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全司法新聞
 
オンライン・オフラインを活用した、
これまでにない「総対話」のとりくみを!
2021年春闘のポイント
 
春闘の幕開けに、
虎ノ門での宣伝行動(1月6日)

 幅広い団体や国民と共通の要求を掲げ、共同した運動を展開する「国民春闘」がスタートします。21国民春闘では「誰もが人間らしく暮らせる社会」をめざし、コロナ禍からの社会の立て直しをはかることが求められます。コロナ禍だから「仕方がない」ではなく、「みんなで変える」へと多くの人たちが確信をもってとりくめるよう、学習と討議を重視し、「対話し、学びながら参加する春闘」を呼びかけます。

すべての組合員が春闘に参加する「総対話」のとりくみを重視

 2021春闘では、秋に提起した3つの立て直し(「暮らし」、「職場環境」、「日常活動」)のとりくみを更に発展させることをめざし、オフライン(集会・職場会など)のとりくみに加え、オンラインも活用した「対話」を行い、組合員全員が参加するこれまでにない「総対話」を提起し、本部、地連、支部が一体となってとりくみをすすめることを運動の柱として提起します。
 「総対話」のテーマは、次の3つです。

確信を持って結集するため、春闘情勢の意思統一を

 賃上げをはじめ、生活改善を求める国民的な運動に組合員一人ひとりが確信を持って結集できるよう、「総対話」の中で春闘情勢の意思統一をはかります。
 2021年春闘は、コロナ禍のもとでの春闘となります。
 コロナ禍によって経済が悪化し、自営業や中小企業等の倒産、廃業が増加しています。その一方で、大企業(資本金10億円以上、5000社)の2019年度の利益剰余金は、前年度の238兆円から241兆円へと増加するなど、内部留保を増加させています。今こそ「いざという時に備える」として貯め込んできた内部留保を取り崩し、従業員の賃金引上げや下請け中小企業の単価引上げを行わせるとともに、大企業優遇税制を改め、内部留保課税を実施するなど国の経済政策を転換することで、コロナ禍を乗り切り、日本経済を再生させる財源として社会的に還元させることが求められます。
 また、1月18日から始まる通常国会では、国として、実効ある感染症拡大防止のための政策を作り、国民生活を守るための思い切った施策と予算を立てる議論が求められています。
 春闘は賃金をはじめとした労働条件や、生活の改善を求めて労働者・国民が一緒になって行動するとりくみですが、新型コロナのパンデミックのもとで「コロナだから仕方がない」と要求することへのためらいが生まれる状況があります。そうした中で、賃下げ、解雇など、コロナ禍による痛みを労働者・国民に押し付けようという流れも作られています。それを許すのかどうか、激しいせめぎあいの中での春闘です。
 コロナ禍のもとでこそ「賃上げ」「生活改善」を要求していくことが重要です。そうした春闘情勢を知る・考えるきっかけとして「総対話」のとりくみを通じて、全司法の仲間みんなが確信をもって、地域での国民的な諸行動に参加していくことを提起しています。

全司法が果たしている役割を確信につなげ、要求実現へ

 秋季年末闘争における職場諸要求の到達点を共有し、全司法が果たしている役割をすべての組合員の確信につなげるとともに、オンライン・オフラインの双方向でこれまでにない「総対話」のとりくみを全国で旺盛に展開し、要求実現をめざします。
 全司法はこの間、事務の簡素化・効率化、電子速記タイプの官支給、調査官の二重の異動廃止、異動、昇格など、職場の様々な要求を前進させています。
 秋季年末闘争においても、刑事事件も含めた上訴記録の丁数廃止、送達報告書の補正依頼事務の見直し、事務官のジョブローテーション、非常勤のステップアップ制度などで前進回答を引き出しました。超過勤務の実態把握に関わっては、改めて「サービス残業があってはならない」との回答を確認し、これを職場で活かしていくことが必要です。
 こうした要求の前進とあわせて、裁判手続IT化や大量退職期を踏まえた「今後の方向性」について、秋年期の交渉でも、これに基づく議論を積み上げてきました。今、文字どおり全司法の要求と意見が、これからの裁判所の職場を作る役割を発揮しています。
 こうした、全司法が果たしている役割を「総対話」のとりくみの中で組合員みんなで確認し、さらなる職場諸要求の前進をめざすとともに、すべての組合員の確信として、組織の強化・拡大につなげていくことが必要です。
 あわせて、コロナ禍によって、個人の責任や努力ではどうしようもない事態が起きた際に、医療・介護、福祉、行政などの公的な体制がきわめて重要なことが浮き彫りとなりました。
 年明けから始まった通常国会に向けて、国公労連が提起する「いのち・くらしをまもる行政体制拡充運動」が展開されます。この運動に全司法大運動を結合させ、とりくみを強化します。
 2つの国会請願署名(@公務・公共サービスの拡充を求める署名、A全司法大運動署名)の集約を強化し、請願採択に向けた議員要請行動等にとりくみます。

組織強化・拡大に向けて
全組合員が意思統一

 「総対話」のとりくみを通じて、全司法全体で組織強化・拡大をすすめることを全組合員が意思統一するとともに、組合員同士のつながりを強化し、組織拡大に向けた工夫あるとりくみをすすめます。
 春闘情勢や職場要求など、「総対話」とりくみのなかで、全司法の組合員同士のつながりを強めながら、仲間づくりをすすめることの意思統一を図ることが何よりも大切です。
 オンライン・オフラインの双方向でこれまでにない「総対話」のとりくみを旺盛に展開し、役員に限らず多くの仲間で「全司法の見える化」をはかり、組織拡大につなげることを呼びかけます。

 
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12月18日全司法本部四役・最高裁長官会見 発言要旨
 

 全司法本部四役は、12月18日に就任あいさつをかねて大谷直人最高裁判所長官と会見しました。最高裁からは、中村事務総長、徳岡人事局長、福島人事局総務課長が同席しました。

委員長 本日の会見にあたって、全司法労働組合として持っております問題意識のいくつかの項目について意見を述べさせていただき、長官の考えをお聞かせ願いたいと思います。
長官 委員長の御意見は承りました。
 当局と職員団体という立場の相違はありますが、今後ともこれまで同様、相互の信頼関係に基づき、いろいろな問題について、率直に意見交換をしながら、より良い方向で解決していってもらいたいと思います。

新型コロナウイルス感染症のもとで裁判所運営について

感染拡大による事件動向への影響等について
注視し、適切に対応していきたい

委員長 新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界中に大きな影響をもたらしています。日本においても経済状況の悪化が伝えられており、すでに倒産・廃業、解雇・失業といった問題が数多く発生し、今後さらに深刻になるのではないかとの報道もあります。また、自宅で過ごす時間が増えるもとで、DVや児童虐待をはじめ、家庭をめぐる様々な問題の発生も懸念されています。今後、こうした問題が裁判所の事件動向に影響を与える可能性も考えられることから、コロナ禍のもとでの経済、社会状況を注視し、適正・迅速に事件処理を行うため態勢整備を図ることが必要だと考えます。
 また、裁判所の職場においても、感染拡大防止をはかりつつ事務処理を行うなど、これまでにない対応が求められています。この間のとりくみでは、当局としても様々なご苦労があったかと思いますが、秋以降、感染者数は「第3波」と呼ばれる急速な拡大を見せており、未だ終息は見通せない状況にあります。引き続き、裁判所として感染防止と業務の遂行をどのような形で両立していくのかを検討し、今後に備える必要があるのではないかと考えています。
 @庁内におけるソーシャルディスタンスの確保、物品・備品の購入・整備などをはじめとする感染防止策、A感染拡大のもとでの事件処理をはじめとした業務継続のあり方、B緊急時に在宅勤務を導入しながら、どのように日常的な事務処理を効率的に進めるか、C利用者へのアナウンスや職員間での情報共有をどのように図るのか、D妊娠中や基礎疾患を抱えた職員への配慮、子どもや介護を要する家族を抱えた職員の特別休暇(出勤困難休暇など)や職務専念義務免除の柔軟運用、E感染者が出た場合の対応などについて、職場から意見や要望が上がってきていますので、引き続き、全司法とも情報交換を行いつつ、職場の体制を作っていっていただきたいと思います。
 また、各庁が職場実態に応じて検討すべきものもあると考えますが、全国的に一定の経験や教訓が蓄積されていることと思いますので、それらを集約し、全国統一して対応すべきものについては、最高裁が指針となる方向性を示していただきたいと考えます。
長官 新型コロナウイルス感染がまん延して以降、裁判所においては、感染拡大の防止と、国民から負託された司法権を行使する紛争解決機関としての役割とをどのように調和させていくかを最大の課題として取り組んできました。
 最高裁においても、下級裁に対し、裁判手続の実施に当たって感染防止の観点から留意すべき事項などを随時示してきたところですし、7月15日に開催された高等裁判所長官事務打合せでは、それまでの間の各庁での対応等について振り返りを行い、11月19日に開催された同事務打合せでは、今後の取組等に関して意見交換をしたところです。
 また、本感染症の感染状況や社会情勢等を踏まえると、より裁判所の実態に即した専門的知見に基づく対策を実施していく必要があると考え、専門家の助言を得ながら、これまでの裁判所における感染防止対策の効果について確認するとともに、公衆衛生学等の知見に基づき、裁判所の感染防止対策の全体について、リスク態様に応じたメリハリの利いた実効的なものとなるよう考え方を整理し、12月4日、各庁に対して周知したところです。
 もとより、各庁の感染防止対策や執務態勢等は、地域の感染状況や職場の実情等も踏まえた上で、各庁において検討されるべきものですが、最高裁としても、引き続き、本感染症の感染拡大による事件動向への影響等について注視しつつ、必要な情報や留意すべき事項等を下級裁と適宜共有するなどして、適切に対応していきたいと考えています。

今後の裁判所における組織態勢と職員の職務の
在り方の方向性等について

職員一人一人が本来の役割・職務に注力して専門
性を活かすことのできる事務処理態勢を構築

委員長 諸要求期の交渉において、最高裁は「今後の裁判所における組織態勢と職員の職務の在り方の方向性等について」について基本的な考え方を全司法に示されました。
 裁判手続のIT化が本格化してくる情勢のもと、大量退職期を目前に控えて、国民の負託に応え、裁判所の執務能力を維持・向上させるための職員制度について検討することが必要になっているとの私たちの問題意識に応える形で、最高裁が検討の方向性を交渉の場で事前に説明し、全司法の意見を聴く姿勢を示されたことは、誠実対応の姿勢として評価しています。引き続き、全司法としても建設的な議論を行っていきたいと考えています。
 示された内容に関わって、この機会に少し考えを述べておきます。
 全司法は、国民のニーズ等を踏まえれば、裁判手続のIT化は今後推進されていくべきものだと考えています。7月17日の成長戦略等に関する閣議決定において、民事裁判にとどまらず、他の裁判手続も対象にするとの政府の方針が示されたこともふまえ、IT化が国民の裁判を受ける権利の拡充をめざす観点から、「司法アクセスの向上」と「国民が利用しやすい裁判所の実現」のための方策となるよう、中核となるシステムの開発・運用に必要な費用をはじめ、司法分野の国民的基盤整備にふさわしい十分な予算が確保されるよう最大限の努力を要請します。
 また、今後の人的態勢については「削減ありき」ではなく、必要な人員を確保するよう最大限の努力を要請します。とりわけ、この間、地方から東京及びその周辺をはじめとした大規模庁への人員シフトが続けられており、中小規模庁では「これ以上の減員は無理だ」との声がさらに強まっています。以上のことから、裁判所の人的・物的充実は今後も重要な課題だと考えます。
 事務の簡素化・効率化をすすめることは、必須条件だと考えています。この間、上訴記録の整理などで前進があったことは、最高裁の姿勢の表れだと受け止めていますが、なお一層の検討を進めるとともに、過剰・不合理な過誤防止策をなくすことも含めて、全国的に簡素化・効率化がすすむよう、明確なメッセージを出していただきたいと考えます。
 なお、超過勤務の実態把握は超勤上限規制への対応だけでなく、「今後の方向性」をすすめるうえでも大前提になるものだと考えています。実態を把握することは、超勤縮減や事務の簡素化・効率化をすすめる動機付けとして不可欠であり、必要な人員の確保がされているかどうかを判断する目安となり、IT化による効率化の効果を検証する根拠となります。まだまだ、自己申告頼みの実態や、超勤実態を把握すべき責任についての管理職員の認識の低さが見られる状況ですので、ぜひ、改めて指導・徹底をお願いしたいと考えています。
長官 情報通信技術の急速な発展普及を始めとした近時の社会経済情勢の変化やそれに伴う国民のニーズの変化等に適切に対応し、より質の高い裁判を迅速に行うためには、今後、書記官や事務官を始めとする職員一人一人が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築して、より活力のある組織を目指す必要があると考えており、それに相応しい最適な人的態勢を構築し、裁判所が、国民の期待に応え、信頼が得られるよう、引き続き、努力していきたいと考えています。また、裁判手続のIT化についても、裁判所がその使命を適切に果たせるよう、検討を進めていきたいと考えています。
 他方で、公務における超過勤務の上限等に関する措置が導入される等、長時間勤務の問題は社会的にも大きく取り上げられているところです。最高裁としても、超過勤務を的確かつ遅滞なく把握した上で、職場の実態等を踏まえながら、法令に則った適正な事務を遂行していくとともに、これまで以上に事務の簡素化・合理化、業務プロセスの見直し等を進め、裁判部、事務局を問わず、組織全体として超過勤務の削減や働き方の見直しに取り組んでいく必要があると考えているところであり、その取組を後押ししていきたいと考えています。

職員の育成について

計画的かつ継続的な人材育成の充実に向けて取り組む

委員長 「今後の方向性」の中でも示されているとおり、「職員一人一人が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築する」ことは、とりわけ重要な課題だと考えています。
 事務官については、4月28日に「事務官制度に関する全司法の意見」を提出しました。そこで示した考え方は、司法行政部門の専門性を洗い出し、それに見合う専門性を持った専任事務官を育成し、いわゆる「スペシャリスト」の事務官が配置できるよう研修とOJT、配置と異動、登用等のあり方を見直し、専門性に見合った処遇を行うことについて検討を求めるものになっています。
 書記官については、裁判手続のIT化に関わって、書記官事務のあり方を検討していくことが喫緊の課題となっています。IT化との関りを考える上でも、書記官一般の専門性に加えて、各部門ごとの専門性を持った中堅・ベテラン書記官を育成・配置することにより、文字通り「根拠と目的」に則って自らの権限で合理的に事務処理を行える書記官を育成していくことが重要だと考えています。
 その他の職種については、本来的に専門性にもとづいて採用・配置が行われているところ、それが活用される仕組みを不断に検討することを求めます。とりわけ、家裁調査官については養成課程の見直しが行われることを契機に、従来の「新たな育成施策」にこだわることなく、ワークライフバランスとの両立を図りつつ専門性の付与と活用が実現できるよう検討することが必要です。
 いずれも、キーワードは「専門性」であります。各職種に求められる専門性を身に着け、それが日々の仕事に活かされることは、職員本人のやりがいにつながると同時に、組織を活性化させ、裁判所全体の執務能力の向上にもつながると考えています。また、そのことが職務評価を高め、職員の処遇の維持・改善につながることを希望しています。
 引き続き、全司法との意見交換を行いながら、各職種の職員制度を確立し、育成、配置等の施策として具体化していっていただきたいと考えています。
長官 先程も述べましたように、今後、書記官や事務官を始めとする職員一人一人が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築して、より活力のある組織を目指す必要があると考えており、そのような観点も踏まえながら、引き続き、職員一人一人の能力を伸長させる計画的かつ継続的な人材育成の充実に向けて取り組んでいきたいと考えています。

全司法との誠実対応について

忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図って
いかなければならない

委員長 1992年3月18日の最高裁事務総長見解以来、全司法と裁判所当局とは相互の信頼関係に基づいて、安定した労使関係を築くことができているものと考えており、日頃から誠意をもって対応いただいていることに対し、改めて感謝いたします。
 全司法は職員の地位の向上と「国民のための裁判所」実現を組織の目的としており、職員の処遇問題にとどまらず、官の職制の中からは浮かび上がってこない職場実態を拾い上げ、可視化し、より良い裁判所を作るために努力しているものと自負しています。そうした視点から、全司法を裁判所の職場をともに作るパートナーとして位置付け、職場で起きる様々な課題について、今後とも建設的な議論を続けていただきたいと考えております。
 その意味でも、最高裁はもとより、全国の各庁で全司法の意見に耳を傾け、率直で建設的な議論を重ねていくことができるよう、これまで築き上げてきた信頼関係を尊重し、誠実に対応されるよう下級裁に伝えていただくことを含め、確認したいと思います。
長官 昨年も述べましたように、平成4年3月18日の事務総長見解の内容は当然のことと考えています。職員の勤務条件やこれに関連する事項については、これまで築き上げてきた相互の信頼関係に基づき、率直に問題意識をぶつけ合い、忌憚なく話し合う中で、問題の解決を図っていかなければならないと考えています。
 担当部局には、今後もそのような立場で努力させたいと思いますし、職員団体もその方向で努力していただきたいと思います。

 
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在宅勤務を含む業務のあり方、
感染防止のための物品等、求める声多く
2021春闘要求アンケートの集約結果(全司法分)
 

再任用職員6割以上が生活実感「苦しい」

 今年度も国公労連に結集し、2021年春闘にむけた「要求組織アンケート」にとりくみました。
 生活実感では、38・5%が「かなり苦しい」「やや苦しい」と回答している一方、「かなりゆとりがある」「ややゆとりがある」との回答は11・1%に過ぎません。とりわけ、再任用者では、「かなり苦しい」「やや苦しい」が68・1%にものぼっており、再任用制度における賃金水準の低さが影響した結果となっています。
 「労働条件等の課題で労働組合が力を入れるべき活動」については、「増員」「賃金・退職手当等の改善」が特に多く、「仕事と家庭の両立支援対策」「業務のカット・簡素化」と続いており、職場の繁忙度や生活実感が反映されたものとなっています。

「感染拡大防止のための職場環境整備」求める

 コロナ禍をうけて、新たに設けられた「今後見直すべき職場環境」の設問では、「感染拡大防止のための職場環境整備」が必要とする回答が多く、具体的な施策としては、「マスクなどの衛生資材の備蓄」「リモート会議の拡大」「通勤の混雑緩和」「PCR検査の拡充」などの回答が多くなっています。
 自由意見欄では、在宅勤務を含む業務のあり方や感染防止のための物品・消耗品の調達などの問題をはじめ、定額給付金・飲食店等への営業自粛要請・GOTOキャンペーン等の政府の政策に関するものまで、コロナ関連の意見が多く出されました。

非常勤職員「雇用の安定を図る整備制度」を求める声が半数以上に

 昨年度に引き続き、「非正規で働く仲間の要求アンケート」にもとりくみました。
 生活実感では、「かなり苦しい」「やや苦しい」との回答が57・1%となっており、常勤職員よりも18・6ポイントも高く、非常勤職員が低賃金におかれている実態が表れた結果となっています。
 「今の職場で不満に感じること」では、昨年度と同様に不安定雇用に関する不安が最も多くなっているほか、「正社員との賃金・労働条件の格差」(19・4%)、「休暇がとれない」(13・9%)が多くなっています。
 「政府・人事院に対する要求」では、「期間業務職員の『3年公募要件』見直しなど、雇用の安定をはかる制度整備」(52・8%)、「無給となっている休暇の有給化をはじめとした休暇の充実」(33・3%)を求める回答が上位を占めています。
 コロナ禍で民間の雇用情勢が悪化していることを反映してか、自由意見欄でもコロナ禍の中で不安定雇用でいることの不安等の意見が多く出されました。

 
 
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速記官の要求を吸い上げ、実現につなぐ運動が重要
地連速記官担当者会議・上京団交渉
 
速記官上京団交渉の様子

 12月6〜7日、コロナ禍のもと、集合とオンラインの併用方式で地連速記官担当者会議を開催し、引き続き、最高裁交渉を行いました。
 会議では、全国の速記官組合員全員から集約した事前調査の結果をもとに、各地の職場状況を意見交換しました。

電子速記タイプの
最高裁回答に抗議、失望の声

 電子速記タイプライターの官支給に関しては、3年間で調達した96台をもって全国の速記執務には支障がないとして、4年目以降の調達をしないという最高裁の説明や、保守・メンテナンスに関しては検討中として、未だ明らかにしない最高裁回答に関する抗議や失望の声が多く出されました。また、2021年度更新予定の官物パソコンでも速記システム「はやとくん」が支障なく動くよう早急に指定外ソフトであるATO Kのインストールを認めさせる必要があることなどの発言もありました。
 この他、速記官を立会事件の選定に全く関与させない庁からの改善要求や、法廷用録音機の不具合の実態、コロナ禍における職場状況の意見交換、特別定期健康診断の充実などについて議論し、更なる労働条件の改善と要求の実現をめざしてとりくみをすすめることを意思統一しました。
 また、「速記官の養成再開署名」のとりくみ、速記官未加入者に対する組合加入の呼びかけ行動についても意思統一を行いました。

3人庁までの少人数庁が29庁に

 最高裁交渉では、会議で確認された全国の職場改善要求の実現にむけて職場実態をふまえた追及を行いました。また、昇格や異動については、具体的に該当者の氏名や所属庁を挙げて要求の実現を求めました。
 2021年4月期には、速記官が配置されている全国40庁のうち、3人庁までの少人数庁が29庁(1人庁は13庁)になると予測されます。各庁の速記官の具体的な執務環境改善のためには、各級機関において、少人数の速記官の要求をいかに吸い上げ、要求実現につなげていくかが非常に重要になってきています。そのためのとりくみの強化や改善が必要であることも確認された会議となりました。

 
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非常勤職員(非正規公務員)への無期転換制度導入を求める
オンライン署名にご協力ください!
 

非常勤職員 不安定雇用に
対する不安は大きい

 裁判所における障がい者の雇用者数が法定雇用率を大きく下回っていたことが明らかになったことに端を発し、障がいを持つ方の採用がすすめられてきました。
 これらの方の多くは、非常勤職員として採用されており、給与・諸手当、休暇制度などの労働条件は、極めて不十分なものとなっています。とりわけ、不安定雇用に対する不安は大きく、10月から11月にかけてとりくんだ「非正規で働く仲間の要求アンケート」でも、今の職場で不安に感じることの上位2つは、「雇用契約を更新されないのではないか」(50・0%)「職場や仕事がなくなるのではいか」(25・0%)となっており、また、政府・人事院に対する要求でも「『3年公募要件』の見直しなど、雇用の安定をはかる制度整備」(52・8%)が最も多くなっており、雇用が不安定であることが反映された結果となっています。

法律で定められたルールの公務
職場での制度化を求める署名

 このような中、国公労連から、政府に対して有期雇用で働く非常勤職員に、労働契約法第18条と同様の無期転換ルールを制度化するよう求めるオンライン署名のとりくみが提起されています。
 そもそも民間企業においては、有期契約を更新しながら同じ会社で5年以上働いた場合において、労働者が期間の定めのない労働契約の締結の申込みをした場合、使用者はその申込みを承諾したものとみなされ、無期転換できることとされています(労働契約法第18条)。いわゆる「5年ルール」と呼ばれているもので、使用者の意思は反映されず、拒むことはできません。しかし、公務職場にこの「5年ルール」はなく、非常勤で働く仲間は、不安を感じつつ、日々勤務しています。
 このオンライン署名は、法律で定められているルールを公務職場でも制度化するよう要求するものです。「職員の給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項」は社会一般の情勢に適用させることが原則とされていることからも当然の要求であると言えます。

期間は2月末まで

多くの方のご協力を!

 とりくみ期間は、2月末までとなっており、3月上旬に政府に提出されます。左記のQRコードまたはURLから署名サイトにアクセスし、署名しましょう。そして、家族や友人、職場の未加入者にも署名を広げるため、署名ページのシェアや現場の声を伝えるためのコメントの書き込みもお願いします。
 非常勤で働く仲間の要求実現のため、みなさんに署名への協力を呼びかけます。

 
 
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