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女性上京団交渉に臨む参加者 |
2月24日〜25日に、地連女性担当者会議及び女性上京団交渉を東京都港区の国公労連会議室及び最高裁において行いました。例年実施している出産者調査に加え、今回の女性担当者会議に向けて、女性をめぐる課題や職場状況について、あらためて各支部から報告を受けたことで、職場の繁忙状況を背景に、これまでよりも女性が働きづらくなっている職場実態が明らかになりました。
ハラスメント被害増加 根絶への道のり遠く
1日目の会議最初の自己紹介。初参加の方もいるので、仕事・家庭・趣味の話などを交えて各自紹介をし、ぐっと砕けた雰囲気になりました。
次に、国公労連女性協の伊吹五月議長より「ハラスメントの根絶を目指して」とのテーマで、人事院による指針制定の最新情報やハラスメントの構造などの知識も交えて、わかりやすくお話しいただきました。国公労連が2018年6月に実施したハラスメント実態調査によると、前回調査(2011年)よりも被害が増加していることも紹介されました。これは、ハラスメントに対する問題意識の高まりにより潜在化していた部分が数値に表れたこともありますが、ハラスメントがなくなっていないのは厳然たる事実。ハラスメント根絶に向けての道のりはまだまだ遠いようです。また、自分がハラスメントをしないためにとの視点で「許容範囲を広げる」ことの重要性も学びました。
引き続き、女性対策部の佐藤みゆきさんから、6月6日〜7日に新潟県越後湯沢で行なわれる第50回国公女性交流集会の実施内容や、物品販売の紹介と協力依頼がありました。佐藤さんが交流集会実行委員長をされていることもあり、全司法からも奮っての参加を呼びかけました。子育て中の方でも託児サービスがあることもアピールしました。
繁忙で妊婦が体調崩すなど不適切事例相次ぐ
その後、各地連から活動報告がなされました。各支部で活動内容に濃淡はあるものの、それぞれに女性での集まりを持つことに工夫してとりくんでいることが報告されました。特に「集まろう女性、届けよう私たちの願い」と題した寄せ書き行動は女性が集まるきっかけとなっており、その際に出た話題が交渉の要求課題になった、新しい企画のアイデアが出されたなどの報告もありました。寄せ書き行動は1月に行われた中央委員会でも「良いとりくみであり、これからも続けてほしい」との発言があり、女性組合員のつながりを深めることに確実に役立っていると実感しました。
他方で、働きづらい職場状況も明らかになりました。「同僚より短い時間しか働けないのに(育児時間は無給)、事件の配てんは同じ」「忙しくて残業せざるを得ないために育児時間取消しを申請しようとしたら、管理職から『自分(管理職を指す)の評価が下がるから取り消さないでくれ』と言われた」との事例が複数報告されました。また、妊娠中の職員が、周囲が異動して指導する立場になったため無理して働き体調を崩した、繁忙部署に異動になったといった事例も報告されました。
最高裁回答と乖離する実態 直接ぶつけ改善求める
2日目は場所を最高裁に移し、午前中は昨日の会議内容を基に交渉に向けての発言内容の討議や割振りを時間いっぱいまで行いました。
午後は、最高裁人事局の福島総務課長との上京団交渉。全国から集まった寄せ書きを、参加者を代表して近畿地連の田熊枝里さんが当局に手交の後、交渉を開始し、参加者からは赤裸々な職場実態を伝えました。また、働きやすい職場環境の整備や、様々な問題についての改善策の提案も積極的に行いました。
最高裁の回答は「概ね順調にいっていると考えている」「(要望は)承る」といったものにとどまりましたが、今回の交渉で参加者から伝えた各地の職場実態を受け止め、今後の検討につなげるとともに、問題の解決が図られるよう願っています。
交渉後のまとめでは、参加者から「全国の活動やとりくみを知り勉強になった」「今後の活動に活かしていきたい」との感想をいただきました。
また、新たなとりくみとして原水爆禁止世界大会に向けた「折鶴行動」の提案をしたところ、検討事項はありつつも提案自体には賛同いただきました。
最後に、このような時節柄、参加者の皆様及び快く送り出して下さった皆様に、心から感謝をいたします。
(女性対策部長牧坂弘美)
女性担当者会議に向けた調査の中で出された実態
出産者調査や職場実態報告からは、記事本文で触れたもの以外にも、次のような職場実態が明らかになっています。最高裁当局の姿勢とかけ離れた職場の様子が分かります。解決を求めるとりくみを強化しましょう。
内示遅く保育所申込めず月10万円の認可外保育に
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全国から集まった寄せ書きを提出 |
◇男女平等
「女性職員が交代で、裁判官室の机を拭いたり、ポットなどを洗っている部屋がある」「受験者数などの数値目的で、本人の意向を十分にくみ取らないまま無理に管理職選考を受験させるケースが後を絶たない」「『管理職になるか管外異動かのどちらかだ』と言われた」
◇両立支援
「基本的に育児時間を取っている職員とそうでない職員との事務分担量に差がないため、(育児時間を取ると)負担が大きい」「異動内示が2月中旬だったが、保育園の申込みは1次締め切りが1月末で申し込むことすらできず、認可外保育園に通わせることになった。毎月10万円程度の利用料金がかかった」「育休復帰時の異動が叶わず、2人の乳幼児を抱えて家族同居ができなかった」「育児時間の取消が柔軟に行われないため、繁忙期を外して育児時間の請求をしたり、取消をせずに勤務する実態がある」「規定に従って育休復帰後に日直免除申請をしたら、『自分で交代者を探したら?』と言われた」
通勤緩和も事務負担変わらず心無い言葉も多々
◇母性保護
「母性保護カードを示してつわりで休暇を取得しようとしたら『病休は評価に関わるので慎重に考えたほうがよいと思うが、そんなにつわりがつらいのか』と言われた」「妊娠して通勤緩和を取得していたが、事件配てん等の配慮は全くなく、フォローやサポートもなかった」「妊娠中にも残業があった」「制度の説明は上司による。ほとんど説明してもらえず、自分で調べた」
◇労働時間
「超勤の上限規制が導入されてから朝・昼に仕事をしている職員が増えている」「育児時間を取り消して仕事をしている職員が多い。育児時間を取り消したうえに、超勤申請の用紙を渡され、21時まで超勤したこともある」
◇ハラスメント
「育児時間取得中の事務官に、仕事で過度な要求をしたり『育児時間をとらせてもらっているのをありがたいと思え』という発言が管理職からあった」
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