政策と基本方針を決定し、予算の執行計画と次年度予算の概算要求方針を策定します。
 全司法は、当局の実務サイクルにあわせ、この時期を諸要求貫徹闘争期として「要求課題の出発点」と位置づけ、全国各地の職場からの上申行動をはじめ、要求を最高裁交渉に集中させる運動を全国一丸となって展開します。

2.2021年諸要求貫徹闘争の重要性

 2021年諸要求貫徹闘争は、次のような重要性をもっています。
(1)昨年の諸要求期に最高裁が示した「今後の方向性」を踏まえて、私たちの要求を対置し、その前進を目指すこと。
(2)コロナ禍のもとで、引き続き感染防止対策を図りながら業務を継続するための必要な態勢整備を求めること。
(3)「国民のための裁判所」を実現し、労働条件改善をめざす観点から「全司法大運動」の通算25回目となる請願採択を勝ち取ること。
(4)全司法が果たしている役割を組合員一人ひとりの確信につなげ、組織強化・拡大のとりくみを職場全体ですすめること。

3.最高裁の「今後の方向性」をふまえて

 最高裁が昨年示した「今後の方向性」(今後の裁判所における組織態勢と職員の職務の在り方の方向等)は、@「裁判手続のIT化を始めとした情報通信技術の活用」、A「通達等の見直しも含めた各種事務の簡素化・効率化を図り」、B「組織・機構の見直しにより、事務の合理化・効率化」、C「職員が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築していく」のに合わせて、D「最適な人的態勢の在り方を検討する」というものです。
 こうした当局の基本的な考えを踏まえ、人員、労働時間短縮・超勤縮減、事務の簡素化・効率化、IT情報システム化への対応、職員制度をめぐる課題などの要求を対置し、大きく前進させる必要があります。

4.具体的な運動の展開

 そのために、以下のとおりとりくみます。
@全国すべての地連・支部による上申行動のとりくみ
*全国統一要求書の提出、最高裁あて「要請書送付」行動、最高裁交渉にむけた「職場実態報告」
*地連・支部での交渉や支部独自行動(独自署名、寄せ書き、早朝ビラ配布など)
A「全国統一昼休み職場大会(諸要求スタート集会)」
B「全国統一早朝時間外職場大会」と引き続く「全1日間の全国統一プレート行動」(7月14日)配置
 これらのとりくみを背景に、本部は以下のとおり最高裁交渉を実施します。
*人事局総務課長交渉(5月12日、19日、26日)
*最高裁とのヤマ場交渉(6月7日〜10日)
*行(二)上京団交渉(5月24日)
*青年協の最高裁交渉(5月31日)
 職場からの支援、結集をよろしくお願いします。

5.組織強化・拡大のとりくみ

 以上のような要求前進のためのとりくみを、未加入者も含めた職場全体に「見える化」することによって、全司法が果たしている役割を職場に広く伝え、コロナ禍のもとでも組合員同士のつながりを強化しながら、全国大会までに一人でも多くの組合員拡大をめざします。
 4月のとりくみを踏まえて、未だ加入に至っていない新採用職員に対する継続的な働きかけを強め、一人でも多くの加入を実現するとともに、加入した新入組合員へのフォローを徹底します。あわせて、新採用以外の未加入者への働きかけも重視します。
 また、これからの活動の担い手を作るために学習のとりくみも強化します。

 
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少年法「改正」案、衆院可決 参院での審議始まる
 

 2021年2月19日に国会に提出された少年法の「改正」法案は、4月20日に衆院本会議で自民、公明などの賛成多数で可決されました。23日からは参議院での審議が始まっています。

保護処分の性格を変質させるおそれも指摘

全司法・自由法曹団共催の
院内集会(3月31日実施)
 「改正」法案は18・19歳を「特定少年」と位置付け、全件家裁送致を維持したものの、原則検察官送致(逆送)対象事件を「懲役・禁錮1年以上」に拡大し、18・19歳の「ぐ犯(虞犯)」をなくし、公訴提起された後は現行法で禁止されている推知報道(実名報道)を解禁する等の内容となっており、全司法が第81回中央委員会で「反対する」と決議したとおりの内容となっています。
 また、衆議院での審議においては、これらの点に加えて、18・19歳の非行について「犯情の軽重を考慮」という考え方を持ち込むことで、保護処分の性格を刑事罰に近いものに変質させるおそれがあること、資格制限の特例が適用されなくなり、更生が妨げられることなども問題となりましたが、政府は公選法・民法等の改正により18・19歳が「責任ある主体として積極的な社会参加が期待される立場となった」「刑事司法に対する被害者を含む国民の理解、信頼の確保が必要」との答弁を繰り返し、与党等の賛成により、原案どおり可決されたものです。

附帯決議で家裁の検察官送致の運用にも言及

 衆院通過にあたっては、「新たに原則逆送の対象となる罪の事件、とりわけ強盗罪については、様々な犯情のものがあることを踏まえ、家庭裁判所が検察官に送致するかどうかを決定するに当たり、適正な事実認定に基づき、犯情の軽重を十分に考慮する運用が行われるよう本法の趣旨の周知に努めること」をはじめ、5項目の附帯決議がつけられており、その内容は私たちの主張に道理があることを示しています。
 引き続き、廃案または抜本的修正を目指して、参議院段階でのとりくみを強めることが必要です。
 あわせて、法案には「5年後の見直し」が附則としてつけられていますが、与党議員が今回の法改正を「第一歩」としてさらなる見直しの検討を求める質疑も行っており、仮に法案が成立すれば、次は、今回作られる「特定少年」の規定も削除して18・19歳を完全に少年法の適用対象から外す動きが強められることも懸念されます。
 引き続き、少年法の実態や家庭裁判所の役割を発信していく活動が求められます。

集会の様子は
YouTubeで視聴可能です。

「改正法」の問題点を発信
自由法曹団と共同で院内集会と議員要請

 参議院での本格審議が始まった4月30日、全司法本部は自由法曹団と共同で二度目となる院内集会と議員要請行動にとりくみました(1回目は3月31日実施)。
 集会には元家裁調査官で、衆議院の審議で参考人として出席された須藤明さん(駒沢女子大学教授)等が参加して、法案の問題点を指摘しました。

書籍の紹介

『18・19歳非行少年は、厳罰化で立ち直れるか』

 今回の少年法「改正」問題にあわせて、少年法を守る立場で活動されている学者、弁護士、実務家のみなさんが編集委員となって出版される書籍で、「今回の少年法『改正』案は、少年の本当の姿を見ているのか?」と問いかけ、少年事件事例などを踏まえて、改正案の狙いと問題点を浮き彫りにする内容となっています。
 編集代表は、被害者遺族の立場から少年法を守り充実させることを訴えておられる「被害者と司法を考える会」代表の片山徒有さん。元全司法中央執行副委員長で元家裁調査官の伊藤由紀夫さんも参加しています。また、全司法本部少年法対策委員会が取材協力に応じました。
 全司法本部で購入希望をとりまとめていますので、関心がある方はお問い合わせください。販売価格は1冊2500円です。

 
 
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