全司法本部は9月11日、「2020年10月期における昇格改善要求書」および「2020年人事院勧告にむけた重点要求書」に基づき、最高裁福島人事局総務課長と交渉を行いました。人事院勧告にむけた交渉は例年7月に実施しているところ、コロナ禍の影響で勧告のスケジュールが後ろ倒しになっていることから、この時期の交渉となったものです。
なお、交渉にあたって、各地連・支部から集約した昇格該当者名簿を提出しました。
昇格「よりきめ細やかな運用」従前回答どおり
昇格運用全般について、最高裁は、「獲得済みの定数の一層の有効活用を図るという観点に立って、いずれの級・官職においても、人事評価の結果はもとより、個々の職員の職務の複雑、困難及び責任の度や平素の勤務ぶり、勤務実績等をこれまで以上につぶさに見て、よりきめ細やかな運用を行っていきたい」と基本的な考え方を示しました。その上で、「職員がこつこつと適正な事務処理を行っている場合にも、当該職員の職務の級、官職、職責、経験等を踏まえた上で、適切な評価がなされているものと考えている」「人事評価の結果は昇任・昇格等に活用されるものであるから、これからも適切な指導ができるよう、研修等の機会を通じて、管理職員の理解を深めていく」と従前どおり回答しました。
行(二)職処置改善のための新たな具体的方策示さず
行(二)職については、「今後とも知恵を絞ってできる限り後任不補充となる前の運用から後退しない処遇を維持できるように努力したい」との回答を維持したものの、処遇改善のための新たな具体的な方策は示されませんでした。
後任が補充されないためにこれまでの発令基準が維持できていないことを指摘し、昇格の改善を求めたことに対しては、「執務実態をつぶさに見た上で、個別的に付加業務、業務委託等の理屈付けを用いることで、職員の職務内容に見合った適正な処遇が図られるよう、今後も努めていきたい」と回答するにとどまりました。
また、部下数制限の撤廃にむけ、人事院への働きかけを求めたことに対しては、「職員団体の要望等は人事院に伝えることとしたい」と回答しました。
専門職5級の占有期間延長これまでの実績上回る回答
事務官については、「退職までに全員5級の枠組みの維持に努めていきたい」との回答を維持しましたが、今年度の定年退職予定者のうち19名が10月以降も4級以下のままの見通しであり、1月の発令にむけて努力を求めました。
一方、「専門職5級の占有期間を限定的に延長する枠組みについて、昇格実施見込数は一桁半ばである」とこれまでの実績を上回る回答をしました。
賃金改善賃上げ、地域・世代間格差の解消、各種手当の改善を追及
引き続き行われた人勧期交渉は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、民間給与実態調査の時期が後ろ倒しとなり、ボーナス等の調査は完了しているものの、月例給の調査が未了の状況で実施しました。
賃金改善については、この間の自然災害や新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ」という)への対応で奮闘する公務労働者への賃上げ、地域間格差・世代間格差の解消、各種手当の改善も含めた公務員賃金の改善を求めました。
最高裁は、「職員及び職員団体が、生計費の維持、確保という観点から、賃上げに向けた強い要望を持っていることは認識しており、職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
また、休暇制度に関わって、コロナによって学校が休校になった場合、出勤後であっても特別休暇を認めるよう求めるとともに、災害発生時においてもコロナと同様の特別休暇を認めるよう求めました。
最高裁は、いずれも「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
非常勤職員制度賃金、公募要件の撤廃、休暇制度の改善などを追及
非常勤職員制度については、賃金、公募要件の撤廃、休暇制度の改善などを求めました。
最高裁は、非常勤職員の給与について「給与法第22条第2項において、常勤の職員の給与との均衡を考慮し、予算の範囲内で支給することとなっている」と回答し、休暇等については「制度的な問題については、最高裁として公式に意見を述べる立場ではないが、職員団体の要望は機会を捉えて人事院に伝わるようにしたい」と回答しました。
また、高齢期雇用・定年延長に関わっては、給与水準の引き上げ、再任用時の年次休暇の繰り越しなどを求めました。
最高裁は、いずれも「職員団体の要望は関係機関に伝わるようにしたい」と回答しました。
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