春闘情勢
コロナ禍だからこそ、賃上げの世論を作る活動を
2021年春闘方針に関する討論は、「新型コロナウイルス感染拡大の影響で従前どおりの活動が困難であるが、そのような状況だからこそ、賃上げの世論を作り上げていけるように、官民一体の活動を行っていこう」(愛知)との力強い言葉から始まりました。
賃金に関して、経団連から、コロナ禍では企業が賃上げをすることが困難であるとの報告がなされていたことに触れ、「全司法の掲げる『総対話』の活動をきっかけに、要求実現を目指そう」(福岡)との発言がありました。
また、核兵器禁止条約の発効に触れ、「唯一の戦争被爆国である日本が批准すれば、世界的な影響を与えることになる。今後も平和に向けた活動を続けるべき」(福岡)との平和への活動の重要性を訴える発言もありました。
コロナのもとでの職場
感染防止や在宅勤務を課題にとりあげ要求前進
コロナ禍における職場実態の報告や組合員の要求、労働組合の活動に関する発言が多く出されました。
甲府支部は、最初の緊急事態を踏まえて交渉で要求し、支部と甲府当局間における「BCPの検証にかかる意見交換」を実現した経過を報告。「飛沫対策、除菌などの感染防止対策、書記官室の狭隘などが一定改善された。職大やレクなどができない中、こうした動きを教宣紙に載せて、活動を伝えている」と発言しました。
愛知支部からは「9月から当局が在宅勤務の試行を実施し、自宅でパソコンが使用できるよう届け出をさせたり、官用の携帯電話に転送して在宅勤務で電話相談を行うなどの検討がされた。支部でも交渉等で在宅勤務のあり方について要求してきた。官用パソコンを在宅勤務で使えるようになって、快適に作業ができるようになった」と報告されました。
佐賀及び愛知支部から、当直室で実施されている感染防止対策について報告がありました。また、「PCR検査を受けることになった職員に対する職場からの電話聞き取りが負担である」(広島)、「3月に実施予定の調査官応用研修について、今の感染状況を受けて不安の声が上がっている。オンライン研修とするか延期してもらいたい」(甲府)といった組合員からの意見も出されました。
コロナ関連では、全司法大運動に関して、年末の帰省ができないもとで「本人の了解を得て代筆できる旨周知した」(福岡)との報告もされました。
職場諸要求
簡素化・効率化、IT化などさらなる前進、意見反映を
事務の簡素化・効率化に関して「上訴記録の丁数廃止など、これまで多くの要求が前進してきたが、ここで手を緩めることなく、さらなる簡素化・効率化をすすめさせよう。マニュアルの作成は現場に丸投げにせず、全国統一で作成するべきである。また、裁判所ホームページの掲載も各庁で差があり、全国的な司法サービス提供の観点から問題がある。要求の実現を職場にアピールすることで組織拡大にもつなげられる」(徳島)との発言がありました。同様の観点から「裁判員裁判における調書整理期間が短か過ぎる。控訴審送付用映像データのDVD焼き付け作業が相当負担になっており、USB等でのデータ送付にすべき」(和歌山)と意見が出されました。
裁判手続IT化に関連して、「高裁刑事、家裁、簡裁にNAVIUSが導入されたが、使い勝手が非常に悪い」(大阪)、「ウェブ会議の活用がすすめられているが、プラットフォームとしてのTeamsの利用に消極的な弁護士がそれなりの数いて、ウェブ会議をやりづらいとの声が出ている。今後のIT化に向けては、システムの予算を確保して、使えるものを作って欲しい」(東京地裁)、「民事裁判手続IT化が話題になっているが、倒産手続や裁判外紛争解決手続のIT化の議論もすすんでいる。こうした情勢にも目を向けて運動すべき」(福岡)等の発言が出されました。
非常勤職員のステップアップ制度について「受験したいとの非常勤職員の強い要望があるが、最高裁当局は実施に消極的な姿勢を見せている。制度を作り、運用する最高裁がそれで良いのか。今後も試験実施に向けて当局を追及していく」(最高裁)との発言がありました。
庁費、職種、宿日直、権利などで実態報告
大分支部からは「ここ数年、庁舎維持管理費が縮小され、独立簡裁の清掃が週1回となって、来庁者からトイレの汚れを注意されたこともある。コロナ対策で共用部分のアルコール消毒を現場の職員が行っている実態もあり、増額してもらいたい」との発言がありました。
「現在、運転手が対応できない時はタクシーで少年の押送をしているが、不測の事態を考えると、少年押送のための運転手の確保は必要であり、押送体制のあり方を検討すべき」(大分)、「4月に在京の運転手が正式に最高裁配置になる。高裁配置の守衛が家裁に応援に行くことが明らかになったり、電話交換手の退職による減耗分は外部委託によるという話があり、どうなるのかと思っている」(東京高裁)など、行(二)職をめぐる課題について発言がありました。
宿日直については、「同規模庁で裁判官泊まり込み体制になっている中、福岡ではタクシーで宿舎に行って夜間の令状処理をしている。複数件の請求があるとタクシーに乗っている時間も長く、迅速処理にも反し、記録を庁外に持ち出す心理的負担もある。また、仮眠時間が確保されない。様々な問題があることから早急な解決を目指して奮闘する」(福岡)、「民事裁判手続IT化の情勢を活かして、令状センター構想の実現にむけたとりくみをすすめてほしい」(大阪)などの発言がありました。
広島支部からは、職場の欠員に関する課題で組合への事前対応がないなど、当局の不誠実な対応に抗議し、当局が謝罪した例が紹介されました。
また、最高裁支部からは全司法新聞新年号の記事に触れながら、書記官総合研修所内で働く職員の実態に関する発言がありました。
組織強化・拡大
新採用に寄り添い、「入ってほしい」と伝えよう
コロナ禍で新採用職員に対する加入の働きかけがすすまない課題が指摘されているもとで、12月以降に採用された職員に対するとりくみの経験が報告されました。
全司法の役割を伝えて
「これまで新採用の加入がすすまなかった教訓を活かし、年末年始から周到な準備をして1月採用にむけたとりくみを実施して、8名中5名が加入した。ケーキとコーヒーを用意し、ガイダンスの後、なるべく同じ職場の先輩を交えて5?6人程度の少人数のグループに分かれて話をした。裁判所を選んだ理由を聞き、『働きやすい職場』だと聞いたからという理由だったので、そうした職場を作ってきたのが全司法だということを説明して、入ってもらった」(愛知)。
同じ職場の組合員が声かけ
「新採用職員と同じ職場の組合員で、役員経験もある50歳台の人が着任翌日に庁舎の案内をしながら全司法について話をし、職場の問題や組合の要求による到達点を説明して『一緒にやっていきましょう』と声をかけて加入してもらった。職場も協力的な雰囲気なのが良かった」(三重)。
加入後のフォローも重要
「青年部が主体になって加入のとりくみを実施している。フレッシュセミナー2日目に短時間のガイダンスをし、翌日に一人ひとり加入届を直接持って行き、『入ってほしい』と声をかけた。結果、全員に入ってもらったが、加入後のフォローも大事なので、1週間後に青年部との顔合わせを行った。コロナ禍で採用された新採用は、先輩職員との接点が持ちにくく、不安を感じているので、組合の役割は大きい。4月に向けて引き続きがんばりたい」(岡山)。
とにかく一度加入してもらう
「加入届は氏名押印以外の記載事項をあらかじめ埋めてから渡すなど、とにかく採用初日に提出してもらうよう徹底している。『労働組合のことを知ってもらってから』という考え方もあると思うが、実際には入ってみないとわからない。とにかく一度加入してもらうことが必要。そのためには説明もきちんとするし、加入後は、やめたいと思うことがないようにフォローすることが大切。個別面談によるヒアリングをするなどフォローも怠らないようにしている」(島根)。
各職場・フロア単位の少人数で
「新型コロナのもと、組合員に活動が見えにくくなっており、4月の新採用の拡大もすすんでいない。どうにかしてすすめようと考え、大規模なイベントは難しいので、各職場やフロア単位での少人数での勧誘を行っている。1月採用も第1週にアタックした。その後、再び緊急事態宣言に入ってしまったが、繋がりは切れておらず、引き続き奮闘したい」(福岡)。
コロナ禍だからこそ、当たり前の活動を疎かにしない
新採用以外の組織強化・拡大については、「1月25日の全司法の結成記念日に合わせて朝ビラを実施し、職場で話題になった」(愛知)、「退職まで管理職だった再任用の職員に加入してもらった。コロナの影響で活動が難しく、日常活動が見えにくくなっているもとで、職場会を開催する、全司法新聞を職場に配布するといった、当たり前の活動を疎かにせずとりくんでいくことが重要」(福岡)、「職務に起因する損害賠償制度を新設することは、何かあった時に守ってくれるという安心感につながり、加入を呼びかける際のツールになる。また、支部の財政が厳しいことにも目を向けてもらいたい」(徳島)、「全司法独自の損害賠償制度を作ることで、加入のメリットを感じてもらい、組織拡大に役立つと確信している」(香川)等の発言がありました。
|