 |
職種担当中執も参加して交渉 |
全司法本部は10月29日、秋季年末闘争期における第2回となる最高裁福島人事局総務課長との交渉を行いました。交渉では、「国民のための裁判所」の実現、職員制度に関する要求、昇格要求について、職場実態を主張し、要求実現をめざしました。
IT化予算「最大限の努力を行いたい」
司法制度改革諸課題の具体的運用について、最高裁は、「職員及び職員団体の意見を踏まえながら、人的・物的な面を含めた態勢の整備を計画的に行ってきた」「事件数の動向や事務処理状況等を常に注視し、必要な検討を行っていく」「国民の理解と信頼を得て、より適切な裁判運営ができるように努めていきたい」との基本姿勢を示しました。裁判員制度については、「概ね順調に事件が処理されている」との認識を示した上、5月に公表された「裁判員制度10年の総括報告書」で述べられている課題を含め、引き続き「裁判員制度の運用面の検討を行っていく」と回答しました。
裁判手続のIT化に当たっての十分な予算の確保を求めたことに対しては、財政状況の厳しさを強調しながらも「最大限の努力を行いたい」と回答しました。
BU研修カリキュラム見直しを検討
研修カリキュラムの改善を求めたことに対し、最高裁は、「事件の複雑化等、昨今の裁判所を取り巻く諸情勢の変化に的確に対応するためには、書記官の資質、能力を更に高めていくことが重要であり、それに適切に応えていくために、書記官ブラッシュアップ研修のカリキュラムの見直しを検討している」ことを明らかにしました。
研修所のIT環境の改善については、「当局において責任をもって行うべきもの」「意見があれば述べてもらって差し支えない」との回答にとどまりました。
また、研修におけるテレビ会議の活用については、「ワークライフバランス等の観点から、研修受講の機会を増やす必要性について問題意識を持ちながら、検討を進めていきたい」と回答しました。
書記官事務の簡素化・効率化具体策は示さず
書記官事務の簡素化・効率化を求めたことに対し、最高裁は、「通達等の見直しなども選択肢として排除しているものではない」と諸要求期と同様の回答をしたものの、その具体化については「現時点において、説明できることはない」と述べるにとどまりました。
専任事務官の処遇改善や登用拡大について、「書記官資格の有無によって任用配置上の取扱いを差別するようなことは考えていない」と従前の回答にとどまり、任用・配置の実態を踏まえた回答とはなりませんでした。
会計部門 執務資料の配布、物品管理等の簡素化策示す
また、事務局事務の簡素化・効率化については、「引き続き、事務の簡素化・効率化策について検討していきたい」との姿勢を示し、会計部門において、執務資料の配布や改訂作業、各種実績調査の回数や内容の削減、物品の管理換手続の簡略化にとりくんできた旨を説明しました。
電子速記タイプライターのメンテナンスに関して、最高裁は「検討しているところ」と回答した上、「納入業者において実施するメンテナンスの詳細について、製造元との調整事項が多岐に渡っているため」に検討に時間を要していることを明らかにしました。
家裁調査官の異動施策について、最高裁は、「司法サービスの均質化」や「負担の公平等の見地から、ある程度広域異動をしてもらう必要性が高い」としつつ、「本人の生活環境にも十分配慮した異動が行えるよう、更に検討を重ねていきたい」と回答しました。
少年調査票の様式の改定については、東京家裁で8人、大阪家裁で11人が試行に携わったことを明らかにした上で、「試行の結果については、現在、精査している」とし、説明できる段階になり次第、説明すると回答しました。
行(二)職の処遇の維持・改善を求めたことに対し、最高裁は、努力姿勢は示すものの、昇格発令における部下数制限の撤廃要求に関する回答も従前回答に留まりました。
昇格「全力を尽くしていきたい」
昇格については、最高裁は、財政当局の厳しい情勢を強調しつつも、「職務内容に応じた適正な処遇を行い、モチベーションの維持・向上を図る必要がある旨を繰り返し説明し、理解を求めている」ことを明らかにし、「年末に向けて、全力を尽くしていきたい」との姿勢を示しました。
|