総務局交渉
IT化後の書記官事務
職場の声を踏まえ、追及
増員要求については、「次年度の増員を巡る状況はより一層厳しくなる」との情勢認識を強調したほか、「裁判手続のIT化をはじめとした情報通信技術の活用、通達等の見直しも含めた各種事務の簡素化・効率化、組織・機構の見直しにより、事務の合理化、効率化を図り、職員が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築していくのに合わせて、それに相応しい最適な人的態勢の在り方を検討する」と回答しました。
全司法は、各地域の減員及びコロナ禍による職場の繁忙実態を伝えた上で、特に、家裁調査官や書記官の増員、大規模庁への人員シフト縮小を強く求めました。
「国民のための裁判所」の実現については、各種法改正の情報提供や、条解民事執行規則の新版を各庁に配布したという回答がありました。労働審判事件の事務処理体制については、各庁において判断するとしながらも、「今後の運用状況等を注視していきたい」と回答しました。通訳人については、研修において、民事、行政、家事、少年事件等に関する説明を盛り込むなど能力向上に向けた施策を明らかにするとともに「通訳人候補者の確保に努めていきたい」と回答しました。また、遠隔地にいる通訳人について構外ビデオリンクを活用して公判を実施した例を紹介するとともに、「今年度中に勾留質問手続においても遠隔通訳を実施できるよう環境を整備する予定である」と回答しました。
裁判手続のIT化については、職場の意見を広く反映させることを求めたのに対し、「立法課題やIT化後の書記官事務を見据えたシステムの在り方について、意見を募ることとした」と回答しました。
職員制度に関する要求については、事務の簡素化・効率化について、「通達等の見直しも視野に入れながら、できるところから順次速やかにとりくんでいきたい」と回答したほか、総合研修所のIT環境については「裁判手続のIT化の今後の動向も踏まえて検討していきたい」、郵便切手管理については「電子納付の推進に向けてできることからとりくんでいきたい」、実務講義案等のデータ化については「検討すべきことが多い」、上訴記録の丁数打ちについては「負担については認識している」と回答しました。
電子速記タイプライターの保守・メンテナンスの要求については、従前回答にとどまりました。
経理局交渉
簡素化やシステム障害改善を
新営・包括協議路線は庁名・路線を挙げて追及
事務の簡素化・効率化については、「『新版会計事務提要』を本年3月に刊行した」「予算関係の報告事務の一部簡素化を図ったほか、予算執行方針に関する事務連絡文書の整理を行ったり、下級裁における備品の調達手続の合理化に資するよう、予算示達時期を調整する等のとりくみを行った」と説明し、今後も「通達等の見直しも視野に入れながら、できることから順次速やかにとりくんでいきたい」との姿勢を示しました。
また、全司法から、住宅事情調査の廃止・見直しや、保守業務の複数年契約による事務負担軽減、旅費業務の簡素化、共済組合の事務の改善等、現場から出された具体的方策を示して検討を求めたところ、「簡素化・効率化については、会計法令等とのバランスを考えてとりくみたい」との姿勢を示しました。
庁舎設備の新営・増改築・改修の要求については、「必要性・緊急性の度合いや当事者の利便を考慮しながら必要な予算を確保」していくとの姿勢を示しました。全司法は地連・支部からの報告に基づき、庁名を挙げて新営・回収等を要望しました。
また、障がい者雇用がすすめられているもと、執務室等における車いす等での移動の支障を解消するためや、コロナを経た新たな生活様式や今後の感染症対策などの観点から、職員一人あたりの面積を広げるための設計基準の見直しを検討することも求めました。
宿舎については、異動対象者への早期の宿舎情報の提供、丁寧な説明や、住宅事情の悪い地域においては宿舎の確保が必要であることを追及したところ、「宿舎需要があるのであれば、努力したい」と、全司法の主張に応えた回答を行いました。
旅費・庁費等については、移転料の3社見積り要件の緩和、職場からの要求が出されている15区間の特急包括協議路線の拡大、出張時のタクシー利用の要件緩和等を求めたことに対して、「関係機関に伝えていきたい」と回答しました。
また、保管金システム等の度重なる障害を受け、保守契約にあたっては競争性だけではなく、技術的保証を考慮するよう求めたことに対しては、「価格と履行確保の難しいバランスの中で、会計法規を遵守しなければならないことを理解してもらいたい」と回答しました。
人事局交渉
意向打診、宿直、業務縮小下での新採OJT、採用試験などの課題で追及
全体としては従前回答に留まりましたが、職場実態を最高裁へ示しながら追及し、職場の問題意識を伝えました。
超勤実態に関しては、異動期の超過勤務に加えて、コロナ対策の業務縮小体制のもとで出勤日の超過勤務時間が増加している実態があることを指摘するとともに、昼休みや早朝の超勤の把握を徹底することを改めて求めました。また、上限規制のもとに必要な超勤申告がしにくい状況があることを伝えました。
事務の簡素化・効率化に関しては「できるところから順次速やかにとりくんでいきたいと考えている」と回答しました。
家裁調査官の異動に関して、総研14期生について、異動内示が遅かったため転居準備が十分にできなかった事例や、意向打診が全くなく突然内示を受けた事例を紹介し、できるだけ意向打診を行ってほしいことを重ねて要求しました。また、少年調査票の記載例を早期に示すことを改めて求めました。
宿日直に関して、裁判官宅に令状を取りに行くことについて職員負担やセキュリティ上の問題が大きいと指摘し、裁判官の泊まり込み又は登庁処理の積極的な検討を求めました。宿日直中の令状処理の実態把握を最高裁の責任で行うよう求めたのに対しては、「各庁において宿日直の実態を踏まえて、職員の負担感や健康管理に十分配慮された態勢で行われていると考えており、最高裁において宿日直業務における令状関係の処理時間等を把握することは考えていない」と、従前どおりの回答となりました。
コロナ対策の業務縮小体制のもとで、新採用職員のOJTや異動した職員の新たな職場等における職務導入研修が十分に実施されていない状況を指摘して、各庁の実態を把握し、対応策を検討するよう求めました。
採用試験に関わっては、今後のコロナの状況によって、予約していた会場が使えなくなり、代わりの会場が当初予定していた会場よりも高額で予算を確保できなかった場合や、代替会場が見つからなかった場合において、予算上申に柔軟に対応するなど配慮するよう求めました。
情報政策課
IT化
「事務の簡素化・効率化、事務過誤防止、職員の働き方等の観点についても配慮」
情報化戦略の具体化について「実際にシステムを使用する職員の意見や要望等を的確に把握することが重要」「システムの利用者の意見を踏まえつつ、裁判所のシステム最適化計画の考え方に沿った合理的かつ有益なものとなるよう努めていきたい」と基本姿勢を示しました。IT情報システムの開発・改善等にあたっての全司法の意見反映を求めたことに対しては、「裁判手続のIT化の検討を進めるにあたっては、(中略)職員及び職員団体の意見も踏まえながら検討を進めていきたい」と回答しました。
事務の簡素化・効率化等に関連し、「(裁判手続のIT化等の検討は)事務の簡素化・効率化、事務過誤防止、職員の働き方等の観点についても配慮していきたい」と回答するとともに、セキュリティ対策を検討していく中でも「事務の簡素化・効率化等の観点についても可能な限り配慮していきたい」と回答しました。BCP下の在宅勤務にあたり、セキュリティポリシーの例外的な取扱いがなされたことについて、職員に情報流出への危機感があったこと、緩和により可能となる事務の説明等がなかったことなどにより、十分に活用できなかったことを示し、新型コロナ第2波に備えた検討を行うよう求めたことに対しては、「意見として承る」との回答に止まりました。
必要な予算の確保を求めたのに対し、「予算の確保は大変厳しい状況」としながらも「必要な予算の確保に向けては、最大限の努力を行いたい」と回答しました。裁判手続のIT化とNAVIUSとの関連性については「NAVIUS(第3次開発部分)と民事訴訟手続のIT化のためのシステムの関連性について検討を深めているところであり、その状況も踏まえながら、今後の開発についても更に検討していく必要がある」と回答しました。
NAVIUSの開発にあたっては「これまで職員及び職員団体から出された意見等を踏まえて」「書記官事務の在り方を踏まえつつ、真に必要かつ相当なものは何かという観点から検討」「事務の合理化・効率化や過誤防止といった点についても考慮している」としつつ、操作の煩雑さや出力帳票の改善等を求めたことに対しては、「承る」との回答に止まりました。IT情報基盤の強化については「引き続き障害時の迅速対応に努めていきたい」と回答しました。
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