全司法は、毎年9月から10月にかけて、共済組合の次年度の事業計画及び予算に対する要望事項の取りまとめにとりくんでいます。本部は、各支部から出された意見をふまえて要望事項を取りまとめ、裁判所共済組合に提出しています。
今年度も要望事項を共済組合に提出し、共済組合の2020年度の事業計画及び予算の検討に組合員の要望を反映するよう求めました。
要望事項に対する共済組合本部の考え方については、運営審議会で示されており、その後に改善されたものもありますので、主なものをお知らせします。
標準報酬算定
通勤手当等の除外を財務省に要望
組合員の掛金と国の負担金の見直し、医療費負担の見直し、高齢者医療の無料化、掛金や給付の算定の基礎となる標準報酬の算定方法など、制度にかかわる事項の見直しを求める要望については、国の社会保障制度の枠組みに関する事項であり、裁判所共済組合だけで見直しを働きかけることや取扱いを変更することなどはできないという立場です。その中で、組合員の強い要望である標準報酬の算定の基礎から通勤手当や住居手当等を除外することについては、国家公務員共済組合の監督官庁である財務省に要望していることを明らかにしました。
医療費の一部負担金払戻金や結婚手当金などの附加給付の引上げや新設を求める要望については、2013年に財務省(共済組合の監督官庁)の方針により職員の反対を押し切って見直しを行った経緯と短期経理の財政状況をふまえ、困難との見解が示されています。
福利厚生パッケージ
「リクエストBOX」活用を
福利厚生パッケージサービス(ベネフィット・ステーション)の充実と地域間格差の解消を求める要望については、委託業者選定時の評価対象としていることに加え、業者が実際の利用状況や傾向をふまえ、利用状況の低い支部を中心としたエリアに特化したチラシを作成するなどのとりくみを行っているとのことです。なお、会員専用サイト内に「リクエストBOX」が設置され、割引サービスの対象施設の追加などのメニュー開発について、委託業者に直接要望する仕組みも設けられているとのことで、この仕組みを活用することも必要です。
人間ドック等の受検費用補助の増額や年齢制限撤廃を求める要望については、保健経理全体の収支を考えると、限られた厚生費の予算の範囲内で、補助額の増額や年齢制限の撤廃は困難な状況にあるとのことです。
特定保健指導の利用
職務専念義務免除が可能に
特定保健指導の利用に当たって職務専念義務の免除を求める要望については、人事院規則が改正され、職務専念義務を免除することができることとなりました。また、特定保健指導を実施できる病院を増やすことの要望については、全国で1万4497機関で利用可能となっていることから、機関数については十分確保しているとの認識を示しました。
貸付経理では、利率引下げを求める要望について、住宅貸付及び特別住宅貸付の利率が年率1・42%から1・27%に2年連続で引き下げられました。また、教育貸付における貸付対象の制限の撤廃を求める要望についても、制服の購入費用や就学のための移転費用も貸付の対象とするなどの緩和が図られました。
マイナンバーカード
取得強制せず
マイナンバーカードの保険証利用に当たって、カードの取得を強制又は強制と受け取られるような「協力依頼」をしないよう求めたことに対しては、強制又は強制と受け取られるような取得依頼をする予定はないとしています(昨年秋に職員に対してカードの取得依頼がありました。これは共済組合ではなく、国の機関である裁判所が行ったものです)。
共済組合に関する要求
最高裁は誠実対応を
社会保障制度・共済組合制度はもっとも重要な労働条件のひとつです。最高裁は「別人格論(裁判所と共済組合は別法人)」を持ち出して、交渉での具体的な回答を拒否していますが、全司法と誠実に対応すべきです。この追及を強めるとともに、共済組合の運営審議会委員の半数(5名)が全司法からの推薦で任命された委員であることを活かし、引き続き、共済組合に対する要求の実現をめざすとりくみをすすめましょう。
委員による支部視察は延期
第2328号でお知らせした運営審議会委員による共済組合支部視察は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、延期となりました。
田中年也さん(東京家裁支部)が運審委員に
内山剛委員(富山支部)の退任に伴い、4月に全司法が推薦した田中年也さんが委員に任命されました。
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