おいでやす全司法
プライバシーポリシー  
CONTENTS 全司法紹介 司法制度改革 少年法関連 全司法大運動 全司法新聞 声明・決議・資料 リンク サイトマップ
  トップページ > 全司法新聞 > 2020年6月 > 2334号
 
 
全司法新聞
 
6月1日から「パワハラ防止規則」施行
ハラスメントのない職場を作ろう!
 

 6月1日から人事院規則10―16(パワー・ハラスメント防止等)が施行されました。これを踏まえて、最高裁は5月22日に事務総長通達(最高裁人能第618号)を発出し、全司法本部に説明するとともに、全司法が事前に提出していた意見・要望等に回答しました。今後、職員周知、研修、相談体制の構築、職員の救済と再発防止などについて具体化し、「ハラスメントのない職場」を作るとりくみが重要になります。

規則の職員への周知・徹底を

 人事院規則では、パワー・ハラスメントの禁止が明記され、パワー・ハラスメントの定義、管理監督者の責務、などが定められました。
 「職員の責務」が人事院規則で位置づけられたことも踏まえ、全職員に対する説明会を各庁で実施するよう求めたのに対して、最高裁は「実施することも考えられる」との認識を示したうえで、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、それに代えて「職員周知文書を配布するなどして、職員の意識の啓発及び知識の向上を図っていきたい」としました。また、各庁の健康管理懇談会で議題とすることについては、「議題として取り上げてほしいという意見が出されたことについては、下級裁に伝えることとしたい」と回答しています。
 今後、これらを活用して、職場の中で認識を広げていくことが重要です。

規則の趣旨等も踏まえて、研修を検討

 人事院規則は研修の実施を規定し、特に留意するものとして「新たに職員となった者」と「昇任した職員」をあげています。最高裁は「規則の趣旨等も踏まえながら、今後検討することとなる」と回答しました。
 全司法からは、ハラスメントに関する最新の知見に遅れることのない充実した研修を実施することなどを求めています。
 とりわけ、相談員の研修は極めて重要であると考え、「別途、専門的な研修を実施すること」を求めましたが、最高裁は「新たに相談員になった際、職場におけるきめ細やかなOJTが実施されているものと認識しており、今後もそのようなとりくみが適切になされるよう努めていきたい」と回答するにとどまりました。

「職員の救済と再発防止」も重要

 人事院規則にもとづいて「職員が認識すべき事項についての指針」と「苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項の指針」という2つの指針が人事院により策定され、これが準用されます。
 全司法は、ハラスメントが起きた場合の「職員の救済と再発防止」は極めて重要であることから、これらの指針とは別に「対応方針」を文書で作成し、職員に周知するよう要求しましたが、最高裁は「事案ごとの個別具体的な事情を十分踏まえながら対応することが必要」として「策定することは考えていない」としており不満です。
 最終的には事案ごとに対応されるとしても、基本の「対応方針」があれば、解決策を検討するうえで有効であり、「対応方針」を示すことで職員の認識が深まり、被害にあったと考える職員が相談しやすい環境づくりにもつながるものと考えられます。
 人事院の「検討会報告」(1月公表)の「[職員の救済と再発防止」に基本的な観点が示されていることから、研修等でこれを広げ、「対応方針」として文書化させるとともに、具体的な事案の解決を図らせていくことが重要です。

事件関係者からの言動もパワハラの対象に

 今回の人事院規則では「行政サービスの利用者」からの不合理なクレーム、暴言、嫌がらせ等(いわゆる「カスタマー・ハラスメント」)についてもパワー・ハラスメントに含まれました。国公労連・全司法などが強く要求した成果です。
 最高裁も「事件関係者からの言動についても、パワー・ハラスメントとなる場合があり、苦情相談等の対象になることを明らかにした」とし、「事件関係者からの言動に対する対応については、事務の合理化のほか、働きやすい職場環境の整備にも影響を及ぼし得る問題であると認識している」と回答しました。これは、大きな足がかりになるものです。

見聞きした職員からの相談も

 人事院規則を受けて、従来のセクハラ相談窓口は、ハラスメントについて一元的に相談することができるものと位置づけ、相談態勢が充実されることになりました。
 ハラスメントを受けた職員、行ったとされる職員だけでなく、ハラスメントを現認した職員などの第三者の相談も受け付けることとなっています。
 パワー・ハラスメントを見聞きした場合、被害者の相談に乗ったり、加害者に注意したり、上司等に相談することが呼び掛けられているのも大きな特徴です。もちろん、全司法の役員にも、ぜひ相談してください。
 今回の規則施行を契機に、みんなで「ハラスメントのない職場」を作っていきましょう。

 
ページの先頭へ
 
書記官養成課程 研修充実・不安解消へ要望書提出
 

講義の動画配信を要望 自宅学習を補う措置を

書記官養成課程に対する要望書
 青年協では、4月頭に養成課程の中央研修が延期になった後、1か月以上にわたり在宅学習を強いられ、不安を抱えている総研生の声を受け、5月14日、全司法本部と連名の「2020年度裁判所書記官養成課程に対する要望書」を最高裁に提出し、改善を求めました。要旨は次のとおりです。
 まず、講義の動画配信又は録画物(DVD等)の配付を求めました。研修生は1か月以上にわたり講義案を読む、練習問題を解くなど、「自習」しかできない状況です。
 しかし、休校中の大学などが講義を動画配信に切り替えて実施していることなどから、養成課程においても動画配信などにより、集合研修が実施できない期間においても講義を受講できるよう要望しました。
 また、それが困難な場合には、補足説明を付加したパワーポイントのスライドを配付するなど、レジュメの内容を補う措置も併せて求めました。
 次に、模擬事件の調書作成に当たっては、模擬裁判の動画の配信などを求めました。
 また、シナリオがなく練習問題が解けない、解答がなく解いた後に答え合わせや復習ができないものがあるなど、配付された資料が不十分という声もありました。現在の在宅学習がより有意義なものになるよう、必要な資料の配付を求めました。

メールによる質問体制整備を

 電話のほか、メールなどでも教官に質問ができる体制の整備を求めました。
 既に1か月以上、集合研修ができておらず、任官に必要な学習内容の修得に不安を抱える研修生も多くいます。そこで、例年と同程度の質の研修を受けることができるよう、必要な措置を求めました。また、研修計画を変更する場合等には、研修生に及ぼす影響も大きいことから、研修生及び全司法に事前に意見を聞くこと、また、その理由を説明することも求めました。
 研修の見通しが分からないこと、研修再開時の航空券の手配や荷物の配送等への不安の声も多くありました。そこで、研修スケジュールを遅くとも2週間前には研修生に周知することや、研修再開の基準を早期に明確にするなどし、研修生の不安を解消することを求めました。

総研主導で原庁繁忙でも実務研修充実を

 前期研修ができていない状況で、試験をどのように行うのか等に対する不安の声も多くありました。そこで、試験の方法等のほか、能力及び知識の到達の度合いをどのように把握するつもりなのか、どのように研修生の質を維持するつもりなのか等について、考えを明らかにするよう求めました。
 今後、通常業務に戻ると、各地家裁が繁忙になることが想定されます。そのような状況下でも実務研修において各地家裁が充実した指導をすることができるよう、裁判所職員総合研修所が例年よりも具体的な指示を出すなど、現場任せにならないよう求めました。

最高裁 研修充実に検討姿勢示す

 この要望書に対し、5月28日、「総研においては、緊急事態宣言での業務縮小という制約の中で、裁判所の基幹職種として書記官養成の質を維持するため、最大限の努力をしているところだが、今後の状況等を見ながら更なる研修充実のため何が実施できるか引き続き検討していきたい」との姿勢が示されました。(全司法情報3409号)
 具体的にどのように対処するのか明確な回答がないことには不満が残りますが、検討姿勢が示されたことを足がかりに、引き続き、総研生の声に耳を傾け、研修の充実や改善を求めていきます。

 
ページの先頭へ
 
健康保持・増進、パワハラ根絶、コロナ禍対応、
IT化等で改善を要求 2020年諸要求貫徹闘争
第1回人事局総務課長交渉
 

 全司法本部は5月26日、諸要求貫徹闘争期における第1回人事局総務課長交渉を実施し、健康管理、IT情報化、人事評価・人材育成、採用・異動、次世代育成支援、男女平等・母性保護等の課題で最高裁を追及しました。

ストレスチェック 自宅PC・スマホでの受検可能に

総務課長交渉の様子
 健康課題については、全司法が健康安全管理委員会の設置を一層強く求めたのに対し、「懇談会等を開催していることから、これに代えて若しくは加えて、『健康又は安全に関する委員会』を設置するまでの必要性はないものと認識している」との従前回答にとどまりました。職場から寄せられた、「懇談会が形骸化している」「意見が施策に反映されない」等の実態を伝えるとともに、「最高裁が『代わるもの』と認識しているなら実態を見ていない回答だ」と追及しました。
 メンタル不全の一次予防を目的としたストレスチェック制度については、「自宅パソコンやスマートフォンで受検できるよう見直すこととした」と回答しました。全司法の要求の実現であり、今後の運用を注視していく必要があります。

ハラスメント一元的相談体制へ パワハラも対象明確に

 ハラスメントの根絶については、「人事院規則10―16等の制定等を受けて、ハラスメントの防止に関する裁判所の運用を更に充実させることとした」と回答し、各種ハラスメントについて一元的に苦情相談を受けることができる体制としたこと、事件関係者からの言動についてもパワー・ハラスメントに関する相談体制の中で対応すること、周知文書の配布や研修等を通じてパワー・ハラスメントに関する職員の意識の啓発及び知識の向上に一層努めることなどを説明しました。
 緊急事態下の対応では、とりわけ新型コロナウイルス感染症にかかわって職場実態と要求を最高裁に伝えました。

総研教材データ化「考えていない」との姿勢に変化

 IT情報化については、「必要な予算の確保に向けては、最大限の努力を行いたい」「利用者の利便性の向上を図るとともに、裁判所をはじめとする関係者の業務効率の向上が図られるよう、適切に検討していきたい」等の姿勢を維持しました。
 J・NETポータルの充実については、これまで「総合研修所における教材をJ・NET環境下で閲覧できるようにすることについては、その必要性や費用対効果の面等で検討すべきことが多く、現段階でそこまで踏み込むことは考えていない」と回答していましたが、今回「検討すべきことが多いことは、これまで述べているとおりである」と回答が変化しました。「考えていない」との姿勢を改めたと受け止められる回答であり、早期の具体化に向けて引き続き最高裁を追及していきます。
 人事評価制度・人材育成については従前回答と変わらず、「人事評価制度の運用については、更に充実できるよう検討していきたい」との回答の具体化は示されませんでした。

非常勤 ステップアップ制度「現在検討している」

 採用・異動については、非常勤職員として勤務した後に選考を経て常勤職員となることを可能とするステップアップ制度について、「行政府省の制度も参考にしつつ、現在検討しているところである」と検討姿勢を明確にしました。
 次世代育成に関して、代替要員の確保を求めるとともに、確保できない場合には丁寧な説明を行うよう追及したところ、「事務処理態勢の変更に当たっては、職員の理解と協力が必要であることから、これまで同様、丁寧に説明するよう下級裁を指導していきたい」との姿勢を示しました。
 男女平等・母性保護については従前回答にとどまりました。

★本部の視点

 ストレスチェック、総研教材データ化、非常勤のステップアップ制度など、これまで要求してきたものについて動きを感じました。また、コロナ問題での職場からの要求をまとまった形で伝える交渉になったので、全司法情報などで本部の主張も見てください。

 
ページの先頭へ
 
自主的活動 花開け! 第17回
「コロナ態勢のもとで頼りにされる日刊紙
 東京地裁支部刑事分会」
 
職場の声がびっしり詰まった
「おはようけいじ」

緊急事態宣言出るも、すぐにBCP態勢整わず

 新型コロナ感染症拡大による緊急事態宣言以降、業務継続計画(BCP)の下、在宅勤務を含むシフト勤務態勢がとられています。私たちが勤務する東京地裁では、庁規模が大きすぎるせいか庁全体の足並みがそろわず、特に刑事部ではすぐにBCP態勢に入ることができませんでした。
 民事部や事務局などの他部署や他庁では既に在宅勤務が始まっているらしいという情報、即日BCPに移行していた検察庁からの「今後の期日はどうなるのか」という問合せ、そもそも在宅勤務とはどういうものなのか…、職場は大混乱でした。

刑事分会日刊紙「職制情報より早くて詳細」大好評

 私たちが発行する東京地裁支部刑事分会日刊紙「おはようけいじ」は毎朝、未加入者や管理職も含め職員の誰もが手に取ることができる教宣紙です。この間、混乱する職場の一助となれるよう、当局情報や職場の声をできるだけタイムリーに職場に届けようと、編集委員同士、また分会と連携を密にして、臨時休刊を挟みつつも発行を続けてきました。職場からは、「職制情報より早くて詳細」と大変好評を得ています。
 以下に、掲載した職場の声を抜粋して御紹介します。
 「少人数で出勤している繁忙な状況で自分の担当外の事務処理を行っており、過誤を起こすのではないかと気が気ではない」「登庁日は超勤必至」「実質的な在宅勤務が行えるよう、最高裁はセキュリティポリシー緩和の英断を」「今後も出勤人数を絞り業務をこなさざるを得ない情勢下、当局には具体的な事務の効率化・簡素化策や各種制度の活用・柔軟運用を示してほしい。例えば、在宅勤務の裁判官にメールで調書の確認を求めた上での『裁判官差支えによる認印省略』による調書完成、書面による公判前整理手続、簡易公判手続、録音体引用なども考えられないか」

大変なときこそ、職員と職場を守る労働組合が大切

 また、この間の「おはようけいじ」紙面は全国でも共有していただけるよう、組合員限定のフェイスブックグループ「クラブ全司法」にも投稿していますので、ぜひご参照ください。
 こんな大変なときだからこそ、職員と職場を守る労働組合の大切さを痛感しています。職員の不安に寄り添える、そして職場改善につながる活動をめざして、全国の皆さん、ともに頑張りましょう。
(東京地裁支部刑事分会日刊紙編集委員会)

 
ページの先頭へ
 
検察庁法と束ねて国家公務員の定年延長も「見送り」に
 

検察庁法「改正」廃案ツイッターの高まる批判受け

 政府・与党は、今通常国会に提出した検察庁法改正案の成立を見送りました。
 改正案は内閣又は法務大臣が認めれば、役職定年の例外が適用され、さらには65歳の定年を超えても役職ポストでの勤務の延長を可能とするものです。これに対し、「♯検察庁法改正案に抗議します」のツイッター・デモをはじめとして、内閣が幹部検察官人事を握ることにより検察に介入する仕組みを作るものであるとの国民の批判が高まりました。
 この国民の批判の高まりは、東京高検の黒川検事長(賭け麻雀の発覚により辞任)の勤務延長を、従前の政府・人事院の法解釈(国家公務員法の定年延長制度は、検察官には適用されない)を「口頭決裁」により変更したとして強行した手法や、勤務延長に対する批判をかわす狙いから、「後付け」の法改正により黒川氏の定年延長を正当化しようとした疑いがその契機となっています。

国家公務員の定年延長も見送り「束ね法案」解かれず

検察庁法改正に抗議する
国会前行動(5月19日)
 
 検察庁法改正案の成立の見送りと同時に、私たち国家公務員の定年を段階的に65歳まで引き上げるための国家公務員法改正案(法案の概要は第2330号を参照)も見送られる見込みです。これらが「束ね法案」とされているためです。国家公務員の定年引上げに紛れて、検察庁法改正案を通してしまおうという政府の目論見があったと見られます。
 そもそも国家公務員の定年延長は、年金支給開始年齢の65歳繰延べに伴い、雇用と年金との接続の必要から、2011年に人事院が「意見の申出」を行って以来の私たちのとりくみを経て、ようやく法案として国会に提出されたものです。雇用と年金との接続が、任用形態や給与水準の低さなどの問題を抱えた再任用制度に負っていることからも、定年延長により早急に問題解決を図ることが求められている中、検察庁法改正のための「人質」とされることはあってはなりません。
 今回の国家公務員法改正案には、給与水準をはじめとした種々の問題点も含まれており、「束ね法案」ではなく、個別の慎重な審議が必要です。引き続き、高齢期をはじめ全ての職員が活き活きと働き続けることのできる制度の実現にむけて、とりくみをすすめる必要があります。

 
 
ページの先頭へ