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全司法新聞
 
「自然災害と公務」について考え、
単組を越えたつながりを作った3日間
国公青年交流集会2019
 

 10月25日〜27日に国公労連は、「国公青年交流集会2019」を開催しました。昨年度から青年運動の再起動のための組織として国公青年フォーラム(運営委員長は全司法函館支部出身の森慧佑中執)を立ち上げてとりくみをすすめており、今回の集会は、その起爆剤としての役割が期待される大きなイベントです。

国公青年レク

全司法から30名が参加

 10月25日から27日にかけて、福島県いわき市にあるスパリゾートハワイアンズで国公青年フォーラム主催の国公青年交流集会2019が開催されました。国公労連に結集する各組合から青年を中心に120名の参加者が集まりました。うち全司法からは30名もの青年が参加しました。
 はじめに、森運営委員長より、本集会のテーマが「自然災害と公務」であり、自分が自然災害に見舞われたときに、自分・家族の生活と仕事にどう向き合うか考えてほしいと話しました。また、他の単組の青年と交流をしてほしいと参加者に呼びかけました。

樋口さん講演

権威・先例・科学者盲信各主義の弊害を指摘

全国の国公職場から約120名が参加

 1日目は、「原発再稼働を司法の場から問う〜私が大飯原発を止めた理由〜」と題して、大飯原発3・4号機の運転差し止め判決、高浜原発3・4号機の差し止め仮処分決定を出した元福井地方裁判所部総括判事の樋口英明さんの記念公演がありました。
 東日本大震災が原因で起きた福島第一原発の事故は、4号機の使用済み核燃料貯蔵プールに原因不明の理由により、となりの区域から水が流入したことや、2号機に欠陥があったことなど、いくつかの幸運な偶然が重なったために、むしろあの程度の被害で収まったと指摘されました。
 また、原発の耐震基準は、住宅の耐震基準よりも低く、普通の規模の地震でも安全性に疑問があるとのことでした。そして「原発事故は一度起きてしまうと取り返しのつかない影響が出てしまう、間違ってはいけない問題だ」と話されました。あわせて原発の恐ろしさが理解できたらそれを伝えていくことが責任であり、この講演を聞いた以上、参加者にも皆に伝えていく責任があると話されました。
 なぜ、多くの裁判官は原発の運転を差し止めることができなかったのかについて、樋口さんは、現在の司法の現場にある、極端な権威主義、頑迷な先例主義、リアリティの欠如、「科学」そのものではなく「科学者」への妄信を原因として挙げられていました。参加者に対して、盲目的に上からの指示には従わない、おかしいと思ったことは言うべきであると語られました。

被災時も業務継続の必要性共有、環境等整備を

「自然災害と公務」について討議

 その後、グループに分かれ班別討議を行いました。各人の災害での体験、自分の仕事と災害、業務を継続しないことによる社会への影響、災害時にも業務を継続するためにどのようなことが必要なのかなどを討議しました。
 討議では、コンピュータシステムが停止し、業務継続が困難になった話や、平常業務が停止し、その周知が大変だったことなどが話されました。公務には、災害時でも止めることのできない業務や通信手段の復旧など災害時特有の業務があることを出し合いました。
 また、私たちが業務を継続しないと被災者が困窮する、人権問題に発展する、情報を届けることが出来ないなど問題が発生してしまうことを話しました。
 災害時にも業務を継続するために、どれだけの人が出勤できるのか確認しておく必要がある、平常業務ですらギリギリの人員体制を解決する必要がある、通常勤務の経路よりも遠回りでの出勤を自己負担せざる得ない現状の改善、出勤の可否判断を容易にすること、災害時でも出勤できるように宿舎の整備、研修や日頃の情報共有も大事であることなどの意見や職場実態が出されました。
 分散会での討議は、自分の仕事を見つめなおし、災害について考えるきっかけになりました。また、ふだん知ることのできない他の省庁の仕事等を知ることもできました。

スポーツで単組を越えて団結

 2日目は、レクリエーションを行いました。各単組入り混じり、8チームが整列ゲーム、ラダーゲッター、輪投げバランスボール、ドッチビー、ボール運びリレーなどで競い合いました。
 1日目の分散会のグループを基準にチームを作ることで交流がより深まり、他単組の青年たちとの結びつきができ、協力して競技に挑むことで、どのチームも団結力が高まりました。

声を上げ、思いを言うことが必要

 3日目は、会場のあるいわき市が作成したDVDを視聴しました。DVDには、いわき市の東日本大震災の被害とその復興の様子が映されていました。
 その後、会場のスパリゾートハワイアンズの支配人の方から東日本大震災に関わるお話を聞きました。スパリゾートハワイアンズは3月11日の本震では大きな被害が出なかったものの、4月11日の余震で施設の破損等大きな被害を受けました。「もうダメだ」とあきらめかけた中で、従業員の一致団結の精神や地元の人々に支えられて復興できたことが語られました。
 最後に、森運営委員長より、国民のための行財政・司法の確立には私たちが声を上げることが必要であり、改めて考え、思ったことを言うことが大事とまとめられました。
 自分の仕事と災害について考えることができ、他単組の青年と交流することのできた集会となりました。
(中央執行委員内山克也)

 
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裁判手続のIT化、事務の簡素化・効率化、昇格などで交渉
秋年期第2回人事局総務課長交渉
 
職種担当中執も参加して交渉

 全司法本部は10月29日、秋季年末闘争期における第2回となる最高裁福島人事局総務課長との交渉を行いました。交渉では、「国民のための裁判所」の実現、職員制度に関する要求、昇格要求について、職場実態を主張し、要求実現をめざしました。

IT化予算「最大限の努力を行いたい」

 司法制度改革諸課題の具体的運用について、最高裁は、「職員及び職員団体の意見を踏まえながら、人的・物的な面を含めた態勢の整備を計画的に行ってきた」「事件数の動向や事務処理状況等を常に注視し、必要な検討を行っていく」「国民の理解と信頼を得て、より適切な裁判運営ができるように努めていきたい」との基本姿勢を示しました。裁判員制度については、「概ね順調に事件が処理されている」との認識を示した上、5月に公表された「裁判員制度10年の総括報告書」で述べられている課題を含め、引き続き「裁判員制度の運用面の検討を行っていく」と回答しました。
 裁判手続のIT化に当たっての十分な予算の確保を求めたことに対しては、財政状況の厳しさを強調しながらも「最大限の努力を行いたい」と回答しました。

BU研修カリキュラム見直しを検討

 研修カリキュラムの改善を求めたことに対し、最高裁は、「事件の複雑化等、昨今の裁判所を取り巻く諸情勢の変化に的確に対応するためには、書記官の資質、能力を更に高めていくことが重要であり、それに適切に応えていくために、書記官ブラッシュアップ研修のカリキュラムの見直しを検討している」ことを明らかにしました。
 研修所のIT環境の改善については、「当局において責任をもって行うべきもの」「意見があれば述べてもらって差し支えない」との回答にとどまりました。
 また、研修におけるテレビ会議の活用については、「ワークライフバランス等の観点から、研修受講の機会を増やす必要性について問題意識を持ちながら、検討を進めていきたい」と回答しました。

書記官事務の簡素化・効率化具体策は示さず

 書記官事務の簡素化・効率化を求めたことに対し、最高裁は、「通達等の見直しなども選択肢として排除しているものではない」と諸要求期と同様の回答をしたものの、その具体化については「現時点において、説明できることはない」と述べるにとどまりました。
 専任事務官の処遇改善や登用拡大について、「書記官資格の有無によって任用配置上の取扱いを差別するようなことは考えていない」と従前の回答にとどまり、任用・配置の実態を踏まえた回答とはなりませんでした。

会計部門 執務資料の配布、物品管理等の簡素化策示す

 また、事務局事務の簡素化・効率化については、「引き続き、事務の簡素化・効率化策について検討していきたい」との姿勢を示し、会計部門において、執務資料の配布や改訂作業、各種実績調査の回数や内容の削減、物品の管理換手続の簡略化にとりくんできた旨を説明しました。
 電子速記タイプライターのメンテナンスに関して、最高裁は「検討しているところ」と回答した上、「納入業者において実施するメンテナンスの詳細について、製造元との調整事項が多岐に渡っているため」に検討に時間を要していることを明らかにしました。
 家裁調査官の異動施策について、最高裁は、「司法サービスの均質化」や「負担の公平等の見地から、ある程度広域異動をしてもらう必要性が高い」としつつ、「本人の生活環境にも十分配慮した異動が行えるよう、更に検討を重ねていきたい」と回答しました。
 少年調査票の様式の改定については、東京家裁で8人、大阪家裁で11人が試行に携わったことを明らかにした上で、「試行の結果については、現在、精査している」とし、説明できる段階になり次第、説明すると回答しました。
 行(二)職の処遇の維持・改善を求めたことに対し、最高裁は、努力姿勢は示すものの、昇格発令における部下数制限の撤廃要求に関する回答も従前回答に留まりました。

昇格「全力を尽くしていきたい」

 昇格については、最高裁は、財政当局の厳しい情勢を強調しつつも、「職務内容に応じた適正な処遇を行い、モチベーションの維持・向上を図る必要がある旨を繰り返し説明し、理解を求めている」ことを明らかにし、「年末に向けて、全力を尽くしていきたい」との姿勢を示しました。

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自主的活動 花開け! 第12回
「宿日直で職員の意見を聴かない当局と対峙 愛知支部」
 
当局の問題点を指摘した「全司法あいち」

「聴取の必要はない」と勝手に判断

 名古屋高地家裁は、7月30日の折衝で、準抗告や保釈事務の増加により休日出勤の負担が増えているため、本庁の日直について、地裁刑事部立会書記官と地裁出納課出納官吏事務官(計30名)を割り当てないようにするという説明をし、意見聴取期間を設けることなく、当直実施要領を変更しました。
 最高裁は「宿日直態勢の変更の問題については、職員団体と協議すべき事柄とは認識していないが、無理なく円滑に運用されていくためには…、必要な事柄は適宜説明し、また、必要に応じ、その意見を聴くなどしていきたいと考えている」と回答しており、意見聴取を行わなかった名古屋当局の今回の対応は最高裁回答に明らかに反するものです。この点について支部が追及したところ、当局は「職員間の公平・均衡を図るためであり、職員の負担割合も示して不公平感を説明した。他の職員からも理解をしてもらえる程度で、意見聴取するまでもないと判断したものである」との不当な回答を繰り返しました。
 支部ではその問題点を「全司法あいち」で職場に訴えるとともに、地連とも連携しながら誠実対応を守らせるよう追及しました。

「重く受け止めたい」と事実上の謝罪

 こうしたとりくみの結果、当局は10月7日に「当局の誠実対応の姿勢に対して、疑念が持たれたことについては、重く受け止めたいと考えている」と事実上の謝罪と言える回答を行い、後日、職制を通じ、再度、当直実施要領を変更した趣旨の周知がなされました。しかし、職場によっては周知が漏れたり、管理職が意見を聴取しようとする姿勢が希薄な職場もあり、引き続き、この回答を職場に徹底させていく必要があります。
 愛知支部では、組合員はもとより管理職を含む未加入者にもアンケートを配布し、当局の行った変更についての賛否及び意見の集約を行っていますが、アンケートには当局の変更に対する不満をつづった回答が数多く寄せられています。今後、このアンケートにもとづき、職場の声を交渉や折衝の場で伝え、職員の意見が反映された当直割当の仕組みを作らせるとともに、最高裁回答を反故にするような対応がとられないよう当局の姿勢を注視していきます。

 
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