全司法本部は6月2日、諸要求貫徹闘争期における第2回人事局総務課長交渉を実施しました。職種担当の中央執行委員も参加して、「国民のための裁判所」実現、職員制度、昇格課題で最高裁を追及しました。
「専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築して、より活力のある組織を目指す」
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職種担当も参加して課長交渉 |
「国民のための裁判所」実現の課題では、これまで全司法が、裁判所の制度や事務処理態勢に影響を及ぼす事項に関して職場・職員に明らかにし、全司法と交渉・協議のうえ具体化するよう要求してきたことを踏まえ、「職員の今後の職務の方向性等」について最高裁としての基本的な考え方を示しました。
国民のための裁判所実現に向けては「これまでも、適正迅速な裁判の実現に資するよう、裁判手続のIT化をはじめとした情報通信技術の活用、通達等の見直しも含めた各種事務の簡素化・効率化、組織・機構の見直しにより、事務の合理化、効率化を進めてきた」「近時の社会経済情勢の変化やそれに伴う国民のニーズの変化等に適切に対応し、より質の高い裁判を迅速に行う」との姿勢を維持しつつ、「書記官や事務官をはじめとする職員一人一人が本来の役割・職務に注力して専門性を活かすことのできる事務処理態勢を構築して、より活力のある組織を目指す必要がある」と今後の方向性を示しました。
「最適な人的態勢の在り方」検討採用者数に言及
また、そうした事務処理態勢を構築していくのに合わせて、「それに相応しい最適な人的態勢の在り方を検討することになる。その際(中略)退職者と同数の採用をし続けることの相当性についても改めて検討する」との姿勢を示しました。「今後、事務の合理化、効率化の状況や、事件動向、事務処理状況、退職状況等を踏まえつつ、見直しの要否も含めて検討することとなるので、現時点で、これ以上に具体的なことを述べることはできない」としつつ、「この点について見直しを行うこととした場合には、その状況を最大限活用して、職員が、今後の裁判所における専門性を身に付けられるよう育成を図るとともに、身に付けた専門性を活かせる態勢を整備し、専門性を活かした能力の発揮について適正な評価を行い、職員の処遇に適切に反映できるよう努めていきたい」としました。そのうえで、「まずは民事訴訟手続のIT化を引き続き着実に推進していきたい」「各種事務の簡素化・効率化、組織・機構の見直しについては、通達等の見直しも視野に入れながら、できることから順次速やかにとりくんでいきたい」とし、「今後の裁判所における人的態勢の在り方については、より活力のある組織作りという観点を踏まえ、間もなく到来する大量退職期も十分見据えながら、速やかに検討を進めていきたい」と回答しました。
この基本的な考え方を土台に、職種課題等でも関連する部分の回答が変更されました。
勾留質問における遠隔通訳実施に向け環境整備
労働審判員、調停委員、専門委員、通訳人等の確保と質の向上については、研修の具体的な工夫点について明らかにしたほか、通訳人の確保については、「今後も引き続き努めていきたい」との姿勢を示し、今年度中に勾留質問手続においても遠隔通訳を実施できるよう環境を整備する予定であると回答しました。
書記官・事務官の課題では、専門性を見据えた職員制度とすることや事務の簡素化・効率化を進めるよう追及しました。事務の簡素化・効率化については、「通達等の見直しも視野に入れながら、できるところから順次速やかにとりくんでいきたい」との姿勢を改めて示したほか、事務局部門で具体的に実施した簡素化・効率化策を説明しました。
速記官課題では、メンテナンス体制の確立や今年度整備の電子速記タイプライターの早期配布を求めました。メンテナンスについて今後検討の姿勢にとどまったことは極めて不満であり、総務局交渉での追及を強めます。
家裁調査官の要求については、従前回答にとどまりました。少年調査票の改定については、通達の実施日である2021年4月1日までに記載例等を示すと回答したため、十分な意見を聞く期間を設けるよう求めました。
医療職に対する高裁ブロック研修を、今年度は高松高裁で実施することを明らかにしました。
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