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全司法新聞
 
事務官の「専門性」を活かした職員制度へ
 

 全司法は「専任事務官の職務評価を高め、事務官全体の処遇改善をめざす」とりくみをすすめており、諸要求貫徹闘争期に最高裁に対して、事務官制度の見直しについて要求することにしています。キーワードは「専門性」です。

最高裁「問題意識」回答を足がかりに

 従来から最高裁は「書記官事務の経験がないということだけで事務官の昇進の途を奪うようなことは考えていない」と回答しています。しかし、実際には(書記官)有資格事務官と専任事務官について任用配置が変わらないと感じられる実態にはありません。事務官のポストが不足している中で、40〜50歳台の多くの職員が3級のまま据え置かれている状況もあって、その下の年代の職員も含めて、事務官の処遇に対する閉塞感やあきらめが広がり、モチベーションの低下にもつながっています。
 そうした中、昨年の秋季年末闘争期の交渉で、最高裁は「専任事務官の専門性の活用や付与等について問題意識を持っている」と回答しました。
 専門性を生かした人材育成は全司法が要求してきたものであり、2018年4月に開催した全国書記長会議でも「年代によってあるべき育成方針は異なる」「部門ごとに専門的知識を持った『スペシャリスト』的な人材を配置することの重要性は、ますます高まってくる」ことを確認しました(全司法新聞2287号参照)。
 今回の最高裁回答は、こうした全司法の要求を反映したものであると考えられます。全司法の考え方は、以下のとおりです。

求められる専門性を洗い出し、スペシャリストを配置

 「オールマイティ」「ゼネラリスト」「多様な経験」偏重から抜け出し、個々の職員の能力を活かし、専門性を重視したものに職員制度を転換することを求めます。
 高度な専門性を持った職員が実務に携わることは、国民の負託に応え、信頼される裁判所を維持するために必要不可欠です。また、そうした職員が後進の育成に寄与することも重要です。
 専門性を持った職員を育成・任用・配置することにより、合理的な事務処理や事務の簡素化・効率化の検討も可能になり、裁判所組織全体の執務能力のより一層の向上につながるとともに、中堅・ベテラン職員のやりがいやモチベーションにもつながります。
 まず、司法行政において専門的知識や経験が重視されるべき部門や業務内容」を洗い出す必要があります。例えば、
@ 典型的な司法行政事務の中で、専門性が必要だと思われる分野…会計(経理・出納・共済)、人事・給与
A 近時の情勢や今後の見通しの中で、専門性を検討しうる分野…広報、文書管理、IT、情報セキュリティ、危機管理
などが考えられます。

長期スパンで異動、研修、昇任の抜本的見直しを!

 専門性を重視した職員制度に転換するためには、採用から退職までの長期的なスパンで、異動とそれに伴うOJT、研修、昇任などのあり方を根本的に見直す必要があります。全司法は、以下のような制度の検討を求めます。
@異動とOJTについて
 ジョブローテーションで幅広い仕事を経験し、能力の開発と適性の発見する期間=「育成期間」(仮)は一定の年齢(経験年数)で終了し、それ以後は専門性に着目した人事異動を行い、OJTを充実させて専門性を高めることが必要です。
 「育成期間」(仮)の終期は管理職選考の受験資格取得と同等に設定し、それまでに能力の開発と適性の発見をして、その後のキャリアを職員が選択できる制度にすることが相当であると考えます。
A研修について
 基本的に「育成期間」(仮)は幅広い知識・組織的な育成を中心に据え、それ以後は、その職員が配置されている部門を踏まえた専門知識の付与を中心とすべきです。
 事務官の人材育成を充実させるため、総合研修所の体制整備をはじめ研修担当部門を充実させる必要があります。
Bポストの設置、登用施策
 職員を育成した後は、その専門性を活用できる登用やポストの設置をすすめる必要があります。
 事務局の各ラインポストは事務の内容を再検討し、専門性がより強く求められるポストは、現状において有資格事務官が登用されているポストについても、専門性を身に着けた専任事務官の積極的な登用を求めます。
 専門性を持った事務官(スペシャリスト)に発令するポストとして十分な数のスタッフポストの設置または専門部署の設置をすすめ、高度な専門性を持った「専門職・専門官」等にはラインポスト並みの処遇を求めます。
Cキャリアデザインの考え方ができる制度
 管理職を希望する、専門性のある仕事をしたいなど、それぞれの個性や能力を生かして働くことができる仕組みとする必要があります。
 管理職選考が既に本人の希望に基づくものになっていることを踏まえ、「育成期間」(仮)終了後の進路は、専門性を中心に据えた人事管理を基本にしていくことが必要です。
 一方で、複線型のキャリアシステムを構築し、管理職昇任について、進路変更を柔軟に認められるものにしていくことも重要です。
 また、現に裁判部において能力を発揮し、職責を果たしている専任事務官が多くいることを踏まえ、裁判部を含めた専任事務官全体の処遇の底上げにつながる施策を検討することも課題です。

 
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裁判手続のIT化に向けて 書記官事務についての議論・検討を!
 

「書記官」とはどういう官職か?

 今年の諸要求貫徹闘争では、本格化してきた裁判手続のIT化と、その中で書記官が果たす役割についても課題となります。
 今後の書記官制度を考えた時、「そもそも書記官とはどういう官職であるのか」という基本に立ち返って書記官事務のあり方を議論し、職場のコンセンサスを得ていくことが必要不可欠です。そうでなければ、裁判手続のIT化が書記官にとって、単なる人減らし「合理化」、処遇切下げのきっかけとなってしまう危険性も否定できません。
 全司法は、書記官について、
@ 裁判の記録を作り、手続の適正さを担保する(公証官)
A 裁判事務を中心となって担い、裁判を円滑にすすめる(訴訟進行管理…手続のプロ)
B 国民に対する司法サービスの最前線に立つという役割を果たす官職だと考えています。

経過を踏まえて…3つのポイント

 書記官事務を考えるにあたっては、これまでの経緯を踏まえた検討が必要です。第1に、民事訴訟法(現行法・1998年施行)改正で「裁判官との協働」が打ち出されながら、書記官事務そのものについての検討・実践がすすまないまま「裁判官の補助」という色彩のみが強くなってしまったこと、第2に、司法制度改革・裁判員制度の導入や成年後見関係事件の増加等のもとで当局の書記官育成の姿勢が「オールマイティな書記官」や管理職登用ばかりに目が向き、結果として、各分野における書記官事務の専門性がやせ細る結果となったこと、第3に、コンプライアンス、「過誤防止」が強調されるもとで、本来は権限の範囲内で裁量を持って行えるはずの書記官事務がどんどん硬直化していること、などに目を向けることが重要です。

「過誤防止」偏重を改め、「専門性」を高めること

 こうした問題意識から、全司法としては、まず、
@ 「過誤防止」偏重の事務処理のあり方を改め、最高裁と各庁当局の責任で思い切った簡素化・効率化策を打ち出すこと
A 管理職の育成とは別に、各部門の専門性を持った中堅・ベテラン書記官を養成し、専門性に見合った部署に配置する観点から、研修、異動と配置をすすめるよう施策を変更すること(事務官制度についての問題意識と全く同じ)を当局に提言します。
 各部門ごとに高い専門性を持った書記官を配置し、「根拠と目的」に則り自らの権限の範囲内で合理的に行えるようにする中でこそ、裁判手続がIT化されるもとでも、独立官職としての責任と誇りを持って国民の負託に応えられるものと考えます。

 
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動きをとめず、工夫しながら、必要な活動をきちんとやっていこう!
 

全国書記長会議に代えて動画配信

 全司法本部は4月17日、新型コロナウイルス対策で中止にした全国書記長会議に代えて、本部報告を動画配信しました。こうした形で意思統一を図るのは、全司法では初めての試みです。なお、組合員は引き続き動画を見ることが可能です。

【鳥井書記長報告骨子】

賃上げ、パワハラ指針、赴任旅費、特別休暇で成果

動画配信で報告する鳥井書記長

 2020年春闘は、消費税増税の影響のもとでたたかわれました。全労連に結集する労働組合では概ね「昨年並みの回答」を引き出す奮闘をしています。
 国公労連も、パワハラ指針の策定や赴任旅費の運用見直しを勝ち取り、新型コロナウイルスへの対応では、不十分ながら特別休暇を措置させるなど一定の前進を作り出しました。
 全司法本部も春闘期交渉において非常勤のステップアップ制度など幾つか前進回答を引き出しました。この回答や成果を職場に見える形で具体化させていきたいと考えています。

「できる範囲でできることをやる」立場で工夫して

 諸要求期のとりくみについては、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、日程を一部変更し(変更後の日程は枠内)、全国統一プレート行動も7月17日に配置することとしました。
 変更後の日程に合わせたとりくみとして、諸要求期の意思統一の機会として5月25日?29日のゾーンで「全国統一昼休み職場大会」を提起します。業務縮小により職員が交代で出勤している庁もありますが、“できる範囲でできることをやる”という立場で各支部で工夫し、「職場大会ができない場合も、それに代わる意思統一の行動」を必ず行ってもらいたいと思います。
 本部では、各地連・支部からの職場実態報告に記載された職場の実情をもとに最高裁への追及を強めていきます。人員、労働時間短縮、パワハラ防止を含む健康課題、事務官制度の実情と課題、今後の書記官制度などを中心に、その他職場の課題も含め、実態と要求の報告をお願いします。
 また、全司法大運動、定年延長に関するとりくみのほか、賃上げ・労働条件改善に向けて、人事院勧告に向けたとりくみもすすめます。支部の運動の中にきちんと位置づけましょう。

コロナの影響で組織拡大に困難さ、職場で態勢を

 組織強化・拡大も喫緊の課題です。新採用職員の加入拡大について、コロナの影響で例年どおりのとりくみができないといった厳しい状況がありますが、そういった時こそ、組合員の力を借りながら、明るい声かけと丁寧な説明を行い、働きかけた時の反応なども共有しながら、事あるごとに声かけができる態勢づくりが必要です。一方的な呼びかけでなく、相手の考えていることもつかみながら対話を重ねましょう。
 新採用の加入がすすまなければ、全司法の組織を将来にわたって維持・発展させることは非常に難しくなります。そうした危機感を共有し、「組合員を増やすことが今必要だ」という意思統一を各支部において行ったうえで、具体的なとりくみに奮闘していただくよう、心から呼びかけます。
 コロナウイルス感染拡大防止が社会的な課題となっているもとでも、動きをとめずに、工夫しながら、必要な組合活動をきちんと行っていくことが大切です。職場に山積する多くの要求を前進させるため、本部としても奮闘する決意です。困難な時期だからこそ全国一丸となってとりくみをすすめていきましょう。

変更後の最高裁交渉等の日程

5月26日 第1回総務課長交渉
6月2日 第2回総務課長交渉
6月9日 第3回総務課長交渉
6月22日 三局一課交渉
6月23日 人事局長交渉
6月25日 事務総長交渉
 ※行(二)職上京団交渉及び青年協交渉も延期します。

 
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総研入所直前に養成課程延期
全司法の速やかな対応に「入っていて良かった」の声
 

荷物発送後に研修延期住居、自習、費用、つもる不安

 3月31日、全司法本部は最高裁当局に、書記官養成課程について、「変更の予定はしていない」ことを確認しており(全司法情報3384号)、4月3日の終業時間を迎え、予定どおり研修が実施されるものと思われました。しかし、そこから一転、4月3日の深夜に集合研修が延期される旨の報道がなされ、総研生に対しても電話連絡がありました。
 総研生の不安を払拭できるよう、また、混乱が生じないよう、全司法本部でも情報提供等に努めました。
 具体的には、組合員からの「集合研修延期」の一報を受けた4月3日深夜、総研生の組合員と周知された情報を共有しました。加えて、荷物の送付やその費用、寮への滞在の可否、自宅学習の内容、相談体制など、提供された情報を踏まえた疑問点、配慮を求める点などを聴取し、その回答、是正等を最高裁当局に求めました。
 個々の研修生に生じた諸経費(旅費等キャンセル料及び荷物の配送費など)については、「可能な範囲で補てんできるよう調整したい」との回答にとどまり、引き続き追及が必要ですが、二部2年生から要望が大きかった、自宅等に待機する場合、持ち運ぶ必要のない寮の荷物を寮に置いたままにしておくことは認められました。
総研生同士のやり取りの様

全司法は「何かあったときに要望を伝えられるチャンネル」
心理的負担軽減に

 支部や本部から情報提供を行ったり、総研生からの声を踏まえ折衝を行ったりしたところ、総研生からは、「組合のネットワークで『集合研修延期』の情報を総研の連絡より先に得られたのは助かった。事前に聞いていなかったら深夜の電話を取らなかったし、内容を聞いたところで信じなかったと思う」「LINEの『全司法総研生グループ』で他の研修生とつながれて、本部からの情報が得られるのがありがたい。他の研修生に疑問を聞けるし、全司法情報が見られるおかげで裁判所の動きが分かる。また特に初動のとき、要望を本部から最高裁に伝えてもらったことで速やかに解消された問題があった」「組合に入っていて良かった」「自宅学習のため毎日一人きり、外出もはばかられる状況下で、同じ環境下にいる人とつながっていること、何かあったときに要望を伝えられるチャンネルがあることで、かなり心理的な負担が軽くなっている」との感想もありました。
 引き続き、総研生を含む全ての職員が安心して働くことができるよう、情報を提供するとともに、是正すべきものはその改善を求めていきます。

 
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継続的・波状的な声かけで 全司法に仲間を迎え入れよう
 

5月末までを改めて集中期間に

「声かけができていない状況」を職場で変えよう

 新年度が始まり1か月が経ちました。4月期の新採用職員は、昨年より55名も増え、全国で490名となっています。新型コロナの感染拡大により、新採用職員の不安は、より大きいものと思います。大変な時期だからこそ労働組合が必要です。
 全司法は、コロナ禍で新採用拡大のとりくみが様子見や後回しにならないよう、4月1日から8日までの期間に、新採用一人ひとりに必ず1回の働きかけを行うことを提起し、全国各地で支部・青年の役員が中心となり、新採用職員に労働組合の存在をアピールしました。
 しかし、ガイダンスの時間短縮や歓迎会の自粛等で、新採用職員と接する機会が限られており、十分な説明が行えていない状況にあります。こういう状況のもと、職場で新採用職員一人ひとりに対する声かけが、例年以上に重要です。社会人生活を初めて経験する新採用職員の中には、「先輩、同僚と上手くやっていけるか」「仕事を上手くやれるか」といった悩みや不安を感じる人も多いかと思います。職場の中で新採用職員一人ひとりに寄り添いながら、「自分がどうして組合に入ったか」など自身の経験も交えて声をかけ、丁寧な説明を行うことで、全司法がより「身近」な存在になります。

「身近」を意識し、大会までに組織増を

 4月17日の書記長報告において、新採用拡大のとりくみとして5月末までを改めて「職場からの働きかけ集中期間」として提起しました。職場組合員の協力を得て役員だけでなく組合員一丸となって職場からの働きかけにとりくんでください。
 また、緊急事態宣言が全国に拡大され、全国の各職場で混乱が生じています。各地連・支部から、全国各地の職場実態や当局対応の状況等がメールやフェイスブック(クラブ全司法)などで情報共有が図られているところです。4月に新たな職場に異動してきた職員や自宅学習を強いられている総研生などをはじめ、全国の職場実態の情報も活用しながら、「身近な話題」で「身近な組合員」からの声かけを意識することも重要です。全司法が職場にとって「身近なもの」として感じてもらえるよう、継続的・波状的な声かけで、大会までに一人でも多くの仲間を全司法に迎え入れましょう。

 
 
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