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  トップページ > 全司法新聞 > 2020年9月 > 2339号
 
 
全司法新聞
 
運転手配置がなくなるもとで 強まる負担・不安
 

 最高裁が行(二)職員の退職後補充を行わない方針をとっているもとで、運転手が配置されない庁が全国的に広がっています。7月の地連行(二)担当者会議や第77回定期大会でも、運転手の後補充を求める意見とともに、運転手の配置がなくなった庁から、少年押送、出張等で官用車(庁用者)が使えなくなったことによる職員の負担や不安、代替となるべきタクシーの契約や利用で問題が生じている実態などが指摘されました。
 とりわけ、交通事情が悪い地域等で強い要求が出されていますが、その中から今年4月以降、運転手の配置がなくなった島根支部に実情を報告していただきました。

「車社会」の地域で運転手が0人!

 松江地家裁では、2020年3月末の運転手の退職に伴い、後補充がなされなかったため、運転手が0人となりました。
 松江地家裁のある島根県は、本当に田舎で、公共交通機関が充実しておらず(具体的にはJRの本数が1時間に2本あればよしという具合です。)車社会の地域であり、ほぼ、大人1人につき車1台所有しているようなところです。
 このような地域にある裁判所において、運転手が0人となってしまうのは松江地家裁の職員にとって非常に大きな問題であり、裁判事務・司法行政事務を遂行する上で影響が大きいものです。島根支部では、当局からの説明を受けた後、2月に「島根支部緊急アンケート」と銘打ち、運転手の退職に伴うアンケートを実施し、集まった組合員の声を要望書という形で当局に伝えました。
 アンケートで寄せられた意見として、「運転手が必要であり、庁用車が利用できなくなるのは困る」というものが多く、また、庁用車が利用できない場合は、タクシー利用基準の緩和を求める意見が多かったです。また「なんで車社会である島根県で運転手が0人となってしまうのか」という意見もありました。
 要望書に対し、当局からは「運転手の欠員補充は難しく、タクシーの利用基準の緩和はできないが、運用上、利用が認められる場合もあるのでどんどん照会してほしい」との回答がありました。

不便、非効率的な執務状況になった

 4月以降、現実に運転手がいなくなり、再度、困ったことが生じたかを聞いてみたところ「3月まで庁用車を利用していた用務が当然にタクシー利用が認められるとは限らず、自転車等他の方法となると用務全体の時間が増え、非常に不便になったと感じる」との声や、家裁調査官からは「日帰りの旅程で可能であった出張が、宿泊や複数回に分けた出張として検討する必要が生じ、非効率的な執務状況となっている」などの声が寄せられました。
 このことから、島根支部では2020年諸要求期独自要求書から、運転手技官の欠員補充を求める要求を加え、当局に対し要求実現を求めています。今後もタイムリーに職場の声を集め要求実現につなげていきたいと思います。
(全司法島根支部)

運転手の配置について、地連・支部から本部に寄せられている意見・要求

東京地連
東京高地家裁と最高裁運転手室の統合の撤回。在京においても裁判所が求める仕様書内容での契約が結べるタクシー会社はほとんどない。運転手を採用していくべき。

九州地連
各支部とも、特に運転手の減少に対しては、出張や押送などで、一般職からも不満が強く、運転手確保の要請は強い。

秋田
本庁の自動車運転手がいなくなり、庁用車の利用が制限されるようになった。家裁調査官の負担が大きい。より柔軟なタクシー利用を求めていく。

最高裁
行(二)職の退職後後補充を強く要求していくべき。他省庁(法務省・検察庁、外務省、国会、内閣府)では、運転手・守衛を毎年募集している。少年の人権を尊重し、よりよい矯正教育を施すための第一歩として、運転手の正規職員を確保すべき。

愛知
検察庁のように、運転手の採用を求めたい。

福井
庁用車が使用できない際の押送をタクシーで行っているが、タクシーの契約は前日までに予約しないと手配してもらえないことになっており、緊急同行等の身柄の押送に対応できない。

和歌山
少年の情操や秘匿性を考えると、民間タクシーによる押送は非常に問題である。

愛媛
少年押送は、必ず裁判所職員である運転手が庁用自動車で行うようにすべきである。

福岡
本年4月から飯塚支部で運転手の再任用終了に伴い、タクシー押送の外注契約を行ったが、契約条項が複雑で業者確保が困難なうえ、さらに公募手続を取る必要があり、相当な事務の負担があった。

佐賀
唐津支部において、本庁庁用車(1台のみ)で都合がつかない場合は、タクシーで少年を押送しているが、目隠しや逃走防止等、職員の負担がかなり大きい。

全司法島根支部
緊急アンケート集約結果(抜粋)

1 運転手技官は島根県内に1人はいるべきだと思いますか。



2 庁用車が島根県内からなくなった場合、困ること、心配なことは
・山間部など公共交通機関が不便なところへの出張
・庁用車はこれまで人だけでなく物も運んでいたと思うがそれらをすべて宅配便等で運ぶとなると事務が煩雑になるのではないか。記録の使送。記録書類の送付。
・家裁調査官の調査(時間的、体力的不安が大幅に増える。)
・少年の押送はやはり庁用車が原則だと思う。少年の人権はないのか。
・急な用務に対応できるのか。
・銀行への当座小切手の持ち込みが現在は往路分しか認められておらず、往復利用できるようにしてほしい。悪天候時に困る。
・裁判官の填補
・タクシー会社との調整・連携が必要になり、その分手間がかかるのではないか。
・本庁支部間、支部出張所間の移動に時間がかかる。

3 自由記載欄
・タクシー利用の緩和した運用基準は、早期に示されるべき(事案に応じて…などとすると利用申請に尻込みしてしまったり、申請を受ける総務課等も事務が混乱するのではないか。)
・これは大変な事態だと思う。田舎で車がないと不便な所なのに!!都会はいらないだろうけど、なんで島根が?
・もし運転手技官を補充しないのであればそれによって生じる不具合を補う対策をとることを当局に強く要望したい。もし対策がとられないのなら国民への司法サービスが低下しても構わないという当局の認識でしょうか。職員個人の自助努力で何とかしろということにはならないでしょうか。
・島根のような移動手段が限られているところで庁用車がなくなるのはすごく大変なことだと思うのにそれに対する有効な手段などについて当局が全く考えていないと思う。

 
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コロナ禍のもとで奮闘する職員に報いる処遇を
2020年人事院勧告に向けて
 

今年の勧告時期は?

 人事院は例年、4月終わりないし5月初め頃から民間給与の実態調査を約2か月かけて行い、8月上旬に勧告を行っています。今年は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響から、ボーナス等の調査を先行して実施し、月例給の調査については4か月以上遅れて、8月17日から実施していますが、勧告時期については、まだ不透明な状況です。
 国公労連は8月7日に各単組からの参加者を含め、今年の人事院勧告に向けた最初の交渉を実施し、労働基本権の代償措置としての役割を発揮し、コロナ禍のもとで奮闘する職員に報いる賃上げや処遇改善を要求しました。あわせて、ハラスメントの根絶に向けた実効性のある対策、労働時間の短縮(超過勤務の縮減)、高齢期雇用、不妊治療休暇の新設などを要求しています。
 これに対し、人事院は「民間給与の実態の精確な把握に努めるとともに、社会経済情勢や各方面のご意見を踏まえつつ、国家公務員法に定める情勢適応の原則に基づき、引き続き適切に対処していきたい」と回答しました。
 全司法からは、大杉副委員長が参加し、地域手当の見直し、通勤手当の改善、感染拡大のもとでの特別休暇の拡大、不妊治療休暇の新設などを要求しました。
 この交渉を出発点に、今後、勧告に向けた国公労連と人事院との交渉が続きます。

 
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超勤把握は「申告頼み」 当局の責任で把握を!
 

約三割が「サービス残業」あったと回答

 超過勤務命令の上限規制の実施から1年余りが経った今年7月、国公労連の提起を受けて、「超過勤務実態アンケート調査」(抽出調査)にとりくみました。
 職場における超勤時間の把握方法(複数回答)は、管理職員への「自己申告」が約94%、管理職員からの「命令」が約25%、管理職員や周囲の職員による「現認等」が約15%の順となっており、ほとんどが自己申告とされています。また、超勤手当の支給にかかわっては、「不払残業(申告・報告したにもかかわらず手当が支給されなかったもの)があった」との回答はなかったものの、「サービス残業(申告漏れや申告しなかったもの)があった」との回答は約31%もあります。
 最高裁は、「超勤命令の上限規制の導入後においても、サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない」とし、「官側が早朝、休日も含め超過勤務の実態を把握する必要があることは当然である」と回答しています。しかし、職場実態は最高裁の回答どおりにはなっておらず、超勤の把握が職員の申告頼みとなっており、官側による実態把握がまだまだ不十分であることが、今回のアンケートにより、あらためて明らかになりました。
 超勤実態の把握を職員からの事前申告頼みとしている実態を改めさせ、事後確認や現認等により適切に把握することを徹底させ、当局と一人ひとりの管理職員の責任において行うよう、引き続き求めていく必要があります。

増員、事務の簡素化・効率化が必要

 超勤縮減にむけて必要な方策(複数回答)については、「職員の増員」が約76%、「業務のカット・効率化」が約68%と多数の回答となっており、超勤縮減のためには、増員及び事務の簡素化・効率化による繁忙解消が不可欠な職場実態が明らかになっています。これらに続いて、「管理職をはじめとする職員の意識改革」が約43%、「タイムカードの導入など適正な勤務時間把握」が約27%の順となっています。
 また、自由記載欄には、「管理職から、残業の有無、頻度、時間については個人の評価につながるという話を聞いた」「翌日にできない理由を厳しく求められた」「自身の能力がないために発生している超過勤務と感じて、申告しないという場合が多い」「短時間だと申告しづらく、年間で見ると結構なサービス残業になっている」「残業しないようにと言うだけで、実質的な対策はしていない」「上層部の意識改革が必要」など、様々な意見が寄せられています。
 引き続き、超過勤務縮減と不払い・サービス残業の根絶にむけて、具体的な職場実態を示しつつ、当局への追及を強める必要があります。

 
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新型コロナのもと工夫し活動をすすめよう! 地連大会の様子
 

 8月に各地連の定期大会が開催されました。新型コロナが問題になっていることを踏まえ、日程を短縮したり、オンライン・書面審査等の方式も含めて、国公法と規約に従った大会運営の工夫が行われています。
 今回は集合形式で実施した近畿地連、中国地連の大会の様子をお伝えします。

LINEやオンラインの積極活用をすすめる 近畿地連

感染対策をとりながらの大会(近畿)
 近畿地連は8月1日、第77回定期大会を開催しました。全司法本部からは大杉副委員長と岡野中央執行委員が来賓として出席されました。
 消毒やディスタンスの確保等、新型コロナ感染対策をとりながらの大会運営となりましたが、最高裁が先に示した「裁判所の制度及び職員の今後の職務の方向性」をはじめ、「事務の簡素化・効率化」や各職種の課題等について議論を深め、向こう1年間の運動方針を確立することができました。
 また、本大会では、坊農正章執行委員長(留任)をはじめ、新執行部が選出されました。
 今年度から近畿地連は、LINE等を活用した情報共有・オンラインでの会議参加を推進していきます。多くの場合に宿泊を伴わず集まることができる近畿ですが、その地の利を生かしつつ、新たな運動の在り方を模索していきます。
(近畿地連書記長山本一樹)

「組織を動かしていく」方針を確立 中国地連

全支部発言で充実した議論(中国)
 中国地連は8月22日、日程を短縮したうえで大会を開催しました。高橋委員長は冒頭、コロナ問題のもとで工夫しながら「組織を動かしていく」ことを呼びかけました。
 大会では、地連が提起した討論ポイントにもとづいて全支部から活動報告や職場実態を踏まえた意見が出され、充実した議論が行われました。
 全司法大運動については、組合員に意義を伝えることの重要性が確認されました。
 秋季年末闘争の地連独自行動(組合員の要求を書いてもらうとりくみ)については、全員集約を目指して「出してください」と声をかけることが重要であり、具体的な声が書かれている大切なとりくみであることが確認されました。
 新採用拡大のとりくみでは、鳥取支部が実施したオンライン飲み会のとりくみが紹介され、こうした工夫もしながら、新採用の全員加入と、加入した組合員に対するフォローを行っていくことが確認されました。

 
 
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