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全司法新聞
 
裁判手続IT化等ふまえ、人事、事務の簡素化、
職員制度などを議論 2020秋年期・人事局長交渉
 
徳岡新局長と交渉

 全司法本部は12月8日、最高裁徳岡人事局長と秋季年末闘争期の交渉を実施しました。裁判手続IT化などの情勢の変化のもとで、諸要求期に示された「今後の方向性」(今後の裁判所における組織態勢と職員の職務の在り方の方向性等について)や2021年度裁判所予算の概算要求をふまえた議論が行われ、事務の簡素化・効率化、管理職による評価者訓練、事務官のジョブローテーションや研修などについて前進、足がかりとなる回答が示されました。

人員

「IT化検討」等の人的整備に最大限努力

 2021年度予算における増員については、増員を取り巻く厳しい情勢に言及しつつ、「裁判手続のIT化等の検討・準備、その他裁判手続に関連する各種法制の検討にも関与していく必要がある」こと、「職員のワークライフバランス推進のために、引き続きとりくみを行っていく必要がある」ことをあげて、人的態勢整備にむけて「最大限の努力を行っている」と回答しました。
 本部が、2021年度の概算要求で裁判官および書記官の「事件処理のための増員要求」を行わなかったことについて、きわめて不満だと主張したうえで、これまでどおり東京およびその周辺を中心とした大規模庁への人員シフトを行うことがないよう追及したのに対しては、「人員配置の見直し等の内部努力は必要不可欠」との姿勢を崩さず、「各種事件数の動向や事件処理状況等の種々の要素を考慮し、事務量等の見極めを行ってきており、人員配置の見直し後の事務処理態勢等についても、十分検討した上で実行してきている」とするにとどまりました。

超過勤務の実態把握

「サービス残業、あってはならない」改めて指導

 職場では、超過勤務の実態把握が自己申告頼みになっており、サービス残業が常態化していることを指摘し、管理職がきちんと現認、事後確認して、正確な超勤時間を把握するよう主張しました。これに対して、「サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならないし、そのようなことがないよう、超過勤務については的確かつ遅滞なく把握するよう、あらためて管理職員に対する指導を徹底していきたい」と回答しました。
 また、在宅勤務について、「緊急の対応を要する業務を行う等の特段の事情がない限り、超過勤務を命ずることは想定していない」と回答しました。なお、コロナ禍での在宅勤務について、全国で「試行」を実施する庁が増えていることをふまえて、あらためて全司法と対応することを求めました。

事務の簡素化・効率化

送達報告書の補正依頼事務について検討

 上訴記録の丁数廃止、郵券事務の合理化、当事者等対応の「留意点」などこれまでのとりくみを説明したうえで、さらに「郵便送達報告書の補正依頼事務についても、合理化できるところはないか検討する」ことを明らかにし、「今後も、通達等の見直しも視野にいれながら、できることから順次速やかにとりくんでいきたい」との姿勢を示しました。
 本部は最高裁の努力を評価しつつ、あわせて下級裁が努力する必要性を主張しました。

ハラスメント防止

「人事院規則の趣旨等を踏まえ」とりくむと回答

 ハラスメント防止については、「人事院規則の趣旨等を踏まえ、ハラスメントの防止等のため、各種研修を実施するなどして、管理職員をはじめとする職員全般の意識の啓発および知識の向上に努めていくとともに、相談員に関する情報は適時に更新するなど、相談しやすい体制づくりを行っていきたい」との姿勢を示しました。

IT化に関する要求

「職員団体の意見も踏まえながら検討」と回答

 財政状況の厳しさに言及しつつも、裁判手続のIT化のために必要な予算の確保にむけて「最大限の努力を行いたい」との姿勢を示しました。また、「裁判手続のIT化の検討をすすめるにあたっては、裁判所全体で幅広く意見交換等をしていくことが必要」だとして「引き続き、職員および職員団体の意見も踏まえながら検討をすすめていきたい」と回答しました。
 J・NETポータルの充実について、「職員および職員団体の意見等も踏まえ、まずは書記官実務研究報告書について、J・NETポータルに掲載することとした。なお、実務講義案のデータ化についても、引き続き、検討していきたい」と回答しました。
 オンライン研修については、「裁判所書記官養成課程第一部17期等の研修の一部を、現在、オンライン等形式により実施しているところである。また、中央研修の中にも、テレビ会議による同時配信やDVD視聴等を活用して実施したものがある。今後の研修の実施については、これらの利用結果も踏まえて検討をしていきたい」と回答しました。

人事評価制度

評価者訓練に幹部職員が適切に関与

 人事評価制度の運用については、引き続き「今後も職員および職員団体と誠実に対応していきたい」と回答しました。
 また、管理職に対する評価者訓練について、「これまで以上に幹部職員が適切に関与することにより、充実した人事評価制度の運用が行われるよう努めていきたい」との考え方のもとで「下級裁の幹部職員とも問題意識の共有を図ったところであり、引き続きその浸透に努めていきたい」と回答しました。

職員制度

新採用配置を含むジョブローテーションについて検討

 IT化後の書記官事務について「法的知識と実務慣行に通じ、裁判官の審理運営方針等を理解・共有できる書記官こそが担うべき事務があるのではないか、といった視点から議論がなされているところであり、そのような事務に注力できる事務処理態勢を構築していく必要があると考えており、その役割・職務の重要性にふさわしい職務評価が与えられるよう努力していきたい」と回答しました。本部は、IT化に伴う書記官事務の見直しが法制審(11月6日、第5回)で審議されていることを指摘し、職務評価の向上を求めました。
 事務官の専門性の活用や付与に関わって、「新採用事務官の配置を含むジョブローテーションのあり方について検討することとした」と回答しました。また、専任事務官の研修のあり方についても「現在、初任層、中堅層等といった各段階で実施されている現在の研修の効果等をあらためて検証し再検討を行っている」と回答しました。
 電子速記タイプライターについては、3年間で調達した合計96台で「執務に支障が生じない」と回答しました。メンテナンスおよび保守契約については「現時点で回答できるものはないが、説明できる段階になり次第、折衝で説明したい」と回答し、本部から実現を強く要求しました。
 その他の職種については、従前回答にとどまりました。

採用・異動

ステップアップ制度の運用を開始

 各庁の異動計画策定にあたっては、職員の意向や家庭状況等の個別事情も勘案して移動計画を策定している」「今後も、仕事と家庭の両立にむけて、下級裁への指導を徹底していきたい」との従前回答を維持しました。
 また、「現に非常勤職員として一定期間勤務する障害者を、その能力・適性に応じ、選考手続を経て常勤職員として任用することを可能とするステップアップ制度の運用を開始することとした」と回答しました。

宿日直

刑事裁判IT化に適切に対応

 令状センターの実現については「多角的かつ慎重に検討をすすめなければならない」との回答にとどまりましたが、あわせて「政府において、捜査・公判のIT化方策の検討を本年度中に開始するとされたところであり、IT化による事務の合理化、効率化といった観点にも留意しながら、政府における刑事手続のIT化に関する検討に適切に対応していきたい」との姿勢を示しました。

昇格

級別定数改定に最大限努力

 次年度の級別定数の改定に向けて、厳しい情勢にも言及しつつ、「職員の処遇の維持・改善にむけて、引き続き最大限の努力を続けていきたい」との姿勢を示しました。

 
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人員、ITシステム化、人事評価制度、宿日直などの課題を追及
秋季年末闘争期第3回人事局総務課長交渉
 
総務課長交渉の様子

 全司法本部は12月1日、秋季年末闘争における第3回最高裁人事局総務課長交渉を実施しました。交渉では、人員、IT情報システム化、労働基本権、人事評価制度、高齢者雇用・再任用制度、赴任旅費(移転料)、宿日直等の課題について、職場実態をふまえて最高裁を追及し、要求の前進をめざしました。

新型コロナの影響に注視しつつ、人員確保にむけた努力姿勢を示す

 人員については、「人的態勢の充実強化を図っていく必要があることについて、財政当局の理解を得るべく説明を行っている」としつつも、「次年度の増員をめぐる状況はよりいっそう厳しい」との認識を示しました。
 次年度予算の概算要求において、裁判官および書記官の増員を要求しなかったことは極めて不満であり、大幅増員するよう求めたことに対しては、「現有人員を有効に活用することによって、適正かつ迅速な事件処理を行うことができる」としつつ、「(新型コロナの)感染拡大が事件数の動向に与える影響については引き続き注視していきたいと考えており」「感染拡大による影響も含め、各種の事件数の動向や各部署の事務処理の状況等をきめ細かく把握した上で、必要な人員の確保について努力していきたい」と回答しました。家裁調査官の増員要求に対しては、「現有人員の有効活用をすることによって、家事事件の適正迅速な処理を図ることができる」との職場実態とかけ離れた認識を示しました。

NAVIUSの改修「可能な範囲で、必要性について検討」

 裁判手続のIT化に関しては、「必要な予算の確保にむけては、最大限の努力を行いたい」と回答するとともに、「利用者の利便性の向上を図るとともに、裁判所をはじめとする関係者の業務効率の向上が図られるよう、これまでのシステム化の実情等も踏まえながら、適切に検討していきたい」との姿勢を示しました。また、全司法が9月に提出した「民事訴訟手続のIT化に関する意見について」に対する回答は「差し控えたい」としつつも、「引き続き、職員および職員団体の意見も踏まえながら検討をすすめていきたい」との姿勢を示しました。
 NAVIUSの使い勝手の悪さを指摘し、改善を求めたことに対しては、「改修の必要性については、先ほど述べた観点(書記官事務のあり方を踏まえつつ、事務の合理化・効率化や過誤防止といった点にも考慮し、真に必要かつ相当なものは何かという観点)も踏まえつつ可能な範囲で検討していくこととしたい」と回答しました。

人事評価制度で下級裁の幹部職員とも問題意識を共有

 人事評価制度については、「人材育成や執務意欲の向上に資するよう」に運用するとともに、面談にあたっては「能力開発や人材育成に資するよう」に配慮したいと従前回答を維持しました。また、公平性を担保するための「評価の目線合わせ」を求めたことに対しては、「被評価者の日々の事務処理の中で見られた問題や課題の本質がどこにあるのかについて、1次評価者と2次評価者等である幹部職員が定期的に意見交換を行い、認識の共有を深めるなど、これまで以上に幹部職員が適切に関与することにより、充実した人事評価制度の運用が行われるよう努めていきたいと考えており、下級裁の幹部職員とも問題意識の共有を図った」ことを明らかにしました。

移転料の算定事務4月以降のすすめ方は検討中

 3月23日以降の異動に係る移転料が見直されたことに伴う要求および次年度以降の移転料の新たな運用については、「職員および職員団体の意見、要望等は機会を捉えて関係当局に伝えていきたい」と回答するとともに、「翌年4月以降の同事務のすすめ方(最高裁で行っている算定事務を下級裁におろすか)については、現在検討中である」としました。
 令状センターの具体化を求めたことに対しては、従前の「将来考え得る選択肢の一つ」「多角的かつ慎重に検討」していくとの回答に加え、7月17日の閣議決定の内容をふまえ「政府において、捜査・公判のIT化方策の検討を本年度中に開始するとされていることなどを踏まえながら」検討するとともに、「政府における刑事手続のIT化に関する検討にも適切に対応していきたい」と回答しました。

本部の視点

 回答そのものに大きな動きはありませんが、諸要求期に示した「今後の方向性」に関わる検討をすすめている様子が垣間見えました。
 人員配置、NAVIUSの改修、移転料(赴任旅費)など、具体的な要求を下級裁から最高裁に伝えさせることが重要です。

 
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コロナの影響や職場実態をオンラインで共有
地連調査官担当者会議
 

 11月23日、地連調査官対策担当者会議が行われました。今年度は新型コロナウイルスの感染状況に鑑み、Zoomを利用して、初のオンラインでの実施となりました。各自が書記局や個人の端末から参加しましたが、おおむね円滑に進行でき、遠方から移動の負担なく参加できることにメリットを感じたとの意見もありました。

感染対策用品庁による差が明らかに

 会議では、新型コロナウイルスによる影響、人員配置、調査官制度、出張旅費関係、育成新施策などについて、情報交換や議論がなされました。
 新型コロナウイルスによる影響では、各地連の報告から、在宅勤務の頻度や期間が庁によって区々であること、在宅勤務中に報告書作成業務ができず支障を来していること、感染防止対策用品も庁によって差が大きいこと等が明らかとなりました。また、総合研修所入寮の養成課程生が、感染防止名目で事実上行動制限を強いられるなど、様々な影響が出ているといった意見もありました。

家事・少年ともに繁忙な職場実態が報告

 人員では、各地で育休・病休等で欠員が生じる中、同一職種の代替・補充が不十分な上、家事は保全事件や児福法28条事件(児童虐待等の場合の保護者からの引き離し)が増加し、少年は少ない人員での処理を迫られるなど、繁忙な職場の実態が報告されました。また、組単位で事件処理を行うという組織的事務処理態勢で、スケジュール調整の困難さや業務量増加による負担が指摘されました。少年調査票改定は、現場で改定の必要性が感じられない中、来年10月の運用開始を控え、「記載例」が示されないことに不安の声が相次ぎました。
 旅費関連では、官用車廃止による出張の負担増に加え、移転料の新たな運用で三社見積の負担を訴える意見が複数出されました。
 育成新施策では、来年3月に異動する総研16期生の異動に際して当局に十分な情報提供を求めることで一致しました。

上京団交渉は別日程で実施

 例年、本会議に続いて上京団交渉が行われるところですが、今年度は別日程で行う予定です。異動、養成課程研修などについては、時機を逸しないよう早急な対応を求めるとともに、会議で共有された実情や問題点は、今後配置される上京団交渉において追及していきます。

 
 
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