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最高裁交渉の様子 |
全司法本部は11月19日、秋季年末闘争における第3回となる最高裁人事局福島総務課長との交渉を実施しました。交渉では、人員、超過勤務縮減、IT情報システム化、宿日直などの課題について、最高裁を追及し、要求の前進をめざしました。
増員をめぐる情勢の厳しさを強調
人員については、「来年度の増員をめぐる状況はより一層厳しいものとなっている」と強調しつつ、「適正迅速な裁判を実現し、国民の負託にこたえていくために、裁判所の人的態勢の充実強化を図っていく必要があることについて、財政当局の理解を得るべく説明を行っている」「必要な人員の確保について引き続き努力していきたい」との姿勢を示しました。
しかし、シフトによる地方・小規模庁の人員削減を行わないよう要求したことに対しては、内部努力の必要性を強調し、「国民の理解を得るためにも、こうした人員配置の見直し等の内部努力は必要不可欠」との姿勢を崩しませんでした。引き続き、必要な人員の確保に向けて追及を強める必要があります。
概算要求が15名の純減要求であったことの不当性について、裁判所の人的・物的充実を求める請願が国会で採択されていることも踏まえ、その姿勢を見直すよう要求したことに対しても、「必要な人員の確保には努めている」と回答するにとどまりました。
勤務時間把握など「下級裁に対して指導を徹底」
超勤縮減の課題について、早朝・昼休み・休日だけではなく、通常勤務後の超過勤務についても、事前申告や管理職員による事後確認が不十分であり、超勤が暗数(サービス残業)化している実態を示して追及しました。それに対しては、従前どおり「官側が早朝、休日を含め超過勤務の実態を把握する必要がある」とし、「下級裁に対して指導を徹底」すると回答しました。また、「上限を超える超過勤務の実態があるのに、それに対する手当の支給がないとすればサービス残業になってしまう。職場では様々なケースが起こり得ると考えられるが、いずれにしても、『サービス残業や持ち帰り仕事については、あってはならない』との姿勢に変わりはないか」との追及に対しては、「サービス残業や持ち帰り仕事があってはならないとの姿勢は当然変わるものではないが、改めて下級裁に対して指導を徹底していきたい」と回答しました。
事務の簡素化・効率化については具体的な回答はありませんでした。
IT「事務の合理化・効率化や過誤防止も考慮
裁判手続のIT化についての検討にあたっては、「引き続き、職員及び職員団体の意見も踏まえながら検討していきたい」との基本姿勢を示しつつ、事務の簡素化・効率化に資するものとするよう要求したことに対して、「裁判事務の最適化に資するものになるように検討していきたい」と回答しました。検討内容が、事務の簡素化・効率化につながるものとなるよう意見反映を行っていく必要があります。
NAVIUSの開発にあたっては、「職員及び職員団体の意見等も踏まえつつ」検討する姿勢を示し、「システム化すべき業務の範囲については、(略)書記官事務の在り方を踏まえつつ、真に必要かつ相当なものは何かという観点から検討しており、その中で事務の合理化・効率化や過誤防止といった点についても考慮している」と回答しました。これを足がかりとして意見反映をすすめる必要があります。
宿日直時の令状事務「勤務密度が異なる」と回答
宿日直制度の見直し(令状センター構想)については、「克服しなければならない課題が多く、多角的かつ慎重に検討しなければならない問題」としつつ、「考え得る選択肢の一つ」との従前回答を維持しました。
宿日直の令状・勾留事務を超過勤務とするよう要求したことに対しては、勤務時間中とは「勤務密度において自ずと異なる」とし、認めませんでした。また、宿日直を実施する前提となる6時間の仮眠時間の確保については、「実態は把握していない」、宿日直中に令状・勾留事務に関わった時間については「最高裁として把握することは考えていない」と回答しました。
★本部の視点
超勤上限規制導入から半年が経過し、実態把握が緩んで「暗数化」が広がっているのではないかと指摘し、下級裁への指導の徹底を約束させました。みなさんの職場でも改めてチェックを!
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